日本に比して医療費が高いオーストラリアの医療事情について

オーストラリアの医療費は日本に比べるとびっくりするほど高いです。

本ページでは、オーストラリアの国民保険・民間保険、オーストラリアの病院の在り方、歯医者、様々な医療機関、オーストラリアの麻酔事情について解説します。


メディケア・プライベート保険

オーストラリア国民にはメディケアといって、いわゆる国民保険カードが発行されます。オーストラリアのメディケアでは約75%の医療費をカバーされるようです。残念ながら、日本と違い救急車、歯医者、眼科、エイズ治療、私立病院でかかった全ての費用、鍼灸、カイロプロテクターはカバーされません。

多くのオーストラリア国民は自費で民間保険にも入っています。この民間保険は入院代だけではなく、救急車、歯医者、眼科などの費用をカバーするためです。

また、ビクトリア州では年会費$60で救急車が無料になるメンバーカードがあり、民間の保険に加入していない人に対して加入の促進が頻繁にされています。

オーストラリアを訪問する外国人(学生、ワーキングホリデー、ワークビザ)は全員決まった規定を満たしている保険に加入するのが必須条件となっています。

病院へ行く

オーストラリアで体の不調が出た場合、まずGP( General Practitioner )という病院に行きます。そこでどのような状態か診察をしてもらいます。多くのGPでは料金は時間制です。例えば、15-20分以内だと$75、それ以上だと$120という感じです。

GPで対処できない時や、明らかに専門的な医者からのアドバイスが必要な際にGPからレファレンスレターを書いてもらい、どこのスペシャリストへ行けばいいのかを教えてもらいます。

もし、自分の病態を把握しているからといってもスペシャリスト(専門医)の元へはGPのレファレンスレター無しには行くことはできません。

さらにGPでは血液検査、尿検査、レントゲンはありません。これらの検査が必要な場合は、GP指定の近所の臨床技師のクリニックや臨床技師がいてる薬局などへ行く必要があります。

歯医者へ行く

オーストラリアの歯医者は割高なためか、治療のために何度も通うということを聞いたことがありません。

オーストラリアの歯医者では、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手さんたちが働いています。

オーストラリアの歯科衛生士さんはオーラルヘルスセラピストと呼ばれています。オーラルセラピストさんたちは大学を卒業されています。さらに、日本との大きな違いは幼児歯科を専門とされています。しかし、子供だけではなく大人の患者さんへも対応されています。


オーラルセラピストさんはクリーニングや患者さんへのアドバイスだけではなく、レントゲン、部分麻酔などされています。日本の歯科衛生士さんと歯医者さんの間という感じです。

日本の歯科衛生士さんと同じ仕事をこなしていらっしゃるのは歯科助手さんたちです。

オーストラリアの歯医者では金歯・銀歯はまずあり得ません。今日本でも当たり前になっているセラミッククラウンが以前から主流です。

また、歯のホワイトニングが日本より盛んです。そのために歯医者へ通う人は日本に比べると多いようです。

また、歯への医療費はオーストラリア人にとっても高額なため、多くのオーストラリア人たちがタイなどの外国へ行っているようです。私の知り合いの人たちはインプラントをオーストラリア国内でした人まずいません。オーストラリア人以外の知り合いの人たちはできるだけ祖国へ帰国した際に治療しています。

治療費が高価なためか、どこの歯医者さんも待合室にはお茶やコーヒーなどがセルフサービスで置いてあり、サービスが良い印象があります。

おおよその費用

オーストラリアの医療費は日本に比べると割高です。

例えば、GPは地域差がありますが、$55~$120。スペシャリストとのコンサルタントは$120~$170。尿検査、血液検査などは$35~。麻酔$550~。歯医者は非常に高く診察代$50~150。歯のクリーニングなどをすると$400以上になります。また、歯医者で虫歯の詰め合わせをすると$4000以上はします。マウスピース$600~で、日本とは違いどの保険も効きません。救急車は州にもよりますが約$1000くらいで、病院からの距離が遠いとさらに費用が上がります。

費用も個々に支払うというスタンスです。例えば、手術をする場合、病院への支払い、麻酔医師への支払い、手術医師への支払いを個々に支払います。日本のように病院で手術後にまとめて支払うということにはなりません。

オーストラリアでは保険会社を通して支払う方法が当たり前となっています。最初に、保険会社のカードをまず渡します。このカードを支払いの機械に通すと自動的に差額金だけを請求されるようになっています。このシステムはどこの病院でも適用されます。

病院の種類

オーストラリアには私立と公立の病院(GP&スペシャリスト)があります。

メディケアを保持していると公立の病院では無料で診察をしてもらえますが、診察を受けるのにかなり時間を要します。数日待つ必要がある場合もあるそうです。

普通に働いているオーストラリア人の方達は、普段私立の病院へ行きます。私立の病院は公立の病院よりも綺麗で、待ち時間も予約制の為少ないです。

近年オーストラリアでは、ナチュロパシー(自然治療)が流行ってきていて、鍼灸師やリメディアルマッサージ(あん摩)、アロマセラピーも増えてきているようです。

フィジオセラピー、カイロプロテクター、オステオパシー、ポディアトリー(脚治療師)、なども立派な医療として認識されています。特にポディアトリーは日本では見かけたことがないのですが、こちらでは大学で6年間の勉強を必要とするのでお医者さんたちと変わらない医療の先生です。


エイズなど性病の治療費はメディケアでは適用されていませんが、オーストラリアには無料の性病が各州に最低一つはあります。ここでは、オーストラリア人だけでなく外国人も匿名で性病検査・診察をしてもらえ、特定の薬なども無料で処方してもらえます。

麻酔

日本で全身麻酔をする際は家族の承諾書へのサインが必要なのですが、こちらではその必要がありません。

オーストラリアではよっぽどの重病でない限り、全身麻酔をしても入院をすることはありません。麻酔から目覚めると服を着替えて皆さん家に帰って行きます。

実際に病院で働いている人から聞いたのですが、これには理由があるそうです。西洋人は基本的に麻酔の薬に強い身体をしているとのことです。というのも、アルコホールの分解力が強いと麻酔薬への対応も強いそうのだそうです。しかし、オーストラリアでは人種に関係なくその人の身長や体重を基準に麻酔を投入する為、多くのアジア系の患者さんは麻酔後、大変つらそうらしいのですが、西洋人の患者さんは手術後も平然とした顔をしているらしいです。

まとめ

オーストラリアの医療費は日本に比べるとびっくりするほど高いです。メディケアを利用しても日本の国民保険の方がカバーされている範囲が広いので日本に比べるとやはり割高です。特に、歯医者がカバーされていないのが非常に残念です。それに、救急車が有料なのも初めは驚きました。

また、オーストラリアの医療機関に連帯感がなく、検査や支払いに時間がかかったり、二度手間じゃないの?と思うことがいつもあります。

オーストラリアの医療現場でも医療の機械化が進んでいます。GP以外の病院では人が日本の総合病院のように溢れていることはなく病院自体が落ち着いているように感じます。しかし、個人的には日本の医療現場(歯医者以外)の方が進んでいるような気がします。

本記事は、2019年1月27日時点調査または公開された情報です。
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