千葉県の北西部の市が上下水道の料金徴収を「一元化」へ

千葉県では、今まで上水道と下水道の料金徴収が別々に行われていた北西部の11の市について、段階的に「一元化」を進められています 今回は、この「一元化」とはなにかや、水道料金など具体的に何が変わる政策なのかを説明します。

はじめに

毎日の生活に欠かせない「水道」には飲み水となる「上水道」と、雨水や排水を集め、浄水などを行う「下水道」があります。

上水道を管理しているのは全国それぞれの自治体が設置している「水道局」や役所にある「水道部」「水道課」などです。「水道局」という名称については、「水道事業団」「水道センター」など自治体によって異なります。

また、上下水道を兼営している場合には「上下水道局」として上水道と下水道を一括管理する組織を持つ自治体もあれば、「下水道局」を設置して「(上)水道局」とは区別している自治体もあります。さらに、自治体によっては電気・ガスなど他のエネルギーと一括で管理する「企業局」や「企業団」を設置している場合もあり、自治体によって特性があります。

水道を運用しているのは「市町村」が多い

日本では、水道の整備を担当しているのは市町村というケースが最も多く、一般的です。これは「水道」という私たちの生活に身近なインフラについては、やはり私たちの生活に最も身近な「基礎自治体」として、自治体の最小単位である市町村クラスによって整備されてきた経緯がある地域が多いためだと考えられます。

具体的な運営の方法としては、上記で説明したような「水道局」や「上下水道局」を市町村単位で設置している場合や、市町村役所内に「水道部」や「水道課」を置き、運営管理を行うケースがあります。水道に関する事務は役所内でも可能ですが、実際の浄水や給水については、水道局の下部組織には各地域に点在する「浄水場」などが担当し、各家庭の水道へ給水されています。

しかし、市町村単位での管理が比較的多い水道事業ですが、自治体によっては、市町村ではなく、より大きい自治体である「県」が水道局を運営している場合や、「県」と「市」が共同で水道事業と電気・ガス事業をまとめて運営を行う「企業局」を設置している場合などがあります。

そのような自治体の中には、昔は「市町村」で管理していたものを、経営効率化のため今は「県」に「一元化」されているという自治体や、歴史的に「県」主導で水道の整備が行われてきたために今も「県」が水道事業を引き受けている自治体もあり、地域によって水道の運営・管理には特性があります。

「千葉県」の水道料金システムは異例?

千葉県は、全国でも珍しい上水道と下水道の料金をそれぞれ別に徴収するシステムが使用されています。一般的に、水道の整備や運用は市町村が担当することが多いのですが、千葉県の北西部を中心とした11市では、昭和初期に県主導で上水道の整備が行われたことから、現在も上水道については「県」が水を供給し、水道料金の徴収を行ってきました。下水道については、他の多くの都道府県と同じように市が運営し、料金の徴収も市が行なっています。

上水道と下水道の料金徴収が別々の市→「一元化」へ

千葉県内で上水道と下水道の料金徴収が別々の市は、千葉市、市原市、成田市、鎌ケ谷市、市川市、船橋市、松戸市、習志野市、浦安市、印西市、白井市の11市でした。

2018年の1月から、千葉市、市原市、成田市、鎌ケ谷市の4つの市で上水道料金の徴収の「一元化」が始まりました。4市の市民は、今まで上水道料金を千葉県水道局に、下水道の使用料金を各市の水道局に支払うよう切り替わりました。

2021年の1月からは、市川市、船橋市、松戸市、浦安市、白井市、印西市の6市で水道料金の徴収が「一元化」され、千葉県水道局からの請求に切り替わる予定です。「一元化」されずに残るのは習志野市のみとなっていますが、県は今後も「一元化」に向けて習志野市と協議を続けていくようです。

千葉県が水道料金徴収「一元化」を進めるメリット

千葉県が上下水道の水道料金の徴収を「一元化」するのには、次のようなメリットがあるとされています。

まず一つ目が、水道利用者の利便性の向上です。従来は水道料金の支払い開始や中止について口座振替の手続きや、転居に伴う住所変更などの手続きについて、利用者は上水道については県に、下水道については市に届けなくてはならず、手間がかかっていました。「一元化」することによって、手続きも一度で済むので、利用者の手間が減るほか、手続き漏れが減ると予想されています。

また、二つ目のメリットとして運用している水道局側の、水道料金の収納率の向上や、コスト削減の効果が見込まれています。収納率の向上については、現在県の水道局による上水道料金の収納率が下水道料金の収納率を上回っているため、「一元化」によって下水道料金も同じ水準で徴収できると期待されているようです。

コスト削減については、水道料金の徴収についての事務作業が軽減されることで、人件費等の経費削減が見込まれています。水道についての問い合わせ窓口が「県水お客様センター」に一本化されることや、利用者が水道料を支払うことができる金融機関も増加し、これまでの市の負担していた業務は軽減するようです。

井戸水を使っている人はどうなるのか?

上水道は使わずに井戸水を使用しているなど、下水道しか利用していない人について、水道料金の徴収を「一元化」してしまうと、使っていない上水道料金まで徴収されてしまうのかという懸念があるようですが、そうではありません。これまでと同様に、利用者は下水道使用料のみを支払えばよいのですが、その徴収を担当するのが市から県に変わります。

千葉県では、井戸のみを使用している利用者に対し、平成29年12月までは千葉県水道局が料金徴収をする権限がなく、利用者と金融機関、千葉県水道局との間で口座振替に関する契約を結ぶことができませんでした。平成30年の1月からは、県が市から徴収を受託するため、下水道料金のみの場合でも、県水道局が徴収することになったようです。

また、今まで上水道と下水道の支払日が異なっていましたが、「一元化」されると同日に支払うことができます。「一元化」に伴う使用料金の変更は無いとされていますが、「一元化」開始に伴い、水道の検針日や利用料金の支払日の間隔が一時的に短くなり、その期間の経済的負担が大きくなる場合もあり、調整が必要な部分もあるようです。

全国の「一元化」の状況は?

千葉県以外の全国の水道「一元化」の状況についてご紹介します。

まず2018年4月に香川県が全国で初めて水道事業を全県で「一元化」しました。香川県では県内の一部、岡山県から給水を受けている離島の直島町を除く16の市町と県が合同で広域水道企業団を構成しました。香川県では従来、各市町ごとに行われていた水道事業の経営を効率化することで、今後人口減少によって水道料金を値上げしなければならない状況を避ける狙いがあるようです。

以上のように香川県では「広域水道企業団」を構成して、県内全域での水道事業「一元化」しましたが、都道府県レベルまではいかなくとも、近隣市町村で「水道企業団」等を構成し、水道事業の「一元化」を図っている都道府県は多くあるようです。青森県の「八戸圏域水道企業団」や「大阪広域水道企業団」などがその一例です。

また、福岡県の「大牟田市」や熊本県の「荒尾市」など一部地域の給水を「社水」といって企業が行ってきた地域があります。このような地域では、市が運営する「市水」と「社水」を「一元化」し、水道事業の効率化を図ってきた経緯があり、「荒尾市」では水道の「一元化」に伴い、上水道を運営していた水道局と下水道課が統合され、市の水道事業経営の効率化が図られているようです。

まとめ

千葉県と千葉県内の6つの市では今まで上水道と下水道の料金を別々に徴収していましたが、2021年1月から千葉県水道局がまとめて徴収を担う「水道料金徴収の一元化」を実施する予定です。

すでに千葉県内の4つの市では2018年の1月から上下水道料金徴収の「一元化」が始まっています。元々、上水道は県、下水道は各市が運営し、使用料金を徴収するという千葉県の形式は全国でも珍しいケースだったようです。

千葉県の水道料金徴収「一元化」によって、利用者側は手続きの一本化や支払い可能な金融機関の拡大などのメリットがあります。県や市では、水道料金の徴収を効率化することで、徴収率の向上や、コスト削減が期待されています。

水道料金のシステム変更に伴い、市民からは戸惑いの声もあるようですが、県と市の水道局を中心に市民への説明と対応を進めているようです。

本記事は、2019年3月1日時点調査または公開された情報です。
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