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【保育士現場レポ】国際結婚の子どもの言葉の発達や友達との関わりについて

平成に入り、昭和初期に比べて世界との距離が近くなり、国際結婚が増加しています。現在はその婚姻数が約2万1千件となっています。このような社会状況の中で、ある外国人のお父さんと日本人のお母さんのもとで暮らす、ある女の子(以下Aちゃん)の事例から言葉の発達と友達との関わりを考察した保育士のコラムです。

2018年01月29日更新

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目次
言葉の発達
Aちゃんの事例
まとめ
父母の国籍が異なる家庭の子どもの言葉の発達と友達との関わり

言葉の発達

発達の過程

人はどのようにして言葉を獲得していくのでしょうか。まずはその過程を見ていきたいと思います。小野寺(2009)は次のように述べています。

ヒトが意味のあることを話し出すのは1歳前後ですが、じつはもっと月齢の浅い赤ちゃんもおしゃべりをしています。そのおしゃべりというのは、基準喃語とよばれるもので生後6ヶ月ごろから発するバーバー、ダーダーといった音声のことをさしています。この基準喃語があらわれる時期は、その言語においてもほぼ等しく、構成する子音要素の種類はほぼ一致していることがわかっています(h、d、b、m、t、g、w、n、kが80%を占めている)。つまりこの喃語には世界中の言葉のエッセンスが詰まっているわけです。

出典
2009小野寺『手にとるように発達心理学がわかる本』p83

そして1歳〜1歳半頃になると喃語を経て、初語が出てきます。「パパ」「ママ」などの1語文を話すのがこの時期です。1歳半〜2歳頃になると命名期と呼ばれる時期になります。この時期は、物にすべて名前があることを認識しており、盛んに物の名前を聞いてきます。そして2語文を話します。その後は年齢が上がるにつれて、現在、過去、未来の区別ができたり、接続詞や助詞が使えるようになったりと益々言語能力が発達していきます。3〜4歳頃には話し言葉が完成し、日常生活に不便のない程度に話せます。

言葉の発達の重要性

言葉は相手に自分の気持ちを伝える方法の1つです。うまく自分の思いが相手に伝えられるとストレスになることが少なく、友達を噛んだり引っ掻いたりといったトラブルが少なくなります。1歳半〜2歳の頃は少しずつ自分の気持ちを周囲の大人や友達に伝えられるようになってきます。しかし、まだ言葉の獲得が十分ではないため、うまく言いたいことが伝えられずモヤモヤし、イライラすることがあります。その時に言葉で伝えるよりも噛んだり引っ掻いたりするほうが自分が「嫌だ」という思いを簡単に伝えられます。

しかしながら、友達を噛むことや引っ掻くことは望ましい気持ちの伝え方ではありません。保育士は子どもには言葉で伝えるように伝えたり、うまく話せない子どもには、その気持ちを汲み、心に寄り添い、噛んだり引っ掻いたりしなくても済むようにしなくてはいけません。

友達とうまく関係を築くためにも、その子のストレスを軽減するためにも言葉で自分の気持ちを伝えられることは非常に重要なことになってきます。

おもちゃの取り合いの場面では

例えば、おもちゃの取り合いの場面では、友達の使っているおもちゃがほしくて取ってしまうことがあります。望ましい姿は、友達に「かして」と話し、友達が「いいよ」と言ってくれたら借りるという姿です。しかし、言葉がうまく出てこなかったり、自分の気持ちを伝えられないと何も言わずに友達のおもちゃを取ってしまうことがあります。

そうすると、おもちゃを使っていた子どもは「何で取るの!」と怒り、おもちゃの引っ張り合いになり、最終的には叩く、引っ掻く、噛むという手段になってしまいます。

このような状況にならないためにも言葉でうまく伝えられるかどうかという点は保育園で集団生活をする上で重要になってきます。

喧嘩の重要性

小野寺(2009)は次のように指摘しています。

おもちゃの取り合いの場面に見られるような喧嘩は子どもの発達にとってとても重要なものです。友達とのやりとりを通して、相手にも気持ちがあることに気付き、自分の思い通りにならないということに気付きます。

子ども同士のけんかを見ていると、その発言はかなり辛辣な内容です。大人なら傷つくようなことも子どもは平気で言うことがあります。しかし、こうしたけんかをつうじて、子どもたちは相手を理解し、思いやる心を学びます。またすぐ隣にいる仲間との関わりのなかから、人にはいろいろな性格特性をもった人がいることを知ります。

そして集団をうまく運営するためのルールについて学び、コミュニケーション能力を育み、我慢することを学んでいくのです。子どものけんかに親は出るなと言いますが、昨今では、自分の子どもが幼稚園で友人とうまくいないと敏感に反応し、「うちの子はいじめられている」と先生に訴える人もいるようです。

出典
2009 小野寺 『手にとるように発達心理学がわかる本』p125

バイリンガルの言語の発達

バイリンガル家庭の子どもは一般的な家庭の子どもと比べると、言語的な発達は少し遅いことがあります。一般の子どもは同じ言語を100聞くとしたら、バイリンガル家庭の子どもは1つの言語を50聞き、もう1つの言語を50聞くことになり、どうしても1つの言語としては言葉が遅れることに繋がります。ちなみに言葉が少し遅いのは特に2言語を聞いて育ったから2言語の間で混乱しているというわけではありません。

言葉の発達が少し遅れるということは、それだけ自分の思いを相手に伝えるようになれることが一般の子どもと比べて遅れることになります。そうすると、友達に自分の思いを伝えようとしても、うまく伝えられないということが起こりやすくなります。バイリンガル家庭の子どもにとって少し不利な状況です。

Aちゃんの事例

Aちゃんを取り巻く状況

Aちゃんの家庭はお母さんが日本人でお父さんが外国人です。保育園には0歳クラスから入所しました。父は母国語が英語です。お父さんは日本語の勉強もしたので、日本語も問題なく話せます。その家庭では、家ではお父さんもお母さんも英語で話しています。保育園は一般的な日本の保育園なので保育園では英語に触れる機会はほとんどありません。Aちゃんにとっては家と保育園で言語を使い分けなくてはいけない状況です。保育園に入所している0〜6歳は発達によって言語の獲得をしていきます。また、言語を使って自分の思いを相手に伝えられるようになっていきます。

Aちゃんの保育園での様子

Aちゃんは家庭では英語、保育園など外の世界では日本語という環境の中に置かれています。そのため、言語の発達が少し遅れていました。またお父さんも「Aは2つの言語で混乱しているところがある」と話していました。

2歳児クラスの時、Aちゃんは言葉がうまく出てきませんでした。自分の気持ちやしたいことを相手にうまく伝えられないのです。そのため、おもちゃの取り合いの場面で怒って友達を引っ掻いたり、噛んだりすることがありました。また、言葉でうまく伝えられないのでただひたすら泣いて訴える、癇癪を起こして訴えることも多くありました。

そのような時、保育士はAちゃんと友達を仲介して、話をよく聞きました。そして、そういう時は「あとでかしてって言うんだよ」などと、具体的にどういう風に友達に話せばいいのかをその都度伝えていきました。Aちゃんの気持ちを受け止めることが大切です。保育士はAちゃんと友達の気持ちを代弁して、双方が納得する解決方法を探していきました。

そして保育士の丁寧な関わりによって、少しずつAちゃんは「かして」と言えるようになりました。そこですかさず保育士は「上手に言えたね」とその発言を褒めて、彼女の自信に繋がるようにしました。たまに癇癪を起こすこともありましたが、少しずつ友達とも上手く付き合えるようになりました。

Aちゃんが3歳児クラスになるとさらに言葉もスムーズに出るようになりました。それからは自分の気持ちを友達や保育士に伝えられようになりました。その結果、友達とけんかをすることもありますが、言葉のやりとりを楽しみながらおままごとをしている姿が見られました。

言葉の発達は時間がかかります。保育士は丁寧に関わり、言葉で伝えることの楽しさを、その都度伝えることが重要です。

事例からわかること

言葉が十分に獲得されていない頃は、叩く、引っ掻く、噛む、泣いて怒るなどして訴えていました。しかし、3歳頃になると、「かして」など自分の思いを伝えられるようになります。そして、そこには保育士や保護者の適切な関わりも必要になってきます。

このように、自分の気持ちを相手に伝えられることで友達付き合いを発展させることができます。保育園では、言葉が獲得されると引っ掻きや噛みつきがなくなると言われています。それは友達関係が深まり、言葉を使いこなせるようになってきたことによるものと考えられています。

まとめ

バイリンガルの家庭など、家庭と保育園で言語が異なる環境では言葉の発達が少し遅れることがあります。それによって相手にうまく自分の気持ちを伝えることが難しく、つい噛んだり手が出てしまったり、ストレスを抱えてしまったりということがあります。

保育士は特別な配慮が必要な子どもに対して、子どもの気持ちに寄り添って理解することが大切です。

また、子どもが何かを話そうとしているときは、ゆったりとした気持ちで待つことで言葉の発達が促されると言われています。以上のことから、保育士は様々な環境の中で育つ子どもたちを受け入れ、丁寧に関わっていくことが重要となってきます。

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