【県庁職員に聞きました!】行政職員の仕事でやりがいに思ったこと

どんな仕事にも、「やりがい」があります。その「やりがい」があるから、仕事に対するモチベーションを保ち、落ち込んだ時にも、また仕事を頑張ることができるのではないでしょうか。

本記事では、県庁職員のAさんに、仕事で感じたやりがいをコラムにして書いてもらいました。


はじめに

今回は、新卒である地方の県庁職員(行政職)となり、約6年間の勤務を経て現在は民間企業で働いているAさんに、「都道府県庁における行政職員の仕事でやりがいに思ったこと」についてインタビューした内容を編集してご紹介します。

県庁の行政職員を目指した理由は何か?

Aさんは次の3つの理由から某県庁の職員になることを目指しました。

県庁職員を目指した理由その1:地元であること

Aさんは大学時代こそ東京で過ごしましたが、就職にあたっては生まれ育った地域であり、両親・家族が暮らす地元で働くことが好ましいと考え、地元地域・Uターンでの就職を検討しました。その点において都道府県職員は、まさに就職先候補の筆頭でした。

県庁職員を目指した理由その2:幅広い仕事経験を通じて自己成長できると考えたこと

地元には公務員の仕事のみならず、優良とされる複数の民間企業がありましたが、行政の仕事では産業支援や住民福祉、観光、防災など様々な分野の業務に携われるチャンスがあることに興味を持ちました。

また、県庁は市町村以上に大きな組織で、包含するエリアも広いことから、より大きな仕事ができることを期待しました。そして、これら幅広く大きな仕事の経験を通じて、自分の知識や視野を広げられるのではないかと考え、そのことに魅力を感じました。

県庁職員を目指した理由その3:社会貢献ができると考えたこと

言うまでもなく公務員の仕事は公共に関わるものであるため、どのような業務であっても社会の役に立つ仕事だと考えました。つまり、上記で触れたような幅広い仕事経験を通じて自分を成長させることが、ひいては社会、とりわけ地元に貢献できることにつながると思い、そこに大きなやりがいがあると考えました。

県庁に、実際に入庁してみてどうだったか?

Aさんは、約6年間の勤務経験でありましたが、結論として県庁職員を目指した理由である上記1,2,3は、概ね満たすことができたように感じています。具体的には以下のとおりです。

1 「地元であること」に対して

地元県内への就職でしたので、見知らぬ土地で就職する方と比べると、勤務地に関する不安はあまりありませんでした。同じ職場に中学・高校の同級生や先輩・後輩がいることも珍しくなく、そういった人脈から知人の輪が広がるという利点もありました。

また、筆者自身は1年間東京への転勤を経験したものの、職場となる県の各庁舎は基本的に県内にありますので、庁舎によって自宅からの通勤の利便性の良し悪しはあれども、想像しないような遠方への転勤はなく、長く勤める上では安心して働きやすい職場であったように考えます。

2 「幅広い仕事経験を通じて自己成長できると考えたこと」に対して

Aさんは約6年間の中で土木、総務、危機管理の3つの分野で仕事をしました。特に土木と危機管理は学生時代に学んだことのない分野でしたので、Aさんが期待した「自分の知識・視野を広げたい」という観点からは良い経験になったように感じています。

土木の分野では、県として行う道路や橋、河川、砂防といった土木施設の新設や補修などに関する土木業者との契約・支払いの業務を担当しました。もちろん、工事箇所の選定や対処方針、技術的な設計方法、工事進捗管理はプロである土木職が行うのですが、この業務経験からは、いわゆる公共事業がどのようなプロセスを経て実行されているのかを学べたのが良かった点です。


また、時々、土木職の先輩と一緒に工事現場へ行く機会があり、その現場がどうして工事が必要になったのか、どのような工法でそれを解決しようとしているのかなど、それまで普段の生活の中で考えたこともないけれど、実は意外に身近な土木の世界を知ることができ興味深い体験となりました。

危機管理の分野では、主に防災に関して県が抱える課題やその対処の方向性などを整理し、計画へと落とし込んでいく企画の業務を担当しました。筆者が勤めた県は東日本大震災の被害を直接受けた地域でありませんでしたが、当時大震災を経て防災行政を取り巻く環境が大きく変わり、防災の重要性に対する注目が高まった時期でありましたので、行政職員としてのやりがいを感じながら職務にあたっていました。

しかし、危機管理・防災の分野に関しても事前の知識はありませんでしたので、配属後、新たに勉強をしていくことで業務知識を得ていきました。また、防災行政と一言で言っても、関係する分野が多岐にわたり、庁内の防災部門だけで仕事が完結することは多くありません。救急医療を担当する厚生部門や物流を担当する産業部門、公共インフラを担当する土木部門、住家の耐震対策を担当する建築部門、災害時の交通規制を担当する県警察などとも連携が必要でした。

加えて、災害時のオペレーションに備えた対処方針の策定にあたっては、自衛隊を含む国の機関や市町村、外部の各業界団体などとの連携も不可欠になりますので、視野の大きく広がる仕事をさせてもらったと考えています。

3 「社会貢献ができると考えたこと」に対して

行政の担う各分野が何らかの社会貢献につながるものと考えていますが、私が経験した職務領域の中では、やはり危機管理・防災の仕事は公務員・行政職員としての使命感を如実に感じられるものでした。

特に県が抱える課題とその対処の方向性を整理し、上記のような幅広い関係機関を巻き込んで策定した防災に関する計画は、県や関係機関の役割分担を互いに確認した、いわば約束事であり、ひいてはどのように県民の身体・生命・財産を守るかを県として示した宣言書でもありました。そのような社会に一定の影響を持つ計画の策定に自身が携われたことは非常にやりがいのあることでした。

まとめ

Aさんは学生時代、県庁の仕事に「地元であること」「幅広い仕事経験を通じて自己成長できること」「社会貢献ができること」の3点を期待していましたが、その期待は正しくやりがいのある仕事であったと考えています。

なお、Aさんの地元が比較的田舎であるということにも起因していると考えますが、地域に名だたる大企業が多く存在しない地方にあっては、県庁は誰でも知っている組織です。

このため、そこで働いていることは(必ずしも良い側面だけではありませんが)身元が保証されていることでもあり、堅実な職を得ている者として見なされ、周囲から一定の信頼を得られやすいという利点もあったと感じています。

本記事は、2019年9月21日時点調査または公開された情報です。
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