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【アメリカ州制度】天然資源豊かな州「アラスカ州」解説

日米安全保障条約をはじめ、日本と政治的にも、経済的にも密接な関係にあるアメリカ合衆国についての現地日本人レポートです。今回のテーマは「アラスカ州」です。今回は大自然溢れ、天然資源に恵まれているアラスカ州についてご紹介します。

2018年11月22日更新

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目次
アラスカ州の特徴
アラスカ州の歴史
アラスカ州の政治情勢
アラスカ州の経済
アラスカ州の税金
アラスカ州の銃や薬物問題
アラスカ州の教育または宗教事情
【アメリカ州制度】天然資源豊かな州「アラスカ州」解説

アラスカ州の特徴

アラスカ州は総人口が約74万人でワイオミング州、バーモント州に次いで人口が少ない州です。歴史は浅く1959年1月にアメリカ第49番目の州になりました。現在では1,500人ほどの日本人が生活しているとされています。

そもそも、アラスカ州は1867年にアメリカがロシア帝国から買収した土地で、買収からおおよそ100年ほどかけて正式に州として認められました。あまりにも広大な土地は、日本のおおよそ5倍、アメリカで2番目に大きなテキサス州の2倍ほどあります。

アメリカ人であっても訪れることがないとされるほど秘境、陸の孤島と言われるアラスカ州ですが、主要産業は石油や天然ガスなどのエネルギー産業で、現在ではアメリカの石油産出量の10パーセント近くを占めています。

石油産業で栄えてきたものの、石油産出量は1988年以降は下落傾向で、現在ではピーク時の60パーセント程度に留まっています。1990年代にはアメリカの石油産出量の30パーセントを占めていましたがこちらも減少し続けています。

あまり知られていませんが、アラスカ州の30パーセント以上が国立公園や国立保護区などに指定されているほど、自然が守られている州でもあります。日本の冒険家である植村直己が眠っているとされるマッキンリーがあるのもアラスカ州です。

広すぎる面積のため州内でも時差や季節の差があるほどで、冬の寒さは厳しいことで知られています。生活するには厳しい環境と言われていますが、正式に州として認められて以降、人口は右肩上がりに増加しています。

アメリカ合衆国 アラスカ州の位置
アメリカ合衆国 アラスカ州の位置

アラスカ州の歴史

アラスカ州は、もともとロシアの領土でした。(当時はロシア帝国)1853年、フランスやイギリスの同盟軍とロシアが争ったクリミア戦争を起点にして事態が一変します。

クリミア戦争に負けたロシアは資金がなくなり、他国に領土を売ることで当面の資金を調達することにしました。それに目をつけたアメリカ政府の国務長官だったウィリアム・スワードは、1エーカーあたり2セントという信じられないほどの安値で、現在のアラスカ州の土地(1,518,800平方キロメートル)を購入します。

購入当時の1867年頃は「愚行」とされたウィリアム・スワードによるアラスカ領地買収でしたが、30年後にはアラスカ州内で金鉱が発見され、ゴールドラッシュが始まります。

さらに、旧ソ連との国防においてアラスカ州の土地は有利に働き、アラスカを購入したことはアメリカの国益に大きく貢献したとされています。

このようにアラスカ州は天然資源や国防上でも大きな意味を持つとされ重宝されてきました。1930年頃の大恐慌の際には、ルーズベルト大統領の指揮によって、無職になってしまったアメリカ人たちがアラスカで再起できるように後押しする計画ができ、アメリカ全土からアラスカ州に人が集まり漁業や鉱業などが盛んになりました。

ゴールドラッシュの頃には、金鉱で働く労働者たちによって、現在のフェアバンクスやルビーなどの街ができ、付随するかたちで線路や道路が作られていきました。街や交通網が整備されて以降は、漁業も一層盛んになりサケやタラなどの缶詰も生産され、鉱業と漁業で栄えていったのです。

現在では、金鉱に代わり石油の採掘が中心になり漁業以外にも観光業も主力産業になっています。

アラスカ州の歴史を知るうえで、ロシア帝国から格安で購入したという背景を知っておくといいでしょう。

アラスカ州の政治情勢

アラスカ州は2012年と2016年の大統領選の際には共和党を支持しています。州として認められた1960年代は民主党を支持するエリアでしたが、1970年頃からは一貫して共和党の州として知られています。

アメリカ大陸のなかでもカナダを挟むかたちで存在しているアラスカ州は、土地や資源に不自由しないため、州内には独立運動を目指す党があります。現実的には独立は起こらないと考えられていますが、テキサス州と同じように独立を果たそうとする人が多い州であることも特徴です。

アラスカ州の経済

アラスカ州の失業率は7.2パーセントで、アメリカの平均よりも2倍近く高い傾向があります。平均年収は4万ドルで、世帯所得はアメリカ国内でも上位に入るほどです。失業率は高いものの、エネルギー産業に従事している家庭はアメリカ国内でも比較的裕福なクラスに分類されています。

アラスカ州は冬は厳しい気候になるため、農業や漁業関係者は思うように働けなくなる日もあります。仕事ができない日が多くなると必然的に失業者も増えてしまいます。この悪循環は1970年頃からずっと続いており、アラスカ州の失業率はいつの時代も7パーセント近くを維持しています。

アメリカ国内でも有数の石油の産地として知られているアラスカ州ですが、1980年後半をピークにして、石油の埋蔵量や産出量、ともに減少傾向にあります。石油がさらに眠っている場所は国立公園や保護区でもあるため、オバマ前大統領は石油探査を禁止しました。

アラスカ州と連邦政府は石油探査で意見が対立しており、環境保護問題や地球温暖化問題を重要視していないトランプ大統領がどのような判断を下すか注目されています。アラスカ州政府にとって石油とガスによる歳入は9割以上になるため、石油探査の継続は死活問題でもあるのです。

アラスカ州の経済は石油とガスに大きく依存していると言えるでしょう。

アラスカ州の税金

2018年時点のアラスカ州の消費税は1.76パーセントです。全米で46番目に低い税率で、内訳は州税が0パーセント、地方税の平均が1.76パーセントです。州税がかからない背景には、アラスカ州政府は石油や天然ガスなどのエネルギー産業で歳入を確保できているためです。他州との大きな違いと言えるでしょう。

アラスカ州はカナダを挟んだところにあるため、食材など多くの生活物資はカナダやアメリカの他州から輸送されてきます。そのため物価は他州と比較して高い傾向があります。失業率の高さも原因となり、消費税をむやみに上げる訳にはいかない実情があります。

アラスカ州では所得税もかかりません。他州と比較して税金全般の負担がかからない州として知られていますが、生活する自治体によっては消費税がかかります。他にもホテル税、鮮魚税、タイヤ税、燃料輸送税など他州にはない税制度があります。

アラスカ州には他州ではあり得ないユニークな「アラスカ永久基金」という制度があります。1976年に成立したこの制度は、石油やガスなどのエネルギー産業で得た収入を積み立てて投資し、利益があがれば州民に還元するというものです。

この投資による利益は一人当たり平均して毎年1,000ドルから1,900ドルほどになっています。1年間に支払った税金がそっくり返ってくるようなもので、他州からは羨望の眼差しが向けられているほどです。

アラスカ州は税金が低く、アラスカ永久基金という制度があることを知っておくといいでしょう。

アラスカ州の銃や薬物問題

アラスカ州ではマリファナは全面的に合法化されています。医療目的でも娯楽目的でも吸引可能です。どの家庭でも1オンス(約30グラム)以下であれば所持しても罪に問われません。

アラスカ州は銃による死者が10万人に対して23人とアメリカの中で最も多い州です。全面的に解禁されているマリファナと銃事件の関連性は認められないとされていますが、銃規制への取り組みや銃犯罪の被害者数のランク付けではFという最低ランクになっています。

アラスカ州は薬物や銃が身近な州と言えます。

アラスカ州の教育または宗教事情

アラスカ州にはアラスカ大学を始めとしていくつかの大学がありますが、若者は高校を卒業した後は、他州の大学に進学するケースがほとんどです。どんなに優秀な人材が育っても、他州に流れて他州で就職をするため、アラスカ州は人材流出に頭を悩めています。

そのため、高校を卒業した成績上位10パーセントの学生には4年間の奨学金制度「アラスカ・スカラーズ・プログラム」を提供しています。アラスカ州のエネルギー産業関連企業に就職できた場合、全米の平均よりも遥かに高い報酬がもらえ、さらには他州よりも税金の負担が軽いため、生涯生活には困らないとされています。

アラスカ州は信仰心が薄い州として知られています。州民の約40パーセント以下しか特定の宗教を信仰しておらず、特に南部の州と比較すると宗教感は薄いと言えます。最も多いのはキリスト教福音派で、州民の10パーセント程度の7万人とされています。

アラスカ州は州としての歴史は浅いものの、金鉱、漁業そしてエネルギー産業で発展してきました。恵まれた資源や州の歳入は他州にない強みと言えるでしょう。しかし、高い失業率、石油やガスの探査、自然環境の保護、銃犯罪などへの取り組みが課題として残っています。

アラスカ州を知る上で、ロシア帝国からアラスカの土地を購入したウィリアム・スワード、石油と天然ガスのエネルギー産業、アラスカ永久基金などを知っておくといいでしょう。

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