社会福祉士になるには?公務員の「社会福祉士」として働く方法と今後の展望

「社会福祉士」として働く方の中には、地方公務員として採用され、効率の病院や介護施設などで働く方がいます。公務員の「社会福祉士」になるには、そして今後の展望についてもご紹介します。


はじめに – 「社会福祉士」とは?

「社会福祉士」とは、身体上または精神上の障害がある方や、環境上の理由によって日常生活に支障がある方に対して、専門的知識と技術をもって、生活に関する相談業務や助言、指導、そのほか福祉サービスを提供する国家資格「社会福祉士」をもつ職業です。

また、「社会福祉士」は、職務で支援する人について、医師やその他の保健医療サービスを提供する専門家と連携して支援体制を強化したり、その支援対象者の家族や職場の人などの関係者との連携、調整を図り、よりよい暮らしのために支援をつないだりする業務なども行います。

▼参考:公益社団法人 日本社会福祉士会
https://www.jacsw.or.jp/

「社会福祉士」は「ソーシャルワーカー」の一部であり、国家資格保持者です

「社会福祉士」と似た職業名に「ソーシャルワーカー」がありますが、実は両者は全く同じ意味ではありません。

「社会福祉士」は国家資格のため、国家試験に合格しないと名乗れないのですが、「ソーシャルワーカー」は資格がなくても名乗ることができます。

ただし、無資格の「ソーシャルワーカー」であっても「社会福祉士」と同じ福祉業務を行うことは可能です。

これは、「社会福祉士」が「名称独占」という資格だからであり、免許や資格がなければその仕事ができない医師や弁護士などの「業務独占」の資格とは異なります。

このように「社会福祉士」と「ソーシャルワーカー」には持っている資格に違いがある場合がありますが、「ソーシャルワーカー」と名乗っているから必ずしも無資格というわけではありません。

例えば、「社会福祉士」のほかに「精神保健福祉士」や「介護福祉士」の資格も持っているため、あえて総合的な職名として「ソーシャルワーカー」を名乗っている方もいるようです。

▼参考:公益社団法人 日本社会福祉士会
https://www.jacsw.or.jp

「社会福祉士」と「社会福祉主事」の違いについて

「社会福祉士」に似ている資格として「社会福祉主事任用資格」があります。「社会福祉主事任用資格」は「社会福祉主事」として働くことができるという資格であり、実際に行政機関や民間の福祉施設等に就職しないと「社会福祉主事」を名乗ることはできません。


「社会福祉主事任用資格」は、大学などで指定科目を履修するか、指定の通信過程を修了することで取得することができます。

一方で、「社会福祉士」は前述した国家試験に合格し、名簿登録すれば名乗れる資格であり、たとえ就職しなくても「社会福祉士」と名乗ることができるという違いがあります。

福祉職の求人では、「社会福祉士」や「社会福祉主事任用資格」を応募資格として設定している場合があります。

「社会福祉主事任用資格」が必要な場合は、「社会福祉士資格」を持っていれば「社会福祉主事任用資格」があるとみなされますので受験可能です。

しかし「社会福祉士資格」が必要な場合は、「社会福祉主事任用資格」だけでは応募できませんので注意してください。

▼参考:厚生労働省「社会福祉士・介護福祉士等」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-kaigo-fukushi1/shakai-kaigo-fukushi8.html

「社会福祉士」になるには?「公務員」と「民間」で働く方法があります

「社会福祉士」になるには、「公務員」として公共施設で働く方法と、「民間」の病院や介護福祉施設などで勤務する方法があります。

「公務員」になる場合でも、「民間」で働く場合でも、「社会福祉士」として働くには、「社会福祉士国家試験」に合格する必要があります。

「社会福祉士国家試験」について

「社会福祉士国家試験」は、毎年1回、2月上旬頃に実施され、3月に合格発表が行われています。

「社会福祉士国家試験」の受験資格は、4通りあります。

まず、4年制大学に通っている場合は、指定科目を修めて卒業する、または卒業見込みであることです。

2年制、または3年制の短期大学などに通っている場合は、指定科目を修めて卒業するか卒業見込みであり、指定施設において2年以上、3年制の場合は1年以上、相談援助の業務に従事することで受験することができます。

大学や短大に通学する以外でも、「社会福祉士養成施設」で専門課程を修める方法もあります。

「社会福祉士短期養成施設」で6ヶ月以上の課程を卒業、または修了するか、卒業(修了)見込みの場合、または「社会福祉士一般養成施設」では1年以上の課程を卒業(修了)すると受験が可能になるため、社会人になってから「社会福祉士」を目指したり転職したりする方にとっては、「養成施設」に通うことが一般的なようです。

▼参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター
http://www.sssc.or.jp/index.html


公務員の「社会福祉士」の主な勤務先

「社会福祉士」の公務員としての勤務先には、県庁や市役所の福祉課、保健所、保健センターなどをはじめ、公立病院、公立の介護施設、自治体が設置している地域包括ケアセンター、児童相談所などがあります。

民間の「社会福祉士」の勤務先の代表例には、公務員に近い業務内容や待遇のところでは「社会福祉協議会(社協)」があります。

そのほか、民間の病院や、社会福祉法人が運営する施設、NPO法人などで勤務する場合があり、その中でも、自治体からの委託を受けて相談業務などを行う「社会福祉士」もいるようです。

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公務員として働く「社会福祉士」の勤務先と仕事内容

公務員の「社会福祉士」として働く場合の仕事内容をご紹介します。公務員の「社会福祉士」は、福祉系公務員として、市役所や保健所、公立病院などに勤務しています。

公務員の「社会福祉士」の今後の展望

公務員の「社会福祉士」の給与や採用状況など、職業としての将来的な展望をご紹介します。

公務員の「社会福祉士」の需要は増加中だと言われています

日本社会の中で、「社会福祉士」が必要とされる場面は増加しています。

例えば、高齢社会によって、「社会福祉士」による専門的な福祉支援を必要とする高齢者の方はほとんどの自治体でも増えています。

2025年には2025年問題といって、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になると予測されています。これにより5人に1人が後期高齢者になるため、福祉や介護のスペシャリストを増員することは急務となっています。

また、子どもに関しては児童虐待件数が増加しており、児童相談所で働く「社会福祉士」が求められています。学校に配置されている「スクールソーシャルワーカー」についても、その約半数は「社会福祉士」が占めているようです。

また、成人についても心身ともに問題を抱える人が増えるなか、精神障害福祉を専門とする「社会福祉士」の需要は高まっていると言われています。刑務所などの矯正施設働く公務員の「社会福祉士」もおり、近年は積極的に採用する自治体も多いようです。

公務員の「社会福祉士」の将来性

「社会福祉士」の資格は、一度取得すると生涯「社会福祉士」として名乗ることができる資格です。そのため、将来的にも一生使える有利な資格と捉えることができるでしょう。

ただし、「社会福祉士」として活動するためには社会福祉振興・試験センターが管理する「社会福祉士登録簿」への登録が必要です。また、登録している情報から、姓名が変わったり、住所が変わったりした場合には、その都度変更を申請しなければなりませんので注意してください。

更に、公務員には一般行政事務職のほかに「福祉職」や「福祉系」「福祉コース」などと別枠で採用を行う自治体が増えてきています。「福祉職」で受験する場合は「社会福祉士」の資格が必要な場合が多く、一般事務職よりも競争率が低いという場合もあります。

ただし狭き門となっている自治体もありますので、直近の倍率などで動向は確認するようにしてください。

いずれにせよ、公務員としての「社会福祉士」であれば、一度雇用されればより安定して働くことができるでしょう。

公務員の「社会福祉士」の給料

公務員の「社会福祉士」の給料は、国家公務員は福祉職俸給表、地方公務員は都道府県の条例などをもとに決められています。

勤務場所によっては手当がつくこともありますが、同じ自治体内で同じ福祉職であれば、基本的には職場による給料上の差は無いことになっています。また、勤続年数を重ねて、号数や級数が上がれば、他の公務員の職業同様、それに伴い給与も増えていきます。


公務員の「社会福祉士」の給料について、詳しくはこちらのページをご覧ください。

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公務員の「社会福祉士」になるための求人状況や求人情報について

公務員の「社会福祉士」になるためには、「社会福祉士」の資格を取得・取得見込みの状態で、公務員試験を受ける必要があります。

公務員の「社会福祉士」の求人

公務員の「社会福祉士」の求人は、「社会福祉士」として募集があることは少なく、「福祉職」や「福祉コース」などといった区分で募集されることが多いようです。

「福祉職」には「社会福祉士」のほか「精神保健福祉士」などの資格を持っている人のみ受験できる場合が多いので、「福祉系公務員」を目指す上で「社会福祉士」の資格は有利だと言えます。

公務員の「社会福祉士」の求人は、毎年新卒向けに一括で採用される場合と、欠員や増員があったときに中途採用、または非常勤採用などとして募集されています。

例えば、東京都の2019年度(平成31年度・令和元年度)の職員採用試験でが、I類Bの「福祉A区分」で23名の採用が予定され、最終的には29名が採用されました。

また東京都の「キャリア活用採用選考」という、いわゆる中途採用の選考については、18名が採用されたと発表されています。

▼参考:東京都職員採用試験「試験選考実施状況」
http://www.saiyou2.metro.tokyo.jp/pc/selection/past/

公務員の「社会福祉士」には通信課程でもなれる?

公務員の「社会福祉士」は、自治体によっては経験者採用を積極的に行なっていることもあり、社会人の転職先としても人気の高い職種です。

社会人にとって、働きながら資格取得を目指すには通信教育で学ぶという方法がありますが、公務員の「社会福祉士」は通信課程でもなれるのかというと、結論から言えば資格は取れますが、公務員として就職するには別途、公務員試験の受験対策が必要です。

専門学校などの「社会福祉士養成課程」などの通信課程を修了し、国家試験に合格すれば資格の取得は可能です。しかし、「公務員」の「社会福祉士」になるためには、さらに「公務員採用試験」を受けて採用される必要があります。

もちろん、「社会福祉士国家試験」の受験資格を得るには、通信課程以外にも、一般的な大学、短大、専門学校などの「社会福祉士養成課程」がある学校に通学する方法もあります。

公務員の「社会福祉士」の合格率

「社会福祉士」の国家試験の合格率は2020年2月の試験で約29%でした。

公務員の「社会福祉士」の合格率は自治体や採用施設によって異なります。参考まで、東京都の「福祉A区分」の倍率は1.7倍でした。

まとめ

このページでは、公務員の「社会福祉士」になるにはどのような方法があるのかをご紹介しました。

公務員の「社会福祉士」になるには、まず「社会福祉士」の資格を取得する必要があります。

「社会福祉士」の資格は、「社会福祉士国家試験」の試験に合格することで取得できます。「社会福祉士国家試験」には受験資格があり、「社会福祉士養成課程」のある大学などを卒業するなどの方法で受験することができます。


公務員の「社会福祉士」になるには、自治体ごとの「福祉職」などの採用枠に応募し、合格しなければなりません。資格取得のための勉強はもちろん、公務員試験のための対策も取らなければならないため、二重に努力が必要だと言えます。

しかし、「社会福祉士」の仕事は、公務員の扱う行政サービスにもともと親和性が高く、福祉に関わりたいと思う方は、行政について興味があるという方も多いのではないでしょうか。

そのため、公務員の「社会福祉士」の勤務先は、「社会福祉士」を目指す方にとってもやりがいのある職場が多いようです。

「社会福祉士」を目指す方は、公務員として働くことも考えてみてはいかがでしょうか。そして、公務員を目指す方はより専門性の高い福祉職を目指すことを検討してみてはいかがでしょうか。

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本記事は、2020年5月8日時点調査または公開された情報です。
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