【日本の課題】外国人の「土地買収問題」について

外交問題が注目される中、日本では外国人による国土の買収が続いており、このような外国人の動きは安全保障上でも懸念されています。

外国人土地問題については、なかなか防止できない日本に特有の事情があるようです。


日本の土地は、外国人でも自由に買える

現在、日本では、外国人等による土地取引について特に制限がありません。つまり、外国人や外国法人であっても、日本国内の土地を自由に取得することができます

そのため、中国企業による北海道の土地買収の動きや、韓国企業による長崎県対馬市の土地買収の動きが活発化しており、国防の観点から不安の声も上がっていますが、その動きは止められないままにあるといいます。

これは、日本が1994年に署名した「GATS協定」というWTO(世界貿易機関)の協定が深く関係しているようです。

GATS協定とは?

WTOのGATS協定とは、「General Agreement on Trade in Services」の略で、日本語では「サービスの貿易に関する一般協定」と訳されています。

GATS協定はWTOが定める「世界貿易機関を設立するマラケッシュ協定」の一部であり、サービスの貿易の障害となる各国の政府規制を対象とした初めての多国間国際協定です。

サービスとは具体的に12分野の業種を指しており、実務、通信、建設・エンジニアリング、流通、教育、環境、金融、健康・社会事業、観光、娯楽、運送、その他を含みます。

他国が「外国人等の土地取引は条件付きで可能」とする中、日本は世界からの投資を呼び込みたいがために「外国人等の土地取引を無条件で可能」として1994年に署名してしまったことが、今でも批判の対象となっているようです。

▼参考:外務省「サービスの貿易に関する一般協定(GATS)」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/wto/service/gats_1.html#section1

日本国内の法律より、条約の方が効力が高い

日本国内の決まりは国内法で規制すればよい、というわけにもいきません。WTOのGATS協定は、いわゆる「条約」に該当するので、国内法より上位法と考えられています。

つまり、WTOに加入している以上は、日本は国内の法律よりも優先して、条約を守らなければなりません。

仮に、外国人等による土地の取引を禁止したり、制限したりすると、国際司法裁判所に訴えられて負けてしまう可能性すらあるようです。


まとめ

外国人土地問題は、日本だけで取り組んだとしても、一度GATS協定に署名してしまったという立場上、なかなか防止できない状況にあります。

こうした中、一部議員からは、日本版CFIUS(対米外国投資委員会)を設立してはどうかという提案があります。

CFIUSは、アメリカの組織ですが、アメリカが国防権限法を成立させたことにより、国防に関わる外国人の取引について監視できるようにと設置されたものです。

日本でも同様に、国家安全保障局(NNR)の中に「経済班」を設置する動きがあるようです。外国人による土地取引をはじめとした国内の経済活動を監視できるよう、仕組みづくりが始まっています。

しかし、国家安全保障局の動きが条約の壁を乗り越えるためには、国内での法整備も必要ですが、WTOへの働きかけも必須です。

世界の経済発展のため、自由で平等な経済活動を推進するための国際ルールを守るのは先進国として当然だという一方で、安全保障上、国土の管理を改善したい日本政府が今後、外国人土地問題をどのように解決されていくのか、気をつけてみていく必要がありそうです。

▼参考:衆議院議員長尾たかしのブログ
https://blog.goo.ne.jp/japan-n/e/52026e9608badfcb7d0e51dfa26a21e9

本記事は、2020年2月19日時点調査または公開された情報です。
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