【国家一般】入国管理局で働くにあたって役に立つ情報まとめ

公務員は土日休みで転勤もない安定した職業というイメージも多いかと思いますが、そうではない職種も多くあります。国家公務員一般職である入国管理局職員について、勤務形態や残業の仕組みなど、他の公務員とは少し変わった点を中心に、勤務にまつわる情報をご紹介します。


入国管理局職員になる前に勉強した方がいいこと

公務員になる前の勉強というと、公務員試験で手一杯になることが多いので、中々専門的な職に関する知識まで勉強するのは難しいと思いますが、官庁訪問対策の一環として、公務員一次試験後にでも少し勉強していたら役に立つ情報をご紹介します。

まず、大まかな知識としては入国管理局が何をしている機関なのか、パスポート、ビザ(査証)、在留資格の違いはなにかを調べてみるといいかもしれません。入国管理局は法務省の管轄ですが、ビザ(査証)の発行は外務省が行っています。

例えば、外国人が日本で働きたいと思った場合は、まず日本の入国管理局に在留資格証明書という証明書を発行してもらうための審査を雇ってもらう企業を通して行います。無事審査に通り証明書を受け取った後、それを持って自国の大使館・領事館にてビザ(査証)の審査を受け、通ればビザを発行してパスポートに貼付してもらい、それをもって日本の入国審査を受けるという流れになります。

このような流れを理解し、どんな在留資格(外国人が日本に滞在するための資格)があって、どのような要件を満たすと審査に通るのかを調べておくと、入局してからはもちろん、官庁訪問時の質問にも役立てると思います。

また、語学能力もあれば重宝します。空港で働く場合は常に多くの外国人と話す機会がありますし、事務所勤務の場合も日本に在留して間もなく、あまり日本語の分からない外国人とやり取りしなければならない場合があります。

英語はもちろんですが、日本に滞在していることの多い、中国、韓国、フィリピンなどの国の語学に長けているととても役に立ちます。もちろん入局した後に研修制度を使って学ぶこともできます。

入国管理局職員の勤務形態について

勤務形態については、働く部署や出張所によって大きくことなります。在留資格の審査や総務・会計などを行う部署に配属された場合は事務所勤務になり、基本的に平日(月~金)出勤で、朝9時出勤の17時45分退庁で、昼休みに1時間休憩という形です。

国際線のある空港勤務になった場合は、総務課などに配属される場合を除き、完全にシフト勤務となります。空港や班編成によってシフトは異なりますが、例えば、一日目日勤(9時から18時まで)、二日目夜勤(13時から泊まり)、三日目明け勤務(泊まりから朝8時まで)、四日目休みといった四日サイクルを繰り返す形があります。

他にも、深夜便のない空港の場合は夜勤もないので、4日間早番勤務(7時から16時)、1日または2日間休み、4日間遅番勤務(13時から21時)というようなサイクルでシフトを組む場合もあります。

いずれにしろ、シフト勤務の場合も事務所勤務の時間数と合うように、4週間単位で計算されます。サイクルによって休みが多くなる場合は年休を組みこみ、祝日に出勤した場合は祝日手当という手当がついて残業のような形で少し給与に上乗せされます。

入国管理局職員の残業について

公務員は残業が少なく定時退社というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。入国管理局の場合の残業時間は、部署と時期によって大幅に異なります。


国家公務員というのは、残業を行えば必ずその分が計算されて残業代がもらえるというわけではありません。各年度によって職員の給与の予算は確定しているので、それ以上を支払うことができないのです。また、残業を行う場合は超過勤務命令簿というものをもらわなければならず、上司の命令なしに勝手に残業をしても支払われないという形になります。

では残業してもきちんと残業代はもらえないのかというと、その年や各局、各出張所に配分された予算とその場所の忙しさによるとしか言えません。例えば、予算もきちんと配分されていて、外国人の在留者や入国者が少なく業務量が多くない出張所の場合は、各職員の超過勤務時間も多くなく、全員が100%超過勤務手当(残業分の手当て)をもらうことができます。

しかし、予算が職員数に対して多くなく、業務量も非常に多い局の場合は、各職員の超過勤務時間が多いので予算が足りず、100%支払うことはできなくなります。予算は年度ごとに確定しているので、年度末に不足することも多く、一番の繁忙期である3月の超過勤務手当がほとんど支払われないということもままあります。

国家公務員には労働基準法が適応されず、労働基準監督署が介入することもありません。税金から手当てが発生し、国民に奉仕するという業務の性質上仕方がないことかもしれません。

入国管理局職員の福利厚生について

休暇制度は他の公務員と同じように、年次休暇、病気休暇、特別休暇(結婚、妻の出産)、介護休暇などが取得でき、年金制度についても国家公務員共済組合に加入することになります。

入国管理局は、国家公務員の中でも異動の多い方だと思いますが、異動に関する手当として、広域異動手当、特地勤務手当というのがあります。広域異動手当は60㎞以上離れた曲や出張所へ異動する場合に支払われる手当で、本人の階級や移動距離、扶養者の数、を元に計算され支給されます。また、特地勤務手当は離島などの不便な土地に異動になった場合に支給される手当で、こちらも階級によって支払額が決まります。

また、転勤が多いので国家公務員宿舎に居住することも多いですが、入国管理局として保有している物件ではなく、全国家公務員で使用している宿舎になるので、空きがないことも多く、その場合は自身で民間の住宅を賃貸することになります。その場合は上限27000円として、約半額程度の住居手当が支給されます。

入国管理局職員の給与形態について

国家公務員は、人事院勧告による国家公務員俸給表に基づき給与が支払われます。基本的な給与にプラスして各手当が支払われることになります。国家公務員俸給表は1級が係員、2級が主任、3級が係長、というように上がっていき、7級及び8級が機関の長クラスでいわゆる入国管理局長になります。9級10級は国家公務員総合職の場合しか上がらない仕組みです。

また、各級ごとに1号俸、2号俸と号俸が上がっていき各級と号俸によって給与が決定します。号俸は基本的に1年ごとに上がっていきますが、人事評価が良ければ上がる幅が大きくなったり、著しく悪い場合は下がったりすることもあります。

手当の種類

国家公務員の手当てには、先ほど挙げたような住居手当、扶養手当、異動手当など様々な手当があります。いわゆるボーナスにあたるのが、期末手当と勤勉手当になります。期末手当とは、一般職員の場合給与の2.6ヶ月分を一律支給されるもので、勤勉手当は人事評価によりその額が変動するものです。

ちなみに、人事評価制度は平成21年から実施されたもので、4月と10月に期首面談といわれる評価者との面談の中で各自の目標を決定し、その目標を元に自身でどの程度達成できたかを評価し、それを評価者が判断して5段階評価を決定し、昇進や勤勉手当に反映させるものです。評価はSABCDとなっており、S評価の場合は勤勉手当の上乗せや昇進のスピードが期待できます。C、D評価になると、逆に号俸が下がる恐れがあります。

他に特殊な手当として、本府省業務調整手当というものがあります。これは本府省の業務にあたる課長補佐級以下の職員に支給される手当です。国家公務員一般職員である入国管理局職員は、本人が希望し、かつ人事評価が認められている場合に本省である法務省へ異動になることがあります。業務内容は、国家公務員総合職員が行っている業務と同じ業務を行うことになります。

ただし、一般職員から総合職員になるわけではなく、あくまで一般職員として従事します。おおむね3年ほど法務省にて業務を行った後、またそれぞれの入国管理局または出張所へ異動することになります。

他にも、本人が希望し、人事評価が認められている場合に海外の大使館・領事館などの在外公館に異動することもあります。これらに異動する場合は、本来の管轄である法務省から、外務省へ出向するという形になります。在外公館にて勤務する場合は他の国内でもらっていた手当は打ち切られ、在勤手当が支給されることになります。在勤手当には、在勤基本手当、配偶者手当、在外住居手当、特殊語学手当などがあり、号俸や国によって各国の通貨で計算されます。

女性の働き方について

公務員の中で、地方公務員と国家公務員に分けた場合、女性が働く上で難しい条件をつきつけられる場面が多くなるのは国家公務員ではないかと思います。入国管理局職員も、全国転勤があり、転勤頻度も比較的多く、シフト勤務になる可能性も多いという性質上、結婚して子どもがいる場合に大変な面が多いのは事実です。


ただ、女性職員が多く、子育てをしている女性職員も多いので、転勤は子どもが高校を卒業するまではある程度考慮してもらえたり、子どもが小さいうちはシフト勤務の中でも早番勤務を多くして、土日のどちらかは休みにしたりと工夫はしてもらえます。また、出産・育児休暇の取得はもちろん、時短勤務も希望することもできます。

入国管理局では職員同士の結婚も多いのですが、その場合は女性職員が子どもと一緒に地元に残り、男性職員が単身赴任で全国転勤をする場合が多いです。子どものいない夫婦では、二人で同時に同じ地域へ転勤するのもよく見られます。

入国管理局職員を考えている方へのアドバイス

入国管理局の職員は、全国への転勤が多く、希望すれば海外転勤の可能性もあるという面で、他の公務員と違うところが多いかもしれません。もちろん、転勤は家庭のことを考えると大変な部分も大きいですが、常に新鮮な気持ちで業務に取り組めたり、視野を広く持てたりという点でメリットも大きいと思います。国家公務員を希望する場合は、一度すべての官庁の業務内容や業務形態を調べてみるといいかもしれません。

参考:国家一般職の採用試験の基本的な流れ

国家一般職の採用試験の基本的な流れ

本記事は、2018年2月15日時点調査または公開された情報です。
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