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もう終わった?アメリカのコロナ事情【2022年4月版】

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昨今のアメリカでは多くのメディアでコロナの新規感染者数の発表を報じなくなり、それに伴いアメリカ国民の間では「コロナは終わったようだ」という雰囲気が広まっています。そしていよいよ「マスク着用義務化撤廃」の流れが全米で広がりをみせており、大きな関心事になっています。

今回は、大きく動き出したアメリカのコロナ事情について現地在住者が解説します。

目次

何が起きている?

今アメリカで注目を集めているのが、2022年5月3日で期限切れになる「マスク着用義務化」を定めた大統領令が延長されるか否かです。

この大統領令を巡って、期限に先立つ2022年4月18日にフロリダ州の連邦地裁が「違憲」と判断しました。そして、この判決を受けてTSA(運輸保安局)が義務化を解除したことから、全米で一斉に「マスク着用義務化が終わった」というような流れになっています。

そもそも、この大統領令は2021年1月21日に、大統領就任直後のバイデン大統領によって署名されたもので、民間航空機や鉄道、バスといった公共交通機関ですべての人がマスクを着用することを義務化したものでした。

もとより、コロナ騒動が始まって以降、マスク着用に対して抵抗感を持っていたアメリカ人に、大統領令をもってして半ば強制的にマスクを着用させようとしたことから、反バイデン派やマスク着用を嫌う人たちから抵抗されていたものです。(この大統領令が発令してからバイデンの支持率は下落一方になった)

ただし、大統領令と言っても、各州や自治体で有効な対策が実施されていれば強制されない内容だったことから、マスク着用を巡って混乱や意見が対立してしまう遠因とされていました。(大統領令はいかようにでも解釈できる内容だった)

具体的には、バイデンが所属する民主党基盤のニューヨーク州やカリフォルニア州では公共交通機関以外でも徹底してマスク着用が義務化された一方、反バイデン派が多い共和党基盤のテキサス州やフロリダ州などでは義務化どころか反発が続いていたのです。

そんないわくつきの大統領令を巡って裁判所が「違憲」と判断し、多くの民間企業がマスク着用撤廃に動きだしたことから、国民の関心事になっている訳です。

さらに、「実質的なコロナ騒動の終焉」がきたとする声もあり、2年以上にわたって続いたコロナの影響が終わるかもしれない節目にあると言えるでしょう。

どんな影響が出ている?

今回のフロリダ州連邦地裁による判決は、公共交通機関をはじめ一般企業にも「規制緩和」という影響を及ぼしています。


例えば、判決翌日にあたる4月19日には、ウーバーやリフトなどの大手配車サービスは、運転手に義務付けていたマスク着用を撤廃し、任意にすると発表しました。

また、アメリカの大手航空会社であるユナイテッド航空、アメリカン航空、デルタ航空なども一斉に乗務員や地上従業員も含め、マスク着用義務を撤廃すると発表しています。

一般企業では、IBMが全米の事業所を対象に全従業員のマスク着用義務を撤廃し、2022年6月以降はワクチン接種義務もやめると発表しました。大手通信会社のベライゾン(Verizon)もマスク着用義務を撤廃しています。

他にも、自動車大手のゼネラルモーターズ、金融大手のJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなどもマスク着用義務を任意制にし、感染対策を緩和しました。

一般企業では、マスク着用義務化撤廃だけでなく、ワクチン接種の義務化や、未接種者に対する定期(週に1度か3日に1度)検査もやめる動きが加速しており、企業活動の正常化を優先した動きが顕著になっています。

一方で、さっそく混乱の影響も出始めています。

ペンシルベニア州首都のフィラデルフィアではマスク着用義務を巡って、レストランや小売店を営む市民が市を訴える事案が起こりました。

2022年3月、フィラデルフィア市はレストランなどの屋内空間におけるマスク着用義務を一度撤廃しましたが、その後の感染者数増加を受けて、4月18日に再び義務化することを発表したのです。

同市は、あらかじめ定めていた安全基準を超過したためと説明しているものの、同時期に起きた全米のマスク着用義務化撤廃の機運もあり、市民から強い反発を受けることになりました。

結局、同市は一転してマスク着用義務を撤廃することになり、全米で起きているマスク着用義務撤廃を加速させる結果になったのです。

同市は感染者数の増加にいち早く対処し、感染対策を強化したことで注目を集めていたことから、今回の規制撤廃はアメリカ全土における規制撤廃に向けて大きな影響を与えたと言えるでしょう。

今後はどうなる?

アメリカの一般世論ではマスク着用義務化撤廃の機運が高まっていますが、感染者数に目を向けると増加傾向にあるため、バイデン政権としては引き続きマスク着用義務化を延長したいところです。

具体的な数値では、2022年4月21日にアメリカの厚生労働省に該当するCDCが発表したデータによると、感染者数は40,744人とあり、10,580人だった4月上旬から増加傾向にあります。ただし、同年1月には80万人超だったことを考慮すると大幅減の状態と言えます。

マスク着用義務化撤廃の流れを巡り、ホワイトハウスのサキ報道官は「裁判所が決めるのではなく、専門家が決めるべき」と述べており、規制撤廃には慎重な姿勢を見せています。また、フロリダ州連邦地裁に対して控訴するかどうかを司法省が検討しているとも述べました。

マスク着用義務化については、バイデン政権としては2022年11月に控えている中間選挙における不安材料にしたくないのが本音です。

仮に、規制を緩和して感染者数が増えると民主党支持者からの信頼を失う可能性があり、規制を続けるとマスク着用反対派の人たちを完全に見限ることになりかねません。


また、今回のフロリダ州連邦地裁による判決はトランプ前大統領の影響力とする意見もあります。今回の判決を下した判事はトランプ前大統領が任命した保守系の判事です。民主党からしてみれば、トランプ前大統領の息がかかった人たちによる反撃に映っているかもしれません。

多くのアメリカ人にとって、マスク着用義務化が撤廃されることはコロナ終焉を意味するといっても過言ではないでしょう。いまのアメリカでは「やっと終わる」という流れが本格的になっています。(すでにテレビではコロナに関する報道がほとんどなくなった)

コロナ騒動前からマスク着用に慣れている日本人からすれば理解できないほどにアメリカ人はマスク着用を嫌悪しています。マスク着用を巡る動向がどのようになるかによっては、アメリカのコロナ騒動は一気に収束する可能性があるでしょう。

まとめ

アメリカでは日を追うごとにコロナに関する報道が減ってきており、国民の実感としてはすでに終わったものとして捉えられてきています。バイデン政権が国民感情や支持率を見据えて、マスク着用義務化をどのように扱うかがポイントです。

まずは、2022年5月3日で期限を迎える大統領令が延長されるかどうかに注目しましょう。また、アメリカの動向を日本政府がどのように追随するかも注視したいところです。

本記事は、2022年4月28日時点調査または公開された情報です。
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この記事を書いた人

公務員総研編集部のMです!
世界の情報や日本の歴史・日本の政治についてなどのライター記事やオリジナル記事を配信します。

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