中央官庁「総務省」の組織構成と各部門の役割について

中央官庁「総務省」についての詳細を解説します。

「総務省」は、行政の要として国と地方を支え、国印生活の基盤に関わる行政事務を担う行政機関です。ここでは、基本情報の続編として、「総務省」の各部署の業務内容を中心に詳細情報をまとめました。


はじめに 「総務省」の組織体制について

先の中央官庁「総務省」の基本情報では、その役割や組織構成、予算などの情報をまとめました。「総務省」の基本情報は、下記の通りです。

「総務省」は、東京都千代田区霞が関にあり、2001年に設置、定員は、5,245人です。年間予算(平成30年度)は、約16兆2,836億円です。

今回は、国家公務員総合職や一般職の方がどの官庁へ就職するかの判断材料になるための詳細情報をまとめました。

それでは、今回は基本情報に続いて、詳しい組織体制について解説します。

「総務省」の基本情報

「総務省」の組織概要

「総務省」の組織は、「総務大臣」を長とし、「幹部」組織と12の「内部部局」を中心に構成されています。加えて、2つの「外局」とその他の機関などがあります。

なお「外局」には「公害等調整委員会」「消防庁」の2つがあり、その他には、3つの「施設等機関(自治大学校等)」、3つの「特別機関(中央選挙管理会等)」、14の「審議会等(恩給審査会等)」があります。

「総務省」の組織分析

「総務省」の主な業務は、「行政の基本的制度」の管理・運営や「内政の基本的制度」の企画・立案、「郵政サービス」の確保などです。

総務省は、行政運営の改善、地方行財政、選挙、消防防災、情報通信、郵政行政など、国家の基本的仕組みに関わる諸制度、国民の経済・社会活動を支える基本的システムを所管し、国民生活の基盤に関わる行政機能を担う省です。

出典
総務省の紹介

「総務省」の上部組織・下部組織について

上部組織はありません。下部組織には、「外局」の「消防庁」や「公害等調整委員会」があります。

12の「内部部局」について

「内部部局」について説明します。

まず、12の「内部部局」の内訳は、下記の通りです。


1)「大臣官房」
2)「行政管理局」
3)「行政評価局」
4)「自治行政局」
5)「自治財政局」
6)「自治税務局」
7)「情報通信国際戦略局」
8)「情報流通行政局」
9)「総合通信基盤局」
10)「統計局」
11)「政策統括官(統計基準担当)」
12)「政策統括官(恩給担当)」

「大臣官房」とその業務について

「総務省」の「内部部局」の1つである「大臣官房」の主な業務は、総務省の政策の企画・立案過程や、法令案の作成過程等において省の進むべき方向を明らかにすることです。

このように省の舵取り役である「大臣官房」は、「総務省」の所掌事務が円滑に運営されるよう各部局間の総合調整に関する事務を行う部局です。

なお、「大臣官房」は、「官房長」、3人の「官房総括審議官」、1人の「官房政策評価審議官」、1人の「官房サイバーセキュリティ・情報化審議官」、1人の「官房地域力創造審議官」、13人の「官房審議官」、9人の「官房参事官」、2人の「官房企画官」と5つの課、1つの室職で構成されています。

1)秘書課 職員の人事や訓練に関することや、総務省の公印に関する業務などを担当しています。
2)総務課 勝善岱の総合調整や公文書類の接受・発送・審査などを行っています。
3)会計課 予算・決算・会計などを担当しています。
4)企画課 総務省の政策の企画や立案に関する総合調整などを担当しています。
5)政策評価広報課 総務省の政策評価の実施などを行っています。
6)管理室 公益信託の監督に関する関係行政機関の事務の調整に関する事務などを担当しています。

「行政管理局」とその業務について

「総務省」の「内部部局」の1つである「行政管理局」の主な業務は、行政機関や行政サービスを効率的にし、国民からの信頼性を高めるための取組を行うことなどです。

このため、「行政管理局」では、電子政府の推進、独立行政法人の見直し、独立行政法人評価等も行われており、さらに、行政機関における個人情報保護・情報公開などの行政サービスの公正・透明性確保のために法律の適正な運用も行われています。

「行政評価局」とその業務について

「総務省」の「内部部局」の1つである「行政評価局」の主な業務は、国民に信頼される質の高い行政を実現するために行われており、大きく分けて3つあります。

一つ目は、政策評価、二つ目は、行政評価局調査、そして三つ目は、行政相談に関する業務です。

このような「行政評価局」では、行政評価機能の具体的強化策を「行政評価等プログラム」に定め、政府内でレビュー機能を担う他の機関と連携しながら総務省として内閣を支援する機能の強化に向けた取組みが進められています。

「自治行政局」とその業務について

「総務省」の「内部部局」の1つである「自治行政局」の主な業務は、地方公共団体の円滑な行政運営を支援するために行われており、大きく分けて9つあります。

1)地方分権の推進
2)地方自治制度の企画・立案
3)地方行政体制の整備
4)基礎自治体の行財政基盤の強化
5)住民基本台帳ネットワークシステムの構築
6)活力ある地域づくり
7)電子自治体の推進
8)地域レベルの国際化
9)地方公務員制度の整備・充実

また、「自治行政局」では、国民が政治に参加できるよう、最も重要なシステムである選挙制度について公明で適正な制度の確立を目指した企画・立案等が行われています。

「自治財政局」とその業務について

「総務省」の「内部部局」の1つである「自治財政局」の主な業務は、地方公共団体が住民の多様なニーズがある福祉・学校教育・消防・社会基盤の整備などの生活の基盤となる行政サービスを安定的に提供できるようにすることです。

また、「自治財政局」では、自主性・主体性を発揮して地域課題に取り組むことができるよう、地方財政計画の策定を通じた地方財源の保障・調整や、地方財政マネジメントの強化の促進などにも取り組んでいます。


「自治税務局」とその業務について

「総務省」の「内部部局」の1つである「自治税務局」の主な業務は、地方税の充実・確保による地方分権の推進や、日本の社会経済の変化に対応した地方税制改正の企画・立案などです。

日常生活に身近な教育・福祉・消防・救急・ゴミ処理などの行政サービスの多くは、市区町村や都道府県によって提供されており、「地方税」は、これらのサービスを提供する上での重要な原資であり、地域社会の会費とも言えます。

このことから、「自治税務局」では、この地方税の枠組みを定める地方税法を所管しています。

「情報通信国際戦略局」とその業務について

「総務省」の「内部部局」の1つである「情報通信国際戦略局」の主な業務は、グローバルな視点から、ICT分野における戦略的な研究開発や標準化活動、海外展開活動などを国際競争力強化の流れの中で一体的に推進することです。

さらに、「情報通信国際戦略局」では、ICT分野だけでなく、総務省が幅広い分野で取り組んでいる海外展開の取組をオール総務省として総合的・戦略的に推進しています。

ちなみに、「ICT」とは「Information & Communications Technology」の略称で、パーソナルコンピュータだけでなく、スマートフォンやスマートスピーカーなど様々な形状のコンピュータを使った情報処理や通信技術の総称です。

この「ICT」と似ている言葉に「IT(情報技術)」があり、「ICT」は、「IT」にコミュニケーションの要素を含めたものです。

この「ICT」と「IT」の2つは、ほぼ同じ意味ですが、国際的には「IT」よりも「ICT」の語の方が普及しています。

「情報流通行政局」とその業務について

「総務省」の「内部部局」の1つである「情報流通行政局」の主な業務は、ICT総合戦略の企画・立案、ICTの利活用政策の実施、放送政策の展開、サイバーセキュリティの推進です。

また、「情報流通行政局」では、郵政民営化に関する施策を着実に実施し、郵政事業の適正で確実な実施を確保出来るよう様々な取組が行われています。

「総合通信基盤局」とその業務について

「総務局」の「内部部局」の1つである「総合通信基盤局」の主な業務は、電気通信事業の公正な競争の促進や安心・安全なICT利用環境の整備、地域のICT基盤の整備や電波の有効利用の推進、電波の利用環境の整備などです。

最近の情報通信分野では、ネットワークのIP(インターネットプロトコル)化・ブロードバンド化・モバイル化など、ネットワークやサービスの急速な構造変化が進行中で大きな転換期を迎えています。

このため、「総合通信基盤局」では、今後に必要な制度整備やガイドラインの策定などについての具体策が早急に進められています。

「統計局」とその業務について

「総務省」の「内部部局」の1つである「統計局」の主な業務は、大きく2つあります。

1つ目は、社会経済の変化に的確に対応するため、国勢調査を始めとする国の重要な統計調査の企画・立案および実施を行うことです。

2つ目は、総務省政策統括官(統計基準担当)と連携を図りながら、社会に役立つ正確な統計を作成・提供することです。

「統計」は、現在の経済社会を反映し、その進むべき方向を指し示す重要な情報であると考え、「国家」の政策判断や国民・企業等の意思決定に不可欠な「社会の情報基盤としての統計」の整備と提供を推進しています。

「政策統括官(統計基準担当)」とその業務について

「総務省」の「内部部局」の1つである「総務省政策統括官(統計基準担当)」の主な業務は、総務省統計局などの各行政機関と連携し、「分散型統計機構」の日本全体の統計を整備する計画の企画・立案や、統計調査の重複などを排除することです。

ちなみに、「分散型統計機構」とは、日本で採用されている仕組みで、国の行政機関がそれぞれ所管する行政分野に関する統計を作成することです。


ただし、この「分散型統計機構」には、例えば、下記のような問題点もあります。

1)行政機関ごとに業務が分かれるため、必要な統計が作成されない
2)統計調査が重複し、国民・企業等に過大な負担をかける

このため、政策統括官(統計基準担当)では、政府横断的に統計を調整するため、下記の8つの業務が行われています。

1)統計関係法令の制定・改廃
2)社会経済の変化に対応した統計の整備・推進
3)統計・統計制度に関する基本的事項の企画・立案
4)各府省等が行う統計調査に係る審査・承認・調整
5)日本標準産業分類などの統計基準の設定
6)産業連関表作成の推進・調整
7)国際統計事務の統括と国連アジア太平洋統計研修所(SIAP)への協力
8)統計知識の普及・宣伝

なお、7)の「国連アジア太平洋統計研究所」とは、加盟国の政府職員に統計の研修を実施する国際連合の設置するアジア太平洋経済社会委員会の組織のことです。

政策統括官(恩給担当)とその業務について

「総務省」の「内部部局」の1つである「総務省政策統括官(恩給担当)」の主な業務は、恩給制度の企画・立案・裁定および支給などです。

この「恩給制度」は、旧軍人等やが公務で死亡した場合や公務を退職した場合に、国家に身体・生命を捧げた人とその遺族に給付される最も古い年金制度で、現在も約32万人の旧軍人やその遺族の生活がこの恩給よって支えられています。

「外局」について

「総務省」の「外局」には、「公害等調整委員会」と「消防庁」が置かれています。

「公害等調整委員会」の業務について

「総務省」の「外局」である「公害等調整委員会」は、1972年に設置されました。

この「公害等調整委員会」の主な業務は、大きくわけて2つあります。

1)調停や裁定などによって公害紛争の迅速・適正な解決を図ること(公害紛争処理制度)
2)鉱業、採石業又は砂利採取業と一般公益等との調整を図ること(土地利用調整制度)

「消防庁」の業務について

「総務省」の「外局」である「消防庁」は、1960年に設置されました。

この「消防庁」の主な業務は、国民の一人ひとりが消防防災を強く意識し、災害に決して揺るぐことのない社会の構築に貢献することです。

さらに、「消防庁」は、常に人命優先の立場から、火災・地震・風水害など各種災害による死傷者の発生を最小限にとどめるための取組を行っています。

まとめ

いかがでしたか?

「総務省」は、組織を細分化し、国家の基本的な仕組みに関わる諸制度や基本システムの管理やの国民生活の基盤となる行政事務に関する業務を効率的に行っています。

「総務省」のウェブサイトのURL

http://www.soumu.go.jp/index.html

本記事は、2019年2月9日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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