【新型コロナウイルス対策で注目!】日本医師会って何?

医師による全国組織の「日本医師会」は、時に政策提言を行うなど政治的にも力を持ちます。新型コロナウイルス対策では、保健所による検査拒否について言及、調査する方針を示したことで注目を集めました。この「日本医師会」とはどのような組織なのか、解説します。


「日本医師会」とはその名の通り、医師の組織

「日本医師会」は、全国47都道府県にある都道府県医師会の会員で組織する、医師による学術専門団体です。

「日本医師会」の活動の目的は、「医道の高揚、医学及び医術の発達並びに公衆衛生の向上を図り、社会福祉を増進すること」です。

その目的の達成のために、医師の生涯研修に関する活動や、地域医療の推進発展に関する活動、保険医療の充実に関する活動など、さまざまな活動を行うほか、国の医療政策についての政策提言能力も高く、政治に与える影響も大きいと言われています。

「日本医師会」は直接的な政治団体ではなく、実際の政治活動は、関連組織の政治団体「日本医師連盟」が行なっています。「日本医師連盟」からは、歴代の国会議員が多数輩出されています。

▼参考:日本医師会ホームページ
https://www.med.or.jp/

▼参考:日本医師連盟ホームページ
http://www.nichiiren.jp

「日本医師会」のなりたち

「日本医師会」は、令和元年の12月現在で、会員が約17万2千人いる民間の学術専門団体です。会員の大部分は、診療所および病院の管理者である現役の医師と勤務医師のようです。

「日本医師会」が含まれる学術専門団体とは、研究者や援助者からなる学問の発展を目指す団体であり、各種学会や、医師会のような職業ごとの団体として、日本薬剤師会などがあります。

「日本医師会」は、1916年に初代会長の北里柴三郎らによって設立されました。その後、1947年には社団法人として、また、2013年には公益社団法人として認められ、活動しています。

「日本医師会」は「東京都医師会」や「北海道医師会」など、47の都道府県医師会の会員から構成されています。

「日本医師会」の活動

「日本医師会」の活動内容は定款に定められており全体でおおよそ15の活動内容があるようです。そのうち主な活動内容をご紹介します。


「日本医師会」の活動1:日本医学会

「日本医師会」の医師による学会が「日本医学会」です。日本医学会は、129の分科会で構成され、「日本医学会総会の開催」や「日本医学会シンポジウムの開催」、「医学および医療に関する情報の収集と伝達」、「その他学会の目的達成上必要な事業」を行なっています。

医学会総会は、医師会の結成よりも古く1902年(明治35年)に「第1回日本聯合医学会」として開催されました。その後、日本医学会と改称され、総会は4年ごとに開催されています。

「日本医師会」の活動2:国際交流の推進

「日本医師会」は「世界医師会(WMA)」や「アジア大洋州医師会連合(CMAAO)」にも加盟し、世界医師会においては世界医師会長を輩出したり、アジア大洋州医師会連合では事務総長を担うなど、主導的な立場での国際的な医師会の交流を行なっています。

「日本医師会」は医学教育・医学・医術および医の倫理における国際的水準を高めることに貢献し、世界の人々のヘルスケアの実現に努めているようです。

「日本医師会」の活動3:生涯教育制度

医師には、国民に質の高い医療を提供するため、進歩する医学知識や医療技術を生涯にわたって学び続け、その技術を研鑽することが求められています。

「日本医師会」ではそのような医師の生涯学習をサポートするべく、カリキュラムに基づいた講習会への参加、e-ラーニング、体験学習、学会参加・発表、論文執筆 等の業績・結果を評価するなどの活動を行なっています。

基準に達した医師には「日本医師会長」が「日医生涯教育認定証」を交付するなどの認証制度も運営しています。

「日本医師会」の活動4:産業医・健康スポーツ医認定制度

「日本医師会」では、日本医師会認定産業医制度によって産業医の研修や、認定証の交付を行い、質の高い産業医の輩出に貢献しています。

また、日本医師会認定健康スポーツ医制度では、運動を行う人に対して医学的診療のみならず、メディカルチェックや運動処方を行い、各種運動指導者等に指導助言ができる医師を養成することを目的として、所定のカリキュラムに基づく健康スポーツ医学講習を修了した医師に、「日本医師会認定健康スポーツ医」の認定証を交付しています。

「日本医師会」の活動5:そのほかの活動

上記の活動の他にも、「日本医師会」では、「医師年金」の運営、「医師賠償責任保険」等の運営、医師と患者のIT化を目指した「総合情報ネットワーク」の構築、「医学図書館」の運営なども行なっています。

また、定期刊行物として、「日医ニュース」や「日本医師会雑誌」など、各種自己メディアによる発信も行なっています。

まとめ

このページでは、医師による学術団体でありながら、政策提言能力も高いことで知られる「日本医師会」とはどのような組織なのかをご紹介しました。

「日本医師会」は生涯にわたる医学研究や学習、技術の研鑽が責務である医師という職業の教育面をサポートするために発足し、医師の医術の質の向上によって、結果として患者を含めた社会全体の福祉の向上に貢献しています。

2020年現在流行している「新型コロナウイルス」について「日本医師会」からは国民に対しての注意喚起が発表され、全国の医師会によってもその内容は周知されました。

また、保健所による検査拒否が問題視されると、「日本医師会」として実態調査を行う方針も発表し、注目されています。


このように国民の社会福祉について影響力の大きい「日本医師会」ですが、「日本医師会」の理念に基づいて具体的な政治活動を行うのは関連組織の「日本医師連盟」であり、国会議員を輩出するなど国政にも影響力があります。

「日本医師会」は国家公務員や地方公務員の方にとっても関わりの深い団体です。今後公務員になろうとしている場合にも、このように政治や行政に対して影響力の大きい民間団体があることをおさえておくと役立つかもしれません。

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本記事は、2020年3月13日時点調査または公開された情報です。
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