日本の重要なテーマ『地方創生』

政治系インフルエンサー黒瀬深氏によるコラム。第三回のテーマは「日本の重要なテーマ『地方創生』」です。


第3回のテーマ「日本の重要なテーマ『地方創生』」

公務員総研さんへの寄稿の第三弾、今回は「公務員と地方創生」というテーマで書いていきたいと思います。

日本にとって「地方創生」はもっとも重要なテーマの一つです。現在、東京一極集中が進んで地方が過疎化していますが。これは色んなデメリットがあります。

日本の重要なテーマ「地方創生」と東京一極集中について

現在の日本は東京一極集中が進み、東京の人口は約1400万人にまで膨れ上がっている一方、地方は過疎化し続けています。日本には地方自治体が約1700ありますが、ある試算では20年後には900近くの自治体が消滅危機に瀕するとされています。

この東京一極集中でどういった問題が起きるのか、なぜ地方創生が必要なのか、また公務員がそれにどう貢献できるのか、という話をしたいと思います。

東京一極集中のデメリット

東京一極集中のデメリット1:地方との格差の拡大

東京に人が集中する事で家賃を中心に物価が全体的に高くなります。一方で労働市場は過剰競争になり賃金は下がります。それによって国民はどんどん貧しくなり、消費が減ったり少子化の一因になったりしています。

一方で地方はより過疎化が進んで市場が小さくなり、それによって雇用が無くなり、困難を承知で地方から東京に働きに出ざるを得ない、という悪循環に陥っています。

東京一極集中のデメリット2:東京の機能停止時のリスク

また、災害や有事の際にもし東京が機能停止に陥ると日本中がその影響を強く受ける、というデメリットもあります。東京には中央省庁や大企業の本社が集中していて、もし大きな自然災害に見舞われたり、敵国の攻撃を受けたりして機能停止に陥れば、日本全体が指示系統を失って機能停止に陥ります。

これを防止するためにも、ある程度は東京以外の地方にも政治や経済の中枢的な機能を分散する必要があります。

東京一極集中のデメリット3:産業やインフラの維持困難に

地方が過疎化する事で農業や漁業の担い手がなくなり食料自給率が下がったり、工場の労働者が少なくなり海外に移住せざるを得なくなったり、特殊な技術の継承も行われなくなる、という産業の空洞化が起きる危険性があります。

また、その土地の希少な伝統や文化が失われたり、地方の行政や土建屋が維持してきたインフラも維持できなくなるというデメリットがあります。伝統や文化は一度失われれば戻らないものがありますし、インフラも後から作り直そうと思っても困難を極めます。

これらの「人が住んでいれば維持できたもの」が維持できなくなっていくというのが東京一極集中の大きなデメリットの一つです。


東京一極集中問題への地方公務員が貢献する点

この問題に対して公務員が貢献できる点は、大きく2つあります。

1:地方公務員が地方を盛り上げる

一つは、地方公務員の雇用が増えることで、地方の過疎化などを食い止める事ができるという点です。

前回の記事でも書きましたが、公務員を雇用する事は地方の雇用を支える事になりますし、経済の活性化にも繋がります。更に地方の文化やインフラを維持する事にも繋がりますし、間接侵略を防いだりと、地方にとって良い事ばかりなのです。

2:中央省庁を移転して地方分権

そしてもう一つは、これは「もっと実行すべきだ」という政策提言のような話なのですが、もっと中央省庁を移転して地方分権を進めることで地方を再興できます。

例えば国土交通省を移転する事で、インフラ系の企業やゼネコンの本社なども国交省に合わせて移転する事になります。

また総務省を移転する事で、放送や通信関係の企業や郵便局なども本社機能を移す事でしょう。

財務省を移転する事で、銀行や証券会社も本社を移します。文科省を移転する事で大学や、科学技術に関連する企業、また教材関係の企業も本社を移すでしょう。

そして経産省を移転する事で、中小企業を中心に経済の中心地そのものが移る事になります。法務省を移転する事で裁判所などの司法の中心地も移動します。

もちろんこれらの省庁や企業の動きに合わせて、小売業や飲食店など、生活に必要な業種の企業などもターゲットを地方に移していく事になるでしょう。

「本当にそんな上手くいくの?」と思う方がいるかも知れませんが、実際に省庁が集中している東京に企業の本社も集中しているのだから、一つの前例があるとも言えます。もちろん東京に残り続ける企業もあるかも知れませんが、一定以上の動きは確実にあるのではないでしょうか。

このように省庁移転は、地方分権の効果が絶大です。本当に地方分権を考えるならば、私は省庁移転しか道はないと考えています。

東京一極集中問題への国家公務員が貢献する点

1:地方に仕事を回すこと

では国家公務員の方々が個人として何ができるのかと言えば、一つはなるべく地方に仕事を回す事です。地方の企業に発注できる仕事は地方の企業に発注したり、(国交省などがわかりやすいですが)地方の再建に繋がるような事業をしたり、といった事をどんどんやっていただきたいと思います。

2:中央省庁のIT化

そしてもう一つは、中央省庁のIT化をなるべく進めていただきたいです。

いま多くの人が問題にしていますが、中央省庁はDXが進んでおらず、未だアナログなソフトやハードを使っていると聞きます。

ソフトウェアを最新のものに変えたり、行政文書を電子化したり、オンラインで済む会議や仕事はオンラインでしたりする事で、もし行政機能を地方に移転したとしても省庁間の連絡が取りやすくなり、地方分権に繋がるのではないかと思います。


まとめ

まとめとしては、公務員は地方公務員の方はダイレクトに地方に貢献できますし、中央省庁の方はなるべく地方に仕事を回したり、省庁移転の準備を進めたりする事で、地方創生に貢献できる仕事なのではないか、というのが今回の記事の主張となります。

チェックキーワード

キーワードその1:東京一極集中化

人口や政治・経済・文化などの資本が東京、または首都圏に集中する減少。

キーワードその2:省庁移転

財務省や外務省などの中央省庁を地方に移転した方が良いのではないか、という議論。

キーワードその3:DX

デジタルトランスフォーメーションの略。データやIT技術を駆使し、組織の文化や意思決定プロセスを変更する事。

キーワードその4:地方分権

主に省庁移転などで首都に集中している政治(統治権)・経済・文化などの資本を地方に部分的もしくは全面的に移管・移転させようという考え。対義語は中央集権。

本記事は、2021年3月4日時点調査または公開された情報です。
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