ドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』で学ぶ「ケースワーカー」の仕事

現在、フジテレビ系列にて放送中のTVドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』では、区役所で働く「ケースワーカー」の仕事が描かれています。 今回は、「ケースワーカー」の仕事や「福祉事務所」の働きについてご紹介します。

ドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』とは?

『健康で文化的な最低限度の生活』とは、柏木ハルコさんが『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて連載中のコミックスです。本作は2018年7月よりカンテレ・フジテレビ系列にてドラマ化され、「ケースワーカー」として働くヒロイン・義経えみるを女優の吉岡里帆さん、えみるの先輩・半田明伸を演じるのは井浦 新さん、えみるの上司・京極大輝を演じるのは田中 圭さんです。

本作は、作者の柏木ハルコさんが、実際に福祉の現場で働く「ケースワーカー」や支援団体の方から話を聞き、漫画化したそうです。本作で描かれる生活保護利用者姿、福祉行政の在り方を記した「リアル」な内容は高く評価されており、2015年には「貧困ジャーナリズム大賞」で特別賞も受賞しています。

タイトル『健康で文化的な最低限度の生活』は憲法に由来している

本作のタイトル『健康で文化的な最低限度の生活』は、憲法第25条第1項に由来しています。

憲法第25条第1項では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定められています。

憲法25条は、社会権のひとつである「生存権」と「国の社会的使命」について規定しています。生存権とは、人間が人間らしく生きるのに必要な条件を国に対して要求することで、ひいては「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するという意味です。

えみるが働くのは「生活保護」などを取り扱う「福祉事務所」

本作のヒロイン・義経えみるは、東京都内の区役所に就職すると、生活保護などを取り扱う「福祉事務所」に「ケースワーカー」として配属されます。えみるが配属された「福祉事務所」とは、都道府県・市区町村に設置された、地域住民の「福祉」を行う行政機関です。

「福祉」とは、「福」という字が充てられているように、「ゆたかさ」や「しあわせ」を意味します。福祉事務所では、日本国憲法「基本的人権」に定められた、人間が人間らしく生きるための権利「生存権」に乗っ取り、地域住民が「最低限の幸福=人間らしく生きること」を支援・援助するための公的なサービスを行います。

福祉事務所の主な働きは、「生活保護法」や「児童福祉法」、「老人福祉法」、「身体障碍者福祉法」、「知的障害福祉法」、「母子及び父子並びに寡婦福祉法」に定められた援護や事務を行うことです。

そして、「ケースワーカー」とは、生活保護受給者などの支援をする地方公務員のことを指します。ケースワーカーの語源は、生活に困難を抱えた対象者(クライアント)の個々のケースに合わせて、主体的に生活できるように支援、援助していく人を意味します。ケースワーカーは、日常生活を送るうえで肉体的や精神的、社会的に困難を抱える人々の相談にのり、必要な援助を行います。

なお、えみるのように福祉事務所で働く者以外にも、児童相談所や老人福祉施設、病院などで相談員として働く職員もケースワーカーと呼ばれることがあります。

ケースワーカーが行う支援・援助について

ケースワーカーは、肉体的、精神的、社会的に困難を抱える人のための相談・援助を行っています。

主な仕事は、困難を抱えている世帯の情報を調べ、その世帯に応じた支援策を講じることです。ケースワーカーは、1人で100人以上の世帯を抱えることもあるそうですが、抱えている全世帯の状況の変化や講じた支援策は全て記録として残しているそうです。

ここでは、ドラマと同じく「生活保護」を支援するケースワーカーが、どのような支援策を講じているのかをご紹介します。

相談を受け、支援が必要か判断する

福祉事務所には、生活上で困難を抱えている人からの相談を受ける総合相談窓口があり、「面接員」と呼ばれるケースワーカーが相談を受け付けます。窓口に来た依頼者が生活する上でどのような悩み・問題を抱えているのか相談を受け、支援が必要かどうかを判断します。

依頼者が生活に困窮している場合、「生活保護」を受給する資格があるかどうかを調べます。生活保護を受けるための条件は、「世帯の収入が最低生活費以下であること」、「生活を支援してくれる家族、縁者が居ないこと」、「資産や貯金がないこと」の3つです。

この3つの条件を満たしていれば、依頼者に生活保護を受けることを提案することが可能になります。生活保護を受けるための条件の1つ「世帯の収入が最低生活費以下であること」は、該当する地域や年齢、世帯人数により異なります。また同じく生活保護の支給額も、該当する地域や年齢、世帯人数により異なります。

「生活保護」援助の方針を計画する

ケースワーカーは依頼者が「生活保護」による援助が必要だと判断すると、具体的な援助の内容を説明・手続きを行います。

ここまでは「面接員」が担当しましたが、ここから先は「地域担当員」と呼ばれるケースワーカーに引き継ぎます。地域担当員は、生活保護が必要だと判断された依頼者の家へ家庭訪問や面接を行い、家族構成、収入、住宅などの生活状況を細かく調べます。そして、具体的な援助の方針を計画します。

手続き後も「生活保護」受給者のサポートを行う

ケースワーカーの仕事は依頼者の相談を聴き、手続きを行うだけでなく、「生活保護」による援助が行われた対象者のサポートも行います。

ケースワーカーは、「生活保護」の援助を受ける対象者を定期的に訪問し、現状の確認や面談などを行います。また、必要に応じて援助内容の変更を行うなど、「生活保護」の援助を受ける対象者の自立を目指して継続的にサポートを行います。

ケースワーカーになるには?

ケースワーカーになるには、資格を取得し、公務員になることが大事です。

ケースワーカーは、福祉業務に携わるための法律「社会福祉法」の規定により、「社会福祉主事」の資格を取得する必要があります。

「社会福祉主事」の資格は、大学や短期大学で一定数以上の社会福祉に関わる科目を修得す、もしくは厚生労働大臣から指定されている福祉養成機関での講習を修了することで得ることができます。

地方公務員試験に合格し、市役所に就職することも必須です。

まとめ

今回はTVドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』で注目を集めている「ケースワーカー」の仕事についてご紹介しました。

ケースワーカーは、生活で困難を抱える人の支援を行うだけでなく、生活保護受給者の「自立を促すこと」も担う大事な職業です。

現在、ドラマは第6話まで放送中です(8月21日時点)。本作では、「ケースワーカー」としての働きはもちろん、人としての生き方やお金の大切さ、仕事、家族……と誰にとっても身近なことを改めて考えさせてくれます。

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