【立法府で働く公務員】「衆・参議院」と「国会図書館」の採用試験「倍率」

国家公務員の中でも国会職員として働く方々の多くは、衆議院・参議院および国立国会図書館の採用試験で採用されています。

この記事では、衆議院・参議院・国立国会図書館、それぞれの採用試験の「倍率」についてまとめます。


立法府が実施する「国家公務員試験」の種類

日本の「国家公務員」は、三権分立を担う、行政府、裁判所、立法府それぞれに所属しています。その中でも立法府は国会を指しており、国会の中には「衆議院」「参議院」「国会図書館」などの組織があります。

国会が実施している試験には、「衆議院事務局職員総合職・一般職・衛視」、「参議院事務局職員総合職・一般職」、「参議院事務局職員(技術系)総合職・一般職」、「参議院事務局職員専門職(衛視)」、「国立国会図書館職員」などの採用が行われています。

ただし「衆議院事務局」の「技術職」については、人事院が実施する「国家公務員採用一般職試験」の合格者の中から面接試験を経て採用を行うなど、一部人事院と合同で行われる試験もあるようです。

国会職員のページ

国立国会図書館職員のページ

「衆議院事務局職員採用試験」の試験区分

「衆議院事務局職員採用試験」の試験区分には、「総合職(大卒程度)」、「一般職(大卒程度)」、「一般職(高卒)」、「衛視」、「技術職(一般職・大卒程度)」、「技術職(一般職・高卒)」があります。

「技術職」については人事院が実施している「国家公務員採用一般職試験」の合格者の中から採用されているようです。

▼参考URL:衆議院ホームページ|衆議院事務局採用情報:試験案内
(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/saiyo/contents/shiken_daisotsu.html)

【衆議院事務局】「総合職(大卒程度)」の採用試験の「倍率」

平成30年度の「衆議院事務局総合職(大卒程度)」の採用試験の「倍率」は、「109倍」でした。このような「高倍率」だったのは、受験申込者が325名に対し、最終合格者が2名だったためです。

平成31年度も「衆議院事務局総合職」としての採用予定者数は「若干名」なので、志望者が多ければ高い「倍率」が続く可能性があります。

【衆議院事務局】「一般職(大卒程度)」の採用試験の「倍率」

平成30年度の「衆議院事務局一般職(大卒程度)」の採用試験の「倍率」は、「32.9倍」でした。「衆議院事務局」の「総合職(大卒程度)」の「109倍」に比べると「倍率」は低くなりますが、それでも30倍以上の「倍率」は「国家公務員試験」の中でも比較的高いようです。


【衆議院事務局】「一般職(高卒程度)」の採用試験の「倍率」

平成29年度の「衆議院事務局一般職(高卒程度)」の採用試験の「倍率」は「109.6倍」でした。これは「衆議院事務局総合職(大卒程度)」と同じ水準の「高倍率」です。

「一般職(高卒程度)」についても、最終合格者が「10名」だったところ、1,287名もの受験生が受験したため「高倍率」になったようです。「衆議院事務局一般職(高卒程度)」の採用数は、近年10名前後で推移しているため、「倍率」としては高い傾向があります。

【衆議院事務局】「衛視」の採用試験の「倍率」

平成29年度の「衆議院事務局衛視」の採用試験の「倍率」は、「96.7」倍でした。ただし、平成29年度受験申込みをした人が913名いましたが、実際に1次試験を受験したのは677名であり、最終合格者は7名というデータを見ると、申込み時点では「約130倍」だったところ、1次試験の段階では「約96倍」まで下がっているとも言えます。

「参議院事務局職員採用試験」の試験区分

「参議院事務局職員採用試験」の試験区分には「総合職(大卒程度)」、「総合職(技術職・大卒程度)」、「一般職(高卒程度)」、「専門職(衛視・高卒程度)」があります。

参議院については、受験申込者と最終合格者のみ公表されており、実際の受験者数が不明のため、受験生の中での「倍率」を計算することができません。受験申込者に対する最終合格の「倍率」をご紹介するので、「衆議院事務局職員採用試験」の「倍率」とは意味合いが違うということを注意してください。

参考:参議院ホームページ「事務局職員採用」
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/saiyou/index.html

【参議院事務局】「総合職(大卒程度)」の採用試験の「倍率」

平成30年度の「参議院事務局総合職(大卒程度)」の採用試験は、申込者が「613名」で、最終合格者が「13名」でした。実際に受験した人数が公表されていないため、正確な受験の「倍率」は出せませんが、申込者に対する合格者の「倍率」は「約47倍」です。しかし、実際の受験者に対する「実質倍率」は、これより低い可能性があります。

【参議院事務局】「総合職(技術職・大卒程度)」の採用試験の「倍率」

平成31年度の「参議院事務局総合職(技術職・大卒程度)」の採用試験について、採用予定数は「若干名」と発表されています。「参議院技術系総合職(大卒程度)」の採用試験の近年のの実施状況は不明のため、「倍率」を算出することはできませんが、今年も若干名採用予定という狭き門のようです。

参考まで、現在1,200名ほどの参議院事務局職員の中で、技術系職員は約70名いるようです。

【参議院事務局】「一般職(高卒程度)」の採用試験の「倍率」

平成28年度の「参議院事務局一般職(高卒程度)」の採用試験について、申込者は「1,255名」、最終合格者は「12名」でした。実際に受験した人数は公表されていないので、他の公務員試験のように、受験生の中の合格者という「倍率」を計算することはできませんが、申込者に対する合格者の「倍率」を計算すると、「約104倍」でした。

実際に受験した人の数は申込者よりも少ないことが想定されるので、実際の「倍率」は「104倍」よりは低いと思われます。

【参議院事務局】「専門職(衛視・高卒程度)の採用試験の倍率

平成28年度の「参議院事務局専門職(衛視・高卒程度)」の採用試験については、申込者が1003名に対し、1次試験の合格者が61名、最終合格者は5名でした。申込者に対する最終合格者の「倍率」を計算すると、「約200倍」です。

実際の受験者数は公表されていないため「実質倍率」は不明ですが、参議院の専門職である「衛視」はとても人気のある職種だと言えます。

「国立国会図書館職員採用試験」の試験区分

衆議院・参議院と同じように立法府の組織のひとつとして「国立国会図書館」があります。そして「国立国会図書館」の職員も、国家公務員の一員として採用されています。

「国立国会図書館職員採用試験」の試験区分には、「総合職(大卒程度)」、「一般職(大卒程度)」、そして平成31年度の採用試験では「資料保存専門職員(大卒程度)」があるようです。


過去には「一般職(高卒程度)」という高卒者向けの試験区分もありましたが、平成24年以降は実施されておらず、大卒程度向けの試験のみ実施されているようです。

参考:国立国会図書館ホームページ「採用情報」
https://www.ndl.go.jp/jp/employ/index.html

【国立国会図書館職員】「総合職(大卒程度)」の採用試験の「倍率」

平成30年度の「国立国会図書館総合職(大卒程度)」の採用試験の「倍率」は、「108.5倍」でした。総合職試験には「特例制度」があり、不合格になった場合でも「一般職」を併願することで、「一般職(大卒程度)」の受験生として扱われることが可能なようです。ちなみに平成29年度については、「114.8倍」でした。

【国立国会図書館職員】「一般職(大卒程度)」の採用試験の「倍率」

平成30年度の「国立国会図書館一般職(大卒程度)」の採用試験の「倍率」は、「108.1倍」でした。「一般職(大卒程度)試験」には総合職の不合格者も受験生に含まれますが、「倍率」は総合職と同じくらいの水準だったようです。また、平成29年度については「77.6倍」だったため、総合職より「倍率」は低かったようです。

【国立国会図書館職員】「資料保存専門職員(大卒程度)」の採用試験の「倍率」

平成31年度には「資料保存専門職員(大卒程度)」という試験区分が設定されていますが、近年、専門職員の採用試験は実施されていないようです。そのため、過去の「倍率」は不明です。採用予定数は「若干名」ですので、「総合職」や「一般職」のように「高倍率」となると予想されます。

ちなみに「試験案内」を確認すると、「専門職員」の給与・待遇などは「一般職」と同等とされています。

まとめ

このページでは、国の立法機関である「国会」ではたらく「国家公務員」について、その採用試験の「倍率」をご紹介しました。衆議院については「申込者」と「受験者数」をそれぞれ公表しているため、申込のみで受験を辞退した人を除いた「実質倍率」を計算できますが、参議院については「申込者」のみ公表されているため、辞退者も含んだ「倍率」を紹介しています。

「公務員試験」では申込後に受験を辞退する人も一定数いるため、「申込者」に対する「倍率」と「受験者」に対する「倍率」では違いがあります。各試験の「倍率」については、そういった計算方法の違いも意識して、参考にしていただければと思います。

また、「国立国会図書館職員」には「資料保存専門職員」という新しい試験区分が登場しました。「史料保存専門職員試験」の「倍率」が、総合職や一般職に比べて高いか低いか、そして今後どのように推移していくのかも注目されます。

本記事は、2019年7月14日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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