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【道路パトロールから除雪作業まで】国交省の地方整備局内出張所のお仕事

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目次

国土交通省の組織について見てみよう

国土交通省の役割について

国土交通省は、かつての国土庁、建設省、運輸省、北海道開発庁の4省庁が2001年の中央省庁再編によって統合され、誕生しました。

国土交通省の担う多大な任務のひとつに、かつての建設省が担っていた道路に関する事業があります。道路の管理や整備を行っているのが、国土交通省の中にある地方整備局です。

地方整備局について

道路の管理や整備に関する業務を行う地方整備局は、東北地方整備局・関東地方整備局・北陸地方整備局・中部地方整備局・近畿地方整備局・中国地方整備局・四国地方整備局・九州地方整備局があります。また、北海道は同じく国土交通省の北海道開発局、沖縄県は内閣府沖縄総合事務局開発建設部が管轄しています。

地方整備局以下の組織を見ると、まず都道府県ごとの管轄している区域や施設によって事務所や管理局に分かれます。更に、事務や用地、工事や調査、管理など業務によって課に分かれます。課と同列にあり、地域住民から直接要望を聞いたり、工事の監督を行ったりする業務を担っているのが出張所です。出張所それぞれにも管轄区域が定められています。

国土交通省・地方整備局の出張所の仕事を見てみよう

道路の維持や修繕

道路で壊れている所があると通行ができません。道路やガードレール、道路標識などで壊れているものがあればただちに修繕します。道路にくぼみやひび割れが見つかった時には、アスファルト材を該当箇所に入れて、平らになるように修繕します。道路を通行していた車が接触して曲がってしまったガードレールや道路標識は、工事をして修繕します。

暗い道を通る上で必要なのが照明灯です。照明灯が壊れていないか、中の電気が切れていないか点検や交換を行います。

通行の邪魔や運転の視界不良の原因になる雑草があれば、除草作業もします。また、災害を防止するための工事も行っており、例えば地震が起きた時に地割れの原因にならないように、ひび割れのある道路の工事などを行います。

道路に関する清掃作業

車両や人がいつでも安全に、そして気持ちよく道路を通行できるように清掃作業も行います。道路や歩道上はもちろん、道路わきのゴミの撤去、ゴミや枯れ葉などが詰まらないように道路側面の溝の定期的な清掃も清掃作業に含まれています。

除雪作業

降雪があると車両や人の通行に支障が出てしまいますので、雪の量や状態によって、様々な除雪作業を行っています。

▼新雪除雪
除雪作業の基本ともなるのが新雪除雪です。道路上に5センチから10センチ雪が降り積もり、更に降雪が予想される時に行われます。

▼路面整正
雪が降り積もった道路を車両で走行するとタイヤの跡がつきますが、タイヤの跡が何度もつくと轍(わだち)となり、道路走行時に支障が出て、事故の原因にもなってしまいます。轍などででこぼこになった路面を平らにするために行う除雪作業が、路面整正です。


▼拡幅除雪
道路の除雪作業をして、狭くなってしまった道幅を広げる作業です。

▼凍結抑制剤散布防滑処理
降雪後で一番事故の原因となるのが、凍結した雪によって地面がスリップしやすい状態となる事です。あらかじめ地面の凍結が予想される時には、凍結抑制剤を地面にまいて凍結を防ぐ凍結抑制剤散布防滑処理が行われます。

▼運搬排雪
除雪作業によって積みあがった雪は「雪堤」と呼ばれます。特に寒冷地では除雪する雪の量も多いので、あらかじめ除雪作業で出た雪を積み上げておく雪堤の場所を決めておきますが、除雪作業を繰り返し行う事により、雪堤のスペースがなくなってしまった時には、雪堤の雪を排除するためにトラックで雪を運びます。

▼歩道除雪
道路だけでなく、歩道の除雪作業も行います。歩道除雪は積雪量が10センチ以上になって歩きにくくなった時か、道路の除雪作業の関連として行われます。

除雪の種類はたくさんありますが、出張所の職員自身が除雪作業を行っているのではなく、作業自体は民間業者に委託しています。出張所の職員は、除雪作業の指示や観測機器を使用した路面温度の測定、積雪量の予測などを行って除雪作業に関わっています。

また、出張所によっては毎年10月下旬から11月ごろ、この冬の除雪の安全を誓う「出発式」を行っています。

道路に関する許認可を行う

道路は公共物ですので、勝手に占有したり、何かに使用したりはできません。道路を利用する時や看板、電柱などを設置する時には道路管理者への届け出を行い、許可や承認を受ける必要がありますが、これらに関する手続きも出張所で行っています。

道路パトロールを行う

いつでも人や車が安全に通れる道路の状態維持や管理のために、道路パトロール隊がパトロールを行っています。

道路パトロール隊の仕事を見てみよう

道路のパトロールを行う

いつでも人や車が安全に通れるように、道路の管理のためのパトロールを行っているのが道路パトロール隊です。道路パトロールは2人一組で行い、道路に壊れている所や通行の障害となる物が落ちていないか、道路で危険行為などを行っている者はいないかなどをチェックします。

もしも道路に異常を見つけたら?

歩道を歩いている時や車で走行中に、道路の陥没や障害物、道路設備の故障などを見つけたら「道路緊急ダイヤル」を通じて通報しましょう!

道路緊急ダイヤルは#9100で、通話料はかかりません。走行中の携帯電話の使用は大変危険ですので、もしも走行中に道路の異常を見つけたら、安全な場所に車を停車させてから電話をかけましょう。

なお、この緊急ダイヤルはあくまで道路の異常に関する通報ですので、交通事故を発見した時には、警察へ110番通報しましょう。

道路パトロールの種類を見てみよう

▼通常巡回
災害は起きていないか、道路上に落ちている物はないか、壊れている所がないかなどを見るために、道路パトロールカーに乗って普段行うパトロールです。1日置きに行う所もあれば、週に5日連続で行う所もあり、頻度は出張所によって異なりますが、恒久的なパトロールです。

▼夜間巡回
道路照明の点検や視線誘導標の状態など、夜間でしか確認できない設備をチェックするために行うのが夜間巡回です。冬場の夜間巡回は、路面凍結や積雪の状況を確認する目的もあります。

▼徒歩巡回
道路パトロールカーでのパトロールでは、細かい箇所のチェックができないので徒歩で管轄している道路のパトロールも行います。歩道の溝やガードレールの裏側なども、目視でひとつずつチェックして回っていきます。徒歩巡回は通常巡回よりも頻度は落ちますが、だいたい週に1日は徒歩巡回を行っている出張所が多いです。


▼異常時巡回
台風や大雪、地震などの災害時に注意や警戒、非常体制のために行うパトロールです。

道路パトロール隊の持つ道具

道路パトロール中に異常があった時には、すぐに対応できるように道路パトロール隊は様々な道具を持っています。

▼カラーコーン
交通規制の必要がある時、撤去に時間のかかる大きな落下物の存在を知らせるためなど、注意を促す時に使います。

▼竹ほうき
事故などで散乱した車両のガラスや、破損した道路設備のプラスチック片を集めて除去する時に使用します。

▼道路補修材
道路にくぼみや穴がある時に、道路補修材(アスファルト材)を使用して応急処置をします。

▼誘導棒
道路整備や事故処理など、交通誘導が必要な時に使用される車両誘導のために振る棒です。

▼スコップや鎌
通行の邪魔になる土砂や伸びきった雑草がある時も、その場で処理できるように道具を積んでいます。

▼デジタルカメラ
当て逃げされている箇所や、すぐに修理ができない箇所を撮影する時など、色々な用途で使われます。

道路のために活躍する、国土交通省の働く車紹介

黄色い車両と「国土交通省」の文字がトレードマーク

一般道路から高速道路まで、色々な所で目にする黄色い車両は国土交通省の車両です。これらの車両も出張所で管理されていますが、車両によっては複数の出張所で共有しているものもあります。

道路パトロールカー

道路パトロールに使われている、黄色の車体に赤の赤色灯を持つ道路パトロールカーには、道路パトロール隊員として職員が2人1組で乗っています。アナウンスするためのスピーカーや、国土交通省専用のマイクロ回線「K-COSMOS(ケーコスモス)」の機能も付いています。

緊急車両に該当する為、緊急時には赤色灯を点灯させサイレンを鳴らし、緊急走行が可能です。例えば、道路が陥没している箇所があり、ただちに修理の必要がある時には緊急走行で現場に駆け付けます。

標識車

荷台に「災害発生中」「相互通行」「〇〇工事中」などの文字を流せる電光掲示板の付いた車両です。工事などで交通規制をする時や、降雪や台風などで走行中の車両に注意を促す時に活躍します。

路面清掃車

交通量の少ない夜間や早朝に、道路上にあるごみやほこりを吸い込んできれいにする車両です。ゆっくりしたスピードで走行しながら路面の清掃を行うので、車両後方には「清掃作業中」と表示できる電光掲示板がついています。

散水車

車両に貯めた6500リットルの水を散布し、道路に砂埃が舞い上がるのを防いだり、汚れを洗い流したりする車両です。

排水管清掃車・側溝清掃車

排水管や側溝に溜まったゴミや泥を一気にきれいにできる車両です。排水管清掃車の出すジェット水流によってゴミや泥を掻きだし、側溝清掃車が掻きだされたゴミや泥を吸い上げてきれいにします。

除雪トラック

車両の前面にはブルドーザーのブレードのような形状をした「プラウ」と呼ばれる部品がついていて、除雪しながらの走行が可能です。

除雪グレーダ

前方の可動式二輪を動かしながら走り、車体の下の部分にあるブレードで固まった雪も削り、道路わきに除雪できる車両です。

ロータリ除雪車

道路わきに寄せられた雪を、車両前方に付けられた「ロータリ」という鉄の輪で吸い上げ、煙突のような形をした「シュート」から吸い上げた雪を遠くへ飛ばします。

小型除雪車

歩道除雪車とも呼ばれ、歩道除雪ができるように小型になったロータリ除雪車です。また、雪が降らない季節には草刈りのアタッチメントを取り付け、道路わきの草刈りでも活躍する車両です。


凍結抑制剤散布車

塩化ナトリウムや塩化カルシウムなどの、塩類でできた薬剤の凍結抑制剤を道路に撒き、道路の凍結を防ぐ車両です。水と混ざると発熱する塩の特性を生かし、凍結した道路の雪を解かすだけでなく、溶けた水は塩水になり再び凍結するのも防げます。

道路パトロール隊を含めた、出張所の職員になるには?

国家公務員「一般職採用試験」が登竜門

出張所は国土交通省内の一組織ですので、出張所の職員になるには国家公務員採用試験に合格しなければいけません。

出張所に配属になるには、大卒程度・高卒程度・社会人に分かれた国家公務員採用試験の一般職試験を受験します。また、技術力を持った人向けの経験者採用試験も行われています。

試験に合格し採用となった場合、出張所勤務に希望も出せますが、必ずしも希望の部署に配属になるとは限りません。ただし、1年に1回希望は提出できるので、根気よく希望を出し続ければ、出張所勤務となる可能性も上がります。

なお、国土交通省の職員になるので全国に転勤があり、転勤を含めて異動のペースは2~3年サイクルとなっています。

初任給はどのくらい?

配属される出張所を管轄する地方整備局によって初任給は異なります。

平成29年度の関東地方整備局は一般職(大卒程度)採用職員213,840円、一般職(高卒程度)採用職員175,320円、一般職(経験者採用(係長級(技術)) 278,900円(参考)、東北地方整備局は一般職(大卒程度)採用職員176,700円、一般職(高卒者)採用職員144,600円となっています。これに、通勤手当、超過勤務手当、扶養手当、住居手当などが支給される他、合計約4.2ヵ月分のボーナスが年に2回支給、昇給も年1回あります。

その他の待遇は?

勤務時間は平日8時30分~17時15分、もしくは9時15分~18時です。土日祝日は完全休暇となりますが、災害などの理由で土日出勤や休日出勤になる事もあります。

初年度は15日、次年度から20日の年次有給休暇も付与され、年末年始休暇や夏季休暇、結婚休暇や産休育休など各種休暇もあります。

独身の職員が住める独身宿舎や、家族で住める世帯用宿舎も駐車場付きで完備されています。

まとめ

私たちの生活に欠かせない道路の安全管理を支えているのが、国土交通省の地方整備局内・出張所の職員です。壊れた標識、陥没した道路、汚れの溜まった排水溝…道路や歩道に異常がないか、皆が安心して道を通れる様に今日も黄色い道路パトロールカーが見回りを続けています。

(文:千谷 麻理子)

本記事は、2017年11月29日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

憧れの職業から時事問題まで、母親と女性の視点から。子供達の成長と被災地復興を見守る「千谷麻理子」さんの執筆する解説記事・エッセイ・コラム記事です。

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