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刑務所などの刑事施設で働く国家公務員「刑務官」になるには

国家公務員専門職の「刑務官」は、警察官と同じく、治安を守るために働く公安職の国家公務員で、法務省矯正局に所属します。刑務官は拘置所や刑務所などの刑事施設で働く職員です。被収容者に対し,日常生活の指導,職業訓練指導,悩みごとに対する指導などを行うとともに,刑務所などの保安警備の任に当たります。

2017年10月05日更新

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目次
刑務官になるには
刑務官の仕事内容と活躍の場
刑務官が所属する官庁
刑務官の年収・昇給など
刑務官の勤務時間や福利厚生
全く違う警察官と刑務官
刑務官になるための採用試験
刑務官の階級
まとめ
刑務所などの刑事施設で働く国家公務員「刑務官」になるには

刑務官になるには

刑務官になるには、国家公務員の専門職採用試験の「刑務官採用試験」に合格し、法務省に採用される必要があります

刑務官採用試験の難易度は高校卒業程度であり、他の公務員試験と比較すると難しい試験ではありません。しかし、年や地域によって刑務官採用数や受験数が異なり、倍率が高くなるとその分合格が難しくなります。例えば、民間企業の採用数が少ない地域ではおのずと公務員である刑務官の志望者数は多くなり、競争率が高くなるので難易度も上がります。

採用後

試験に最終合格し採用されると、矯正研修所支所及び採用庁で、刑務官の基礎を学ぶ研修を受けます(初等科研修)。

初等科研修では憲法や刑法などの各法規、教育心理学・医学の基礎、護身術、体育などの講義、実習が行われます。大学教授等の講義を受ける矯正研修所支所での集合(合宿)研修や文書・情報処理などの実務研修などもあります。

宿舎への引越し

刑務官は基本的に宿舎住まいのため、採用されて勤務施設が決定すると宿舎への引越しを行います。宿舎は勤務施設近くにあることがほとんどで、住居費は非常に安く、無料の場合もあるようです。

刑務官の仕事内容と活躍の場

刑務官の仕事内容は、刑事施設の運営、設備の管理や保守、保安警備、施設収容者の監督、指導などです。朝の点検からはじまり、施設内で事故がおきないように監視したり、再犯防止や社会復帰にむけての教育や相談を行ったりもします。

拘置所での仕事

拘置所では裁判で刑が確定していない被疑者を収容し、逃走したり、証拠を隠滅したりすることを防止する他に、公正に裁判が受けられるように配慮します。刑務官は被疑者が出廷する際の移送や、法廷での監視にも当たります。

刑務所での仕事

刑務所は裁判で刑が確定した者を収容する施設で、刑の服役や社会復帰に向けての矯正教育、職業訓練、生産作業、社会貢献作業などを行います。

刑務所で刑務官は収容者の監視・監督や指導の他に、受刑者の相談や教育、再犯を起こさないための改善指導も行っていて、受刑者の更生に関わる大事な役割を担っています。

刑務官のさまざまな係・業務

刑務所は裁判で刑が確定した者を収容する施設で、刑の服役や社会復帰に向けての矯正教育、職業訓練、生産作業、社会貢献作業などを行います。

刑務所で刑務官は収容者の監視・監督や指導の他に、受刑者の相談や教育、再犯を起こさないための改善指導も行っていて、受刑者の更生に関わる大事な役割を担っています。

勤務地、制服・制帽

刑務所は法務省の矯正局が管轄し、日本全国に69庁あります。刑務所にはさまざまな種類があり、内容に応じて交通刑務所や少年刑務所、女子刑務所、医療刑務所などがあります。刑務に当たる刑務官は、制服・制帽・装備品(刑務官手帳、呼子笛、携帯捕縄)といった警備服を着用することが規則で定められています。勤務地の決定は本人の希望が考慮されます。

刑務官という職種は転勤の少ない職業です。勤務は矯正管区の管轄地域内となり、管理職以外の異動は矯正管区内となります。また、たいていの場合勤務庁の近隣に宿舎が設けられており、暮らしの面で不自由することは少ないでしょう。

女性刑務官

女子刑務所の看守の多くは、女性の刑務官となります。しかし女性の場合、刑務官の採用枠は男性の半数以下で、身長148㎝未満、40㎏未満の女性は欠格となります。福利厚生の面では、女性の出産や育児に伴う休暇の取得は認められており、介護などそのほかの休暇も取りやすいといわれています。

刑務官が所属する官庁

刑務官は国家公務員で法務省管轄の矯正局に所属しています。日本の刑事施設の数は、刑務所62、少年刑務所7、拘置所8、刑務支所8、拘置支所103の合計188か所があり、法務省が所管しています。

東京には拘置所1か所(東京拘置所)、刑務所は府中刑務所の他に、身体や精神に障害のある者を収容している八王子医療刑務所などがあります。全国の刑事施設では約17,600人の刑務官が勤務しています。

法務省とは

法務省は、日本の行政機関の一つであり、行政としての「法務」部分である検察・行刑・恩赦・戸籍・人権擁護・出入国管理などに関する業務を担当します。組織は、民事局や刑事局などの7局と公安審査委員会、公安調査庁などの外局から構成されています。

その中で、法務省の施設のひとつに矯正研修所があり、そこで刑務官の養成を行っています。研修では、刑務官が職務上必要な学術や技術の講義・実習、犯罪者や非行少年を処遇するために必要な人格・識見の講義、鍛錬場では剣道や柔道の稽古などが行われます。

保護観察官

保護観察官とは刑務官と同じく法務省採用の国家公務員で、法を犯した者などの再犯防止のため、指導や援助を行います。

保護観察官は、地方更生保護委員会や保護観察所に勤務します。刑務官は刑事施設内の被収容者の生活を監視したりサポートしたりするのに対し、保護観察官は、刑事施設を出た人々が社会の中で健全な生活を送るためのサポートを行います。

刑務官の年収・昇給など

国家公務員である刑務官の給与には、公安職俸給表が適用されます。公安職の給与は一般の国家公務員に比べ12%程高くなっています。刑務官は、一般企業のように景気に左右されず、公安職俸給表(勤続年数、階級など)により昇給します。

初任給・年収

東京都特別区内に勤務した場合、初任給(基本給)は、20万円程です。この他に扶養手当、住居手当、通勤手当、期末・勤勉手当、超過勤務手当等が支給されます。

一般企業でいうボーナスである「期末・勤勉手当」といわれ、基本給の4.2ケ月分で、これらを合わせた初年度の年収は400万円程となるようです。

刑務官全体の職種平均給与は38万円程、職種平均年収は620万円程です。これは都道府県年収の中で平均年収の最も高い東京都と同じくらいで、刑務官が給料の高い職種だということがわかります。

昇進・階級

採用されたときに受ける初等科研修では看守に任命されます。刑務官の階級のスタートは看守から始まり、昇進するごとに、看守→看守部長→副看守長→看守長と階級が上がります。上位の階級にいくほど、給料もベースアップしていきます。

昇進するためには、中等科、高等科研修などを受ける必要があります。研修は、毎年行われますが、競争試験により選抜された一定数の者が受講できる仕組みになっています。

刑務官の勤務時間や福利厚生

勤務時間や勤務日、休暇

刑務官の一日の所定労働時間は7時間45分、1週間に38時間45分です。勤務形態は週休2日制です。ただし、日勤と日夜勤の2交替勤務があります。

年次有給休暇は年20日付与(採用年度は15日付与)されます。この他に、病気休暇、特別休暇、介護休暇、育児休業制度があります。

福利厚生

一般の企業に就職すると、会社で各種保険(健康・雇用・労災保険、厚生年金など)に加入しますが、刑務官は国家公務員共済組合に加入します。共済組合では、医療保険、共済年金、福祉などをカバーし、病気やけが、結婚、出産があったときや、死亡、高度障害になったときなどには給付を受けることができます。

また、ケガや災害で休職するときや災害で家財に損害があったときにも給付を受けることができます。刑務官の受けられる福利厚生は手厚いといえます。

全く違う警察官と刑務官

刑務官は国家公務員ですが、警察官には警察庁に採用される国家公務員と、都道府県に採用される地方公務員があります。どちらも治安を守るために働く公安職ですが、都道府県警に採用された警察官は、その地域の事件を担当するほか、治安維持、交通違反の取締りなど地域の安全を守ります。

刑務官は、刑務所や拘置所などで勤務し、各施設の運営や警備、収容者への再発防止、社会復帰に向けての訓練や指導、相談にもあたります。

勾留と拘置

警察官が犯罪の捜査や取調べを行うのに対し、刑務官は取調べ後から裁判が行われるまで被疑者を拘置所に収容し、逃走したり、証拠を隠滅したりすることを防止するほか、裁判所までの移送や、裁判中の監視・警備にあたります。逮捕後、留置施設に収容されているときは警察官の管理下、拘置所へ移ると刑務官の管理下となります。

日本の刑務所

他国では刑務所は犯罪者に刑罰を与える監獄としての要素が強いのに対し、日本の刑務所は刑の執行の他に、再発防止などの教育を行い社会生活に適応する能力の育成を図るといった要素が強くなっています。

日本の刑務所の良い点は、受刑者の更生および健全な社会復帰を目指すという点です。現実問題として受刑者同士のトラブルや、刑務官と受刑者のトラブルは各施設であるようですが、日本国内における脱獄事件は近年では皆無です。これは、日本の刑務所が衛生・健康管理などへの配慮がされ、職業訓練などが重点的にされていることや、刑務官をはじめ施設の職員の努力であるといえるでしょう。

刑務官になるための採用試験

刑務官になるための試験は、国家公務員刑務官採用試験で、試験区分には刑務A(武道)、刑務B(武道)、刑務A(社会人)、刑務B(社会人)があります。

最終合格者には、希望の勤務地などの意向調査が行われ、試験区分ごとの採用候補者名簿に記載されます。刑事施設における警備などの業務に従事するには、刑務A(武道)、刑務B(武道)に合格し採用される必要があります。

採用候補者名簿の有効期間は1年です。採用試験は男性と女性とに分かれています。

受験資格

刑務A、刑務B:試験年度の4月1日における年齢が、17歳以上29歳未満

刑務(社会人):40歳未満の者

試験の時期

第一次試験:9月中旬頃(約1ケ月程で合格発表)

第二次試験:10月下旬頃(約1ケ月程で最終合格発表)

採用試験

一次試験
・基礎能力試験(多肢選択式)
  公務員として必要な基礎的能力についての筆記試験
    ・知能分野(文章理解、課題処理、数的処理、資料解釈)20題
    ・知識分野(自然科学、人文科学、社会科学)20題
・作文試験
  文章による表現力、課題に対する理解力など
・実技試験(柔道か剣道の実技)

二次試験
・人物試験(人柄、対人的能力についての個別面談)、性格検査
・身体検査(胸部疾患、血圧、尿、その他一般内科系検査)
・身体測定(受験資格の可否確認※1)
・体力検査(上体起こし、立ち幅跳び、反復横跳び)

※1 (身体測定の合格基準)
・男子身長160㎝以上、体重47㎏以上
・女子身長148㎝以上、体重40㎏以上
・裸眼視力(どちらか一眼でも)0.6以上
(ただし、矯正視力が両眼で1.0以上は可)
・四肢の運動機能に異常がないこと

受験申込用紙交付機関

受験の申込期間は7月下旬から8月上旬頃に行われます。受験の申込みはインターネットが推奨されています。インターネットにて申込みを行うと、受験票発行通知メールが送信されますので受験票をダウンロードします。他に郵送または持参も可能です。申込書を郵送する場合は、簡易書留で郵送しましょう。

受験申込用紙は全国の人事院事務局・矯正管区、刑務所、拘置所等で交付しています。郵送で申込用紙を請求することも可能です。その場合には、往信用封筒の表に赤字で「刑務請求」と書き添え、返信先に住所を明記の上、140円切手を貼り送ります。

人事院事務局と矯正管区

人事院事務局は全国に9か所、矯正管区は8か所が設置されています。

人事院 北海道事務局  札幌市中央区大通西12丁目
人事院 東北事務局 仙台市青葉区本町3-2-23
人事院 関東事務局 さいたま市中央区新都心1-1
人事院 中部事務局 名古屋市中区三の丸2-5-1
人事院 近畿事務局 大阪市福島区福島1-1-60
人事院 中国事務局 広島市中区上八丁堀6-30
人事院 四国事務局 高松市松島町1-17-33
人事院 九州事務局 福岡市博多区博多駅東2-11-1
人事院 沖縄事務所 那覇市樋川1-15-15

法務省 札幌矯正管区 札幌市東区東苗穂1-2-5-5
法務省 仙台矯正管区 仙台市若林区古城3-23-1
法務省 東京矯正管区 さいたま市中央区新都心2-1
法務省 名古屋矯正管区 名古屋市東区白壁1-15-1
法務省 大阪矯正管区 大阪市中央区大手前4-1-67
法務省 広島矯正管区 広島市中区上八丁堀6-30
法務省 高松矯正管区 高松市丸の内1-1
法務省 福岡矯正管区 福岡市東区若宮5-3-53

刑務官の階級

刑務官には矯正監を最高位とし階級が定められています。採用後の初等科研修を修了すると看守として任命され、以降、中等科・高等科等研修等を経て昇進します。

看守から主任看守に昇進すると、業務内容は同じでも給料がベースアップします。
中等科研修修了すると看守部長に昇進します。

7階級制

刑務官の階級は、矯正監→矯正長→矯正副長→看守長→副看守長→看守部長→主任看守→看守の7階級となります。

このうち、矯正監、矯正長、矯正副長、看守長は幹部と呼ばれる管理職です。最高階級(大きな刑務所では所長)は矯正監、部長クラスは看守長となります。看守長になるには、高等科研修を修了して一定期間勤続するなどの要件があります。

刑務官の一般職は管轄地域内の異動になりますが、管理職になると、数年で全国の刑事施設への異動があります。

まとめ

刑務官とは法務省管轄の国家公務員で、全国188か所の刑事施設で警備、処遇などにあたります。

国家公務員のため、安定した収入が得られる職業ですが、夜勤のある2交替勤務の場合もあります。刑務院には勤務庁の近隣に宿舎が用意されていて寮費は原則無料ですが、捉え方によっては勤務先、居住地と狭い中で、限られた人間関係が強いられる職場環境でもあり、楽な仕事ではないようです。

現実問題として受刑者同士のトラブル、刑務官と受刑者のトラブルは少なからずあるようです。中でも刑務官による受刑者への人権侵害は、国内のみならず国際的にも問題として常に取り上げられているテーマです。これには、限られた空間に強い権力を持つ側(監視側)と持たない側(監視される側)という、双方の心理的な要因も強く関係していると思われます(スタンフォード監獄実験)。

国際的な人権の保障に関する多数国間条約(日本語では自由権規約)で「刑事施設の目的が更生と社会復帰である」と明記されています。刑務所の刑務官は唯一、受刑者への教育や助言ができる立場の職業です。真の意味での社会復帰を果たせるよう、刑務官には体力はもちろん、ストレスに打ち勝つ強い精神力、対人関係の能力、業務を遂行する冷静で正しい判断力、そして人間性が求められるでしょう。

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