はじめに
社会人から公務員へ転職された「イマイカツヤ」さんのハウツーコラムシリーズ第八回です。
第七回は「小論文・作文試験対策について」でした。続いて、第八回のテーマは「面接試験対策についてPart.1(自分を知る)」です。
面接試験が本番
「筆記試験さえ受かればなんとかなる!」と思っている方もいるかもしれません。
ここで、一つだけお願いがあります。そのような考えをお持ちの方は、すぐにそれを捨て去ってください。勘違いされている方が多いのですが、公務員試験の本番は面接試験です。
何度も申し上げますが、筆記試験は面接試験を受けるための「ふるい」に過ぎません。
力の入れ方としては、面接試験に7~8割、筆記試験対策に2~3割、そのくらいの割合で比重を置くようにしてください。それだけ面接試験の方が重要であり、かつ難関であるということなのです。
筆記試験については、以前に書いた勉強法を実践すれば、長い時間をかけなくても必ず通過できるはずです。とはいえ、面接試験も特別難しいことを要求されるわけではありません。
やるべきことは、あなたが今まで経験してきた民間企業の面接とほとんど同じです。
面接とはコミュニケーションの場
さて、あなたに一つ問題です。「面接」とは、何をする場所でしょうか?自分の長所をPRする場所?面接官に自分を理解してもらう場所?・・・。いくつか考えが浮かんだかと思います。
私の思う正解はというと「会話をする」場所です。
よく「コミュニケーション力」が重要だと言われますが、コミュニケーション力とは、会話を成り立たせる力のことです。それを念頭に置くと、面接で重要なポイントは「よく聞くこと」と言えるでしょう。面接官の質問をよく聞いて理解し、それに対して適切な回答をする。必要なのは演説でも傾聴でもなく、面接官と会話のキャッチボールをすることなのです。
適切な回答をするためには、正しく質問を理解することが必要不可欠となります。自分が話すことばかり気にして、相手のことを無視してしまっては絶対に合格できません。
小学校・中学校時代の朝礼の時間を思い出してみてください。校長先生のありがたいお話があったはずです。あの話を「楽しみ」とか「面白い」と思って聞いていた方はいるでしょうか?・・・おそらく、ほとんどいないでしょうね。
面接でも同じことです。聞いてもいない話をされる面接官の気持ちを考えてみてください。そうすれば、あなたが何をするべきなのかが自ずとわかってくるはずです。
結局、面接の合否を分けるのは、「一緒に働きたい」と思ってもらえるかどうかなのです。相手の話を聞かず、自分の話ばかりしている人と一緒に働きたいと思えるでしょうか?そう思ってもらうために必要なのは、「相手の立場に立つ」ことです。
過去に一度でも独りよがりな面接をした記憶のある方、気を付けるようにしてくださいね。
自己分析は済んでいるはず
面接試験と言っても必要以上に恐れることはありません。
多くの社会人の方はすでに経験しているからです。新卒のときの就職活動を思い出してみてください。あなたのご年齢によっても難易度は異なったのでしょうが、それぞれが必死になって企業の内定を勝ち取ろうとしていたはずです。あなたは、その選考を勝ち抜き、いま社会人として仕事をされているんですよね。それならば、その経験を活かさない手はありません。
就職活動をしていた頃の自己PRを思い出してみてください。ノートか何かに残しておいてある人はラッキーですね。
基本的には、過去の自己PRを活用可能だと考えていただいて結構です。一度結果を出したものなのですから、捨てて新しいものを作る必要なんてないんです。もちろん、少しのアレンジは必要になってきます。学生の頃と全く同じ気持ちで同じことをやっているのでは「成長していないのかな」と思われてしまいますからね。
青かった部分を少し熟れた社会人らしい形に書き換えるのと、社会人として成長した部分を付け加えれば、公務員試験で戦える下地はもうあなたの中にあるのです。
悪い経歴もオリジナル
ここでは、多くの方が気になっているであろう「短期職歴」や「留年経験」を面接でどうやってカバーするかについて、述べていきたいと思います。
まずは大前提として、嘘をつくのは絶対にやめましょう。嘘をついたら、永遠につき続けなくてはなりません。短い面接時間の中でも、必ずボロが出ます。辻褄が合っていないことが一つでもあれば、そこを徹底的に突っ込まれておしまいです。経歴にハンデがある上に嘘つきとなったら、そんな人と働きたい人がいるはずありません。「ああ、やっぱりそういう人なのね」と思われて、あなたの長所も評価されません。
まずは正直であること。過去は変えることはできないのですから、しっかりと受け止めて、対策を考えていきましょう。
それでは、本題に入ります。
マイナス経歴をカバーするための最良の方法とは、その経歴をマイナスだと思わないことなのです。発想の転換で、マイナスをプラスに変えてしまいましょう!短期職歴も、留年経験も、あなただけのオリジナルです。その経験を公務員としてどう活かせるのか、それが見つかれば、それは他の受験者にはない「強み」となりうるのです。
とは言っても、いきなりそのようには考えられませんよね。そこで、私や同僚たちがどのように考えていたのか、実際にここに例として挙げてみようと思います。市販の書籍などにはなかなかない情報だと思いますので、是非活用してみてください!
「留年した理由」
・サークル活動に熱中し、就職活動に失敗した。
→どちらも両立させることはできたかもしれないが、どちらかを中途半端にすることが嫌だったので、留年することを決意した。
今となっては反省する部分でもあるし、社会人になっては許されないことだと思うので、これからはバランス感覚を持って仕事をしていきたい。
「公務員を目指した理由」
・前職の食品会社の経験が基になっている。
→食材の加工工場を見学した際に、多くのゴミが出ていることを知った。
自分の会社の中を変えることも重要だが、公務員となって社会全体を変えるきっかけを作りたいという思いを持った。
「なぜ、前職を辞めてしまったのか」
・退路を断って本気で公務員になりたいと思ったから。
→全力でチャレンジしたほうが、合格する可能性は高いと思ったし、ダメでもあきらめが付くと考えている。
また、中途半端な気持ちで仕事を続けるのは、前の会社にとってもマイナスだと思った。
「新卒時に公務員を選択肢として考えていたのか」
・全く考えていなかった。
→前職の経験があることで、公務員の可能性に気づくことができた。
その点でも、前職の経験があることは、財産だと考えているし感謝もしている。
いかがでしょうか。
このように答えれば絶対に合格するというものではありません。しかし、実際にこう答えることで合格している人がいるのも事実なのです。
私の経験や同僚の話から考える限り、短期職歴や留年経験などの経歴が理由で不合格になるということはないのだと思います。不合格になる理由は、そういった経歴について納得の行く説明ができず、面接官に評価されなかったから。ただ、それだけなのです。過去は変えることができません。
今、あなたにできることは、あなたが今までしてきた経験をどのようにプラスに変えられるのか、それを考えることなのです。今の職場が嫌で転職するというのは、私は大賛成です。実際に私もそうでしたから。
しかし、それを面接官に教える必要はありません。聞かれても消極的な理由は答えないほうが良いでしょう。嘘さえつかなければ良いのです。ひたすら前向きに、あなたの意欲を伝えてください!
※ご不明点のお問い合わせや公務員試験に関するご相談がある場合は、お気軽にお問い合わせください。
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