法務行政や入国管理を担当する中央官庁「法務省」の基本情報

基本法制や法秩序の維持、国民の権利擁護、争訟の統一的で適正な処理、出入国の公正な管理を図ることを任務とする「法務省」について解説します。

「法務省」は、法治主義の基盤である法秩序を維持・確保し、国民の権利を保全するという重要な役割を担っています。その基本的な情報についてまとめました。


はじめに

「法務省」は、東京都千代田区霞が関にあり、1952年に設置された日本の行政機関です。定員は、5万2,340人で、定員のうち1万1,796人が「検察庁」の職員です。

なお、前身の組織は「法務府」でした。

今回は「法務省」の公務員を目指す方に押さえておいてほしい基本的な情報と役割について解説します。

「法務省」について

「法務省」は、東京都千代田区霞が関に置かれた行政機関で、長は、「法務大臣」です。

また、「法務省」の沿革は、昭和22年(1947年)まで遡ります。

「法務省」の前身は、戦前の「司法省」です。当時は、裁判所の監督など司法行政事務を含む広範な法務・司法に関する事務を担当していました。

しかし、「司法省」は、昭和22年5月3日に発布された新憲法と裁判所法の施行により、「裁判所」と分離し、裁判所関係の事務は最高裁判所の所管に移されました。

その後、「司法省」は、翌年の昭和23年2月15日の法務庁設置法の施行により廃止され、政府の最高法律顧問府として法務全般をつかさどる新しい官庁として「法務庁」が新たに発足しました。

これにより、「法務庁」は、従来の司法省所管の事務のほか、新たに従前の内閣法制局の事務とされていた法令案及び条約等の審議事務、司法制度・内外の法制などの調査研究に関する事務のほか民事・行政に関する争訟に関する事務や、人権擁護に関する事務などを担当することになりました。

さらに、「法務庁」は、昭和24年6月1日の行政機構改革により「法務府」と改称され、内部部局がそれまでの5長官16局制から3長官11局制に簡素化され、昭和27年8月1日の行政機構改革によって「法務省」と改称され、大幅な機構の整理が行われました。

具体的には、総裁・長官制は廃止され、他省の長と同様に「法務省」の長は法務大臣とされ、その下に事務次官が置かれました。また、大臣官房のほか、民事局、刑事局、矯正局、保護局、訟務局、人権擁護局および入国管理局の7局制となりました。


このような変遷を経た後、「法務省」では、平成13年1月6日から中央省庁等の再編により、訟務局や6つの課の廃止や審議会の整理統合などの組織改編が行われ、大臣官房のほか民事局、刑事局、矯正局、保護局、人権擁護局、入国管理局の6局制となりました。

なお、平成27年4月10日以降に、「法務省」は、大臣官房のほか、民事局、刑事局、矯正局、保護局、人権擁護局、訟務局および入国管理局の7局制となりました。

「法務省」の役割について

「法務省」の役割は、法治主義の基盤である法秩序を維持・確保し、国民の権利を保全することです。

そのため、「法務省」の行政は、司法・法務に関する法令の立案、検察、犯罪者の矯正や更生保護、人権の擁護、出入国管理、国籍・戸籍・各種の登記や供託など広範囲に及んでいます。

このような「法務省」の主な業務は、司法制度改革の成果の定着、再犯防止施策、犯罪被害者等の支援、適正な出入国管理の実施、刑事収容施設法の円滑な実施等、人権擁護施策の推進、基本法制の維持および整備、破壊的団体等の規制に関する調査などです。

「法務省」の組織構成について

「法務省」の組織構成は、「幹部」である「法務大臣」「大臣政務官」「副大臣」「事務次官」と、「内部部局」である「大臣官房」「民事局」「矯正局」「保護局」「人権擁護局」「訟務局」「入国管理局」によって成り立っています。

「幹部」「内部部局」のほかに、「審議会等(司法試験委員会、検察官適格審査会など)」「施設等機関(刑務所、拘置所など)」「特別の機関(最高検察庁、高等検察庁など)」「地方支分部局」「外局(公安審査委員会、公安調査庁)」「その他会議(法曹養成制度改革連絡協議会、外国弁護士制度研究会など)」があります。

また、「法務省」では多岐にわたる任務を遂行するため、裁判所の業務が最高裁判所に移されて以降、大臣官房と7局からなる内部部局のほかに公安調査庁などの外局、検察庁や法務局などの諸機関が設置され、約5万3,000人の職員を擁する組織が構成されています。

このような「法務省」の組織の中で、「大臣官房」は、主に法務行政が円滑に運営されるよう各部局間を総合調整する事務を行っています。「大臣官房」は、他府省と同様に、人事・会計・福利厚生、各部局間の総合調整事務などのほかに「法務省」の特徴的な業務を行っています。

具体的には、「法務省」では、司法試験の管理、検察官適格の審査、司法制度に関する企画・立案、法令・判例や法務に関する資料の収集・整備・編さん・刊行、法制審議会の運営、法務図書館・法務史料展示室・メッセージギャラリーの運営、法務統計、総合法律支援、法教育に関する事務、弁護士資格認定に関する事務、外国法事務弁護士に関する事務、債権管理回収業の許可・監督、民間紛争解決手続の業務の認証に関する事務などの業務が行われています。

「法務省」の年間予算は、約7,879億円

「法務省」の30年度の予算は、約7,879億円でした。その主な内訳は、大きく以下の11の項目に分かれて編成されています。

1)出入国審査体制の整備および不法滞在対策等の費用
2)治安・テロ対策の強化費用
3)再犯防止のための施設内処遇および社会内処遇の充実強化費用
4)矯正施設の環境整備等の費用
5)創造冬季の促進および地図整備体制の強化費用
6)コングレス2020年開催に向けた事前準備費用
7)予防司法機能の強化および法教育の推進費用
8)法制度整備支援によるビジネス環境整備費用
9)検察活動の充実強化費用
10)共生社会の実現に向けた人権擁護施策の推進費用
11)総合法律支援の充実強化費用

内訳についてはこちらの予算概算要求をご参考ください。
http://www.moj.go.jp/content/001234749.pdf

まとめ

いかがでしたか?

裁判所の業務が最高裁判所に移されて以降、法治主義の基盤である法秩序を維持・確保してきた「法務省」についてご紹介させていただきました。


「法務省」は、国民の権利を保全するとともに、国の利害に関係のある争訟の統一的で適正な処理や、出入国の公正な管理を行うなどの重要な役割を担う省庁です。

ちなみに、「法務省」の英語名称は「Ministry of Justice」で、略称は、「MOJ」です。

「法務省」のウェブサイトのURL

www.moj.go.jp/

本記事は、2018年11月23日時点調査または公開された情報です。
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