はじめに
栄養士の中には、地方公務員の一員として公立学校など教育施設に勤務する「学校栄養士」がいます。
「学校栄養士」と聞くと、「給食のおばちゃん」というイメージを持っている方が多いようです。それも正しいのですが、実はこの「学校栄養士」には2種類の職種が存在します。
それが、「学校栄養職員」と「栄養教諭」です。
学校栄養士その1:「学校栄養職員」になるには?
「学校栄養職員」になるには、以下のステップが必要です。
1)「栄養士」か「管理栄養士」の資格を取得・もしくは取得見込みの状態になる。
2)各都道府県が実施する職員採用試験に試験に合格する。
まずは、「栄養士」か「管理栄養士」の資格を取得する必要があります。このどちらかの資格を取得・取得見込みの状態で、各都道府県が実施する職員採用試験に応募し、合格することで、「学校栄養職員」になることができます。
「栄養士」になるには、厚生労働大臣から指定認可を受けている栄養士養成課程のある2年制から4年制の専門学校、短大、大学に通い、必要単位を取得して卒業します。その後、都道府県知事に申請することで、栄養士免許を取得することができます。
「管理栄養士」になるには、以下の2通りの方法があります。
1)管理栄養士の養成課程がある学校に通い、必要単位を取得して卒業した後に、管理栄養士国家試験を受験する方法です。この場合、学校を卒業した時点で栄養士の免許を取得することができます。
2)栄養士として実務経験を1~3年以上積み、管理栄養士国家試験の受験資格を得て、国家試験を受験する方法です。実務経験の長さは、何年制の栄養士養成学校に通っていたかで異なり、4年制の学校なら実務経験は1年、3年制の学校なら実務経験は2年、というように、学んでいた期間が長い程、受験資格に必要な実務経験が短くなります。
学校栄養士その2:「栄養教諭」になるには?
「栄養教諭」は、他の教職員と同じ学校教員の立場にあり、教員免許が必要な職業です。
「栄養教諭」の教員免許を取得するには、栄養教諭の養成課程がある各種学校に通って、必要単位を取得し卒業する必要があります。学校の種別によって取得できる教員免許の種類(一種・二種)が変わり、例えば短期大学を卒業すると二種免許状、大学を卒業すると一種免許状を取得できます。
栄養教諭の養成課程がある各種学校では、同時に栄養士の免許や管理栄養士国家試験の受験資格を得ることができます。
そして、「栄養教諭」になるには、資格の保有状態によっていくつかのパターンに分かれます。
「栄養士・管理栄養士」の免許を持っている場合
すでに「栄養士」や「管理栄養士」の免許を持っている場合には、栄養教諭の免許が取得できる学校に再入学、または科目等履修生となり、必要単位を取得することで栄養教諭を目指すことができます。
学校栄養職員として勤務経験のある人が栄養教諭を目指す場合
「学校栄養職員」としての実務経験がある場合、免許法認定講習と教職員検定を受けることで、栄養教諭免許の取得が可能です。実務経験の勤務経験によって教員免許取得のための単位数は異なります。
さらに、他教科の教員免許を持っているという人も、栄養士養成課程のある学校などで栄養士免許を取得すれば、栄養教諭の免許を得ることが可能です。
教員免許を持っていて、栄養士免許を持っていない場合
なんらかの教科の教員免許を持っている場合には、栄養士養成施設に通い、栄養士免許を取得することで栄養教諭を目指すことができます。
栄養士資格も教員免許も持っていない場合
この場合は、一から目指すことになるので、「栄養教諭」を取得できる栄養士の養成施設に通います。
現在高校生で、栄養教諭になりたい場合は、「栄養教諭」の免許が取得できる専門学校や短大、大学に通う必要があります。
「学校栄養職員」や「栄養教諭」の仕事内容
「学校栄養職員」や「栄養教諭」の主な仕事内容は、給食に関する業務や食育に関する業務です。
両者の詳しい仕事内容や、両者の違いについては、以下の記事で詳しく説明しています。
》学校栄養職員・栄養教諭の仕事内容
https://koumu.in/articles/782
学校栄養職員・学校栄養教諭の募集について
さいごに、両者の募集状況について説明します。
学校栄養職員の募集状況について
学校栄養職員の募集は、現状、余り多くないといっていいでしょう。故に、自治体にもよりますが、倍率も高めです。
なぜかというと、最近は給食は業者に発注するという学校も増え、学校内で給食の調理作業を行うことは少なくなりました。その為、学校ごとではなく、自治体で数人の学校栄養職員を採用し、複数の学校の給食管理を担当するというパターンが増えてきており、学校栄養職員の採用は狭き門となっているようです。
学校栄養教諭の募集状況について
平成30年の学校栄養教諭の採用状況は、受験者数1,886人に対して、採用されたのは254
人で、倍率は7.4倍でした。
以下の表は、同年の他区分の受験者数と採用数です。他区分と比較しても、「学校栄養教諭」の倍率は高めであることが分かります。
よって、募集状況としては、少ない傾向にあると言えるでしょう。
まとめ
以上、「【学校栄養士】学校栄養職員・栄養教諭になるには」でした。
両者ともに栄養士屋管理栄養士の資格が必要ということはお分かりいただけたかと思います。学校栄養職員や栄養教諭を目指す方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
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