「検察官」になるまでの3つのステップ
本ページでは、検察官になるための方法についてご紹介します。まずは最初に検察官になるための3つのステップをご紹介します。
検察官になるための方法ステップ1:司法試験の合格を目指す
「検察官」になるには、まず司法試験に合格しなければなりません。司法試験は、毎年5月に実施され、3日間の論文式試験と、最終日の短答式試験の4日間で構成されています。
合格までの流れは、まず最終日に解答した短答式試験が採点され、合格者のみ論文式試験の採点をしてもらえるようになっています。
毎年6月に短答式試験の合格発表、9月に最終合格者が発表されるスケジュールです。
ただし、2020年(令和2年)については、新型コロナウイルス感染症の影響により、試験日程が延期となっています。最新の日程については、決まり次第法務省のホームページなどで発表されます。
▼参考:法務省「司法試験の実施について」
http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00025.html
検察官になるための方法ステップ2:司法修習
司法試験の合格者は約1年間の司法修習という、法曹界で活躍する検察官・弁護士・裁判官といった法律家になるための研修を受けます。
司法修習の最後には、内容が身に付いているかを司法修習生考試によって検査されます。
検察官になるための方法ステップ3:検察官面接試験
司法修習生考試に合格すると、いよいよ検察官や裁判官、弁護士といった希望する職種ごとの採用試験があります。
弁護士は民間での就職試験を受けるようになりますが、検察官や裁判官は公務員ですので、公務員としての採用試験があります。
検察官の場合は「検察官面接試験」に合格する必要があります。
検察官になるための方法ステップ1:司法試験の合格詳細 – 「検察官」になる第一歩、「司法試験」を受験する方法について
「検察官」を目指すための第一のステップ、「司法試験」の受験方法について解説します。
司法試験を受験するためには、法学部のある四年制大学を卒業して法科大学院に入学して修了する、修了見込みになる方法と、学歴不問の「司法試験予備試験」に合格する方法があります。
検察官になるためのステップ0、「司法試験予備試験」について
「司法試験予備試験」とは、法科大学院を修了していない人も法曹資格を取得できる道を提供するために設けられている試験です。
予備試験に合格した人は、法科大学院修了者と同等の資格があるとみなされ、司法試験を受験することができます。
予備試験は毎年5月に、司法試験の最終日と同じ日に「短答式試験」が行われます。短答式試験の合格発表が6月にあり、合格者は7月に実施される論文式試験を受験することができます。
論文式試験に合格すると、さらに10月に行われる口述試験に挑戦します。最終合格者発表は11月です。
予備試験の最終合格者が決まる頃には、この年の「司法試験」は終わっているので、予備試験に合格したら翌年以降に司法試験に挑戦するのが最短のようです。
ただし2020年(令和2年)は新型コロナウイルス感染症の影響で試験日程の延期が決まっています。
予備試験は学歴を問わず受験できるので、例え高卒であっても、または10代であってもチャレンジすることができ、10代での司法試験合格も制度上は可能なようです。
▼参考:法務省「司法試験予備試験」
http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/shikaku_saiyo_index.html
「司法試験」の受験資格について。受けられる期間には制限があります。
「司法試験」を受験するための資格は、法科大学院の課程を修了するか、上記の司法試験予備試験を合格すると得られます。
司法試験を受験できる期間は、受験資格を取得した日、つまり法科大学院を卒業するか、予備試験に合格した後の最初の4月1日から5年間と決まっています。
「検察官」を目指すには、その期間中に司法試験を突破しなくてはなりません。
検察官になるための方法ステップ2:司法修習の詳細 – 「司法試験」を突破した後、「検察官」になる道のり
晴れて司法試験に合格した後は、合格者は皆、約1年間の司法修習を受けます。
司法修習中の合格者は「司法修習生」と呼ばれ、この中に裁判官志望の人、弁護士志望の人と一緒に、「検察官」を志望する人も、法のスペシャリストになるための修習、訓練を受けていきます。
日本の司法修習は、裁判官、検察官、弁護士のいずれの道に進む人も同じカリキュラムで行われますが、これを統一修習制度といいます。
昭和22年度以前は、日本でも判事と検事といった司法官の養成と、弁護士の養成を別々に行っていましたが、それが統一の教育制度の改められ、今日まで続いています。
統一修習制度により、3職種の修習生がそれぞれの立場からの事件の見方を学ぶことで、広い視野や、物事を客観的かつ公平に見る能力が養われ、法律家間の相互理解を深めるという意義も生まれているようです。
統一修習制度は、国際的に見ても特徴のある日本独自の制度です。
司法修習では、民事裁判、刑事裁判、検察、弁護の修習が2か月ずつ行われています。
▼参考:裁判所「司法修習」
https://www.courts.go.jp/saikosai/sihokensyujo/sihosyusyu/index.html
検察官になるための方法ステップ3:司法試験考試の詳細 – 二回試験の突破と検察官面接試験
司法修習後は、いわゆる「二回試験」と呼ばれる司法修習生考試に合格し、さらに「検察官面接試験」を受けなければなりません。二回試験は、司法修習中の11月中旬から下旬に約5日間かけて行われているようです。
そして、司法修習考試に合格すると、検察官志望者は検察官の一番最初の階級である「検事採用面接」を受験します。
検事採用面接は、司法修習の12月頃に実施されます。面接試験に合格すると、ようやく「検事任官」が認められ、「検察官」になることができます。
▼参考:法務省「検事に採用されるまで」
http://www.moj.go.jp/keiji1/kanbou_kenji_03_index.html
「検察官」に転職できる、ほかの法律専門職について
また、弁護士や判事から「検事」になる方法や、検察事務官や法務事務官から「副検事」になる方法もあります。
「検事」に転職できるケース
「判事」や「判事補」という役職にあった「裁判官」や、「弁護士」については、すでに一度司法試験に合格し、司法修習も終えているということもあり、「検察官」になることが認められています。
さらに、3年以上特定の大学において法律学の教授、または助教授として勤務していた人も「検察官」になることができます。
また、3年以上副検事として勤務し、「検察官特別考試」に合格すると「検事」にステップアップすることもできます。
「副検事」に転職できるケース
「検察事務官」や「警察官」などの職務経験のある人が、「副検事選考試験」に合格すると、「副検事」になることができます。
「検察事務官」になるには司法試験に合格する必要はなく、国家公務員試験に合格すれば良いので、この方法で「検察官」を目指す場合には、難関の「司法試験」に合格しなくとも「検察官」になることができます。
ただし、司法試験合格や司法修習の代わりに実務経験が必要なので、比較すると「検察官」になるまで時間がかかる方法です。
押さえておきたいポイントその1:検察庁の役割
「検察官」が所属する「検察庁」は、「検察官」が所属し、それぞれ行う事務を統括する組織です。
「検察庁」の種類には「最高検察庁」「高等検察庁」「地方検察庁」「区検察庁」があります。また、高等検察庁と地方検察庁には、必要に応じて管轄するエリア内に支部が置かれています。
検察庁は全体で各支部も合わせると約700か所にあります。
それぞれの「検察庁」には「検察官」や「検察事務官」などが勤務しています。「検察官」のうち「副検事」は区検察庁にのみ置かれる役職です。
「検察官」は、刑事事件についての捜査や、起訴・不起訴、または起訴猶予の処分を決める役割がありますが、検察官による被疑者の取り調べは各検察庁の執務室等で行われます。
また「検察庁」は裁判所に対して、法の正当な適用を請求したり、裁判の執行を指揮監督したりするなどの権限も持っており、裁判所と対等な立場で、司法のバランスを守る役割を担っています。
▼参考:検察庁「検察庁の役割」
http://www.kensatsu.go.jp/gyoumu/yakuwari.htm
押さえておきたいポイントその2:警察と「検察」の違い
「検察官」については、事件の捜査権があるなど「警察官」と似ているところがありますが、「検察官」にしか認められていない権限もあり、役割が異なります。
警察と検察、刑事と検事の違いについてご説明します。
ある事件が起き、被疑者がいると想定します。被疑者は一般的には容疑者とも呼ばれ、犯罪を行った疑いのある人のことです。
まず、警察の役割は、この被疑者を逮捕することです。警察は容疑者を捜索して逮捕し、逮捕から48時間以内に、証拠などを捜査記録にまとめて、検察に送検するための、「捜査」をします。
一方で、「検察」の役割は、被疑者を起訴するかを決めることです。検察は、警察から送られてきた捜査記録などの資料をもとに、被疑者の起訴・不起訴を判断するための「捜査」をします。
この「起訴できる権限」のことは「公訴権」などとも呼ばれ、警察には与えられておらず、検察のみが与えられている権限です。
「検察」では、起訴できるまでの資料が足りないと考えられる場合には、「検察官」が自ら捜査したり、警察に追加の捜査を依頼することもあるようです。
つまり、警察と「検察」では同じ「捜査権」を持つ職種ではあるものの、警察は逮捕・送検のため、検察は起訴・不起訴のための捜査ということで目的が異なり、また起訴できるのも検察のみというように役割も異なっています。
▼参考:検察庁「捜査について:検察庁の捜査と警察の捜査の違いはなんですか?」
http://www.kensatsu.go.jp/qa/qa2.htm
押さえておきたいポイントその3:検察官の種類と階級
「検事」というのは「検察官」の役職のひとつであり、「検察官」は階級ごとに異なる職種名があります。「検察官」の種類と階級について、簡単にご説明します。
最高検察庁の長として庁務に責任を持ち、全ての検察庁の職員を指揮監督します。
最高検察庁に属し、検事総長を補佐します。万が一検事総長に何かあったときには、代理を務めます。
高等検察庁の庁務に責任を持ち、管轄区域内にある地方検察庁や区検察庁の職員を指揮・監督します。
管轄区域内にある区検察庁の職員の指揮監督を担当しています。
最高検察庁・高等検察庁及び地方検察庁などに配置されて、捜査や公判、裁判の執行の指揮監督など、現場の仕事を行っています。
区検察庁に配置される「検察官」のことで、「検事」と同じように現場の捜査や公判、裁判の執行の指揮監督などの仕事を行います。「副検事」は検察事務官出身者など、司法試験合格者以外の人でも試験を受けることでなることができる職種です。
「検察官」の役職者については、内閣が任命し、天皇も認めている国の重要ポスト
「検事総長」「次長検事」「検事長」については内閣が任免、つまり任命したり、免官といって辞めさせたりする権限があります。
内閣の任免を天皇が認証する役職でもあり、検察権力のトップとして、内閣や天皇が認めた人物でなければ務めることができません。
「検事長」の下には「検事正」や「検事」などの役職がありますが、内閣の任免は必要ありません。
▼参考:検察庁「検察官の種類と職務内容」
http://www.kensatsu.go.jp/gyoumu/kensatsukan.htm
まとめ
このページでは、「検察官」になる方法をご紹介しました。
「検察官」になるには、司法試験や司法修習の後に新卒として就職する方法と、ほかの職業から転職して就職する方法があります。
司法試験から「検察官」を目指す新卒ルートの場合は、司法修習の後に、二回試験や面接試験があり、それぞれの試験についてしっかり準備し着実に合格をしていかなければなりません。
検察事務官からの転職ルートの場合も、まず国家公務員試験に合格し、検察庁の面接試験に合格する必要があります。国家公務員試験は高卒からも受験可能です。
検察事務官として合格後はさらに3年以上の実務経験を重ねることで「副検事選考試験」を受験でき、合格すれば「副検事」から「検察官」としてのキャリアをスタートさせることができます。
学歴がある場合と、経験がある場合で、大きく2通りの目指し方がある「検察官」になる方法をご紹介しました。
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