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【国家公務員になるための採用試験概要】試験区分ごとのまとめ

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目次

大学生・大学院生対象の国家公務員試験3つ

大学卒業程度、もしくは大学院修了程度の人を対象とした国家公務員採用試験は次の3種類に分かれています。他に社会人向けの採用試験や高卒程度採用試験があります。

総合職試験

国家公務員の総合職は、政策の立案やそのための調査、研究などに関する事務を担当します。政策の「ジェネラリスト」として幅広い知識が必要な職種です。大学院修了程度の人を対象とした試験と、大学卒業程度の人を対象とした試験が行われ、試験科目や日程に違いがあります。

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一般職試験

国家公務員の一般職は、特定の分野の定型的な事務を担当します。政策や行政事務の「スペシャリスト」として、それぞれ担当する分野においての専門的な知識が必要です。大学卒業程度の人を対象として試験が行われます。

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専門職試験

国家公務員の専門職は、特定の行政分野に関する専門的な知識や、その分野に特化した技能が必要な業務を担当します。具体的には、「法務専門官」や「財務専門官」、「航空専門官」など、専門的に学んだ人でないと務まらないような職種が含まれます。専門職採用試験では、当然ながら「スペシャリスト中のスペシャリスト」として、それぞれの職務に必要な知識や技能を持っているのかが問われます。

それぞれの採用試験の流れ

国家公務員採用試験は、3種類あることを見ていきましたが、その種類ごとに試験の流れが異なっています。ここでは、それぞれの試験の流れについて知っていきましょう。

総合職試験の流れ

総合職採用試験では、大学院修了程度と大学卒業程度ごとに試験の「区分」が異なります。

総合職:大学院修了程度の試験区分

大学院修了程度の試験区分として、主に文系の人向けには、「行政」「人間科学」の2区分と、秋に実施される「法務」の区分があります。

主に理系の人向けには、「技術系国家公務員」とも呼ばれる採用区分として、「工学」「数理科学・物理・地球科学」「化学・生物・薬学」「農業科学・水産」「農業農村工学」「森林・自然環境」の6区分があります。

総合職:大学院修了程度の試験の流れ(「法務」以外の試験区分)

大学院修了程度の人を対象とした、「法務」以外の、「行政」「人間科学」「工学」「数理科学・物理・地球科学」「化学・生物・薬学」「農業科学・水産」「農業農村工学」「森林・自然環境」の採用区分についての試験の流れは下記のとおりです。


・第1次試験

「基礎能力試験(多肢選択式)」・・・公務員として必要な基礎的な知識や知能を問う筆記試験です。解答時間は2時間20分です。

「専門試験(多肢選択式)」・・・各試験の区分に応じた、専門的な知識を問う筆記試験です。解答時間は3時間30分です。

・第2次試験

「専門試験(記述式)」・・・各試験の区分に応じた、専門的な知識が問われます。1次試験では選択式でしたが、2次試験は記述式の筆記試験が行われます。解答時間は、「行政」区分は4時間、それ以外の区分は3時間30分です。

「政策課題討議試験」・・・課題に対するグループ討議の試験です。プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力が優れているかが問われます。試験時間は1時間30分です。

「人物試験」・・・人柄や対人的能力を問う面接試験です。試験時間は試験ごとに異なります。

総合職:「法務」区分の試験の流れ

大学院修了程度の人を対象とした「法務」区分の試験の流れについてです。他の区分と異なるのは、「専門試験」が行われないという点です。

・第1次試験

「基礎能力試験(多肢選択式)」・・・公務員として必要な基礎的な知識や知能を問う筆記試験です。解答時間は2時間20分です。

・第2次試験

「政策課題討議試験」・・・課題に対するグループ討議の試験です。プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力が優れているかが問われます。試験時間は1時間30分です。

「人物試験」・・・人柄や対人的能力を問う面接試験です。

総合職:大学卒業程度の試験区分

大学卒業程度の試験区分として、主に文系の人向けには「政治・国際」「法律」「経済」「人間科学」の4区分と、秋に実施される「教養」区分があります。

技術系国家公務員とも呼ばれる、主に理系の人向けの試験区分としては、「工学」「数理科学・物理・地球科学」「化学・生物・薬学」「農業科学・水産」「農業農村工学」「森林・自然環境」の6区分があります。


総合職:大学卒業程度の試験の流れ(「教養」区分以外)

大学卒業程度の人を対象とした、「教養」区分以外の試験の流れです。具体的には、「政治・国際」「法律」「経済」「人間科学」「工学」「数理科学・物理・地球科学」「化学・生物・薬学」「農業科学・水産」「農業農村工学」「森林・自然環境」の区分で、下記のように試験が行われます。

・第1次試験

「基礎能力試験(多肢選択式)」・・・公務員として必要な基礎的な知識や知能を問う筆記試験です。解答時間は3時間です。

「専門試験(多肢選択式)」・・・各試験の区分に応じた、専門的な知識を問う筆記試験です。解答時間は3時間30分です。

・第2次試験

「専門試験(記述式)」・・・各試験の区分に応じた、専門的な知識が問われます。1次試験の選択式とは異なり、2次試験は記述式の筆記試験が行われます。解答時間は、「政治・国際」「法律」「経済」区分は4時間、それ以外の区分は3時間30分です。

「政策論文試験」・・・課題に対する論文筆記試験です。政策の企画立案に必要な能力や、その他の総合的な判断力、思考力が備わっているのかが問われます。試験時間は2時間です。

「人物試験」・・・人柄や対人的能力を問う面接試験です。

総合職:「教養」区分の試験の流れ

大学卒業程度の人を対象とした「教養」区分の試験の流れについてです。他の区分とは違い「専門試験」は行われず、別の試験が行われます。

・第1次試験

「基礎能力試験(多肢選択式)」・・・公務員として必要な基礎的な知識や知能を問う筆記試験です。解答時間は3時間30分です。

「総合論文試験」・・・論文筆記試験です。幅広い教養や受験者それぞれの専門的な知識を土台とした総合的な思考力や判断力が問われます。試験時間は4時間です。

・第2次試験

「政策課題討議試験」・・・課題に対するグループ討議の試験です。プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力が優れているかが問われます。試験時間はおよそ2時間程度です。

「企画提案試験(小論文・口述式)」・・・課題に対する小論文の筆記試験と、口述式のプレゼンテーションの試験です。政策立案に必要な企画力や、建設的な思考力と、口述試験での説明力が問われます。試験時間はおおむね3時間程度です。

「人物試験」・・・人柄や対人的能力を問う面接試験です。

総合職:外部英語試験による加算

総合職試験では、外部英語試験のスコアに応じて、最終合格者決定の際に得点が加算されるようになっています。対象となる外部英語試験と、それぞれの加算点は次のとおりです。

・TOEFL(iBT)・・・スコア65以上で15点加算、スコア80以上で25点加算
・TOEIC(L&R)・・・スコア600以上で15点加算、スコア700以上で25点加算
・IELTS・・・スコア5.5以上で15点加算、スコア6.5以上で25点加算
・実用英語技能検定(英検)・・・準1級以上で25点加算

一般職試験の流れ

ここでは大学卒業程度の人を対象に行われる一般職試験の試験区分と試験の流れについてご紹介します。総合職とは異なり、地域ごとに試験が行われる区分があるのが特徴です。


一般職試験の試験区分

一般職試験には主に文系の人を対象とした「行政」区分と、理系の人を対象とした「電気・電子・情報」「機械」「土木」「建築」「物理」「化学」「農学」「農業農村工学」「林学」の9区分で試験が行われます。

「行政」区分では地域別で試験が行われます。地域の分け方は「北海道」「東北」「関東甲信越」「東海北陸」「近畿」「中国」「四国」「九州」「沖縄」というようになっており、中央省庁の採用は「関東甲信越」地域の合格者を中心に行われます。他の地域の合格者も採用されることもあるようですが、本省で働きたい場合は「関東甲信越」地域での受験が推奨されるようです。

一般職:「行政」区分の試験の流れ

「行政」区分の試験の流れは下記のとおりです。総合職試験と異なり、筆記試験は第1次試験のみで、第2次試験では人物試験のみが行われます。

・第1次試験

「基礎能力試験(多肢選択式)」・・・公務員として必要な基礎的な知識や知能を問う筆記試験です。解答時間は2時間20分です。

「専門試験(多肢選択式)」・・・各試験の区分に応じた、専門的な知識を問う筆記試験です。解答時間は3時間です。

「一般論文試験」・・・比較的短い論文筆記試験です。一般的な文章による表現力、課題に対する理解力が問われます。試験時間は1時間です。

・第2次試験

「人物試験」・・・人柄や対人的能力を問う面接試験です。

一般職:「行政」区分以外の試験の流れ

「技術系国家公務員一般職」とも言われる、「電気・電子・情報」「機械」「土木」「建築」「物理」「化学」「農学」「農業農村工学」「林学」区分の試験の流れについてです。

・第1次試験

「基礎能力試験(多肢選択式)」・・・公務員として必要な基礎的な知識や知能を問う筆記試験です。解答時間は2時間20分です。

「専門試験(多肢選択式)」・・・各試験の区分に応じた、専門的な知識を問う筆記試験です。解答時間は「建築」以外が3時間、「建築」区分は2時間です。

「専門試験(記述式)」・・・各試験の区分に応じた、専門的な知識を問う論文筆記試験です。試験時間は「建築」以外が1時間、「建築」区分は2時間です。

・第2次試験

「人物試験」・・・人柄や対人的能力を問う面接試験です。

専門職試験の流れ

専門職試験は大学卒業程度の人を対象に行われます。総合職は一般職と異なり、職種ごとに採用試験が行われるため、多様な試験が行われています。それぞれの試験では、より専門的な知識を持っているかが問われることになります。

専門職試験の種類と科目

大学卒業程度の人を対象に行われる専門職試験には次の7種があります。試験科目は、総合職や一般職と同様、多肢選択式の「基礎能力試験」と、面接が行われる「人物試験」に加えて、各職種の特性に応じてそれぞれ設定されています。

・皇宮護衛官採用試験
・法務省専門職員(人間科学)採用試験
・財務専門官採用試験
・国税専門官採用試験
・食品衛生監視員採用試験
・労働基準監督官採用試験
・航空管制官採用試験

航空管制官採用試験のみ、第3次試験まで行われます。それ以外の試験は、第2次試験まで行われています。


合格者は「官庁訪問」をして「採用」を目指す!

ここまで国家公務員の総合職、一般職、専門職それぞれの採用試験について見てきましたが、国家公務員試験では試験に「合格」したからといって、すぐに「採用」ではないというところに注意が必要です。

受験者が各試験に合格すると「採用候補者名簿」という名簿に登録され、「官庁訪問」に参加できる権利を得ます。「官庁訪問」では、自身が希望する府や省を訪問し、面接などを受けます。

それぞれの試験の結果と、「官庁訪問」の内容を併せて、最終的に合格者が決定されます。

まとめ

このページでは、国家公務員試験がどのような区分で行われているのかということと、それぞれの試験の簡単な流れについてご説明しました。

国家公務員を大きく分けると総合職、一般職、専門職の3種類あり、それぞれ試験の実施内容が違います。総合職では学歴によって受験区分が異なっていたり、また一般職では一部地域別試験が行われる区分があったりしますので注意が必要です。

このように、一口に国家公務員試験と言ってもその試験内容は職種によって少しずつ異なっています。自身が受験する試験区分の試験科目や試験時間などはよく調べて準備していくことが必要です。

試験に合格したら即採用されるというわけではなく、その後には官庁訪問というプロセスがあることもご紹介しました。まずはそれぞれの試験を突破し、晴れて官庁訪問に進めるよう、しっかりと試験対策することが大切です。

本記事は、2017年12月27日時点調査または公開された情報です。
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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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