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【目指せ!外交官】文化遺産と情熱の国「スペイン」の基本知識(2019年2月調査情報)

世界の各国特集、今回ご紹介する「スペイン」は、人口約4,700万人、GDPランキング14位の国です。

「スペイン」は古代遺跡や闘牛、フラメンコなどで知られ、空の青さと情熱の国として有名です。

外交官になるなら押さえておきたい国の基本知識特集です。


「スペイン」ってどんな国?

「スペイン」の日本語の正式表記は「スペイン王国」で、通称は「スペイン」です。漢字による当て字では「西班牙」と表記し、「西」と略されることもあります。

正式国名の定めがなく、スペイン語の名称は「Espana(エスパーニャ)日本語:スペイン」「Reino de Espana(レイノ・デ・エスパーニャ)日本語:スペイン王国 」、「Estado espanol(エスタード・エスパニョール)日本語:スペイン国」の3つが使われています。

公式の英語表記は「Kingdom of Spain(キング オブ スペイン)」で、日本語の「スペイン」の由来は、英語からきています。

面積・場所について

「スペイン」の国土の広さは、約50万平方キロメートルで、日本領土の約1.3倍の大きさで、ヨーロッパの中で第4位です。

「スペイン」は、南ヨーロッパのイベリア半島の大半が国土で、高原や山地に覆われています。イベリア半島は、南部と東部は地中海に面し、北と西は大西洋に面しています。そして、西が「ポルトガル」、南東が「イギリス領ジブラルタル」、北東が「フランス」と「アンドラ」と国境を接していて、南はジブラルタル海峡を挟んでアフリカ大陸と向かい合っています。

「スペイン」は南国といわれることがありますが、実は北日本と同じ緯度にあります。そして、「スペイン」の南端は千葉県銚子市と、北端は北海道旭川市とほぼ同じ緯度です。

都市について

「スペイン」の首都「マドリード(Madrid)」は、経済、政治の中心で第1の都市です。人口は約320万人で、最も人口が多い都市です。また、鉄道も道路も空路も、スペイン交通の起点となっているため、観光の起点の都市にもなっています。

第2の都市「バルセロナ(Barcelona)」は、スペイン最大の貿易港を持ち、商業や工業の中心都市です。人口は約160万人で、マドリードに次いで人口が多い都市です。かつて10世紀ころからバルセロナ伯の独立国でしたが、1479年にスペイン王国が生まれ、組み込まれました。

そして、バルセロナの人々はマドリードとの対抗意識が強く、経済や産業の分野でも発展をきそっていて、特にサッカーの地元クラブの対戦に関しては、盛り上がりをみせます。

人口について

「スペイン」の人口は、約4,700万人(2018年)で、日本の人口の約3分の1です。そして、近年は移民受け入れ大国となっていて、外国人人口は全人口の10%を超え、500万人以上に増えており、社会問題になっています。

成り立ちについて

「スペイン」があるイベリア半島には、紀元前1100年頃フェニキア人とギリシャ人、ケルト人が、紀元前3世紀にはローマ人が侵入してきました。そこから、約600年間ローマ帝国はヒスパニアとよび属州として支配し、この時代にキリスト教も伝わりました。


しかし、ローマ帝国の勢力も弱まると、5世紀はじめに北方ゲルマン民族系の西ゴート族が侵入し王国を作ります。しかし、711年にイスラム軍にとって代わり、イスラム教徒が支配者でしたが、キリスト教徒にも条件をつけ信仰の自由を認めたため、宗教による争いはおこりませんでした。

そのため、イスラムの世界は技術、文化、経済にいたるまで当時の最先端をいき、約780年間も続いたため、今でも「スペイン」にはイスラムの文化が色濃く残されています。

しかし、1031年イスラムの後ウマイヤ朝が滅び、数十のイスラム小国に分裂すると、イベリア半島北部にのキリスト教国が国土回復の長い戦いを始めました。13世紀前半にはイスラム勢力の中心コルドバをおとしいれ、13世紀後半にはグライダだけがイスラム教徒の王国となります。

そして1479年カスティリャとアラゴン両王国が共同統治をはじめ、事実上のスペイン王国が誕生し、1492年イスラム教王国最後のグラナダが滅び、国土回復の戦争が終了、そして同じ年にコロンブスが新大陸を発見し大航海時代の幕があけました。

「スペイン」は新大陸アメリカを植民地とし、銀鉱山で途方もない財産を得ました。これにものをいわせ、1519年カルロス1世がローマ帝国の皇帝に選出され、ヨーロッパをすべてカトリック教の国にしようとし、巨大な帝国を築きました。

しかし、続くフェリペ2世は戦争に植民地からの資金をつぎ込みました。そして、無敵艦隊と呼ばれていたスペイン海軍が、1588年にイギリス海軍に敗北、また属国であったポルトガルが反乱し独立を勝ち取り、「スペイン」の国力は急激に衰えていきました。

そして、カルロス2世が1700年に亡くなると、ヨーロッパの国々と王位継承戦争となり、十数年間戦乱の時代になります。1789年には隣のフランスで革命が起き、ナポレオンに執拗に攻撃されました。しかし、1808年からのマドリード市民がナポレオンの圧政に立ち向かった独立戦争に勝利します。

その後、王制そして共和制、また王制と目まぐるしく体制が変わり国力は衰える一方、1898年にはアメリカとの戦争に敗北し、キューバやプエルトリコ、フィリピンなどの植民地を失います。1931年には第二スペイン共和国が誕生しますが、1936年スペイン内戦が始まり3年間続きますが、1939年には一党独裁のファシストのフランコが勝利し、それから36年間独裁政権が続きました。

しかし、1975年フランコの死去により、国王にファン・カルロス1世が即位し、1978年に新憲法が国民に投票で承認され、現在の立憲君主制となりました。

「スペイン」の国民・宗教・言語について

国民について

「スペイン」は先住民イベロ人やバスク人、北ヨーロッパのケルト人、地中海を渡ってきたギリシャ人やフェニキア人、ローマ人、ゲルマン系のゴート人、イスラム教徒のアラブ人、そしてゲルマン系のフランク人などが移り住み、入り混じっていきました。そして、ユダヤ人やロマ(ジプシー)も加わり、さまざまな民族が暮らしてきました。

そして、スペイン人はラテン系民族が多数を占めています。

宗教について

「スペイン」の宗教は、信仰の自由が憲法で認められていますが、人口の約70%がキリスト教カトリックで、約25%は無宗教です。

言語について

「スペイン」の公用語は「カスティーリャ語(castellano)」または「スペイン語(espanol)」です。この他にそれぞれの自治州によりバスク語、カタルーニャ語、バレンシア語、バスク語、ガリシア語、アラン語が地方公用語になっています。そして、アストゥリアス語とアラゴン語もそれぞれの地域の固有言語として認められています。また、バスク語以外は全てラテン語(俗ラテン語)に由来する言語です。

「スペイン」の経済状況について

「スペイン」のGDPは約1兆3,000憶ドル(2017年)、日本円にすると約140兆円で、世界第14位です。同年の一人当たりのGDPは約28,000ドルで、世界で30位です。

「スペイン」主な産業は、自動車や建設業、食料品、化学品、そして観光業です。農業ではEUの主要農業国となっていて、農業面積は国土面積の50%以上になります。そして、オリーブの生産量が世界一で柑橘系の生産も多いことで有名です。


ギリシャから始まった「欧州ソブリン危機」にも大きな影響うけましたが、その後回復しているものの、失業率も2017年では、まだ約17%、そのうち若年層の比率が50%を超えていて、社会問題になっています。

貿易について

「スペイン」は、輸出入ともに最大の貿易相手国は「フランス」と「ドイツ」と「イタリア」です。その他の主要輸出相手国は、「ポルトガル、イギリス、アメリカ」で、その他の主要輸入相手国は「中国、アメリカ、オランダ」です。

「スペイン」の主な輸出品目は、自動車とその部品、石油製品、医薬品、オリーブ油、豚肉などです。そして、主な輸入品目は、石油・ガス、自動車とその部品、医薬品、通信機器や電子機器などです。

「スペイン」の総貿易額は、輸出が約3,100憶ドル、輸入が約3,400億ドル(2017年)です。

「スペイン」の政治・政策について

政治体制について

「スペイン」は議会君主制で、元首は国王です。1975年のフアン・カルロス1世の即位により王政復古により成立しています。

「スペイン」の議会は二院制で、現議席数は上院が266席、下院が350席です。両院ともに議員の任期4年です。

「スペイン」全土の行政区分は、17の自治州 (comunidad autonoma) から構成され、また、この自治州の下に、50の県 (provincia) が存在します。

選挙制度について

「スペイン」の選挙権年齢および被選挙権年齢は、ともに18歳以上の市民です。選挙制度について、下院では県単位の比例代表制で、350名が選出されます。そして、上院では、議員定数264議席のうち、直接選挙にて208名が選出され、各自治州議会の議員の中から間接選挙にて56名が任命されます。

「スペイン」の大統領・首相について

「スペイン」の元首は国王で、国家の統一と永続の象徴と法律で定められています。

「スペイン」における行政府の長は「首相」で、議会により推薦され、国王から指名されます。閣僚は、首相が推薦し国王が任命します。

「スペイン」の国防制度・軍事制度・兵役について

「スペイン」の軍隊は、「陸軍」「海軍」「空軍」の3軍のほかに、国家憲兵である「グアルディア・シビル」と国王親衛隊である「グアルディア・レアル」などから構成されています。

「スペイン」は2001年に徴兵制が廃止され、志願制に変更されました。兵力は、陸軍が約8万人、海軍が約2万人、空軍が約2万人で、予備役は約32万人です。

そして、国防予算は約87憶ドル(2017年)です。「スペイン」の軍事費の対GDP比は日本と同等の約0.9%で低率な方ですが、先進国と同等な最新鋭の兵器を所持しています。また、米西防衛協定により、国内の2基地を米軍と共用しており、米軍が駐留しています。

「スペイン」と日本の関係について

「スペイン」と日本の歴史は、1549年のフランシスコ・ザビエル到来から始まり、その後江戸幕府が、キリスト教国(スペインとポルトガル)の人の来航を禁止した鎖国を経て、1868年に修好通商航海条約で外交関係が開設され、その後良好な関係が続いています。

日本から「スペイン」への輸出額(2017年)は約3,300億円で、主要貿易品目は、輸送用機器、一般機械、電気機器などです。

また、「スペイン」からの日本の輸入額(2017年)は約3,800億円で、主要貿易品目は、化学製品や医薬品、肉類および同調整品、輸送用機器などです。

そして、「スペイン」にいる日本人の数は「約8,200人」で、日本にいるスペイン人の数は「約3,000人」です(2017年)。さらに、約370社の日本企業が「スペイン」に進出していますが、日本に進出している「スペイン」の企業は、約40社です。

まとめ

いかかでしたか?

「スペイン」は、フラメンコや闘牛、サッカーなど魅力あふれる国ですが、古くからさまざまな民族と文化が入り混じり、地方や町ごとに多彩な個性をもっています。とくにイスラムの影響が大きく、建築や芸術など豊かな文化遺産がたくさんあり、観光地としても有名です。


ちなみに、「スペイン」は世界一「健康的な国」と言われています。国内のヘルスケア・システムは、世界でもトップレベルとされていて、GDPの約10%をヘルスケアに投じています。また、加工食品と肉をあまり使わず、魚や野菜が中心で、オリーブオイル、ナッツ、全粒穀物などを多く取る地中海料理が、平均寿命が延びている要因の一つとされています。

なお、男子サッカーの「スペイン」のFIFAランキングは、2019年1月では「9位」です。

本記事は、2019年3月18日時点調査または公開された情報です。
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