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東京都が花粉症対策をすすめます! 住友林業、東京都と協定締結 – 無花粉スギの大量増殖技術で花粉症対策(2024年8月情報)



住友林業株式会社が、7月23日に東京都と「無花粉スギの生産事業化に向けた協定書」を締結しました。

この協定は、国立研究開発法人森林総合研究所や新潟大学が開発した無花粉スギの苗木の量産技術を参考に、組織培養を用いて無花粉スギを増殖するものです。

従来の挿し木や種をまいて育てる増殖法と比べ、高効率で無花粉スギを増殖する技術を実用化し、無花粉スギの苗木生産の事業化を目指すようです。

下記にその内容をご紹介します。

目次

「無花粉スギの生産事業化に向けた協定書」の概要

・東京都は無花粉スギの球果を提供し、住友林業株式会社は事業計画に基づき、培養技術を用いた苗木の増殖、都内の生産事業者と連携した苗木の育成・生産、および植栽試験を実施します。

・期間は締結日から2027年3月31日までとし、双方が継続を希望する場合は延長が可能です。

・増殖した苗木は都内の事業者に優先的に販売します。生産体制を整え、無花粉スギ苗木の年間生産目標を10万本とします。

背景

現在、日本の森林は戦後に植林されたスギやヒノキの人工林が伐採適齢期を迎えています。スギやヒノキの花粉によって引き起こされる花粉症は、国民の約4割が発症しているとされています。林野庁を中心に、スギ人工林を伐採し、花粉の少ない木に植え替えることで、森林を循環させる花粉症発生源対策(https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/kafun/)に取り組んでいます。

東京都では、総面積の約4割が森林であり、都民の約5割が花粉症を患っていると推定されています。これを受け、東京都は「花粉の少ない森づくり(https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/nourin/ringyou/promotion/kafun/)」プロジェクトを推進し、人工林を伐採して花粉の少ないスギなどに植え替えることで、木材の安定供給と林業の活性化を図っています。2024年4月、東京都は花粉発生源対策として無花粉スギの穂や球果を用いた増殖・育成技術を持つ協力事業者を募集しました。住友林業株式会社はこの募集に応募し、選定されました。

経緯

住友林業グループは、森林経営から木材建材の製造・流通、戸建住宅や中大規模木造建築の請負、不動産開発、木質バイオマス発電まで、「木」を中心とした事業をグローバルに展開しています。2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」において、住友林業のバリューチェーン「ウッドサイクル」を回すことで、森林のCO2吸収量を増やし、木造建築の普及で炭素を長期に固定し、社会全体の脱炭素化を目指しています。

人工林を伐採し、花粉の少ないスギに植え替えることで森林の循環を促進することは、当社の長期ビジョン「Mission TREEING 2030」の実現に寄与します。また、東京都の「無花粉スギの生産事業化」の実現や、社会が抱える「花粉症」の課題解決にも貢献できると判断し、今回の協定に至りました。


今後の展開

住友林業株式会社は、東京都が研究を進めてきた無花粉スギの遺伝資源を受け取り、その増殖や育成・生産手法を確立し、都内の苗木生産事業者に技術を提供します。

2026年春には試験的な植栽を行い、無花粉であることや成長性、さらに一定期間成長した後の材質なども確認する計画とのことです。今後は東京都や都内の苗木生産業者と連携し、年間10万本以上の苗木を生産する体制を構築し、2030年頃には本格的な無花粉スギ苗木の生産事業化を目指していくようです。

住友林業/育苗センターとは

全国6か所(北海道、福島県、群馬県、岐阜県、高知県、宮崎県)に樹木育苗センターを設置しており、スギやカラマツ、ヒノキなどの苗木を年間190万本生産しています。

参考》https://sfc.jp/treecycle/value/container_seedling.html

住友林業/筑波研究所 組織培養による苗木増殖とは

住友林業では、これまでに様々な神社仏閣や自治体が管理する名木や貴重木の後継樹を育成するために、組織培養、接ぎ木、種子を用いた苗の増殖技術を確立してきました。

組織培養による苗木増殖》https://sfc.jp/treecycle/value/naegi_zousyoku.html

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この記事を書いた人

公務員総研チーム Maruです。主に公務員や行政関係のニュース記事をお届けします。

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