内閣の事務を助ける役割を持つ中央官庁「内閣府」の基本情報

国家公務員が勤務する中央官庁の中で、内閣官房やその事務を助けることを任務とする「内閣府」について解説します。

内閣府は、内閣総理大臣が主導する国政を運営し、国民主権の理念を実現するために設置された特別な行政機関です。その基本的な情報についてまとめました。


はじめに

「内閣府」は、東京都千代田区永田町にあり、2001年に設置された日本の行政機関です。定員は、1万3,659人で、定員の中で内閣府本府の職員は、2,273人です。ほかは、宮内庁、公正取引委員会、国家公安委員会の職員です。

なお、前身の組織は「総理府」「経済企画庁」「沖縄開発庁」などでした。

今回は「内閣府」の公務員を目指す方に押さえておいてほしい基本的な情報と役割について解説します。

「内閣府」について

「内閣府」は、2001年1月の中央省庁改革により、内閣機能を強化するために内閣に置かれた機関です。長は内閣総理大臣です。

「内閣府」の役割について

「内閣府」の役割は、内閣および内閣総理大臣を助け、政治と行政の中間にあって行政の中枢を支え、そのときどきに直面する政策課題に柔軟に対応することです。

また、「内閣府」は、行政の中枢機関として、内閣の統括下にある各省より一段高い立場から国の重要政策に関する企画・立案を行い、行政内での統一性・一体性をもたらすよう調整する役割を担っています。

このような「内閣府」の主な業務は、「国家運営の基本に関わる経済財政政策」をはじめ、男女共同参画社会を実現するための「暮らしと社会」にかかわる課題や、防災対策など国民の安全の確保などです。

なお、「内閣府」が設置されて以来、「内閣府」で対応すべき政策課題として新たに追加された業務は、少子化社会対策・地方分権改革・宇宙政策・地方創生などです。

「内閣府」の組織構成について

「内閣府」の組織構成は、内閣総理大臣、内閣官房長官をはじめとする各大臣、審議官と、内部部局等・重要政策に関する会議・施設等機関・特別の機関・審議会等より成り立っています。

「内閣府」は、内閣総理大臣が主導する国政を運営し、国民主権の理念を実現するために設置された特別な行政機関です。この役割を果たすため、「内閣府」は、内閣総理大臣または内閣官房長官を議長とし、関係大臣と有識者からなる「重要政策に関する会議」を運営しています。

具体的には、経済財政諮問会議、総合科学技術・イノベーション会議、中央防災会議、男女共同参画会議等がこれに該当し、内閣総理大臣自らが主導権を握って国政上の指針を明らかにする上で大きな意味を持っています。


また、通常、各省の大臣は1人であるところ、「内閣府」は、内閣の重要政策に関する企画・立案・総合調整等を大臣のリーダーシップにより強力かつ迅速に行うため、経済財政政策担当・防災担当など、11名の特命担当大臣を置いています。

「内閣府」の年間予算は約3兆593億円

「内閣府」の2017年度の予算は、約3兆593億円でした。

その主な内訳項目は、経済財政政策の推進費用や、子ども・子育て支援新制度の実施費用、科学技術イノベーション政策の戦略的推進費用や、地方創生の推進費用、沖縄振興への取組費用、防災対策費用、原子力災害対策費用や、政府広報・広聴活動の推進・国際広報の強化のための費用、公文書管理制度の推進費用、および、化学兵器禁止条約の実施費用などです。

内訳についてはこちらの予算概算要求の概要をご参考ください。
http://www.cao.go.jp/yosan/soshiki/h30/gaiyou_h30.pdf

「内閣府」の「重要政策に関する会議」について

「内閣府」の下部に組織される「重要政策に関する会議」は、平成13年1月の中央省庁等の改革により、内閣および内閣総理大臣を助ける「知恵の場」としての機能を果たすために設置されました。

さらに、「内閣府」は、重要政策に関する会議として、内閣総理大臣または内閣官房長官を議長とした関係大臣と有識者からなる「経済財政諮問会議」「総合科学技術・イノベーション会議」「国家戦略特別区域諮問会議」「中央防災会議」「男女共同参画会議」の5つを設置しました。

「内閣府」の仕事その1「経済財政諮問会議」

「内閣府」で行われる「経済財政諮問会議」では、内閣総理大臣の求めに応じて、経済全般・財政運営・予算編成などの運営の基本方針や、その他の経済財政政策に関する重要事項が調査・審議されます。

また、「経済財政諮問会議」では、内閣総理大臣または関係各大臣の諮問に応じて、政策の一貫性・整合性を確保するため、国土形成計画法の昭和25年法第205号6条2項に規定される全国計画や、その他の経済財政政策に関連する重要事項が経済全般の見地から調査・審議されます。

このような「経済財政諮問会議」で調査・審議された運営方針や政策事項は、内閣総理大臣等に意見として申請されます。

「内閣府」の仕事その2「総合科学技術・イノベーション会議」

「内閣府」で行われる「総合科学技術・イノベーション会議」では、内閣総理大臣等の諮問に応じて、科学技術の総合的・計画的な振興を図るための基本的な政策や、科学技術に関する予算、人材等の資源の配分の方針、その他の科学技術の振興に関する重要事項について調査・審議されます。

また、「総合科学技術・イノベーション会議」は、科学技術に関する大規模な研究開発や、その他の国家的に重要な研究開発を評価する役割も担っています。

なお、必要に応じて、「総合科学技術・イノベーション会議」で調査・審議された科学技術に関する重要事項や研究事項などは、諮問を待たずに内閣総理大臣等に対し意見されることもあります。

「内閣府」の仕事その3「国家戦略特別区域諮問会議」

「内閣府」で行われる「国家戦略特別区域諮問会議」は、国家戦略特別区域の指定・国家戦略特別区域基本方針・ 区域方針・区域計画の認定・雇用指針に関し、内閣総理大臣に意見する会議です。

また、「国家戦略特別区域諮問会議」は、内閣総理大臣または関係各大臣の諮問に応じて、国家戦略特別区域における産業の国際競争力の強化や国際的な経済活動の拠点の形成の推進に関する重要事項について調査・審議する役割も担っています。

なお、「国家戦略特別区域諮問会議」で調査・審議された国際的な需要事項は、必要があると認めるときに内閣総理大臣および関係各大臣に意見として進言されます。


「内閣府」の仕事その4「中央防災会議」

「内閣府」で行われる「中央防災会議」では、防災基本計画や地震防災計画の作成およびその実施の推進や、内閣総理大臣・防災担当大臣の諮問に応じて防災の基本方針、防災に関する施策の総合調整が行われ、災害緊急事態の布告等などの防災に関する重要事項が審議されます。

また、「中央防災会議」で審議された防災に関する重要事項は、内閣総理大臣および防災担当大臣に意見として申請されることもあります。

「内閣府」の仕事その5「男女共同参画会議」

「内閣府」で行われる「男女共同参画会議」は、男女共同参画の基本計画を作成するに当たり、内閣総理大臣に意見を申請する役割を持つ会議です。

また、「男女共同参画会議」では、内閣総理大臣または関係各大臣の求めに応じて、男女共同参画社会の形成促進に関する基本的な方針や政策および重要事項が調査・審議されます。

ほかに、「男女共同参画会議」では、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視や、政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響についての調査が行われています。

なお、「男女共同参画会議」で調査・審議された男女共同参画社会に関する方針や政策などの重要事項は、必要があると認める時に、内閣総理大臣および関係各大臣に意見として進言されます。

「内閣府」の重要政策課題について

「内閣府」の重要政策課題とは、「内閣府」が果たすべき任務と今後重点的に実施していく政策のことです。

具体的には、「経済財政政策」「科学技術・イノベーションの推進」「『暮らしと社会』に関する施策の総合的な推進」「国民生活の安全・安心の確保」「沖縄に対する取組み」「内閣総理大臣が直轄する行政事務の遂行」の6つが挙げられています。

「内閣府」重要政策:経済財政政策

「内閣府」は、国家運営の基本である「経済財政政策」の分野で中核を担う経済財政諮問会議で「経済財政運営と改革の基本方針」「予算編成の基本方針」等を策定しました。これらが内閣の基本方針となり、関係各省庁の政策等に反映されます。

また、「内閣府」では、「経済財政政策」として、適切な政策運営を行っていくためには経済の動きに関する正確な把握と分析が不可欠であることから、「経済財政対策」を策定するための企画・立案が行われ、関係省庁等と協力して各分野の個別の政策の総合調整等がなされています。

具体的には、毎月、「月例経済報告」や「経済財政白書」を作成して、様々な分析を行っており、ほかにも、経済社会総合研究所では政策と理論の橋渡しをする研究や、各種経済統計等の作成が行われています。

「内閣府」重要政策:科学技術・イノベーションの推進

「内閣府」は、経済再生や持続的な経済成長の実現のため、「科学技術イノベーション総合戦略」を毎年策定しています。

また、「内閣府」は、科学技術・イノベーションの推進として、科学技術関連の予算配分にメリハリ付けを行うなどによって、日本の科学技術・イノベーション政策を担い、グローバル社会での地位を強化しています。

「内閣府」重要政策:「暮らしと社会」に関する施策の総合的な推進

「内閣府」は、社会のあり方そのものや国民生活に密接に関連する課題を取り扱い、その一つとして男女共同参画社会の実現に向け、男女共同参画会議を中心として、ワーク・ライフ・バランスの実現や政策方針決定過程への女性の参画の拡大、女性に対する暴力の根絶等の課題や国際機関との連携や国際協力の取組みも進めています。

さらに、「内閣府」は、社会全体の少子高齢化、ライフスタイルの多様化などが進む中で、年齢や障害の有無にかかわりなく安心して暮らせる「共生社会」を実現するため、青少年健全育成、少子高齢化対策、障害者施策、子どもの貧困対策などについて各省に発生した課題に総合的に取組んでいます。

「内閣府」重要政策:国民生活の安全・安心の確保

「内閣府」は、関係省庁と緊密に連携を図りながら、災害の予防・応急や復旧・復興対策に努め、国民生活の安全や安心を確保するため、災害に強い国づくりを推進しています。

また、「内閣府」は、台風上陸や地震などの災害発生時には最新の情報を収集・集約し、迅速な応急対策がとれる体制を整えています。

「内閣府」重要政策:沖縄に対する取組み

「内閣府」は、本土に復帰して40年余りが経った今も、低い所得水準や高い失業率、米軍施設や米軍区域を整理し、統合・縮小するなど、なお解決しなければならない問題が存在している沖縄県に対し、「沖縄振興特別措置法」に基づいた自立型経済の構築等をめざした施策を進めています。

具体的には、観光地としての振興を図り、情報通信産業や産業の高度化・事業革新の促進などを計画し、農業水産業や中小企業の振興や、雇用の促進・人材の育成、駐留軍用地の適切な利用などに特別措置を設けています。


「内閣府」重要政策:直轄する行政事務の遂行

「内閣府」は、先に述べた5つの政策に加えて、国政の中心に位置する内閣総理大臣が直接担当することがふさわしい事務「直轄する行政事務」を担っています。

具体的には、政府の重要施策について各府省との連携を図り、各種の広報媒体を活用した政府広報を行い、政府施策に対する国民の御意見、御要望を把握するための広聴活動を行っています。

また、「内閣府」は、公務員が職務を遂行する過程で作成・取得した公文書等を政府の活動記録として将来の世代に伝えていくため、公文書等の保存や利用に関する制度の企画・立案などを行っており、このほか、元号、国旗・国歌などの栄典・公式制度、北方対策、PKOなど国際平和協力業務などの行政事務も遂行しています。

まとめ

いかがでしたか?

「内閣府」は、内閣の重要政策に関する企画立案・総合調整等を強力かつ迅速に行うために特命担当大臣を置き、「知恵の場」としての機能を果たす重要政策に関する会議を設置するなどの特別な機能を果たしています。

ちなみに、「内閣府」の英語名称はCabinet Officedeで、略称はCAOです。

「内閣府」のウェブサイトのURL

http://www.cao.go.jp/

本記事は、2018年10月7日時点調査または公開された情報です。
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