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【アメリカ州制度】多くの自由を生んだ場所「ロードアイランド州」解説

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ロードアイランド州


アメリカ北東部のロードアイランド州はもともとは13植民地のひとつであり、最も独立心が強かった場所として知られていました。建国前から我の強さは有名で「マイウェイ」を貫き通すことが多かったため、独立を目指していたものの合衆国に加盟したのは13植民地のなかで最も遅かったほどです。

しかし、後にこの我の強さが様々な民主化に働き、現在にも通じるアメリカの自由な精神を実現することになります。普段はあまり目立つことがないロードアイランド州ですが、実は多くの自由を生んだ場所でもあります。今回はそんなロードアイランド州についてご紹介します。

目次

ロードアイランド州の特徴

2018年現在、ロードアイランド州の総人口は約106万人です。人口は決して多くありませんが、滋賀県と同じ程度の面積に人口が集中していることから全米で2番目に人口密度が高い州でもあります。同州の面積は全米最小であることから親しみを込めて「Little Rhody」と呼ばれています。

州名のアイランドという言葉が示すように州内にはロード島(別名アクィドネック島)があり、建国以前に白人開拓者がこの島を拠点に生活していました。ニューポート郡と呼ばれるこの一帯は現在ではアメリカ本土と繋がっていますが、ロードアイランド州の原点とされています。

ロードアイランド州の正式名称は「State of Rhode Island and Providence Plantations」で、この名称は全米で最も長い州名です。このなかでも「and Providence Plantations」の部分は植民地や奴隷制度を彷彿させる言葉でもあるため州議会は2009年に州名を現状維持するか変更するかを州民に問いました。その結果、圧倒的に現状維持を望む声が多く、いまもなおこのような州名が使われています。

この背景にはロードアイランドを開拓したイギリス人聖職者のロジャー・ウィリアムズの存在があります。ロジャー・ウィリアムズは宗教的な弾圧によってイギリスを追われ、新天地のアメリカでインディアンを公平に扱うように進言し続けた人物です。彼と同士12名によって築かれた開拓地は神の摂理を意味する「Providence」と名付けられました。長い州名はロジャー・ウィリアムズを尊敬する州民の気持ちの現れです。

ロードアイランド州の特徴のひとつは「自由への強いこだわり」でしょう。13植民地のなかで最も独立に執着していたことや、合衆国に参画することに慎重だったことがそれを裏付けています。建国後には奴隷解放や差別撤廃など独自の改革を進めました。

1732年には全米で初めて女性が新聞を発行したり、ショッピングモールやデパート、ゴルフトーナメントなどの庶民の娯楽文化もアメリカで最初に同州で誕生しました。また、アメリカ最古の図書館であるレッドウッド図書館の設立や、1877年創立のRhode Island School of Designは「美大のハーバード」としても知られ、アメリカ最高峰の美術大学として数多くの芸術家を輩出しています。

このようにロードアイランド州は建国以前から自由への強い意志と行動を伴った州であり、その精神は現代でも受け継がれています。ロードアイランド州は自由の国アメリカの象徴的な存在と言えるでしょう。

ロードアイランド州の歴史

ロードアイランド州は、1790年にアメリカ合衆国13番目の州になりました。アメリカ合衆国の前身でもある13植民地のなかで最も独立心が強く、独立戦争の際にはいち早くイギリス軍に攻撃を仕掛けたほどです。13植民地のなかでも「我が道を進む」というスタンスだったものの、合衆国憲法に批准しないと関税がかけられる恐れがあったため妥協する形で憲法に批准しました。この結果、13植民地のなかで最も遅い州への昇格になったのです。

1614年、オランダ人探検家のアドリアン・ブロックが現在のロードアイランド州ブロック・アイランドを訪れ、先住民族と交易を始めたことが開拓の始まりとされています。1636年には宗教観の違いや先住民族を擁護する発言を繰り返したためにイギリスからもマサチューセッツ湾植民地からも追い出されたロジャー・ウィリアムズがこの地にやってきます。


現在のナラガンセット湾付近に入植したロジャー・ウィリアムズは一帯の土地をインディアンから買い取り集落を作りました。その際に宗教自由の地と定め、神の摂理を意味する「Providence」と名付けました。この結果、クエーカー教徒、ユダヤ教徒、カトリック教徒など様々な宗派が集まり、信教の自由が保障された植民地として発展していきました。

1644年にはこの一帯の開拓地が統合され「Rhode Island and Providence Plantations」と名付けられます。ロジャー・ウィリアムズ同様にマサチューセッツ湾植民地を追い出されたジョン・クラークはイギリス本国と度重なる交渉を経て、1633年にイギリス国王チャールズ2世から勅許(領有権に該当)を得ることに成功しました。

白人がこの地に足を踏み入れてからはロジャー・ウィリアムズの活躍もあり、白人とインディアンの関係は良好なものでした。インディアンから厳しい寒さを生き延びるための知恵や食料確保などの助けを借りて白人は開拓を続けていきましたが、土地を巡る争いが頻繁するようになり、ついには1675年にロードアイランドで最も重要な出来事とされる「フィリップ王戦争」が起こります。

白人からフィリップ王と呼ばれていたワンパノアグ族の酋長だったメタコメットが度重なる土地を巡るいざこざに対して反乱を起こしたことがきっかけで起きたこの戦争は、白人とインディアンの友好関係の終焉、さらに白人からの恨みを買う結果になり、後に全米中でインディアンが迫害されることに繋がっていくのでした。

1776年5月4日、ロードアイランドはイギリス王室への忠誠を破棄し、13植民地のなかで最も早く独立を宣言します。独立戦争の際にはイギリス軍によってニューポートなどが占領されてしまいますが、占領された場所を取り戻すための戦い(ロードアイランドの戦い)をきっかけにフランス軍が加勢し形勢が逆転、戦争は終結に向かいました。独立戦争の終わりを作った戦いこそがロードアイランドの戦いとされています。

独立戦争後はニューイングランド地方の奴隷貿易の中心地として関わるようになります。1774年頃までこの地の人口の6パーセントは奴隷だったとされ、他の植民地よりも奴隷の数が倍以上多かったとされています。一方で、1784年に女性は18歳、男性は21歳まで年季奉公とし段階的に開放される法律を制定しました。

南北戦争の際には北軍として参戦し、2万人以上の兵を派遣して軍事物資の供給などでも活躍しました。その後、1866年には州内での人種差別を廃止、低所得者層の子どもには包括的健康保険制度など様々な弱者を守る政策が整備されています。

ロードアイランド州は独立を果たした強い精神やロジャー・ウィリアムズのような慈悲の精神が根底にある州と言えるでしょう。

ロードアイランド州の政治情勢

ロードアイランド州では2012年、2016年の大統領選の際には民主党を支持しています。1960年以降、同州で共和党候補が勝利したことはたった2度だけで、圧倒的な民主党の支持基盤です。また、州民の政治に対する意識も高いことで知られ、大統領選の際の投票率は83パーセントと全米1位とされています。

ロードアイランド州の経済

2018年時点、ロードアイランド州の失業率は4.5パーセントで、アメリカの平均値よりもわずかに高い程度です。「The Ocean State」と呼ばれるだけあって漁業で栄えてきました。州内に流れるブラックストーン川を活用した物流や繊維産業も同州の主産業です。

現在では州政府、病院、観光業での雇用が最も多く、同州の医療業界はニューイングランド地方でも最大とされています。

ロードアイランド州の税金

2018年時点、ロードアイランド州の消費税は7パーセントです。同州は慢性的な税収不足が課題になっており、これまでに様々な税策を提案してきたことで知られています。100万ドル以上の別荘を持つ人に課税する通称「Taylor Swift Tax」や、暴力的なゲームの販売時に特別税を上乗せするもの、男性が性交渉をする度に税金を課すなどいずれも否決されたもののこれらは税収不足の深刻さを示しています。

ロードアイランド州の銃や薬物問題

ロードアイランド州では医療用に限りマリファナは合法です。アメリカ北東部(ニューイングランド地方)はマリファナに対して比較的寛容ですが、娯楽用のマリファナに対しては抵抗があるのが実情です。

ロードアイランド州は銃に対する取り組み格付けは「B+」とされており、全米でもトップクラスの厳しさです。また、銃犯罪の犠牲者数も少なく他州よりも安全と言われています。

ロードアイランド州の教育または宗教事情

ロードアイランド州にはアイビーリーグのひとつブラウン大学などがあり北東部らしく伝統がある学校が多いのが特徴です。また、小学校入学前(Pre-K)の子どもに対する教育は全米1位とされています。


ロードアイランド州の宗教はキリスト教が最も多く、全米でカトリックの比率が最も高いのが特徴です。また、州都のプロビデンスは植民地時代から宗教の自由で栄えたことから現在も様々な宗教が混在しています。

まとめ

ロードアイランド州は開拓時代にロジャー・ウィリアムズが望んだ宗教の自由や平等をいまもなお貫いている州と言えます。同州を知る上でロジャー・ウィリアムズは重要な人物として覚えておくといいでしょう。

本記事は、2018年9月27日時点調査または公開された情報です。
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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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