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認定司書やサブジェクトライブラリアンなどの「専門司書」について解説

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今日は、あまり知られていない「専門司書」について書いていきたいと思っています。「専門司書」とは、通常の司書のスキルに、さらに何か上積みして専門性を増した司書のことです。

目次

認定司書

認定司書とは、日本図書館協会が認定する、一定の基準に達した司書のことです。

認定には、「現役の司書であること」「勤続10年(うち5年以上は公共図書館での勤務であること)」「日本図書館協会が定める一定の研修を受講したこと」「10年以内に8000字以上の著作があること」などが条件となります。得意分野などは特に問われることはありません。

2017年4月現在135人の認定司書が誕生していますが、認定司書を取ったことでの手当増額など、特に目立ったメリットは今のところ耳にしていません。ただし、将来的に管理職になりやすくなる、指定管理者企業に移った際により高い待遇を手に入れられるといったメリットが考えられます。まだレアケースであることから、地方紙などで大きく取り上げられるといった事例もあるようです。

認定司書自体は、まだ制度が始まって浅いことから、可能性は未知数です。特に著作の面でハードルが高く、思ったように認定者数が伸びないことから日本図書館協会も対応に苦慮しているようです。最近バッジやロゴがようやくできた状態なので、一般の方にはまだ認知が広がっているとは言い難い状態です。

既に認定を受けた人がどのように活躍してきているかという事例も、実はそれほど上がって来ておらず、最近になってようやく本が1冊出た、といった程度です。認定司書の評価が上がるにあたっては、既に認定司書になっている人が今後どれだけ活躍できるかが鍵と言えるかもしれません。

サブジェクトライブラリアン

サブジェクトライブラリアンは、「主題司書」と訳されます。特定の主題について専門知識を持ち、場合によっては該当分野の情報を現役研究者と同様のレベルまで調べ上げる能力が要求されます。学術研究者と同じくらいの知識と技術を持ち、なおかつ司書の資格を持って図書館の現場に立つ…ある意味、研究者よりもレアな存在であると言えるかもしれません。

今のところ、サブジェクトライブラリアンに関する認定制度は特にありません。そのため、サブジェクトライブラリアンの多くは「自称」となります。職場内で独自の基準を設けているところもありますが、極めて稀なケースです。ですが、文学や歴史、特許や化学など、特殊な分野について強みがあると、利用者のみならず職員からも信用されますし、ある程度論文などを発表し続けていると、他の図書館からレファレンスや講演の依頼が舞い込むことがあります。

サブジェクトライブラリアンは大学図書館や専門図書館に在籍していることが多いですが、公共図書館であっても本人の意思次第では十分サブジェクトライブラリアンに成長することができます。特に大学での専攻分野、趣味で長く続けてきた分野があれば、仕事に直結していないと思っていても大切に維持していきましょう。

レファレンスライブラリアン

レファレンスライブラリアンは、文字通りレファレンスに特化した司書のことです。サブジェクトライブラリアンとの違いは、得意分野不得意分野を問わず、とにかくレファレンスに特化しているということです。レファレンスは、主に「レファレンスブック」と呼ばれる、調べもの専用の図書を活用して行います。レファレンスライブラリアンの頭の中では、質問が来るたびにこの「レファレンスブック」が取り出せるような仮想の棚が展開されているのです。

レファレンスは、司書の持つ技術の中で最も育てやすいものです。日常的に利用者の質問に答えていれば、基礎レベルは十分カバーできます。しかし、レファレンスライブラリアンを名乗るようになるには、相当の勉強量と理論武装が必要になります。私も利用者として図書館を利用すると、たまに優秀なレファレンスライブラリアンに遭遇することがありますが、相当な修練を積んだのだなといつも感心しています。


レファレンスライブラリアンには、専門外のものであっても、他の司書の追随を許さないレベルまで追いかける技術と執念が要求されます。その点で、とことんまで追求する人間性をも要求される専門司書であると言えます。

なお、レファレンスライブラリアンに類似するものとして、「サーチャー」という職業があります。こちらは、主に有料データベースを駆使して調べ物をするのですが、「サーチャー」の一部はレファレンスライブラリアン出身です。「サーチャー」に関しては情報科学技術協会が「検索技術者検定」という形で毎年試験を行っているので、腕試しに受けてみるのも手かもしれません。

システムライブラリアン

システムライブラリアンとは、図書館情報システムを中心に、システムに特化した能力を持つ司書のことです。私もシステムライブラリアンでした。

システムライブラリアンに関しても、現在は特に認定制度はありません。私の場合も、システム管理担当に約10年いる中で、必要な知識と技術を習得していった感じです。ただし、業務で学べる内容は限られています。自学自習が相当必要になると覚悟した方がいいでしょう。

システムライブラリアンを名乗れるようになるには、システム関連分野の勉強が欠かせません。もしシステムライブラリアンを志すのであれば、「基本情報技術者」や「マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)」などを司書資格と合わせて取るくらいの気概が必要でしょう。システム管理担当に配置後、総務省や文部科学省などで実施するセキュリティや科学技術に関する研修に行かせて貰うのも手かもしれません。

因みに、先程紹介した「検索技術者検定」の2級以上の科目には、システムや情報セキュリティに関する科目が必ず出題されます。システム管理担当に配属され、どのくらいのスキルを学べばいいのか戸惑った場合は、「検索技術者検定」2級の過去問を覗いてみるといいでしょう。

過去問は、情報科学技術協会のホームページから無料でダウンロードできます。私は「検索技術者検定」1級保持者ですが、1級を取ってようやく中堅のシステムライブラリアンを名乗って大丈夫かな、といった感じでした。

メディカルライブラリアン

メディカルライブラリアンとは、医療に特化した知識と技術を持った司書のことです。主に、医学部や薬学部・看護学部といった学部のある大学の附属図書館、あるいは製薬会社の図書室に在籍していることが多いです。

医療に関する分野は、他の分野と使う情報源が全く違います。例えば、医学薬学関係の専門データベースに関する知識、生理学や解剖学に関する基礎的な知識、医学図書館専用の分類方法などについて知っておく必要があります。使う用語や思考回路も全く違うため、司書としての基礎がありつつも、全く違う勉強が新たに必要になります。

メディカルライブラリアンに関しては、日本医学図書館協会が実施している、「ヘルスサイエンス情報専門員」という認定制度があります。必要な研修は比較的オープンとなっているので、研修だけなら受けることはできます。ただし、いざ認定となると、医療系の図書館に一定期間勤めていることが条件になるため、認定のハードルはかなり高いと言わざるを得ません。

メディカルライブラリアンを目指すのであれば、キャリアデザイン面で最初からかなり職場に狙いを定め、計画的に勤続年数を積み重ねる必要があります。したがって、かなりレアな専門司書だと言えるでしょう。

リエゾンライブラリアン

リエゾンライブラリアンは、主に大学図書館に勤務しています。大学・大学院の教育において、教員と連携して学生の指導に当たるのがリエゾンライブラリアンの仕事です。

義務教育や高校教育と違い、大学教育にはより学問の専門性に関する知識が必要になります。その点ではサブジェクトライブラリアンにも近いものがありますが、利用者教育により重点を置いているという点で、サブジェクトライブラリアンとは一線を画します。

リエゾンライブラリアンには、大学のシラバスに関する知識、学内組織に関する知識、関連研究機関に関する知識、教育学に関する基本的な知識など、大学の研究に特化した知識が求められます。リエゾンライブラリアンが大学でしか育成できないのはそのためです。

大学図書館の司書採用は縁故者中心になってしまうため、非常に狭き門です。ですから、リエゾンライブラリアンになるには出身大学の図書館との密接なつながりが重要になります。リエゾンライブラリアンを目指すのであれば、まずは大学図書館に頻繁に足を運ぶようにしましょう。それが最大の近道です。


まとめ -専門司書になるかどうかは自分次第-

今まで様々な専門司書について紹介してきましたが、専門司書になるかどうかは自分次第です。

司書の中には、「特定のスキルなどいらないから、長く図書館の第一線で働きたい」と願う人もたくさんいます。私はそのような生き方も否定はしません。ですが、公共図書館の指定管理者委託が次々と進み、体力のない私立大学が次々と募集停止をかける中で、本当にそれでいいのかと私は疑問に思っています。もし自分の勤務先がなくなったら、彼らの司書生命はそこで終わってしまうからです。

司書の多くは、本当に本と図書館が好きで、一生図書館で勤めたいと願っています。であれば、どのような不安定な境遇に置かれても、自分の腕一つで生きていくスキルを磨いていくのが、専門職である司書の役目だと私は思います。

皆さんは、司書になった後のキャリアデザインを考えたことはありますか?

10年後の自分の姿を、具体的に描くことができますか? 受験勉強で忙しいのはわかっていますが、時々立ち止まって、将来の自分を想像してみてください。その先にあるのは、もしかしたら専門司書である自分自身かもしれません。

本記事は、2018年1月9日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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