「大学生」から社会人へ
義務教育期間から大学を卒業するまでの16年間を経て、順調に行けば22歳で卒業し、23歳から社会人生活が始まります。それから約45 年にも渡る職業人生が始まります。一度職業人生が始まってしまえば、その流れがライフワークとなって就活に対する苦悩や悩みが記憶に残ることは少ないかもしれません。しかし、そのスタートはその後の長い人生において大きく影響を与える出来事となります。
「終身雇用」から多様なキャリア設計・人生プランへ
(株)オールアバウトの調査によれば男性の約半数が転職未経験であると回答しており、女性では32%と明確な差が出ています。これは出産や育児が影響していると考えられますが、年代別を見ると男女ともに30代から転職経験者が増加傾向にあり、40歳以上の女性では3割以上が4回以上転職経験を有していると回答しています。つまり、新卒で就職した人が転職する割合は30%~50%ということになります。これは、もはや意外な数字でもありません。
このようにスピンオフしていくことは、一般的に望ましくないことのように捉えられがちですが、ネガティブ要素ばかりではなく、転職するたびにステップアップしていく人も数多く存在しており、キャリアプランとしても悪い選択とはいえません。
だからこそ、最初の一歩をしっかり考える
そう考えると、初回の職業の選択や企業選択は、その後の生き方や人生設計に大きく影響すると考えられるため、重要なポイントとなることは間違いありません。
そのために働くことの意味や働くイメージを持つことで、曖昧模糊としている就職先の選択や自己紹介、自己アピールなどの内容が少しずつ鮮明になっていきます。
また、大学は就職率向上のために就職には明確な方向転換を勧めてくる場合があります。もしも自分に明確な方針や方向性が定まらない学生にとっては、本人の将来や希望よりも、経営戦略上における選択肢が自分の将来に大きく影響する可能性があるというわけです。
これが幸いすることも、その逆もあり得るわけですが、自分の将来ですから自分で積極的にチャレンジしていくことで、自らの選択に責任が生じ、働く意欲や取り組みにも違いが出てくることになります。
就職までの流れ・就職活動の時期
次に、いわゆる社会人の第一歩目の決定イコール就職内定までの全体の流れを説明します。
就職までの流れ
大学生にとって、特に気になるものの一つが、就職活動の時期ではないでしょうか。
民間企業ではなく「公務員」ということであれば公務員になるための試験勉強などの対策が始まりますが、筆記試験・面接試験という構造では、一般的な民間企業への就職活動と変わりません。
今回は、就活、就職するまでの流れの中で、重要となるポイントについて解説します。
ポイント1:「自己分析」
「自己分析」とは、自分の優れた点や不足している点、また価値観・大事にする点や尺度を客観的に見つめ直し、言語化することです。他人へ自分を説明するための「素材」が明確になり、今後どういった「素材」になりたいかのビジョンも導きだす作業です。スープでいうと、現状の具材が何で、今後どんな具材をいれて、どんなスープをお客様(社会)に提供するか、就職活動での就職方針およびエントリーシートでの自己PRの内容の「元」になる大事な作業です。ここは一朝一夕で本来はできるものではなく、学生側も、志望企業に受かるためにテクニック・ノウハウなどをインターネットの就活サイトで入手し、表面的なところばかり向上してしまい、面接官も皆、サークルの副部長といった同じような内容のものがでてきて、悩ましい状況もでています。
「自己分析」の考え方
自己分析は「客観的であること」が大切です。「客観的に認識するということ」は優れた部分も不足する部分も明確にしていく必要があります。
そうすると、多くの場合は優れた部分よりも自分の不足部分の方が目立っているように錯覚してしまいますが「自分の優れた部分に気づかない人」は、自己分析の際に過去にもっとも輝いた際のエピソードを振り返ることで、その部分を補っているケースが多くなります。
しかし、そのエピソードがその学生の良さを適切に表現しているとは言い難く、採用担当者の価値観とズレを生じさせる可能性があります。エピソードはどのような内容でも良いというわけではなく、自己分析票のようなものを作成し、第三者から見た自分を正しく見つめ直す必要があります。取り立てて「優れる」ものがないと感じる場合でも、自己分析票などによって客観性を持つことで見えてくるものがあるはずです。
多くの学生は履歴書や自己PRなどを書く際に、自分の足りなさだけが目立ってしまい、自己嫌悪に陥ってしまう傾向が見られますが、そこで自信を喪失してしまうことは賢明ではありません。あくまでも評価は相手(採用試験担当者)がするものですから、自信のない態度や劣等感などを持って試験に臨んでも願った結果は望めるはずがありません。
自己の評価は甘くせず、正しく自己評価をするためには、キャリア支援のアドバイザーかゼミ担当教員に自己分析結果の診断をお願いしてみることも必要です。
クラブ活動やアルバイトはアドバンテージにはならない
とにかく自己アピールをしていくことが必要である場合に、どこをアピールポイントにするかということを考えなくてはならなくなります。まずその際に上がってくる1番手はクラブ活動です。
クラブ活動を積極的に行ってきた経験を持つ学生の数は全体の70%にもなります。さすがに何もしないで4年間を過ごすよりも、積極的に部活動に打ち込んできたという方が企業の印象は良くなりますが、70%の学生が何らかの部活動経験を持っているならば、さほどそのポイントは有利に働くことはありません。中でもマネージャーや学連の役員をしていたような学生は有利であるという噂はよく聞こえてきますが、どれも根拠はありません。何をやるにしても漫然と4年間を過ごしてきたというのでは評価されることはないのです。
とにかく何かしらの明確な目標を持って、やり遂げることが重要です。競技成績などもさほど評価の対象にはなりません。世界選手権大会への出場やオリンピック出場などの選手ぐらいは別格でしょうが、このような選手にはそれなりの道が用意されているものです。
しかし、その逆は印象を悪くする可能性があります。つまり、途中で退部し、アルバイトに専念していたというような場合や色々な部を転々としているようなケースです。これは、アルバイトの良し悪しを問うものではなく、夜中まで働くことで授業に出られず、単位の取得に支障をきたしているようなことでは、本末転倒となる可能性があるということです。学費を稼ぐためのアルバイトなどを否定するものではありませんが、基本は「何事も最後までやり抜く精神的、肉体的な持久力」があるかどうかがポイントとなるのです。
何をやっても続かないのではないかという印象は、職場での働きぶりを連想させてしまいます。様々なことに興味を持ち、多くのことにチャレンジをすることで、充実した学生生活を過ごしたかどうかが重要となります。学生時代の評価には、積極的に社会との接点を持ち、実社会の状況をどれだけ理解しているかということが大切です。仕事の実態や特徴などを理解していることは、就職活動に大きく影響してくるのです。
中には、接客関連業務がある企業でのアピールとして、「居酒屋でのアルバイト経験があるので自信があります。」といったアピールをする学生の数が非常に多く、居酒屋アルバイト経験の多さには驚かされます。しかし、単におカネを稼ぐことだけを目的のアルバイト経験は全く役に立たないばかりか、自己アピールにはならないことを知っておくべきでしょう。
それでもアルバイトを就職活動に活かそうとするならば、就職を希望する企業へのインターン経験が有効であり、実際の職場や業務内容、雰囲気などを理解し、企業サイドも学生の人物像や仕事への対応力などを評価することができ、高い確率で適正を判断することが可能になります。実際にインターンから直接アプローチされたという実績は多くなっています。そのことからもインターンシップ経験には大きなアドバンテージをもたらす可能性があります。
ポイント2:「インターンシップ」の活用
在学中におけるインターンシップの経験は、実社会との接点をつくり出し、就業イメージを明確にしてくれます。本来志望する企業ではなくてもインターン経験が無駄になることはありませんし、企業や業種の選択に大きな影響を与えてくれます。しかし大企業の場合は、明確に役割が分化されていて、総合的な仕事の流れが掴みづらいかもしれません。ビジネスの仕組みを理解し、経営の本質を感じていくためには中小企業を選択する方が成果は得られやすいともいえます。
繰り返しになりますが、就職を希望する企業がある場合には、その企業へのインターン経験が大きなアドバンテージとなることがあります。そういった経験はとにかく積極的に対応しておくことが就職活動を楽にしてくれます。
アメリカなどではインターンを積極的に募集している企業は多く、有給採用となっているほか、そのほとんどが就職を前提としています。さらに就職が決まると、在学中に借りていた奨学金なども補助してくれるケースがあります。そのために企業はインターン採用する学生に対し、会社に対する志望度の高さや、企業や仕事への理解、そして実際にインターンに参加した際に意識の齟齬がないかどうかという部分を確認してきます。
1)インターンシップに興味を持った理由
2)インターンシップを通じて学びたいこと
3)インターンシップに参加する目的と目標
4)インターンシップでどのように自身を成長させたいか
このように、明確な目的や目標、志望理由や動機が明確であることが大切です。
※インターンシップとは
学生が実際に企業に赴き、その組織の中で一定の期間職業体験をする事が出来る制度です。一日限りのものから長期に亘るもの、報酬の出るものから出ないもの等、様々な種類があります。
ポイント3:「就職セミナー」への参加
就職活動の方針も決まって、いよいよ具体的に企業にエントリー・試験・面接と進める上で最初の活動が「就職セミナー」への参加です。
企業の情報を直接聞く機会を作ることで、どこへの就職を検討していくかの材料とすることができます。また、企業の担当者と直接接することで、担当者との関係づくりや応対の基本を掴み取ることが可能です。
最近では、市や県で主催する「就職フェア」やマイナビなどの就職斡旋企業主催の「就職合同説明会」などが数多く開催されています。さらに大学でも地域企業の合同説明会(学内セミナー)が開催されており、就職活動においては、なくてはならないものとなっています。
この「合同説明会」などでは、直接企業とのコンタクトを取ることによって、就職対策として必要な心構えや知識などを得ることができるだけでなく、中には選考期間と何回にも及ぶ選考過程を短縮し、エントリーから面接までを1日で済ませてしまうセミナーも出てきています。就職サイトや求人サイトに掲載されていない非公開の求人情報が見られるセミナーも最近増えてきています。人事担当者が、面接のポイントや就職のポイントを詳しく解説してくれるセミナーもあり、今や業界情報を知る上でもセミナーは就職するために重要な役割を担っています。
就職活動セミナーの活用目的を整理すると、1)自己分析や自己表現の方法を理解すること、2)企業研究を行うこと、3)人事担当者とのコミュニケーションがとれることなどが主な目的となります。自分に最適な業界を探索しつつ、希望する企業の情報を集めることが大切です。
このセミナー自体が選考に直接関係することは少ないと思われますが、参加する学生の中で注目に値するような存在は企業もチェックしていますため、その後の就職試験にも関連していく可能性もあります。
ポイント4:大学生の就職活動スケジュール
就職活動に関する準備スケジュールは、早めに策定しておくことが必要です。
4年次になるといきなり就職活動がスタートしてしまいますので、その時が来てから焦る学生は多く、対応も遅くなりがちです。
いくら大学では就職活動を重視するとはいえ、合同企業説明会(企業セミナー)がテスト期間や課題提出と重なることや会社説明会の重複、部活動における大会などのスケジュール調整などで思うように進められないというケースもあるようです。人生のうちでも重要な就職活動であるため、十分な準備を進める必要があります。大学へ入学した時点から、早めのスケジューリングを心がけることが、希望の就職先に進むことができる確率を上げていきます。
各年次の準備内容
【大学1年生(1年次)】
・大学に慣れ仕事と学業との関係を学ぶ
・将来のために何を学習するかを把握する
【大学2年生(2年次)】
・進路についての理解を進める
・進路について必要な学習を進める
【大学3年生(3年次)】
・進路を明確化し、対象となる業種や企業を選定し研究を進める(必要能力培養)
【大学4年生(4年次)】
・就活本番
・対応スケジュールを策定し、効率良く進める
就職活動は1年生から考えよう
このように大学入学時から4年次までに様々な準備が必要になります。4年までは適当に過ごして4年次に対応すれば良いと考える学生も少なくないようですが、それでは遅すぎます。進みたい進路を探索し、業界研究や企業研究を進めることで、自分に不足する能力を正確に把握することで、3年次あたりではその不足を克服するための努力をしておく必要があります。これにはキャリア支援センターのみでは対応できないため、ゼミ担当の教員も含めて対応を検討する必要があります。
一般的な就職活動のための知識培養ではなく、進路を見据えた各個人別の準備や対応策を考慮することが大切であり、あくまでも学生の希望や志望を前提としていくことで、後に控える就職試験時に生かすことができます。
ポイント5:大学によるキャリアプランサポートの力を借りる
年度毎の就職率は、社会動向に強く影響を受けます。その時々の社会情勢や景気動向などを読み取ることで自分の進むべき道や、キャリアプランとしての道程を選定する情報としていくことができます。
特に理系の大学は専門性が高く、専門性の高い企業への就職に直結しており、理系の上位校は就職に強いと考えられていますが、就職状況は年度によって大きく異なるため、専門性の高い大学でも安心できません。景気の変動により企業が採用枠を増減していくため、理系の大学の優位性も万能とは言い切れません。
そういった背景から、大学評価基準の上位にランキングされている大学であっても就職活動は重視されており、行き届いた就職活動のサポート体制が整えられています。特にオーナー系の大学では大学の評価基準に対する意識が強く、独自のキャリア教育体制を整備しています。教員や事務職員の全員体制で対応することで高い実績を上げている大学もあるようです。
このように学生では就職活動を円滑で不安なく対応できるようにするため、実際に就職活動を進める際に必要とされる知識やノウハウを得るために様々なキャリアプランが用意されています。このプログラムは教育カリキュラムとして準備されているものもあれば、個別、プログラム別に時間や機会を設けられています。これらの教育プログラムは「あったほうが良い」と思われるものはおおよそ用意されていますが、学校によってその内容や方法は大きく異なります。
学校の評価基準として偏差値が重視されるのと同時に、就職率なども学校の重要な評価基準となっています。
内容は「履歴書・エントリーシートの記入」から「接遇・マナー」、「面接対策」、「就職模擬試験」など、就職活動に進む際に必要とされる知識やスキルが各学年の目標に沿って体系的に用意されています。さらに「公務員試験ガイダンス」、「教員採用試験対策」は必ず用意され、公務員系の進路を目指す学生へのサポートも必ず行われています。
学生へのサポート例
・履歴書・エントリーシート記入法
・接遇・ビジネスマナーの基本
・小論文の書き方
・模擬面接演習
・公務員試験ガイダンス
・公務員模擬試験
・教員採用試験対策ガイダンス
・就職サイトを使ってのエントリー
・合同企業説明会のまわり方
ポイント6:大手就職サイトの利用
大学生の就職希望者は、毎年約40万人といわれています。その40万人のうちのほとんどが100社程度までしか把握できないため、知名度の高い企業に進める人の数は限られています。そして残念ながら東大・京大・一橋・東工と国立・早・慶・上智・その他上位校に独占されることになります。これらの大学出身者でも確実とはいえないわけですから、地方大学の学生が上位企業の総合職の内定を目指す場合には、さらに厳しい現実が待っていると言わざるを得ないといえます。
そこで、「今まで知らなかった企業」を調査して申し込んでいくことになりますが、多くの学生によって活用されているのがナビ型就職サイトです。
リクナビやマイナビあたりは扱う企業数も多く、企業と学生双方の信任を得ているサイトになります。これらのサイトには、数多くの企業が紹介されているため、現在の就職活動には必要不可欠となっており、学生のほとんどがこうしたサイトに登録しているといえます。
ポイント7:「OB・OG訪問」
企業の研究を進める際には、Web検索やキャリア支援センターの資料によって調査しますが、資料やHPでは実際の雰囲気や職場の様子は分かりません。そこで、職場に強い味方を見つけることも有効な手段となります。つまり、母校の先輩が企業に存在することが分かれば、その先輩を訪ね、会社の仕事内容や雰囲気の詳細を聞くことができます。先輩たちは自分の後輩が訪ねてくれることに喜びを感じ、時には入社の手助けをしてくれるケースもあります。
入社のためにはどのような準備をすれば良いか、また学生生活はどのように過ごせば良いかなど具体的な情報を入手することができます。仕事の難しさややりがい、転勤や配属の可能性など極めて細かな情報までを入手することが可能になるため、キャリア支援センターでOB・OGがどういった企業で働いているのかなどの情報を入手し、積極的にアプローチしてみることで、新たな視点や希望する企業のイメージを正確に掴むことが可能になります。
また、現在ではWeb上でOB・OGを登録し、学生が希望する企業を検索し、OB・OGとのマッチングを実現させるサイトも出てきています。企業側も積極的に優秀な人材の確保を進めるために、活用していくケースも増えてきており、今後のOB・OGの存在や活用は重要なファクターの一つとなっていく可能性があります。
ポイント8:履歴書の作成と作成能力の習得
就職活動において、最も手間のかかる作業の一つが履歴書の作成です。就職活動をする学生にとって、履歴書は単なる申込書や自己紹介資料ではありません。履歴書は、自分が企業にとって有用な人材であることを積極的に売り込むための宣伝材料としての役割を有しています。内容は、志望動機や自己PR、得意分野などの記入欄があるため、単なるエントリーシートの一部ではありません。
このように、履歴書ほど自由に自分をアピールできる手段はないことが分かります。
面接では面接官の聞きたいことが中心に進行されますので、制約のある中でのアピールしかできませんし、長々とアピールすることは許されません。また、集団面接でも限られた時間の中で、印象のみを表現するのが精一杯という状況になってしまいます。
しかし、その面接において問いかけられる内容の基本情報は全て履歴書の情報から得られています。つまり、送られてきた履歴書に採用担当者や役員が事前に目を通し、可能性のありそうな学生をマークしておくことで、対象となる学生に対して積極的な質問が展開されるというのが一般的といえます。履歴書こそが自分自身を最大にアピールする手段となるという理由はここにあります。
また、大学生が就職活動の進行にあたり、大学指定の履歴書を使用するように指導する大学があります。大学での履歴書作成上における注意事項としては以下のようなポイントが指摘されています。
履歴書作成上における注意事項
・大学指定の履歴書を使用すること
・履歴書は必ず手書きとすること
・自己PRはキャリア支援センターの仕様で記入すること
・指定の封筒に指定の記入をすること
就職活動において重要なポイントの一つである履歴書ですが、強く希望する企業1社を受けて絶対的な自信があるような場合は、1度の作成で済みますが、多くの学生は10社以上の採用試験を受けることになります。そうなるとあらかじめ用意しなければいけない履歴書の数も相応の数になります。
では、大学指定の履歴書を使った方がいい理由とはどのようなものでしょうか。
実はあまり明確ではありません。丁寧に記載することや誠意が伝わるなどの指摘は昔から普遍なものではありますが、これは一昔前までの話です。また、「志望理由」「自己PR」などの欄は市販のものには設定されておらず、積極的なアピールが叶わないからといえます。
大学指定の履歴書には、紙質やカラーなどが工夫されており、上位校の履歴書が区別してもらえるようにされています。上位校や偏差値の高い学校の学生などは、こうしたメリットを考慮して、大学指定の履歴書を利用するケースが多いようですが、評価は出身学校で左右される訳ではありませんので、効果的な「自己PR」や「志望動機」を工夫し、記載する必要があります。
しかし、採用担当者が評価できない履歴書も数多く提出されます。
採用担当者が評価できない履歴書
・記載ミス
・送付状がついていない
・ヨレヨレ(シワだらけ)
・写真がスナップ写真や手で切った跡、曲がって貼り付け
・汚い文字(大きさや誤字脱字)、にじんだ文字
・年齢と入学・卒業年が合っていない
・何を学んできたかが不明
・スポーツだけのアピール
・アルバイト経験のみを強力にアピール
・希望職種(希望部署)を指定
・一般的な志望動機(企業研究ができていない)
・全体の体裁が乱れ気味
・下書きの消し忘れ
・修正液や修正テープによる修正跡
これらは、いくら上位校であっても評価の対象にはなりません。
しかし、数十枚の履歴書を作成する場合には、後半になる程文字の乱れが顕著になり、滑り止めや希望順位が低くなると書類も雑になりがちになるのは否めません。これらの項目の中でも、汚い文字や修正跡などの印象が悪くなることを考えると果たして必ず手書きである必要があるのかという疑問が湧いてきます。
ひと昔はそれで良かったものの、近年では必ずしも手書きである必要はありません。担当者は読みやすく内容が適正であれば評価の対象になります。さらに日頃文字を書く機会が少なくなってきている昨今では、極めて汚い文字しか書けない学生は数多く存在します。レポートや卒論などもPCで作成するようになってきていますので、ある意味では致し方ないことともいえます。
そう考えるとIT企業やシステムベンダーなどへの就職を検討している場合、手書きの履歴書ではPCリテラシーの問題が指摘され、思わぬ低評価につながってしまう可能性すらあるのです。
そういったことからも、履歴書の基本は「企業への重要な宣伝材料」となることを忘れてはなりません。
まとめ
大学生が「就職活動」をするにあたって、何がアピールポイントになるか、自己分析やインターンシップの重要性に触れてきましたが、いかがでしたか?
クラブや課題、アルバイトなど大学生の毎日は忙しくて就職活動をついつい先送りにしてしまうかもしれません。しかし、就職活動をどの時期から、どのように始めるのかは、今後の人生を大きく左右すると言っても過言ではないとても重要な事柄です。
就職活動や求職のことを英語では、 job hunting といいます。Huntは「狩る」だったり「追求する」という意味です。Jobは仕事ですね。日本の雇用制度は、「就職」ではなく「就社」と揶揄されていました。今、それを支えていた終身雇用制度も当たり前でなくなったので、大学生は自分の親の価値観に惑わされず自分のキャリアを考えるつまり、英語でいう職の追求をすることが重要です。
10年後、そして、自分の人生をどうしたいか?を考えながら、就職したい企業の内定を勝ち取れるように、面接対策や履歴書の事などしっかりと準備スケジュールを立てて頑張りましょう。
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