生活保護制度とは?健康で文化的な最低限度の生活を保障する

近年、制度の存続が危ぶまれているという日本の「生活保護制度」ですが、具体的にどのような制度なのか、解説します。

「生活保護制度」とは? - 厚生労働省が管轄する社会福祉制度

厚生労働省によると、「生活保護制度」とは、生活に困窮する人に対して、その困窮の程度に応じて必要な保護を行う制度のことです。そして、「生活保護制度」の目的は、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することです。

実際に支給される保護費は、地域や世帯の状況によって異なりますが、家族も含め、資産や能力等のすべてを活用してもなお生活に困窮する人のための制度です。

▼参考URL:厚生労働省|生活保護制度
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/

毎月行われている「生活保護」の被保護調査

厚生労働省では、「生活保護」を受けている人を調査する「被保護調査」を毎月行い、結果を公表しています。

令和2年度10月期では、前月に比べて1.2%減少の204万9746人が「生活保護制度」を利用した被保護実人員としてカウントされています。全体として、保護件数は減少していますが、申請は前月よりも335件増えて、18621件だったようです。

被保護実人員(各月間)と対前年同月伸び率 イメージ画像
出典)厚生労働省|被保護調査

「生活保護」を受けるための要件と、「生活保護」の内容について

「生活保護制度」では、対象となる人の資産や、能力等、あらゆるものを活用することを前提として、それでもなお困窮している場合に必要な保護が行われます。

そのため、「生活保護」の対象は以下のような状態の方です。

「生活保護」の対象

・不動産、自動車、預貯金等、ただちに活用できる資産がない状態
※ 不動産、自動車は例外的に保有が認められる場合があります。

・ 就労できない、又は就労していても必要な生活費を得られない状態

・ 年金、手当等の社会保障給付の活用をしても必要な生活費を得られない状態

・ 扶養義務者からの扶養がされない状態
※ 生活保護の申請が行われた場合に、夫婦や、中学3年生以下の子の親など、扶養義務者が存在する場合については、福祉事務所のケースワーカーが実際に会って扶養できないかを照会するようになっています。夫婦であっても、DV被害者など、扶養義務者がいても、扶養が得られない方もいるため、本人の状態を確認します。

上記を踏まえて、対象となった方の必要な生活費は、年齢、世帯の人数等により定められており、それを「最低生活費」と呼びます。働いていても、収入が最低生活費以下の場合は、「生活保護」を受給できます。

「生活保護制度」の具体的な扶助の種類と内容

「生活保護制度」について、具体的にどのような扶助、支援の種類があるのかをご紹介します。

「生活保護制度」の扶助、支援の種類について

・生活扶助:日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等)のこと、基準額は、(1)食費等の個人的費用と、(2)光熱水費等の世帯共通費用を合算して算出されます。また、特定の世帯には「母子加算」などの加算があります。

・住宅扶助:アパート等の家賃のこと。定められた範囲内で実費が支給されます。

・教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費のこと。定められた基準額が支給されます。

・医療扶助:医療サービスの費用のこと。費用は直接医療機関へ支払われますので、本人負担額はありません。

・介護扶助:介護サービスの費用のこと。費用は直接介護事業者へ支払われますので、本人負担額はありません。

・出産扶助:出産費用のこと。定められた範囲内で実費が支給されます。

・生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用のこと。定められた範囲内で実費が支給されます。

・葬祭扶助:葬祭費用のこと。定められた範囲内で実費が支給されます。

「生活保護」の相談・申請窓口は、全国の福祉事務所です

「生活保護」についての相談や申請を担当する窓口は、全国に設置されているの福祉事務所の「生活保護担当」です。福祉事務所は、市や区では市または区が、町村では都道府県が設置しています。

一部、福祉事務所を設置していない町村では、町村役場でも申請の手続を行うことができます。

原則として、住んでいる地域にある福祉事務所が管轄となりますので、その地域を管轄している福祉事務所の窓口に相談が必要です。

▼参考URL:厚生労働省|福祉事務所
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/fukusijimusyo/

「生活保護制度」の手続きの流れ

「生活保護制度」の手続きの流れについて、ご説明します。

「生活保護」の手続き(1):事前の相談

「生活保護制度」の利用を希望する場合には、まず、住んでいる地域を所管する福祉事務所の「生活保護担当」での事前の相談をします。

「生活保護制度」の説明をするほか、他にも生活福祉資金、各種社会保障施策等の活用できないかを検討し、「生活保護」が必要か、他の制度がふさわしいのではないかなどを相談します。

「生活保護」の手続き(2):保護の申請と調査

「生活保護」の申請をすると、保護を決定するために以下のような調査が実施されます。

まず、家庭訪問などによる、生活状況等を把握するための実地調査があります。利用している金融機関などでの預貯金、保険、不動産等の資産調査も行われます。

また、配偶者や中学3年生以下の子の親など、扶養義務者による仕送り等の援助など、扶養できる人がいないかも調査の対象です。

そのほか、年金等の社会保障給付や、就労収入など、「最低生活費」を上回る収入がないか、近いうちに就労の可能性がないかについても調査が行われます。

「生活保護」の手続き(3):保護費の支給

上記の調査によって「生活保護」が適用されることが決定した場合、保護費が支給されます。

生活保護費は、厚生労働大臣が定める基準に基づく「最低生活費」から年金や就労収入等の「収入」を引いた額が、毎月支給されます。

生活保護の受給中は、収入の状況を毎月申告することが必要です。また、世帯の実態に応じて、福祉事務所のケースワーカーが年数回の訪問調査を行い、保護の継続の有無についても検討します。

また、就労の可能性のある方については、就労に向けた助言や指導が行われることもあります。

まとめ -「生活保護制度」は必要な方に行き届いてほしい支援制度

このページでは、「生活保護制度」の基本について解説しました。

「生活保護制度」の目的や内容、保護を受けるための条件など、基本的な情報を中心にまとめました。病気になってしまって働けない、DV被害に遭い逃げている、失業してしまった、働いても最低生活費に収入が届かないなど、様々な理由で困窮してしまう方にとって、「生活保護」は命を繋ぐ大切な制度です。

ただ、その制度を本来の意図とは異なるかたちで利用するケースも相次いでおり、不正受給を減らすことを意識し過ぎて、本当に必要な方への生活保護の決定を見送ると言った、本末転倒な事態も、残念ながら起きているようです。

また、「生活保護担当」の窓口の仕事も過酷であり、神奈川県小田原市では「小田原ジャンパー事件」という、行き過ぎた職員の対応が問題になった例もあります。

日本の生活保護制度の問題点については、下記のページもご覧ください。

関連リンク

》【市役所】小田原ジャンパー事件から見る、生活保護の穴と職員の苦悩

【公務員の仕事に関する出来事】小田原市の職員たちが起こした不祥事である、小田原ジャンパー事件についてです。表面上では、公務員の不祥事として片づけられがちなこの事件、その事件の本質、生活保護の持つ問題点について考察します。

》日本の「生活保護制度」の受給者増加問題(2019年度調査)

日本には「生活保護制度」がありますが、近年この制度が存続の危機にあるとの指摘があります。その理由は、就職氷河期世代を中心とした受給者の増加と、外国人の受給者増加にあるようです。

本記事は、2021年1月27日時点調査または公開された情報です。
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