はじめに
社会人から公務員へ転職された「イマイカツヤ」さんのハウツーコラムシリーズ第四回です。
第三回は「どうやって試験対策をするのか(独学?予備校?通信教育?)」でした。続いて、第四回のテーマは「受験する自治体選びと経験者採用」です。
公務員試験にはどのようなものがあるのか
一口に「公務員試験」といっても様々な種類の試験があることは御存知かと思います。ここで主なものについて、簡単に理解しておきましょう。
国家公務員採用総合職試験
いわゆるキャリアと呼ばれる国家公務員になるための採用試験です。
公務員試験の中で最も難易度が高く、合格するためには早くから多大な時間をかけて準備する必要があります。
国家公務員採用一般職試験
大卒の場合は、キャリアに次ぐ中級係員になるための採用試験です。
合格者は、各省庁の出先機関で幹部候補となることが多いようですね。高卒の場合は、初級係員として総務部門での庶務仕事が主になるそうです。
国税専門官採用試験
税務の専門家として国税局や税務署に勤務する公務員の採用試験です。
主に、調査・徴収・査察の仕事があり、適正な課税と税収の確保を職務としています。
衆議院・参議院事務局採用試験
衆議院及び参議院の議事手続に関する事務等に従事する公務員を採用する試験です。
どちらも大卒程度の「総合職」と高卒程度の「一般職」の採用試験があります。
地方公務員試験
各都道府県や市役所が試験を行い、自治体ごとに採用されます。
科目や日程など非常にバリエーションが多く、それぞれの自治体が工夫を凝らして試験を行っています。都庁や特別区など、特殊な試験も多いので、事前の情報収集は怠らないようにしてくださいね。
オススメは市役所試験
いくつかの「公務員試験」について簡単に解説をしました。その中で、私が転職先としてオススメしているのが「市役所」の試験です。
理由はいくつもあるのですが、2つだけ、紹介したいと思います。
チャンスが多いということ
2018年9月時点で、全国には市の数が791あります。(市には、政令指定都市・中核市・施工時特例市・一般市があるのですが、今回は説明を割愛します。)
年齢さえ条件にあっていれば、全ての自治体を受験することが可能です。合格のためには、受けられる自治体全て受験するくらいの意気込みを持っていただきたいところです。
筆記試験が比較的容易であること
国家公務員試験における筆記試験の難易度は言うに及ばず、その他の試験でもそれ専用の対策が必要であるなど、なかなか転職組が太刀打ちしづらいものなのです。
一方で、市役所試験における筆記試験は、それほど高くないレベルで統一されています。
また、昨今の就職活動市場の売り手市場化により、ますます筆記試験の易化が進んできています。(民間企業の筆記試験で使用されるSPI3の採用など)
背景には受験者の確保といった目的があるのですが、忙しい社会人受験者にとっては渡りに船と言えますね。
縁のある自治体である必要はない
市役所というと「自分が住んだことのない自治体は受験しない方が良いですよね」と思う方がいるかも知れません。ですが、結論から言うと、全く関係ありません。
受けられる自治体はどんどん受験しましょう。出身地でないことや縁がないことを理由として不採用になるなんてことは絶対にありえません。
事実、私も受験して合格した5つの自治体のうち、縁もゆかりも無い自治体は3つ、2週間だけ住んだことのある自治体が1つでした。(残りの1つが地元の市役所です。)
確かに、受験に必要な情報収集をするとなると縁の深い自治体のほうが有利となることはあるかと思います。
私も縁のない自治体の志望動機を考えるのには苦労しましたが、いくらでもやり方はありますし、面接官は必ず努力を認めてくれます。地元の自治体の合格をもらっていると別の自治体の最終面接で言っても、合格を出してくれましたから。
十分な準備と適切な対策をすれば、どんな自治体でも必ず門を開いてくれるはずです。今の時代、「様々な人材」が求められているのですから、「部外者」であることも強みにできるかもしれませんよ。
経験者採用のワナ
最近多くの自治体が「経験者採用」を実施している。
「経験者採用」とは、一般の受験者とは別の枠を設けて、業務経験年数◯年以上という条件のもと職員を採用する試験です。
一般の採用試験とは異なり、筆記試験が簡易なものになっていたり、独特な面接試験が課されたりしているようです。
忙しい社会人受験者は、筆記試験の負担を避けようとこちらに目を向けがちなのですが、正直なところオススメはしていません。その理由は、この試験形式だと「他の受験者と差別化しづらい」からなのです。
通常の試験なら、ライバルは学生やフリーターがほとんどですので、過去の経験値等で優位に立つことが可能です。一方、全ての受験者が社会人でそれなりの経験を持っている人である場合、それなりの特殊な技能や才能がなければ採用されることは難しいでしょう。
また、採用予定人数が少ないことが大半なため、狭き門になりがちなことも問題です。
次回以降に説明するのですが、市役所試験における筆記試験(教養試験)の難易度は高くありません。少しでも下地がある人なら、仕事をしながらの対策でも十分にパスすることができるので、筆記試験を恐れることは全くありません。
同じ自治体では受験方法を併願できないことがほとんどなので、この受験形式があったら「ライバルが減ってラッキー」と思って通常の採用試験を受けるようにしてくださいね。
最も、年齢制限のためにこちらしか受験できないというのであれば話は別ですが…。
専門試験は避けたほうがいい
「受験できる限りどんな自治体でも受験しろ」と言うのが私の持論ではありますが、一つだけ避けたほうが良いと考えているものがあります。それが「専門試験」です。
段々と少なくなってきてはいますが、未だに専門試験を試験科目としている市役所はあります。(政令指定都市や県庁所在都市などが多いですね。)
専門試験とは
この試験の対策には教養試験とは比較にならないほどの時間が必要となってしまいます。仕事を続けながら試験対策をする社会人はもちろん、仕事を辞めて勉強に専念するのだとしても避けたほうが得策かと思います。
あくまで、目的は転職をすることであり、大きな市役所に転職することではないはずです。近くに到達しやすいゴールがあるのに、わざわざ遠回りをするような必要はないのではないでしょうか。
まずは試験に合格すること
では、どうしても働きたい自治体の試験科目に、専門試験があったらどのようにしたら良いのでしょうか。
答えは簡単、まず他の自治体に合格して公務員として働きながらその自治体を目指してください。
すでに「転職」という目的を達成している以上、これ以上はスキルアップやキャリアアップの領域に入ってくるとは思います。市役所で働くことで、大きな都市との比較分析や業務の中での経験など、「転職」に有利な能力が備わっていくはずです。
その時は、経験者採用を活用しても良いかも知れませんね。もし、再度の受験が失敗したからと言って、前職のとき以上に失うものは少なくなっているはずです。
※ご不明点のお問い合わせや公務員試験に関するご相談がある場合は、お気軽にお問い合わせください。
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