総理の仕事(1) - 内閣総理大臣の仕事や給料、内閣総理大臣になる方法

総理の仕事シリーズ第1弾は、「日本の内閣総理大臣の仕事や給料、内閣総理大臣になる方法」について解説します。

今さら聞けない「そもそも内閣総理大臣って何?どんな人?」という疑問から、内閣総理大臣の決め方、仕事内容、給料、そして、どうやったら内閣総理大臣になれるかなどの基本的なことを徹底解説します。

内閣総理大臣とは?

日本は「司法」「立法」「行政」という3つの権力(三権分立)で成り立っています。権力を3つに分立することを「三権分立」といい、この仕組みによって、3つの権力が互いに抑制や監視をしあって、独裁政治にならないようにしています。

内閣総理大臣とは、この3つに分かれている権力のうち「行政」を司る内閣のトップのことです。

内閣総理大臣の仕事・職務について

内閣総理大臣には、日本国憲法に基づいた様々な権限が与えられており、最高裁判所長官、衆参両院の議長と共に「三権の長」と呼ばれています。

内閣総理大臣は、与えられた権限のもと、国務大臣の任免・罷免や閣議の主宰、外交など、さまざまな仕事を行います。

一つずつ詳しくみていきましょう。

内閣総理大臣の仕事1:内閣のメンバーを決める

内閣総理大臣の仕事、1つ目は内閣のメンバー(国務大臣)を決めることです。

内閣総理大臣は、自分と一緒に「行政」を遂行する国務大臣を決めて、チーム=内閣をつくります。これを「組閣」といいます。「組閣」は、内閣総理大臣に任命されたら、まず最初に行う仕事です。

また、内閣総理大臣は、内閣のメンバーである国務大臣がふさわしくない行為をした場合などに、国務大臣を罷免することができます。これは内閣総理大臣のみに与えられた権限です。

なお、「内閣」とは、「国の行政権を担当する最高機関」のことであり、内閣総理大臣と国務大臣によって組織される合議体のことです。

国務大臣については、以下の記事も併せてご参照ください。

》日本の大臣になる方法・仕事内容や役割を徹底解説

政治関連のニュースを見ているとよく目・耳にする「○○大臣」という言葉。ですが、現在の日本の制度における「大臣」とはどのような立場の人なのか、どうやって「大臣」になるのか、「大臣」の仕事内容や給料など、詳しく知らない人は多いと思います。今回は、日本の大臣について、わかりやすくまとめました。

内閣総理大臣の仕事2:閣議を主宰する

内閣総理大臣は「内閣の会議」、いわゆる「閣議」を開催して、政府として重要なこと(予算や法律など)を決めます。

内閣総理大臣の仕事3:内閣を代表して、国会に議案を提出する

内閣総理大臣は、内閣を代表して国会で「政策」について基本方針を説明したり、国会に提出した予算案や法律案について、 国会議員からの質問に答えたりします。

この国会の様子は、国会中継として、NHKの番組で放送されたり、最近では、インターネットで配信されたりしています。

内閣総理大臣の仕事4:外交を行う

外国との関係が円滑に進むよう調整するのも、内閣総理大臣の仕事の一つです。例えば国際会議に出席したり、各国と関係を強化したり、条約などの交渉をするために外遊します。

内閣総理大臣の仕事5:国家と国民の安全を守る

内閣総理大臣は、日本とその国民の安全を守るためのリーダーとして活動します。いざというときに最高指揮官として自衛隊に出動命令を出すのは内閣総理大臣の仕事です。

内閣総理大臣の仕事6:内閣を代表して行政各部を指揮監督する

内閣総理大臣は、閣議で話し合い決定した方針に基づいて、行政各部を指揮監督します。

内閣総理大臣の権限について

内閣総理大臣は、上記で説明した仕事の他にも、多くの権限が与えられています。

例えば、警察法・自衛隊法に基づいた「内閣を代表し、自衛隊の最高指揮監督権を有する(自衛隊法7条)」や「武力攻撃事態に際して、自衛隊に出動を命ずること(自衛隊法76条、「防衛出動」)」などの権限があります。

内閣総理大臣になるには? その決め方について

内閣総理大臣は日本国憲法第67条に基づき、国民によって選ばれた国会議員の中から国会の議決によって指名され、第6条に基づき天皇により任命されます。

このような決め方は「議員内閣制(ぎいんないかくせい)」といい、憲法によって定められています。

内閣総理大臣への指名の資格要件として、衆議院または参議院の国会議員であること、そして文民であることです。

この文民とは、「1.旧陸海軍の職業軍人の経歴を有する者であって、軍国主義的思想に深く染まっていると考えられるもの」「2.自衛官の職に在る者」以外の人の事を言います。

つまり、衆議院と参議院それぞれで内閣総理大臣指名選挙が行われ、投票で過半数の投票にあった人が総理大臣になれるのです。参議院と衆議院で意見が分かれてしまった場合は、衆議院の結果が優先されます。

通常では、政権を運営している与党の代表が内閣総理大臣になることが多いです。

内閣総理大臣の任期は、通常は4年

日本の内閣総理大臣の任期については、一期何年と明確に書かれてはいません。

ですが衆議院議員の任期は解散がなければ4年なので、4年の任期終了の際に行われる総選挙後の首相指名選挙前に辞職することになります。もちろん新たに召集された国会において、再選されることは禁じられていません。

なので再び指名される事があれば首相の座につくことは出来ますし、制度上は指名される限り閣総理大臣を続けることができるのです。ただし、その政党の内規で党首職に再選制限が設けられている場合、その年限が事実上の上限となることがあります。

任期以外では「衆議院で内閣不信任決議が可決、又は内閣信任決議を否決した場合、10日以内に衆議院を解散しないとき」(憲法69条)、または「内閣総理大臣が欠けたとき」あるいは「衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があった時」(憲法70条)は首相退任(内閣総辞職)をしなければならないとあります。これを退任といい義務となります。

これ以外でも任意で退任(内閣総辞職)する事はできますが、首相が欠けるか退任した際には、内閣は直ちに両議院に通知しなければなりません。

内閣総理大臣の給料について

内閣総理大臣は公務員なので、給料や収入は法律によって決められており、月給制です。

その年により変化はありますが、月給は平均200万円の他に手当てが付き、年2回のボーナスを合わせると年収は平均4000万円ほどになります。(平成26年度の情報)

内閣総理大臣・総理大臣・総理・首相、それぞれの違いは?

日本でよく使われる「内閣総理大臣」「総理大臣」「総理」は、全て同じ意味です。「内閣総理大臣」を略して「総理大臣」「総理」等と呼びますが、正式名称は「内閣総理大臣」です。

次に「首相」についてですが、結論からいうと、日本においては「首相」=「内閣総理大臣」です。

もともと、「首相」とは「首席宰相(しゅせきさいしょう)」の略語であり、あくまでも行政機関のトップ(リーダー)を指す言葉です。日本の行政機関は「内閣」であり、内閣のリーダー=内閣総理大臣です。よって、日本では「首相」と「内閣総理大臣」は同じ意味で使用されています。

しかし、他の国では違います。

例えば、ドイツ連邦の行政機関は「連邦政府」であり、そのトップは「連邦宰相」と呼ばれます。よって、ドイツでは「連邦宰相」のことを「首相」と呼びます。

また、中国では「国務院」という機関が行政権を持ちます。「国務院」のトップである「国務院総理」という役職が「首相」にあたります。

このように、それぞれの国で定められた行政機関のトップが「首相」と呼ばれるのです。

大統領と首相の違いについて

大統領と首相は似ているようで、さまざまな違いがあります。

首相 大統領
・国によって異なるが、行政の最高責任者である。国家元首は別にいる。

・間接選挙で選ばれる。

・共和制国家における元首のことをいう。一般には強大な権力を持ち、一定期間にわたって行政権の最高首長を務める。

・直接選挙で選ばれる。

前述したとおり、首相とはその国の行政機関のリーダー(トップ)です。

これに対して「大統領」とは、共和制国家における国家元首です。国家元首とは国を代表する人のことで、多くの国では大統領もしくは国王が国家元首になります。

大統領は直接選挙によって選出され、強い権限が与えられている場合が多いですが、ドイツやイタリアなどの大統領は、国の象徴や儀礼的な目的のために存在しており、大統領の権限はそれほど強くありません。

国家元首とは?

元首のイメージ画像
公務員総研編集部作成

国家元首とは、外国に対して、その国を代表する人のことです。共和制では大統領が国家元首であり、君主制国家では君主が国家元首を務めます。

それでは日本では、誰が「国家元首」なのでしょうか?

日本国憲法には、国家元首の規定がありません。よって、正確に言えば「今の日本での国家元首」については、「明文規定はない」以上のことは言えません。

ただし、日本の場合は天皇が「国民統合の象徴」であり、「国家元首」にあたるのではないかという考えもあります。実際、諸外国の中には、天皇が日本の国家元首であると考える国もあります。

アメリカの大統領と日本の内閣総理大臣の違い

次に、アメリカの大統領と日本の内閣総理大臣の違いについて説明します。

日本の内閣総理大臣とアメリカ大統領では、選ばれ方に大きな違いがあります。

日本の内閣総理大臣は、選挙で選ばれた国会議員の中から国会での議決を経て選ばれます。ですから、国民が直接選ぶわけではありません。それに対してアメリカ大統領は、アメリカ大統領選挙で選ばれます。

つまり、国民による直接選挙で選ばれているのです。アメリカの大統領は議会とは別に国民の意志によって選ばれるので、連邦議員である必要はありません。

また、アメリカ大統領と日本の内閣総理大臣では、その権限にも大きな違いがあります。例えば、日本の内閣総理大臣は、議会(衆議院)を解散できる権限を持っていますが、アメリカの大統領に議会を解散する権限はありません。

アメリカの合衆国憲法には、行政権は大統領個人に属すると定められています。そのためアメリカの大統領は全ての官僚を指揮することができます。アメリカの大統領には各省の長官を任命する権利があり、その下の幹部も任命できます。一方、日本国憲法には、行政権は内閣に属すると定められています。内閣総理大臣個人に属しているわけではありません。ですから、各省庁の官僚を指揮することができるのは、それぞれの大臣ということになります。内閣総理大臣はその大臣を指揮することができますが、官僚は間接的にした指揮することはできない仕組みになっています。

また、内閣総理大臣は、議会に法案を提出することができます。アメリカの大統領は法案を提出することはできませんが、議会に教書を送ることはできます。教書とは必要な法律をつくるように促すことができるものです。また、アメリカの大統領は、議会のつくる法案に対して拒否権を持っています。

それから内閣総理大臣は、議会から不信任を受けることがあります。内閣が不信任された場合には、内閣総辞職か衆議院を解散しなければなりません。アメリカの大統領は、議会から不信任を受けることはありません。

大統領と首相、どっちが偉い?

日本には首相(内閣総理大臣)しかいませんし、アメリカには大統領しかいません。日本もアメリカも民主主義の国なので、国民が主体であることは前提ですが、あくまで政治的観点からみれば、日本では首相が、アメリカでは大統領が「偉い」と言えるかと思います。

しかし世界には、大統領と首相が両方いる国があります。これらの国では、大統領と首相のどちらの方がより強い権限を持つでしょうか?

結論から言うと、どちらが偉いのかは国によって異なります。

例えばドイツやイタリアでは、行政権は内閣にあり、首相がそのトップとして行政を担います。大統領は儀礼的な仕事や非常時の行政権のみを有しており、「首相の方が偉い」と言えます。

一方、韓国やロシアでは、首相はいるものの、政治的な権限は大統領の方が強いです。

フランスのように、外交は大統領、内政は首相というように役割が分担され、共に政治の実権を握っているという国もあります。

豆知識1:「首相」の読み方、なぜ「しゅしょう」?

首相の読み方はなぜ「しゅしょう」なのでしょうか?普通に読むと、「しゅそう」のような気がしますね。

首相は「首席宰相(しゅせきさいしょう)」の略称です。宰相の「相」は「しょう」と読ませるので、その関係で「首相(しゅしょう)」と呼ぶようになったというわけです。

豆知識2:日本にはなぜ「大統領」がいないのか?

日本に「大統領」がいないのは、日本が政治システムとして「議院内閣制」を採用しており、行政については内閣が担当しているからです。

歴史的背景は複雑ですが、簡単に説明すると、日本は近代化するにあたり、「議院内閣制」であったドイツの「プロイセン憲法」をお手本にして政治システムを構築しました。大統領制を採用すると、天皇制は廃止しなければならないことから、日本は「議院内閣制」を選択しました。

なお、今後日本が大統領制に移行するには、改憲を行う必要があり、政治システムを根本から全て変えなければいけないので、現状、日本に大統領制を導入することは難しいといえます。

まとめ

以上、「総理の仕事(1) - 内閣総理大臣の仕事や給料、内閣総理大臣になる方法」でした。

内閣総理大臣の仕事や、内閣総理大臣になる方法などについて解説し、大統領との違いなどについても言及しました。

ぜひ本記事を参考に、内閣総理大臣についてさらに詳しく知ってください。

また、その他の「総理の仕事」シリーズも併せてご参照ください。

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*「大統領と首相の違いについて」の章において、表に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。(2020年12月28日)

本記事は、2017年6月11日時点調査または公開された情報です。
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