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救命救急士の仕事内容について – 医療行為を行える救急隊員

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目次

地方公務員として働く「救急救命士」の仕事内容とは

「救急救命士」とは、病人やけが人が発生したときに救急車に同乗して現場に向かい、傷病者を病院に搬送するまでの間に救命救急の最大限の処置を行う職業です。

地方公務員として働く「救急救命士」は、市町村が設置する消防署などに勤務しています。救急救命士になるには、救急救命士の国家試験と、自治体ごとに実施される地方公務員試験の一種である、消防官採用試験の両方に合格する必要があります。

1991年に「救急救命士」の国家資格が誕生し、国家試験に合格することで救急救命士としての資格を得られるようになりました。国家試験を受験するには、救急救命士養成所として定められた施設で2年間学び必要な単位を取得するか、消防署で救急隊員等の実務経験を約5年以上積み、更に6ヶ月以上の救命講習を受けることで受験資格を得ることができます。

「救急救命士」という職業ができる前には、救急車に乗る救急隊員は医療行為が行えなかったのですが、救命率を上げるために「医療行為を行える救急隊員」として新しく作られた職業が「救急救命士」でした。

患者の搬送中の治療は設備的問題や時間的問題から応急処置になることがほとんどですが、その応急処置によって救命率が大きく左右されるため、「救急救命士」は非常に重要な役割を担っています。

消防署内と消防署外での救急救命士の仕事

救急救命士の多くは平常時は消防署内で事務作業を行っています。しかし、119番通報が入ったら一目散に救急車に乗り込んで現場に向かいます。移動中も消防署に待機する署員と連絡を取りながら患者の状況把握に努め、適切な処置を行える体制を整えます。

救急救命士は勤務日には6~8時間の休憩と仮眠の時間を含む「24時間勤務」体制をとっているところがほとんどで、勤務日と非番の日が1日おきになっていることが多いようです。1日の出動件数にもよりますが、その日の勤務時間のほとんどが救急車での移動時間や現場での治療時間として過ぎてしまうことも多く、食事や仮眠がとれないという場合もあります。

「救急救命士」と救急隊員・医師・看護師との仕事内容の違いは?

「救急救命士」と一般的な救急隊員、医師、看護師の仕事は皆、患者の命を救うという点では共通しています。しかし、法律で許されている範囲の医療行為が異なっており、同じ救急救命の現場にいてもそれぞれ担う役割が違います。

それでは、具体的に「救急救命士」と救急隊員、医師、看護師の役割・仕事にはどのような違いがあるのかご説明します。

「救急救命士」と救急隊員・准救急隊員の違い

「救急救命士」は国家資格職ですが、救急隊員に国家試験はありません。

救急隊員は、それぞれの自治体によって実施される地方公務員試験の消防職員採用試験に合格し、6ヶ月間消防学校で研修を受けると消防士としての勤務が始まり、更に消防学校で「救急標準科研修」を受け、救急隊に配属されると救急隊員として勤務することができます。


救急隊員は、その他、救急車に同乗し、傷病者の気道確保や人工呼吸、止血、保温などの応急処置を行うことができますが、「救急救命士」は、同様の応急処置を行うことができることに加えて、静脈路確保のための輸液や、器具を使用した気道の確保などの処置について、医師の指導のもと行うことができます。

さらに、救急救命士は認定を受けると、その他の救急救命処置も行うことができるようになります。2004年からは気管に直接管を通し酸素を送る「気管挿管」、2006年からは心臓機能停止の傷病者に強心剤を投与する「薬剤投与」を、それぞれ認定を受けた救急救命士が実施できるようになりました。救急救命士が行える処置の幅は広がってきています。

このように、「救急救命士」と「救急隊員」とでは、救急救命処置の中でも扱える範囲が異なり、救急救命士の方がより専門的で、多くのケースで医療行為を行えると言えます。

「救急救命士」の救急車同乗推進と、准救急隊員制度の創設

救急隊員は3人1組で救急車に同乗することが義務になっていますが、その3人のうち1人は「救急救命士」にしようという動きが「消防庁」によって推進されています。

しかし、一部地域では人手不足により救急隊員3人の確保も難しいという現状をふまえて、2017年からは「准救急隊員」制度が創設されました。これは、看護師・准看護師・医師・保健師・救急救命士資格者や、救急科(250時間)の修了者、消防隊OBのほか、医療職以外の人材として92時間の救急業務講習を修了した自治体職員を「准救急隊員」として任命し、救急車に同乗する最低3人につき1人まで准救急隊員を含めてよいという制度です。

准救急隊員は救急隊員よりも更に扱える医療行為に制限がありますので、より多くの医療行為を行えるのは救急救命士ということに変わりはありません。専門的な救急救命処置業務を行うことで、患者の命を救いたいと考える
方には、救急救命士の仕事が向いているのではないでしょうか。

「救急救命士」と医師の違い

「救急救命士」は医師の指導のもと、専門的な救急救命処置が行える救急隊員です。急病人が発生し、119番通報が入ると、救急救命士は救急車に同乗して現場に向かい、搬送先の医師と連絡を取りながら応急処置を行います。

医師と比べると救急救命士が行える処置には制限がありますが、「気管挿管」の認定を受けた救急救命士は、医師の指示のもと、直接気管に挿管し酸素を送る処置ができますし、「薬剤投与」の認定を受けた救急救命士は心臓機能が停止した患者に対して医師の指導のもと強心剤の投与を行うことができ、救命率を上げることに繋がっています。

このように、救急救命医などの医師は病院で、救急救命士は現場や救急車内で、それぞれ患者の治療にあたり、それぞれの役割を全うしつつ協力して、日々患者の命を救おうとしています。

救急救命士とドクターカーの関係

最近では、病院に搬送するよりも救命医が現場に向かった方が適切な処置を行える場合に出動する「ドクターカー」を配備する病院が増えてきています。ドクターカーは大きな事故や災害による重症外傷者の発生を知らせる119番通報があると、医療センターや病院等にも連絡が入り、担当医と看護師が必要な医療器具を持って現場に向かいます。

ドクターカーに乗った医師は移動中も現場の救急救命士や救急隊員と連絡を取り合いながら、必要な処置を想定し、現場で最大限の治療が行えるように努めます。

救急救命士は現場に到着した医師に患者の状況について正確に報告し、協力して処置を続けたり、病院に搬送するか判断したりするサポートをします。当然ながら病院に搬送した方が医療設備は整っているので、より高度で繊細な処置が可能となりますが、一刻を争う場合には体を動かさずに現場での応急処置が必要なケースもあり、現場の救急救命士と医師の意思疎通、連携はとても重要です。

救急救命士と救命医にはこのような役割の違い、扱える処置の違いがあります。救急救命士と医師が同じ現場で働く機会も増えつつありますが、やはり有事の際に最前線の現場で活躍することが多いのは救急救命士であり、そこにやりがいを感じる方も多いようです。

「救急救命士」と看護師との違い

救急救命士も看護師も、医師の指示のもと医療行為を行なったり、医療処置のサポートを行う職業です。

救命の現場での役割の違いに注目すると、救急救命士は傷病者がいる現場から救急車内で応急処置を行い、無事に医療機関に搬送するまでを担当します。搬送先を探し、医師と連絡をとりながら、人工呼吸や気道確保、認定を受けた救命士に限り気管挿管や薬剤投与などを施しながら、病院で待つ医師にバトンタッチしていきます。


一方で看護師は、病院など医療機関で傷病者を受け入れる準備を適切に行い、患者が到着してからは医師とともに治療にあたります。救急車内では対応できなかった応急処置や、薬剤の投与を担当するほか、手術のサポートを行います。患者が回復してからは、身の回りの世話やリハビリの管理、カルテの作成など、入院生活のケアを担当します。

このように、同じ医療行為のサポート役を担う救急救命士と看護師ですが、活躍する場所と内容に違いがあります。最近では看護師の中にも医師と同様、ドクターカーに同乗して現場で処置を行う役割を担う方も増えているので、活躍の場所は広がってきていると言えます。

特に救命の現場で働きたいという場合は、救急救命士の方が希望が叶う可能性は高いかと思います。看護師は救急救命科等にに配属を希望することはできますが、救急救命センターなどがある大病院の場合、配属先も多様であるため、まったく別の科に配属される可能性があります。

また、救急救命士も看護師も同じ国家資格ではありますが、養成課程や必要単位、受験資格には違いがあります。また、就職先として地方公務員の救急救命士はもちろん、看護師の中でも地方公務員の看護師を目指すとなると、どちらも資格を取得した上で公務員試験を受けることになるため、それぞれの勉強が必要です。

地方公務員として働く救急救命士の勤務地は?

地方公務員として働く救急救命士の勤務地は、その多くが消防署です。

消防署で勤務する救急救命士は、消防署内では救急隊員と一緒に事務作業を行い、119番通報があれば救急車で現場に向かいます。火災発生時に出動する消防官とは役割が異なりますが、傷病者がいる場合には救急車に乗り同じ現場に駆けつけることもあります。

消防署に勤務する地方公務員の救急救命士になるためには救急救命士の資格を取得するだけでなく、消防官採用試験に合格しなければなりません。消防官採用試験は地方公務員試験の一つとして、各自治体で実施されます。

消防官から救急救命士になることも可能で、その場合は救急隊員として5年以上の経験を積む等の受験資格を得て、国家試験に臨むことになります。

また、少数ではあるものの自衛隊で働く救急救命士もいます。自衛隊に勤務する救急救命士は国家公務員であり、自衛隊の採用試験に合格する必要があります。自衛隊は有事の際に国防を担うだけでなく、地震をはじめとする大規模な災害が発生した際には現場に向かって救助活動を行うため、その際には救急救命士が中心となって救助された人の応急処置を行います。

どの組織に所属するにしても、傷病者を病院に移送するまでの応急処置を行う救急救命士の存在は、救命率の向上のためにとても重要です。近年では救急救命士が行える治療範囲の拡大が議論されており、一部の医療行為を認定制にして医師や看護師だけでなく救急救命士も行えるようにするなど、活躍の場は広がっています。

救急救命士は国家資格であり地方公務員として働くことが多いですが、公務員以外の民間での働き方もあります。最近では民間でも大規模な総合病院や救急センターといった医療機関にドクターカーが配備されるようになっていて、そのドクターカーには医師や看護師が乗ることもあれば、担当の救急救命士が勤務している場合もあります。

このドクターカーはもちろん、公立の医療センターにも配備が進められています。ドクターカーには救急車タイプのものと、乗用車タイプのものがありますが、どちらも緊急自動車として認められています。救急車との違いはその病院専属だという点で、病院の周辺地域の救急救命に貢献することができる、救急救命士の新たな勤務先としてますます重要になってきているようです。

まとめ

このページでは、地方公務員として働く救急救命士の仕事内容について解説しました。また、救急救命士と一般の救急隊員の扱える処置の違いや、救急救命士と医師や看護師との役割の違いについてもご紹介しました。

救急救命士の勤務先はほとんどが消防署ですが、他にも活躍の場は広がってきていることはご紹介した通りです。地方公務員の救急救命士としてのどのように働きたいのか、キャリアプランに合わせて勤務先を選択し、それぞれの採用試験に向けて準備をしましょう。

また、同じ救急救命の現場で働くにしても、救急救命士として携わるのか、他の医師や看護師として携わるのかによって役割が異なります。その中でも救急救命士は救急救命の現場の最前線で勤務する、責任が大きく、やりがいも大きい職業です。

訂正とお詫び

誤)専門的な医療知識や技術が必要な輸血
正)静脈路確保のための輸液

大量の出血時には輸血が必要となりますが、救急現場ではこれを行うのが困難なため、電解質液(乳酸加リンゲル液)で補うものです。また、心拍が停止して時間がたつと、点滴のための血管(静脈)注射が困難となるため、いち早く救急現場で静脈路を確保するための処置です。

▼参考URL:http://www.zck.or.jp/site/activities/3620.html

誤解を与える文章について、訂正してお詫び申し上げます。


(訂正日:2022年10月5日)

本記事は、2018年5月31日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

コメント

コメント一覧 (2件)

    • ご指摘ありがとうございました。再度調査し、輸血ではなく輸液の間違いであったと判明いたしました。
      訂正してお詫び申し上げます。

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