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海上保安学校学生は、「入学」ではなく公務員として「入職」します。

未来の海上保安官になるための学校「海上保安学校」の教育内容・仕事内容

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目次

「海上保安学校学生」は、「入学」ではなく「採用」されます。

「海上保安学校」は、海上保安庁の「職員」として「採用」された「学生」に対し、「海上保安官」として勤務するための必要な知識や技能を教え、それに加えて心身の鍛錬を図ることを目的に海上保安庁が設置している教育機関です。

そのため「海上保安学校学生」は入学した時点で海上保安庁の職員であり、国家公務員の一員です。身分は学生でも、給与をもらいながら学ぶので、「海上保安学校」は入学試験のことを「採用試験」として実施しています。

「海上保安官」の一般職の仕事内容とは?

「海上保安学校」での教育を受けた学生は、海上保安庁の「海上保安官」の一般職員として活躍します。「海上保安官」は、海の危機管理のために、「海上警備」や「海上犯罪の取り締まり」をはじめとして、海の「環境保全」や「海洋調査」、「災害対応」や「海難救助」など、さまざまな業務を担当しています。

「海上保安官」の一般職員の仕事内容は「船舶運航」「航空」「情報システム」「管制」「海洋科学」などの分野があり、「海上保安学校」ではそれぞれに合わせた教育課程が用意されています。「海上保安学校学生」は、入学試験の段階でどの分野に進みたいかを決め、いずれか1つの教育課程を受験します。それぞれ1~2年の課程を修了した後は、その分野の部署に配属され、初任海上保安官として現場に赴任します。

また、「海上保安学校」の各課程で実務経験を積んだ後に、「海上保安大学校」の特修科に進学し、幹部候補生を目指すことも可能なようです。

海上保安庁の幹部を目指す人はこちら

海上保安庁の教育機関には、「海上保安学校」のほかに「海上保安大学校」があります。「海上保安学校」は主に一般職の海上保安官を養成するのに対し、「海上保安大学校」は総合職・幹部クラスの海上保安官を養成しています。

「海上保安大学校」について

「海上保安学校」の教育課程について

「海上保安学校」の教育課程は5課程あり、それぞれ将来担当する業務に直結しています。それぞれの教育課程と、取得できる資格などについてまとめます。

「海上保安学校」の教育課程1:船運システム課程(航海コース)

「海上保安学校」の船舶運航システム課程には、「航海コース」「機関コース」「主計コース」があります。「航海コース」では、巡視船艇などの運航、つまり海上保安庁の船で、主に操縦を担当する「海上保安官」を養成します。

航海コースでは今後、操縦士として勤務するのに必要な船舶の運航についての知識を学びます。そして、操縦についてだけでなく、海上保安業務に必要な各種法律、語学などを学び、幅広い知識・技能を修得します。また、他の海上保安学校の課程と同じように、体育、武道などにより「海上保安官」として必要な体力も練成します。

航海コース課程を修了した「海上保安学校学生」は、将来は巡視船艇等の航海士、そして努力次第でゆくゆくは船長になることも可能です。また、海上保安学校を卒業後に、必要な乗船履歴を満たすことで、「五級海技士(航海)」試験の筆記で問われる知識は身についているとみなされ、「五級海技士(航海)」の資格を筆記試験免除で取得することができます。


船舶運航システム課程(航海コース)で取得する資格

「海上保安学校」の船舶運航システム課程(航海コース)を卒業すると、「五級海技士(航海)」を筆記免除で取得することができます。ただし、資格取得には乗船履歴の条件を満たすことが必要です。

他にも、「四級海技士(航海)筆記」「第一級海上特殊無線技士」「第二級陸上特殊無線技士」「一級小型船舶操縦士」といった資格は、「海上保安学校」の船舶運航システム課程(航海コース)在学中の受験によって取得可能なようです。

「海上保安学校」の教育課程2:船運システム課程(機関コース)

「海上保安学校」の船舶運航システム課程の「機関コース」は、主に巡視船艇等の機関の運転や、整備を担当する「海上保安官」を養成するコースです。

機関コースでは、海上保安庁の船の乗組員のうち、船の整備やエンジンのスペシャリストである機関士を養成しています。機関士になるために必要な、船舶の機関、電気機器等に関する知識を中心にカリキュラムが組まれています。また、機関士に必要な知識にとどまらず、他の課程と同様に、海上保安業務に必要な各種法律、語学などを学ぶことで幅広い知識・技能を修得し、バランスの取れた「海上保安官」を目指します。また、体育、武道などの履修により業務に欠かせない体力も練成します。

「海上保安学校」の船舶運航システム(機関コース)を修了した「海上保安学校学生」には、将来巡視船艇等の機関士や機関長として活躍する人もいます。また、機関コースを修了し、「内燃機関五級海技士(機関)」の資格を筆記試験面免除で取得できるので、海技士として上級の専門職を目指す第一歩を踏み出す人もいます。

「内燃機関海技士」とは、船のガソリンエンジンやディーゼルエンジンの操作や整備ができるエンジニア職のことですが、機関コースを修了することで五級取得には必要な知識を身につけたものとみなされるのです。

船舶運航システム課程(機関コース)で取得する資格

「海上保安学校」の船舶運航システム課程(機関コース)を卒業し、必要な乗船履歴を満たすと、「内燃機関五級海技士(機関)」の資格を筆記免除で取得することができます。

その他、「内燃機関四級海技士(機関)」の筆記や、「第一級海上特殊無線技士」「第二級陸上特殊無線技士」「一級小型船舶操縦士」は在学中に受験することで取得可能です。

「海上保安学校」の教育課程3:船運システム課程(主計コース)

「海上保安学校」の船舶運航システム課程の「主計コース」は、船舶運航システム課程の中でも主に、巡視船艇等での経理などの事務や、船員の食事の調理を担当する「海上保安官」を養成するコースです。

主計コースでは、総務、経理、人事などの基礎知識のほか、船舶衛生、調理技術等を中心に学びます。船上専門の料理人を養成する珍しい教育課程だと言えるでしょう。また、他の「海上保安官学校学生」と同じように、海上保安業務に必要な各種法律、語学なども習得し、幅広い知識・技能を身につけます。

また、武道などにより「海上保安官」として必要な体力も練成します。将来は、巡視船の主計士や主計長といって、船内の会計業務を中心に、食事など勤務環境を管理する責任者になることもできます。また主計コースを卒業後に、必要な乗船履歴を満たせば、「船舶料理士」の免許状を取得することも可能です。

船舶運航システム課程(主計コース)で取得する資格

「海上保安学校」の船舶運航システム課程(主計コース)では、卒業後に一定の条件を満たすと、「船舶料理士」や、「衛生管理者(船員法による)」の資格を取得可能です。

また、「第一級海上特殊無線技士」「第二級陸上特殊無線技士」「一級小型船舶操縦士」の資格も、在学中の受験によって取得可能なようです。

「海上保安学校」の教育課程4:航空課程

「海上保安学校」の航空課程では、航空機を操縦するのに必要な基礎知識や、海上犯罪取締りなどの「海上保安官」として必要な知識を修得します。航空課程を卒業した「海上保安官」は、回転翼要員(ヘリコプタ-)と固定翼要員(JETを含む飛行機)に分かれ、宮城県にある宮城分校、及び海上自衛隊において操縦技術等を学びます。操縦技術を学ぶ航空課程の「海上保安学校学生」はパイロットとしての国家資格を取得を目指します。

航空課程で取得する資格

「海上保安学校」の航空課程を卒業すると、「航空無線通信士」の資格を取得することができます。また、在学中の受験によって「一級小型船舶操縦士」の取得も可能なようです。


「海上保安学校」の教育課程5:情報システム課程

「海上保安学校」の情報システム課程では、主に巡視船艇や航空機及び陸上の、通信機器の運用・管理について学びまづ。また、船舶の安全運航に必要な情報提供の方法や、航行を支援する灯台などの航路標識の保守・運用について、そして船舶や航空機の航行の安全業務についての知識・技能を修得します。

それらに加えて、情報システム課程でも、海上犯罪の取締りに関する法律や技能など、「海上保安官」として必要な知識を修得します。情報システム課程は「海上保安官」の中でも通信や情報管理等を専門として、現場を援助する頭脳派を養成していると言えます。

情報システム課程で取得する資格

「海上保安学校」の情報システム課程を卒業すると、「第三級海上無線通信士」「航空級無線通信士」「第二級陸上特殊無線技士」の資格取得が可能です。

また、在学中の受験によって、「一級小型船舶操縦士」「第二級陸上無線技術士」「ITパスポート」の取得が可能です。また、卒業後に一定の条件を満たすと取得可能な資格には、「第二級海上無線通信士」があります。

「海上保安学校」の教育課程6:管制課程

「海上保安学校」の管制課程は、「海上保安官」の中でも「運用管制官」を育てる課程です。「運用管制官」とは、船舶が安全に航行できるよう、レーダー等によって航行している船舶の動静を把握し、安全管理に必要な情報の提供したり、大型船舶の航路や、入航間隔の調整をしたり、時には不適切な航行をする船舶や航路をふさいでしまう船舶への指導等を行う職種です。

管制課程でこれらの業務に必要な知識を身につけ、卒業すると、「初任海上保安官」として全国の海上交通センターに配置され、運用管制業務に従事します。

管制課程で取得する資格

「海上保安学校」の管制課程を卒業すると、「第三級海上無線通信士」「第二級陸上特殊無線技士」の資格を取得することができます。

また、在学中には「一級小型船舶操縦士」「TOEIC 600点程度」を目指し資格試験を受験することもできるようです。

「海上保安学校」の教育課程7:海洋科学課程

「海上保安学校」の海洋科学課程では、航海の安全を確保するために必要な、海の水深や海流などさまざまな海洋データを収集、解析し、提供できる「海上保安官」を育てる課程です。

海洋科学課程では、海上交通の安全確保、海洋の適切な利用や開発等に不可欠である海洋調査から、海図編集の技術、海洋情報を提供する業務などで必要となる知識や技能を修得します。

海洋科学課程で取得する資格

「海上保安学校」の海洋科学課程を卒業すると、「国際水路測量技術者資格基準B級」という資格が取得できます。

また、在学中に「第一級海上特殊無線技士」「第二級陸上特殊無線技士」「一級小型船舶操縦士」の資格も受験可能です。

まとめ

このページでは、国家公務員の「海上保安官」を養成する「海上保安学校」の教育内容についてご紹介しました。「海上保安学校」は将来配属される職種、業務ごとに様々な教育課程が用意されています。

「海上保安学校学生」は、国家公務員として給与を受け取りながら学ぶことができますが、そのために「海上保安学校」へは入学試験ではなく採用試験を受けて入校する形式をとります。

学生とはいえ、未来の日本の海を守る「海上保安官」を育てる「海上保安学校」に採用されると、責任感を持って訓練や学習に臨むことになると言えます。

本記事は、2019年3月24日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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