MENU

国家公務員専門職「家庭裁判所調査官」の仕事内容について

当ページのリンクには広告が含まれています。


目次

「家庭裁判所調査官」の役割

「家庭裁判所調査官」は「家裁調査官」とも呼ばれ、全国に50庁、203支部庁ある「家庭裁判所」に勤務する職種で、国家公務員の専門職のひとつです。

「家庭裁判所」は家事事件や人事訴訟事件、少年事件を取扱う裁判所のことで、民事訴訟や刑事訴訟を扱う「地方裁判所」や「簡易裁判所」とは取り扱う事件を分担しているといえます。裁判所の組織において、「家庭裁判所」の上位裁判所としては「高等裁判所」と「最高裁判所」があります。

「家庭裁判所調査官」は家庭裁判所内の「裁判部門」と「司法行政部門」のどちらでも勤務する機会があります。「裁判部門」では「家事部」と「少年部」が置かれている場合が多く、各種の事件を審理するための準備・調査を「家庭裁判所調査官」が担当しています。「司法行政部門」では、「総務課」「人事課」「会計課」などが置かれ、裁判部門の業務がスムーズに行われるような支援を仕事としている「家庭裁判所調査官」もいます。

「家庭裁判所調査官」になるには?

「家庭裁判所調査官」の「裁判部門」での仕事内容

家庭裁判所の「裁判部門」での「家庭裁判所調査官」の仕事について解説します。各裁判所の組織は、裁判部門の中に「家事部」と「少年部」が置かれているのが一般的です。

「家庭裁判所調査官」の「家事部」での仕事内容

全国の家庭裁判所の裁判部門の「家事部」では「家事事件」を担当します。「家事事件」とは「家事事件手続法」やその他の法律で定められた「家庭」に関する事件のことで、「家事事件手続法別表」の分け方によって大きく「第一事件」と「第二事件」に分かれています。

「家事事件」の「第一事件」は、当事者が争ったり、合意したりして解決するのではなく、家庭裁判所が公益的立場で関与して審判を行うタイプの事件が当てはまり、具体的には「子の氏の変更の許可」「養子縁組」「相続放棄」などが該当します。一方、「第二事件」には、当事者間が争うタイプの「親権者の指定・変更」「遺産分割」「養育費の請求等」の子どもの監護に関する事件が該当し、自主的な話し合いで解決できない事件については審判や調停によって解決していきます。

「家庭裁判所調査官」は、審判や調停の準備として、当事者に話を聞き事実関係を調査し整理する「家事調査」という業務が命じられます。親権を争う事件などでは、当事者が感情的になっているケースも多く、冷静な話し合いができるよう「家裁調査官」が行動科学等の知識や技能を活かして「心理的調整」を命じられることもあるようです。

「家庭裁判所調査官」の「少年部」での仕事内容

全国の家庭裁判所の裁判部門の「少年部」では「少年事件」を担当します。「少年事件」とは「非行少年」によって起こされた事件のことです。「非行少年」とは、14歳から20歳未満の罪を犯した少年の「犯罪少年」と、刑罰法令に触れる犯罪を犯したが、犯行時14歳未満のため罪にならない「触法少年」、様々な理由から将来罪を犯す恐れのある「ぐ犯少年」という3パターンの少年を合わせた言葉です。「少年」には男女どちらも含まれます。

家庭裁判所では、「少年事件」の調査や審判が行われています。まず事件が受理されると調査が始まるのですが、「家庭裁判所調査官」は主にこの調査を担当し、少年の性格や、これまでの成長の過程、家庭などの環境や、日頃の生活態度について科学的に調査します。「家裁調査官」が必要だと判断した場合、医務室で少年に診断を受けさせることや、「少年鑑別所」に収容して、調査・鑑別を行うこともあります。

「家裁調査官」による調査内容は「裁判官」に伝えられ、裁判官がその調査結果をもとに「審判」が必要か判断します。審判が行われると、「家裁調査官」による調査結果は引き続き活用されます。審判には「家裁調査官」も同席し、少年の更生に何が必要か、時には保護者に養育の指導をするなど総合的な視点による処分が下されます。


「家庭裁判所調査官」の「司法行政部門」での仕事内容

家庭裁判所の「司法行政部門」での「家庭裁判所調査官」の仕事について解説します。司法行政部門には「総務課」「人事課」「会計課」からなる「事務局」が設置されており、裁判事務が合理的かつ効率的に行われるよう、人事的な部分や設備の部分で裁判部門を支援する業務を行います。司法行政部門で勤務する「家庭裁判所調査官」は、例えば「人事課」で「家庭裁判所調査官」を対象とした研修を企画、運営するなどの教育業務などを担当しています。

「主任家庭裁判所調査官」の仕事内容

「家庭裁判所調査官」は、個人の力だけではなく、チームでの議論が欠かせない仕事です。各裁判所のチームリーダーとも言える「主任家庭裁判所調査官」は、それぞれの「家庭裁判所調査官」が担当する家事事件や少年事件について、困難にぶつかっている案件はないか常に気を配り、議論を重ね、チームとして解決策を見出していきます。

「主任家庭裁判所調査官」として活躍するには、「家庭裁判所調査官」としての経験を積み、選考に通過する必要があるようです。「主任家庭裁判所調査官」の上司には「次席家庭裁判所調査官」、「首席家庭裁判所調査官」がおり、「家庭裁判所調査官」は、仕事に対して真剣に取り組む意欲や能力よって昇進、昇級するキャリアパスが開かれていると言えます。

まとめ

このページでは、家庭裁判所で活躍する国家公務員の「家庭裁判所調査官」の仕事内容についてまとめました。

「家庭裁判所調査官」は家庭裁判所内の裁判を行う「裁判部門」と、事務などを担当する「司法行政部門」のどちらでも活躍しています。「裁判部門」では、「家事部」や「少年部」などに所属し、審判前の準備や審判を行うかどうかの判断材料として事件についての「調査」を担当します。

「家庭裁判所調査官」による「調査」業務には心理学や教育学、社会学等の専門的な知識や技能が必要です。「家庭裁判所調査官」による冷静で科学的な調査によって、家事事件の発生している各家庭に平和が訪れたり、少年が将来に希望を見出だせるような結果が出ることに繋がることもあります。「家庭裁判所調査官」の仕事は、事件に巻き込まれてしまった、あるいは事件を起こしてしまった人々の話を丁寧に聞く、責任ある、やりがいのある専門職だといえます。

本記事は、2018年11月24日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

コメント

コメントする

目次