【地方公務員新人の方必見】一番身近な制度「共済組合制度」について

地方公務員の新規採用職員として入庁されるとまず初日に沢山の書類手続きが山のようにあります。自分では意識せずただ記入に追われるだけですが実は、今後、大変重要になる書類達です。その中で一番身近で、かつお世話になるであろう「共済組合」について解説します。


地方公務員の「共済組合」とは?

地方公務員の共済制度は相互救済によって組合員やその家族の方が安心して生活できるよう作られた制度になっています。

新規採用された市町村職員の皆様はその入庁されたその日から共済組合の組合員となります。そして、共済組合からは「組合員証」という、いわゆる保険証が送られてきます。

共済組合の事業運営資金は、組合員の給与や賞与から毎月天引きされる「掛け金」と地方公共団体からの「負担金」で賄われており、この事業運営資金が医療給付や年金給付などの財源になります。

「共済組合」の3つの事業について

どんな事業があるのかみていきましょう。大きく三つに分けられます。

1. 短期給付事業

組合員とその家族の病気・ケガ・出産・死亡・休業又は災害に対し必要な給付を行い、給付内容については下記の2つに分けられます。

「法定給付」・・法律で給付の種類や内容などが定められており、療養費、入院時の食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費等々あります。

「附加給付」・・上記法定給付に加え、埋葬料附加金、家族埋葬料附加金等々があり各共済組合が独自に定めているものです。

入庁日に即日、扶養申請の申込書を記入しました。当時、私の主人は定職に就いていなかったので子ども全員の扶養を私がしてしまいたかったのです。

そもそも地方公共団体の常勤の職員となった者はその職員となった日から本人の意思に関わらず法律上共済組合の組合員になります。
臨時職員も同様で一定の条件を満たしたときから組合員の資格を取得します。

被扶養者については、組合員の配偶者、子、父母等で「主として組合員の収入によって生計を維持している」とみなしさえすれば組合員の被扶養者となる事ができます。
被扶養者として認定されれば組合員と同様に短期給付を受けることができるのです。

ただ、被扶養者の範囲上は上記の通りクリアできても、被被扶養者として認められないパターンもあります。例えば、一部の例をご紹介します。


~被扶養者として認められない方~(一部)
○18歳以上60歳未満の方で働ける状態にある方
細かく規定はありますが簡単にいいますと「健康で働ける状態にある方」は社会通念上、社会人として責任において自立する又は自立に向けて準備しなければならないという趣旨により被扶養としてはみとめられないようです。

なので、被被扶養者認定基準である年間収入130万円以上の有無だけで単に被扶養者認定の基準となるものではないということみたいです。

例えば、被扶養者に現在なっている子どもが卒業し今後芸能活動の予定である場合、当分の間収入を見込めない状況の為、毎月10万仕送りをするとします。その場合、引き続き被扶養者として認定できるかどうかですが、回答は認定取り消し手続きが必要になるみたいです。

理由は、「主として組合員の収入により生計を維持する」と規定されており学生ではない子どもの場合については就労が出来ない状況のみ認定を行っており、上記事例では芸能活動をされ「就労が出来ない状況ではない」と判断する為とのことのようです。

となると、10万円の仕送りはあるものの、必ずしも組合員が生計を維持しなければならない状況ではないため、被扶養者の要件を欠くに至るとのことです。

ただ、この判断基準は個々によるところが大きいと思われますので被扶養者認定については人事に相談しながらされることをお勧めします。

各言う私も、自分の子どもを扶養に付けた後は、次に、同居中の両親の被扶養者認定申請を出しました。
人事に相談しながら申請書を書き、とにかく「組合員が扶養しなければならない事情」と「生計を維持している事実」を具体的に記入しました。

父母の所得証明書や、確定申告の写し、年金額通知書等求められた必要書類を揃え提出しましたが、結果、農業収入があり私の給与の額が両親2人の収入額の合計金額の2倍にならないという理由より認定には至りませんでした。

よって、私の給与が上がることが先か、両親の農業収入を抑えるかの選択肢が今後迫られるという感じですが今のところは国民健康保険加入のままです。ただ、両親を今後扶養にいれたところで75歳になれば自動的に後期高齢者医療加入になっていくので後数年の話です。

2. 長期給付事業

組合員の老齢・退職・障害又は死亡に対し年金又は一時金の給付を行います。

3. 福祉事業

組合員とその家族の健康教育、健康相談、健康診査などの健康の保持増進事業、保健施設の運営などを行います。この福祉事業は多種多様であり、一部をご紹介します。

○ 人間ドックの利用助成・・指定年齢がくると総務課よりお知らせメールが来ます。
1日人間ドック、2日人間ドック、脳ドック等あり、助成も各々あります。
一例をご紹介します。
指定年齢40歳女性の場合 ドック料金50,600円のうち、38,600円助成される
指定年齢40歳男性の場合 ドック料金45,800円のうち、33,800円助成される
よって、男女共12,000円の自己負担で受診出来ます。

○ リフレッシュ施設利用助成・・メタボ予防、運動不足解消等、健康づくりの支援として組合員とその家族が各共済組合と契約している施設で利用出来る助成券がもらえます。
我家は毎年春頃配布されるこの助成券を楽しみにしていました。ゴルフ練習場、ボーリング場、バッティングセンター、スキー場等で利用できるので子ども達と上限の3,000円までフルに利用していました。

○ 直営施設助成・・直営保養所を持っている共済組合の場合、施設利用時助成券使用で割引を受けられます。我家は数回この券を使って温泉施設に家族全員で泊まりに行きました。かなり割安でお得でした。

○特定健康診査・・40歳以上74歳以下の方を対象に特定検診受診費用8,000円を助成してくださるので無料で受診出来ます。生活習慣病の原因となるメタボリックシンドロームの状態や、自覚症状が少ない生活習慣病を早期に発見することができます。身体計測、血圧測定、血液検査、尿検査等、このほかにも医師が必要と認めれば心電図検査、眼底検査、貧血検査等、特定検診を実施しています。


○ 財形・・組合員から預かった資金で運用し、財産作りを支援します。
金融市場は厳しくとても低い利率の環境下の中、この共済貯金の利率は驚く程の利率です。信用力の高い債権等で安定的に、そして効率的な運用がなされているようです。預け入れ、払い戻しも他行同様出来、毎年残高通知書が送付されます。我家の貯蓄も全てこちらでお世話になっていたので毎年のこの通知書が届くのを楽しみにしていました。

○貸付事業・・組合員本人だけでなく、組合員のお子さん、お孫さん、兄弟姉妹などの結婚に要する費用や、車等の物品の購入資金、住宅の新築・改修資金、冠婚葬祭やお子様の入学・修学のための資金など、何かと物入りな資金の貸付事業も行っています。私自身は借りたことは無いですが他社の高利貸しから借りるよりは安定感があります。

○ 家庭用常備薬等の斡旋事業・・医薬品等100品目ほどあり品数も豊富で、通常ドラックストアで買うより割安で購入出来ます。パンフレットに折り込んで各課に回覧が年に数回来ます。

共済組合の近年の改正・見直し点は?

○ 育児休業の対象となる子の範囲拡大
以前は法律上の親子関係がある子(実子及び養子)だけだったのですが、今回特別養子縁組の監護期間にある子や、養子縁組里親に委託されている子等も対象に含まれることになりました。これは近年複雑化する諸問題への対応で対象となるお子様ご本人とご家族様には助かる配慮のある見直しと捉えています。

これに伴い、地方公務員等の共済組合法に規定する育児休業等の対象範囲についても同様に変更されました。

実際、当市で育児休業をとっていらっしゃる職員は数多くいらっしゃいました。私自身が育児休業を取得し復帰する職場配置も考慮して頂きました。

夜会議三昧や週末イベント続き等の課ではなく、市民課に配置して頂くことで家事と仕事のバランスが取れました。
やはり年間通して事業を追っていくという課よりは当日の仕事をやり切る市民課の方が子どもを持つ家庭では有難く、週末出勤がまずない環境だったので本当助かりました。

ということで、育児休業後復帰される方は市民課配属の女性が多かったです。
残念ながら育児休業を取得されている男性職員は当市の場合はゼロでした。
人事としては男性職員の取得者を推進したいようで一生懸命男性取得者が増えるよう職員に訴える場面が多かったです。

○ 介護休業手当金の支給期間及び給付上限額の改正
介護休業の取得期間について、通算して3月の範囲であれば、3回までの異なる時期に分割して取得出来ることになりました。
そして、給付上限額も改正されています。

当市の場合私が在籍していた期間に介護休業を取得していた人は私は1名しかしりません。
育児休業に比べると取得者数は少なく、まだまだとりにくい状況にあるからなのか、とりたい人が少ないからなのかは不明です。
ただ、間違いなく介護問題はこの高齢者社会である現状を見ると、やはり取り難い環境があるのではないかと推察出来ます。

育児休業に比べ介護休業となると取得者の年齢はドンと上がり職務階級が主事や主査ではなく、主任級になってらっしゃる為、益々日々の責務から取得しにくい状況下にあるかもしれません。

ただ、民間と公務員両方経験し、両方で育児休業を取得した私の感想は、育児休業にしろ、介護休業にしろ、民間であれ、公務員であれ、「職場にご迷惑がかかる」という発想意識が「取得する側」とそれを「受ける側の職場内」の両者に発生するのは間違いないということです。

民間か、公務員時代か、どちらが取得しやすかったかといえばやはり公務員時代が取得しやすかったのは歴然でした。お陰で私は1年半も取得出来ましたし義務権利をきちんと遂行され取得されていた方が多かったのは公務員時代でした。

ですが民間でも育児休業取得者を数多く受け入れている企業であれば取得しやすいでしょうし、公務員でも職場の雰囲気や職務内容により一概にはどうとは言い難いかもしれません。

育児休業や介護休業の他にも病気休業もあります。私自身3ヶ月間体を壊し入院した時期がありました。
その間も職場には「ご迷惑」をおかけしましたが給与はきちんと頂き続け、病気休業を取得後は無事復帰しました。

入院中の高額療養費等の計算基準も民間時の計算基準とは異なり、圧倒的に公務員時代の方が割安になっています。自己負担額がかなり低くなる計算方式になっているので民間の医療保険は不要じゃないか?とまで思えるほどでした。

入庁時自分が意識することなく自動的に色んな会に入会になっていたお陰で入院中は沢山の会からのお見舞金も頂きました。

まとめ

これまで共済組合についてご紹介してきましたが、その他にも高度障害保険、医療保険、傷害総合保険等、あらゆる生活サポートが充実されています。

何故組合員と組合員のご家族にはこんなに補償制度が手厚いのか。


それは、全ては地域の住民に還元されるからです。

福利厚生をしっかり頂き万全の状態で私たちは地域住民へサービスを万全に提供します。

公務員とはプライベートも公務中も常に地域住民の為に仕えます。
仕事していないから休み中だから関係無いという訳ではありません。
地域住民の笑顔が増えるよう、その為にご自身とご家族も笑顔でいれるよう潤滑油の一つが共済組合であるという気がしています。

本記事は、2017年4月29日時点調査または公開された情報です。
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