「研究所」の「実験動物飼育管理と実験補助業務」の仕事内容・給料レポート

大手化粧品会社の研究所で常勤として働く、女性の「実験動物飼育管理と実験の補助業務」に関するキャリア体験談レポートです。 今回は、その仕事内容や一日のスケジュール、年収(給料・ボーナス)や残業状況・職場恋愛などについてインタビューしたものを編集して掲載します。


はじめに

大手化粧品会社の研究所で常勤として働く、女性の「実験動物の飼育管理と実験の補助業務」によるキャリア体験談レポートです。

ちなみに、その方は、2級実験動物飼育管理技術者という資格を持っているそうです。

「実験動物飼育管理技術者」を目指した理由

大学が理系だったので研究所で働く仕事がしたくて実験動物飼育管理技術者に応募しました。

実際の求人広告では学歴不問となっていましたが理系のバックグラウンドがある人は少しだけ優遇されているようでした。

「実験動物飼育管理技術者」の仕事内容について

動物実験をしている企業の研究所または大学の実験動物飼育管理施設内で実験動物の飼育管理と実験の補助をする仕事でした。

私の配属先は、大手化粧品会社の研究所内実験動物飼育棟でした。派遣社員のように一人での配属ではなく同じ実験動物飼育棟で働く人は全員同じ会社の社員でした。下請けのような感じです。

日常的には、実験動物飼育棟内の清掃や実験動物飼育施設の管理(備品の発注、用意など)実験動物の飼育(ふんなどの処理、飼育棟内の清掃、給餌、給水、健康状態の観察などを担当していました。

実験動物はモルモット、ウサギ、ラット、マウスがいました。施設内の管理と実験動物の飼育管理のほかに、実験の補助作業がありました。

化粧品会社の社員の方は、動物に直接実験をする人もいましたが、たいていの社員の方はプロトコルという指示書を書いて投与する試薬を用意するだけだったので、プロトコルを読んで、その指示通りに動物に試薬の投与など実験的処置をしていました。

解剖の補助もあり、たくさん解剖するときは一人何匹担当と決められて全臓器を取り出す事をひたすら繰り返すこともありました。

「実験動物飼育管理技術者」の1日の仕事の流れ

8:30 始業 朝礼
9:00 着替え、清掃、給餌、給水タンクの水の入れ替え
※実験がある日だと、研究室で実験をやります。実験の担当でない人は全員動物飼育室の清掃と動物の世話です。清掃はふん掃除、床掃除、ケージ交換です。
12:00 社員食堂内で食事 昼休み(1時間)
13:00 午前の作業の続き 解剖練習
16:30 事務所に戻って日報記入
17:00 終業


「実験動物飼育管理技術者」の給料・残業・有給休暇について

私の場合ですが、給料は月給が16万円くらいでした。ボーナスは、夏に二か月分、冬に三か月分(月給)でしたので悪くはないかなーと思っていました。

休みは土日祭日なのですが、だれか必ず一人か二人は休日出勤をしないといけないので、月に1、2回は休日出勤がありました。

休日出勤は日給を時間数でわって算出した時給の二割五分増しでしたが、8時半から12時まででしたのでいくらでもなかったです。

残業代は残業すれば出るようでしたが、何せ勤め先が山の上で残業してバスに乗り遅れると次のバスまでやることがないですし、みんな残業せずにさっさと帰っていたので手取りはとても少なかったです。

やる気があれば、社内ベンチャーのような形で研究をしてもいいよと言われたのですが、そこまでの意欲もなかったので…。

この仕事で、働いているときに困ったこと

一年働いたら必ず実験動物飼育管理技術者2級を受けなくてはいけない義務がありました。受かると資格手当があります。

試験の内容は普段使っている実験動物(私は、通常モルモット、ウサギ、マウス、ラットを使っていたので「マウス、ラット」で受験しました。)に関する基礎知識の問題でした。

染色体の数だとか生まれてから成熟するまでにかかる期間などの問題で、覚えれば簡単でした。実技試験もあり、実際に動物を捕まえてやさしくしっかり持つ保定という動作をしたり、投与といって皮膚に注射したり、口に長いストローのような管を差し込んで薬を飲ませたりなどです。普段仕事でやっている事なので難しくなかったですが、誰でも受かるといわれているだけに、落ちたくなかったので緊張しました。

仕事は忙しくないし、人も変わった人が多いですが優しい人が多くて楽な職場でしたが、ふん掃除とか毎日やっているのは、なんとなくずっとこの仕事は嫌だなあと思ったりしていました。普通に動物に噛まれたりするのも嫌でした。あとちょっと変わった仕事なので、人に説明するのが少し面倒くさかった事が嫌でした。

この仕事や職場でよかったこと

職場の先輩や同期も変わった人が多いのですが、優しい人が多くて楽しい職場でした。

給料は、特別に多くもらえることは無いですが、安定してもらえます。また、学歴職歴不問の職場なのでいろいろな仕事をしていた人が多いです。

ただ、動物実験が絶対に必要な製薬会社や大学などでは安心してずっと働けるのですが、化粧品会社の研究所ということで、ある日突然、「実験動物廃止」と言われて、実験動物棟勤務の下請け会社社員は希望退職者を募られてしまいました。

希望退職者は一応退職金が支給されました。それ以外は違う事業所に配属されたのですが、配属先はとても遠方だったりすることもあり、結局その後辞職する人が多かったです。

「実験動物飼育管理技術者」の仕事エピソード

感動したこととまではいかないですが、解剖等それほど学生時代に経験があったわけではないのですが、さすがに毎日マウスの解剖を練習していたら早く解剖の処理が出来るようになったことです。

教えてくれる先輩も全くの初心者に教えることに慣れている方が多くてとても丁寧に教えてくれてうれしかったです。


大変だったことは、毛刈りといって皮膚の実験をするために動物の毛をバリカンで刈る作業をするのですが、モルモットなどは毛が多いので、作業中は全身作業着、マスク着用、ヘアキャップ(使い捨てのシャワーキャップのようなもの)着用で作業しているにも関わらず、毛を吸い込んでしまうようで、いつも鼻炎っぽい症状が出るようになってしまいました。

「実験動物飼育管理技術者」の職場恋愛について

女性が少ない事業所では、もてまくる人もいました。

だいたい変わった人が多いので、独身の方が多く、気が合って職場結婚する方もいるようでした。でも、職場結婚をして、どちらかが転職をすると、他の世界に触れて、この特殊な職場内で知り合ったパートナーが見劣りするのか、離婚してしまっていました。

少し変わった仕事なので、同じ仕事をしている人同士は興味を持つことも似ているので気が合う人同士は結ばれやすいのですが、かっこいい人はいませんでした。

職場の研究所社員の方は一流大学出身のエリートが多いですが、住む世界が違う感じで一緒に仕事をしていてもなかなか付き合うほどにはなる人はいませんでした。

まとめ ー「実験動物飼育管理技術者」を目指す方へメッセージ

実験動物飼育管理技術者の仕事は、特殊な仕事ですが、やってみたいという気持ちさえあれば、学歴不問ですので動物を触ったり出来る人ならば誰でも採用されると思います。

しかし、動物園の飼育員のようなイメージで目指すと、いろいろショックを受けるかと思います。残酷な事もやりますが、基本的には動物に苦痛な思いをさせないように迅速に作業することを心がけて仕事をする独特な感覚に違和感を持たなければ、坦々と仕事をこなすのが好きな人には向いている仕事だと思います。

給料は安いですが、あまり多くの人と関わらない仕事をしたい人にはおススメの仕事だと思います。

本記事は、2018年12月17日時点調査または公開された情報です。
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