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【地方公務員福祉職】「ケースワーカー」の仕事内容について

近年、生活保護受給者は急激な増加傾向にあり、その数は全国で200万人以上にのぼります。生活保護に関するあらゆる業務を行うケースワーカーは、実際どのような業務を行い、どのような問題点を抱えているのでしょうか。今回は知っているようで実はあまり知られていない、知用公務員の「ケースワーカー」について解説。

2017年10月05日更新

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目次
ケースワーカーとは?
ケースワーカーの一日
生活保護を受けている人ってどんな人?
生活保護の現状での問題点や課題
ケースワーカーという仕事へのやりがいと今後の展望
まとめ - 福祉のエキスパート公務員
【地方公務員福祉職】「ケースワーカー」の仕事内容について

ケースワーカーとは?

ケースワーカーという名前の資格はない?

ケースワーカーは、主に生活保護受給者に適正に保護費を支払うことや、求職活動により本人が自立できることを目指して指導を行う、生活保護業務には欠かせない職種です。ですが本来、ケースワーカーという名前の資格があるわけではなく、むしろ「ケースワーカー業務」というように業務内容のことを指す場合が多いです。

通常、このケースワーカー業務に就くためには地方公務員採用試験などを「福祉職」の採用枠で受験する場合が多く、その場合、大学の福祉系の学部で必要な科目を履修するなどして、社会福祉主事任用資格を有することなど、一定の要件があります。

しかし自治体によっては、一般の事務職枠で採用された者の中から配属先でたまたまケースワーカー業務に就く者と、福祉職採用者の両方を混在させているところも多くあります。
それぐらいケースワーカーの数は「足りていない」のが現状です。

ケースワーカーの一日

ケースワーカーの「リアルな」一日

今回は主に大都市等の、保護受給者の多い地域での具体的な例を見ていきましょう。

9時~

出勤するとまず、自分の担当する受給者の保護費の計算( 保護費はいくつかの名目から成り立っておりそれを合算したり引いたりします )を行いシステムに入力していきます。

保護費の計算作業には、毎月「締切日」があり、それを過ぎると保護費を支給できなくなるので遅れることは許されません。しかしほとんどの場合この作業は5分と続けることができず中断されます。というのは、すでに窓口にはたくさんの受給者がケースワーカーとの面談を希望し並んでいるからです。

相談内容は多岐にわたります。高齢者の例では、「アパートの隣人ともめていて、保護費を取られそうだ」「通院先を変えたいがどうすればいいか」「自転車が壊れて移動手段がない、買い物に行けないからなんとかしてほしい」など実に様々です。

時間的に余裕はありませんが、もちろんケースワーカーは親身に対応します。その理由のひとつには、ケースワーカーは保護費を「適正に」使用するよう「指導」し、「助言」しなければならないという使命があるからです。一見関係のなさそうな相談でもほとんどが金銭的なことにつながるのです。

12時過ぎ~

昼休みに入りますが、この間も交代制で窓口に職員が配置されます。

13時~

ケースワーカーのメイン業務のひとつである「家庭訪問」を行います。
訪問先は広範囲にわたるため、自転車で効率よく順番に訪問していきます。

ではなぜ家庭訪問を行うのでしょうか?
ひとつには「居住確認」の意味合いがあります。保護費は毎月受け取っているが、実はすでにこの自治体には住んでおらず、どこか別の町に住んでいるということのないように、定期的に訪問します。

また、受給者には高齢者や病気を抱えた人もたくさんいるので、体調面の確認や、診察を頑なに拒む高齢者を保健師とともに説得し、入院手続きを行ったりします。その他にも保護費の使い方の指導やあらゆる相談にも乗ります。またその内容はすべて細かく記録していきます。

そしてさらに、悲しい現実ですが家庭訪問をした際にすでに亡くなっており発見される高齢者も少なくありません。その際ケースワーカーは即座に関係機関(救急、警察等)に連絡し、家族がいれば連絡し、孤独死であれば葬儀の手続き等を行います。

このように、午後の家庭訪問も突発的な出来事により訪問できる件数は少なくなり翌日に持ち越されたりすることもあります。

17時30分~

本来多くの自治体ではこの時間帯が終業時刻ですが、やはりどうしてもその日に出来なかった業務の処理や、家庭訪問の記録など、やらなければならないことに追われてしまいます。多い地域ではケースワーカー1人で400人の高齢者を担当している場合もあるので、記録の量も膨大です。

実は窓口受付が終了しているこの時間帯は、手を止められることなく事務作業を行うことができるため、最低でも急いで今日中に処理しなければならないものだけは終わらせます。

20時

残務整理をする場合も、できるだけこの時間までには退勤するようにします。

生活保護を受けている人ってどんな人?

ネットに書かれていることは本当? 怠け者が保護を受けているの?

ケースワーカーになるにあたり、何よりもまず大切なことは、「正しい情報を知る、学ぶ」ということです。

最近は、ネットですぐに情報を収集できるようになりましたが、その中にはすでに出回っているような同じデータを何度も使い回し、さも真実であるかのようにもっともらしい口調で論じているものも、多く見かけます。

ですが考えてみて下さい。書き込みをする人はどこで生活保護者についての統計を取ったのでしょうか?パチンコをして保護費を無駄使いしている人を何人も目の当たりにしたのでしょうか?それほど数多くの受給者と、どこで出会ったのでしょうか?そして実際に、生活保護受給者は怠けていたせいで生活に困ってしまったのでしょうか。ここでは実際の生活保護の現状を見ていきましょう。

現行の社会保障制度では、生活保護受給者は増えて当然という事実!

まずはじめに、生活保護受給者といってもまったくひとくくりにできません。人は、自分にとって不可解なことがあると、できるだけその集団をひとつの「属性」にまとめ、「生活保護者は皆怠け者でパチンコをしているに決まっている!」と一刀両断で片付けようとするものです。なぜならその方が楽だからです。

ですが現実は、決してそのような単純なものではありません。
まず例として、これは増加し続ける高齢の受給者の場合ですが、なぜ増加しているかわかりますか?

実は会社勤めをしていた人は、ほとんどの場合将来厚生年金をもらえるので生活に困ることはあまりありませんが、自営業(飲食店経営など)の場合は、もらえる年金は月にたったの6万円台なのです。この額で生涯生活できる人が果たしているでしょうか。

ならば自営業の人は60代70代になっても働けばいい!会社と違って定年退職などないのだから、という声が聞こえてきそうですが、そんなことは当人たちもわかっています。ですから力尽きるまで何歳でも働き続けます。ですが、どんなに健康に気を使っていても歳を取ると腰は弱り、力仕事には致命的な骨折もします。そうなると、この月額6万円程度で今後は生きていかなければなりません。実際に生活できるはずもなく、この状況におかれた高齢者はほぼ全員生活保護に頼るしかなくなるのです。

日本人の平均寿命は延びている

長寿国、日本ではさらに平均寿命は長くなっています。ということは、6万円台の国民年金しかもらえない高齢者は、生きている間はずっと、最低限の生活に必要な額を生活保護に頼らざるをえないことになります。しかも彼らのほとんどは、40年間せっせと国民年金保険料を納め続けた人たちなのです。

この理不尽ともいえる社会保障制度の不備については、実はすでに大阪市をはじめとする保護受給者を多くかかえる各自治体が、国に訴え続けているところなのです。

若い生活保護受給者はどうなのか?

実は近年増加の一途をたどっている生活保護受給者のうち、増加率として高いのは働き盛りの若年層です。とくに、数年前のリーマンショックと呼ばれる出来事を機に一気に増加しました。

これはやはり、失業者が増え、また仕事はしていても非正規社員として年収200万円以下で不安定な生活を余儀なくされている人が増えたことによります。

ケースワーカーの仕事としては、この「若年層」と呼ばれる人たち(64歳までは若年層に入り、働ける世代とみなされます)に、ハローワークなどで求職活動をする指導をしたり、定期的に面談してその確認をしたりします。

生活保護の現状での問題点や課題

ネットで目にする生活保護受給者の多い町は自業自得なの?

先ほども保護受給者の多い都市の例として大阪市のことを少し挙げましたが、では大阪市民は生活保護に頼る怠け者が多いのでしょうか?実はここにはあまり知られていないからくりがあるのです。

その人は、実はあなたと同じ故郷の出身かもしれない

大都市には、昔から公共事業などで日雇い労働者が集まりやすく、大阪市を例にすると、1970年に大阪で開催された万国博覧会のために、多くの労働者が全国から集まりました。この労働力のおかげで万博も開催できたわけですが、その後、故郷の田舎に帰っても仕事のない労働者たちはそのまま大阪に住むことになります。現在でも「あいりん地区」という日雇い労働者の町がありますが、当時の労働者たちが年老いて働けなくなる、これが現在大阪市に生活保護者の多い大きな理由のひとつなのです。ちなみに当時は現在のあいりん地区ではなく、もう少し北部に日雇い労働者の町がありましたが、現在の場所に移りました。

ケースワーカーの仕事で知る、様々な問題点

ケースワーカーの大切な仕事のひとつとして、生活保護申請者の自宅に行き面談し、内容をすべて記録するというものがあります。その際まず初めに行うのが、「生い立ち」に関する記録です。

これは本人の生まれた都道府県、小学校の名前から、父、母、兄弟についても名前や年齢など覚えていることすべてを話してもらい書き留めていくものですが、本人の身の上話を聞くためではなく、この聞き取りで得た情報が、のちに本人の親族を探し当てる手がかりになり、扶養してもらえないか連絡をするためにも必要なのです。

そのために行う記録ですが、実際に出身地を見ると九州、四国、中国地方をはじめ、実に全国から大阪に来ていることがよくわかります。ともすれば大阪市出身者より多いのではないかというこの事実を、世間で一体どれくらいの人が認識しているのか、都市で働くケースワーカーなら一度は考えてしまうこともあるでしょう。もちろん個人情報ですから出身地を公表することなどあり得ませんが、ステレオタイプの情報に踊らされる「世間の無知」についても考える時が来たのではないでしょうか。

都市にさらに追い討ちをかける、まわりの自治体

引き続き大阪市を例に、ケースワーカーを目指す人には知っておいてほしいことがあります。驚くべき事実として、全国の自治体の中には生活保護申請があったにもかかわらず、本人に「大阪市に行けば保護を受けやすいよ」「大阪市に引っ越しをしてあちらで保護の申請をするように」と告げ、あろうことか片道切符を手渡し大阪市に送り出す自治体も存在します。

参考までに大阪市の生活保護受給者数は、およそ15万人で、これは市民の17人に1人が保護受給者という計算になり、さらに地域によっては住民の4人に1人が保護受給者という所も存在します。ですが先ほどの話をふまえ、この統計数字をどう見るか、もはや自治体同士の押し付け合いでは解決できない、国が大きく関与しなければならない多くの問題を抱えているのです。

ケースワーカーという仕事へのやりがいと今後の展望

どんな時にやりがいを感じるか

ケースワーカーは、単純に保護費を支給し、上から目線で生活指導を行うものではありません。保護受給者の中には、母親の顔も知らず孤独に生きてきた人や、突然父や母が家から出て行き、その後自分の力だけでなんとかやってきたがついに力尽きた人など、壮絶な人生を送ってきた人も少なくありません。

そのため他人を信用できず、当初は攻撃的になる人もいますが、そんな受給者と信頼関係を構築することができた時や、「ありがとう」と言われた時には何ともいえないやりがいを感じます。

これからのケースワーカーのあり方

今後も生活保護受給者は増加すると思われます。そんな中ケースワーカーの仕事はますます重要になってきていますし、また今まで「生活保護」に関する問題点から日本という国が目を背けてきたツケが、いま一気に噴出しています。

それをふまえて、これからのケースワーカーは、一地方にとどまらず国レベルでの問題を包括的に考え判断する力、また親身に相談に乗ることができる共感力、そしてそれを共感で終わらせることなく、関係する法律(生活保護法や介護保険法、精神保健福祉法など)を熟知して問題解決に結びつける解決力など、多くの能力が必要になってきます。

また、万が一保護費の不正受給や病院などの不正行為などに出くわした際には、毅然とした態度で正す強さも必要です。

まとめ - 福祉のエキスパート公務員

福祉職系地方公務員である「ケースワーカー」は福祉のエキスパートです。

いろいろと大変な仕事も多いケースワーカーですが、この仕事ほど数多くの人の人生と向き合い、その人生の伴走者となれる仕事は、他にはなかなかありません。

自分が指導する立場だとしても、気付けば教えられることもたくさんありますし、最近あまり感じられなくなった「生きる」ということへの人間のエネルギーのようなものも、改めて感じることができるでしょう。

ぜひこの「ケースワーカー」という職業に、一度目を向けてみてはいかがでしょうか。

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