世界情勢を見据えて日本の安保対策を担当する中央省庁「防衛省」の基本情報

日本の平和と独立を守り、国の安全を保つため、陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊(自衛隊)を管理・運営し、これらに関する事務の遂行を任務とする中央省庁「防衛省」について解説します。

前身は、防衛庁でした。


はじめに

「防衛省」は、東京都新宿区市谷にあり、2007年に設置された日本の中央省庁です。定員は、26万8,061人で、定員のうち、自衛官は24万7,154人、自衛官以外の職員は20,907人で、この自衛官以外の職員のうち一般職は27人です。

なお、前身の組織は、「防衛庁」でした。

今回は「防衛省」の公務員を目指す方に押さえておいてほしい基本的な情報と役割について解説します。

「防衛省」について

「防衛省」は、東京都新宿区市谷に置かれた中央省庁の1つで、長は、防衛大臣です。

また、「防衛省」では、平成25年12月に策定された新たな防衛計画の大綱(防衛大綱)に基づき、「我が国自身の努力」「日米同盟の強化」「安全保障協力の積極的な推進」の3つを柱として活動しています。

この「防衛大綱」の中で、「我が国自身の努力」は日本の防衛の基本であり、様々な事態に対応できるよう、陸海空の各自衛隊を統合的に運用して機動的な『統合機動防衛力』を構築し、我が国の平和と安全、国際社会の平和と安全のために全力で活動しています。

「防衛省」の役割と社会情勢について

「防衛省」の役割は、日本と国際社会の平和と安全を守るために陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊(自衛隊)を管理・運営することです。

現在の社会情勢は、世界各地に地域紛争が生起し、多くの人々が苦難を強いられており、国家間・民族間の武力紛争に加えて、テロリズムや海賊、国際社会の不安定化を助長する大量破壊兵器の拡散など、従来とは全く異なる脅威が顕著となっています。

このような状況の中で、日本は、先の大戦が終結して以降、武力紛争に巻き込まれることなく着実な戦後復興と経済発展の道のりを歩んできましたが、日本の安定が長く続く保証はありません。

実際に、北朝鮮による弾道ミサイル発射や核実験の実施、韓国哨戒鑑沈没事件、韓国延坪島砲撃事件、中国の潜水艦による領海内潜没航行事案、中国の漁船による海保巡視船衝突事件などが生起しています。また、竹島問題、東シナ海における中国のガス田開発などの日本の領城や権益を脅かす事象や、中国における軍事力の急速な近代化には注目せざるをえません。

そこで、「防衛省」は、これらの脅威や事態に対応し、実効性の高い防衛力を効率的に整備するため、「国家安全保障戦略」を踏まえた新たな「防衛計画の大綱」および「中期防衛力整備計画」を決定し、あらゆる事態に対処できるよう平和安全法制を整備しました。


さらに、「防衛省」は、同盟国との協力や国際社会における多層的な安全保障協力を進め、平成27年4月の「日米安全保障協議委員会」で了承された新たな「日米防衛協力のための指針」は、21世紀に新たに発生している安全保障上の課題に対処するため、よりバランスのとれた実効的な同盟を促進しています。

また、平成23年3月に発生した東日本大震災への対応として、「自衛隊」は、史上最大の10万人態勢を敷いて未曾有の被害に見舞われた被災地で救援活動に当たるなど、毎年発生する地震および台風などの自然災害に対し、迅速かつ的確な対応に努めています。

なお、「防衛省」の業務は、国内にとどまらず拡大しており、国連平和維持活動(PKO)には既に20年以上にわたって積極的に参加しているほか、テロリズムを防止するための多国籍軍の活動への支援やイラクにおける復興支援、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処にも取り組んでおり、国外での大規模な災害に対する国際緊急援助活動を実施し、自衛隊の組織力を活かして国際社会の安定に寄与しています。

「防衛省」の組織構成について

「防衛省」の組織構成は、幹部である「防衛大臣」「副大臣」「防衛大臣政務官(2名)」「防衛事務次官」「防衛審議官」「防衛大臣秘書官」「防衛大臣補佐官」「防衛大臣政策参与(3人以内)」、内部部局である「大臣官房」「防衛政策局」「整備計画局」「人事教育局」「地方協力局」によって成り立っています。

「幹部」「内部部局」のほかに、「審査会等(自衛隊員倫理審査会、防衛施設中央審議会など)」「施設等機関(防衛大学校、防衛医科大学校など)」「特別の機関(陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊など)」「地方支分部局」「外局(防衛装備庁)」があります。

このように、「防衛省」は、実力組織である自衛隊のほかに、日本の安全保障政策を企画・立案する内部部局(1官房4局)を中心に、装備品の研究開発やプロジェクト管理等を行う防衛装備庁や、実力組織である陸・海・空自衛隊、安全保障に関する研究を実施している防衛研究所、日本で最大の情報組織である情報本部など、さまざまな組織で構成され、グローバルな視点から日本の安全保障政策を追求しています。

なお、「防衛省」の組織の中で、省をとりまとめているのは「大臣官房」です。「大臣官房」の主な業務は、人事・予算・組織・国会関係の事務の窓口や法令の立案・審査、各種広報活動や政策評価など、防衛省内の総合調整です。

「防衛省」の年間予算は約4兆9,388億円

「防衛省」の平成30年度の予算は、約4兆9,388億円でした。

予算の主な内訳は、大きく下記の8つに分かれて編成されています。

1)防衛関係費(人件・糧食費、物件費、歳出化経費、一般物経費)
2)各種事態における実効的な抑止および対処
3)アジア太平洋地域の安定化およびグローバルな安全保障環境の改善
4)日米同盟強化および基地対策等
5)人事教育に関する施策
6)効率化への取組
7)防衛装備・技術政策への取組
8)その他(編成・機構定員関連事業、税制改正)

内訳についてはこちらの予算概算要求の概要をご参考ください。
http://www.mod.go.jp/j/yosan/2018/yosan.pdf

まとめ

いかがでしたか?

「防衛省」は、世界各地の地域紛争や自然災害など様々な事態に対応できるよう、実力主義の海・陸・空の各自衛隊を総合的に管理・運営し、より機動的に運用するために「総合機動防衛力」で我が国の平和と安全や国際社会の平和と安全のために全力で活動しています。

ちなみに、「防衛省」の英語名称は「Ministry of Defense」で、略称は「MOD」です。

「防衛省」のウェブサイトのURL

http://www.mod.go.jp/


本記事は、2018年12月27日時点調査または公開された情報です。
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