【国家公務員】「家庭裁判所調査官補」の採用試験内容

家庭裁判所で勤務する国家公務員特別職の「家庭裁判所調査官」になるには、「家庭裁判所調査官補」の採用試験に合格し、就職する必要があります。

今回は、「家庭裁判所調査官」になるための第一歩、「家庭裁判所調査官補」の採用試験について解説します。


はじめに 「家庭裁判所調査官」について

国家公務員の「裁判所職員」の職種には「裁判所事務官」「家庭裁判所調査官」「裁判所書記官」などがあります。

このうち、新職員として採用があるのは「裁判所事務官」と、「家庭裁判所調査官」の補佐的な職種である「家庭裁判所調査官補」の2職種です。

今回は、「裁判所職員」のうち「家庭裁判所調査官補」の採用試験についてご紹介します。

「家庭裁判所調査官」以外の「裁判所職員」についてはこちらをご覧ください。

「裁判所職員」のページ

「家庭裁判所調査官補」は「裁判所職員総合職試験」で採用される

「裁判所職員試験」には「総合職試験」と「一般職試験」があります。

「裁判所職員」の「総合職」の採用試験には「裁判所事務官」と「家庭裁判所調査官補」という試験区分があります。この「裁判所事務官」と「家庭裁判所調査官補」は受験できるのはどちらか1職種のみで、併願ができません。

「家庭裁判所調査官補」については「総合職」の試験のみ実施されます。なお「総合職」はいわゆるキャリアの立場として採用され、将来の幹部候補になります。

一方、「裁判所事務官」には「総合職」と「一般職」があります。「裁判所事務官」の「総合職試験」の受験者は、「特例制度」に申し込んだ上で「一般職」の受験に必要な試験種目に回答することで、「一般職」との併願が可能なようです。

「家庭裁判所調査官補」の採用試験には、一般職試験は実施されないため、このような特例制度はありません。

「家庭裁判所調査官」になるには?

「家庭裁判所調査官」になるためには、「家庭裁判所調査官補」として採用された後で、「裁判所職員総合研究所」に入所し、約2年間の研修を修了する必要があります。


そのため、まずは「家庭裁判所調査官補」の試験に合格する必要があります。

「家庭裁判所調査官補」の採用試験概要

「家庭裁判所調査官」の補佐的な役割を担う「家庭裁判所調査官補」には、新職員の採用試験に合格することでなることができます。その上級職である「家庭裁判所調査官」になるためには、「家庭裁判所調査官補」としての実務経験と研修が必要です。

続いて「家庭裁判所調査官補」の試験概要についてご説明します。

【裁判所職員総合職】「家庭裁判所調査官補」の採用試験概要

「裁判所職員総合職」のうち、「家庭裁判所調査官補」の採用試験の概要についてご紹介します。

「家庭裁判所調査官補」の採用予定数

2019年度(令和元年度)の採用予定数は、全国の試験地すべてあわせて「院卒者区分」が「10人程度」、「大卒程度区分」が「35人程度」です。

試験地は全国にあり、「東京高等裁判所管轄エリア」、「大阪高等裁判所管轄エリア」、「名古屋高等裁判所管轄エリア」、「広島高等裁判所管轄エリア」、「福岡高等裁判所管轄エリア」、「仙台高等裁判所管轄エリア」、「札幌高等裁判所管轄エリア」、「高松高等裁判所管轄エリア」の中でそれぞれ行われる予定です。

「家庭裁判所調査官補」の過去の採用人数

「裁判所職員総合職・家庭裁判所調査官補」の2018年度と2017年度の採用人数を、試験区分ごとにご紹介します。「裁判所事務官」はエリアごとに採用がありますが、「家庭裁判所調査官補」は全国統一で採用があります。

2018年度について、「院卒者区分」では、申込者数が137名に対して、有効受験者数が110名、最終合格者が15名でした。倍率は7.3倍です。

「大卒程度区分」では、申込者数が518名のところ、有効受験者数が398名で、最終合格者が45名でした。倍率は8.8倍です。

2017年度については、「院卒者区分」では、申込者数が172名で、有効受験者数が138名でした。最終合格者数が14名だったので、倍率は9.9倍でした。

「大卒程度区分」については、申込者数が561名で、有効受験者数が413名でした。最終合格者数は42名なので、倍率は9.8倍だったようです。

「家庭裁判所調査官補」の受験資格

「家庭裁判所調査官補」の受験資格は、裁判所事務官と同様に「院卒者区分」と「大卒程度区分」でそれぞれ決められています。

まず「院卒者区分」では「1989年(平成元年)以降に生まれ、大学院の修士課程、または専門職大学院の課程を修了した者、もしくは2020年3月までに修了見込みの者」です。

そして「大卒程度区分」の受験資格は、1989年(平成元年)の4月2日から1998年(平成10年)の4月1日までに生まれ、大学を卒業した者、または2020年3月までに卒業見込みの者」です。

また、いずれの受験区分でも「最高裁判所が受験資格と同等の資格があると認める場合」には、受験できる可能性があります。


「家庭裁判所調査官補」の試験内容

「裁判所職員総合職」の「家庭裁判所調査官補」の採用試験の出題内容をご紹介します。

「院卒者区分」の試験内容

2019年度(令和元年度)の「家庭裁判所調査官補」の「院卒者区分」の採用試験についてご紹介します。

まず第1次試験では、多肢選択式の「基礎能力試験」と、記述式の「専門試験」があります。「基礎能力試験」は「公務員」としての基礎的な知識を問うもので、知能分野から27題、知識分野から3題の、計30題に、2時間25分で解答します。

「専門試験」は、「家庭裁判所調査官補」に必要な専門知識があるかを問うものであり、「人間関係諸科学科目」から少なくとも1題と、「法律学科目」の合計3題に1時間30分で解答する試験形式です。

「人間関係諸科学科目」とは具体的には、「心理学概論」「臨床心理学」「社会心理学」「社会学概論」「現代社会論」「社会調査法」「社会福祉学概論」「社会福祉援助技術」「地域福祉論」「教育学概論」「教育心理学」「教育社会学」の12科目です。

「法学系科目」とは具体的には「憲法」「民法」「刑法」の3科目です。どの問題に解答するかは当日の出題内容を確認してから決めることができます。

そして第2次試験では、再び記述式の「専門試験」と、記述式の「政策論文試験」、そして面接による「人物試験」があります。

2次試験の記述式の「専門試験」も「人間関係諸科学科目」と「法律学科目」の計13科目(15題)から2科目(2題)を選択して解答します。

出題科目はより応用的な分野も含まれ、「人間関係諸科学科目」からは「臨床心理学」「発達心理学」「社会心理学」「家族社会学」「社会病理学」「社会福祉援助技術」「児童福祉論」「高齢者福祉論」「教育方法学」「教育心理学」「教育社会学」の11科目からそれぞれ1題ずつ出題があります。

「法律学科目」は「民法」と「刑法」からそれぞれ2題ずつ出題されますが、法律学科目を2題選択することはできません。専門試験の解答時間は2時間です。

「政策論文試験」では「組織運営上の課題を理解し、解決策を企画する能力」を問うことが目的であり、1時間30分で1題に解答する筆記試験です。

最後の「人物試験」では、集団討論および個別面接が行われるようです。

「大卒程度区分」の試験内容

2019年度(令和元年度)の「家庭裁判所調査官補」の「大卒程度区分」について、採用試験の出題内容をご説明します。

「大卒程度区分」は第1次試験の多肢選択式の「基礎能力試験」の解答時間が3時間あり、知能分野から27題、知識分野から13題の計40題に答える必要があります。

それ以降の試験内容については、「家庭裁判所調査官補」の「院卒者区分」と同様に行われます。解答時間についても「院卒者区分」を参照してください。

まとめ

このページでは、「家庭裁判所調査官補」の採用試験についてまとめました。「家庭裁判所調査官補」の採用試験は「裁判所職員」の「総合職」の区分のみで実施されます。

「家庭裁判所調査官補」の採用試験には、学歴ごとに「院卒者区分」と「大卒程度区分」があります。

受験資格として「院卒者区分」については「大学院修了程度」、「大卒程度区分」については「大学卒業程度」の学歴が必要ですが、最高裁判所が認める場合には受験が可能な場合もあります。裁判所のホームページや受験案内等で確認してみましょう。

「家庭裁判所調査官補」として採用された後には、研修を経て「家庭裁判所調査官」にステップアップすることが可能です。先輩職員のキャリアも参考にしながら、具体的なキャリアプランを念頭に置き、受験勉強に励んでみてはいかがでしょうか。


「家庭裁判所調査官」のページ

参考:裁判所ホームページ「裁判所職員採用試験」
http://www.courts.go.jp/saiyo/index2.html

本記事は、2019年7月30日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

家庭裁判所調査官補
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