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図書館司書のキャリアレポート(仕事内容・給料など)

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目次

はじめに

「図書館司書」として働く女性のキャリアレポートです。

レポート者のプロフィール

性別:女性
勤務地:山梨県
職業・職種:図書館司書
雇用契約形態:非常勤職員
所有資格:図書館司書

この職業を目指した理由を教えてください。

最初は町役場の非常勤職員として就職し、異動で図書館勤務になりました。積極的な理由ではないのですが、元々本を読むのは好きだったし、この仕事を通じて図書館司書の資格を取得出来たりと自分にとってプラスになることが多かったです。

仕事内容について詳しく教えてください。

大半は貸し出し、返却処理、案内などの来館者対応です。単に資料の場所をお応えしたりするだけでなく利用者の疑問に回答するリファレンスサービスや利用者の読書ニーズに対応した選書など多岐にわたり、どの業務も知識の蓄積が最重要になってきます。さらに資料というのは図書に限らずDVDやCDなどの視聴覚資料、新聞や目の不自由な方向けの大活字本など様々な形態があり「どういった人がどんな資料を必要としているのか」を正確に把握し提供することが求められます。

来客対応のほかには図書館に置く資料を選ぶ選書作業や資料の整頓、展示コーナーの作成など一見裏方の作業と思われることも図書館司書の仕事です。選書もただ人気のあるものや利用者が置いてほしいと思うものをチョイスするだけでなく図書館の全体像を見渡した選択をしなくてはなりません。

また地方の図書館業務において重要なのが地域資料の収集です。もちろん、司書資格があるからと言ってその地域の歴史のエキスパートにはなれません。地域民族や歴史、文化財等に詳しい人や関係各所と協力をして資料の収集、保存に努めていかなくてはなりません。

近隣図書館との研修会なども定期的に開催して、お互いの知識の補完をしていく努力も必要不可欠です。

よくある1日の仕事の流れについて詳しく教えてください。

早番の場合

午前8時:自宅を出発。徒歩か自転車が主な移動手段です。
午前8時15分:職場到着。支度と簡単な拭き掃除。
午前8時30分:勤務開始。返却ボックスに入っている本の返却処理、新聞の整頓と書評チェック。
午前10時:開館。来館者対応や裏方仕事など必要に応じて動く。研修会などで出張の場合もあり。遅番の出勤
正午:昼休憩。職場内でとることがほとんど。
午後1時:午後の勤務開始。
午後3時:交代で休憩。
午後5時15分:勤務終了。必要に応じて残業あり。

遅番の場合

午前10時:出勤。支度後、来館対応などの通常業務に加わる。
午後1時:早番と交代で昼休憩
午後2時:午後の勤務開始。
午後6時半ごろ:来館者が少なくなり始めたら閉館作業開始(カーテンを閉めたり蔵書整理など)
午後7時:閉館
午後7時15分:整頓、施錠、帰宅。

給料・残業・有給休暇について教えてください。

手取りで毎月約15万円と非常勤採用ですので正直とても厳しかったです。実家暮らしでしたので何とかなっていました。有給休暇は年5日でしたが土日出勤があるのでその分の代休という形で比較的休暇は取りやすかったです。職場の人も積極的に「休んで!」と声を掛け合うような職場でした。

働いているときに困ったこと・気になったことや改善したかったことを教えてください。

図書館には日夜いろんな人が来ます。どんな業種でもそうですが全員が全員優しい利用者というわけではありません。対応に難しい利用者も当然中にはいます。


一番多かったのは「返した・返していない」の問答です。図書館のシステム上、どんなに細心の注意を払っていても返却のミスは起き得ます。

しかし、返却したと言い張るのはだいたい常連の方で、何を言っても聞いてくれず、困り果てていました。

私含め何人かの職員は、こういった問題行動を繰り返す人はブラックリストにして貸し出し拒否すればいいのに!と思っていました。

事実、そういった対応をしている図書館もあります。しかし、図書館は町民全体に開かれたものという概念があるからそういった対応は取らないと上が決めました。現場の声と上の対応で乖離があるのがもどかしく感じました。

この仕事に就いて、恵まれていると思った点をおしえてください。

特に小さな町の図書館だったので町の人とたくさん顔見知りになれたことです。

小さな子どもたちからおじいちゃん、おばあちゃんまでいろんな人と話す機会ができ、業務だけでは得られない様々な知見を得ることができました。そうした中で会話の端々からその人がどのような資料や情報を得たいのかを読み取るスキルは高まったように感じられます。

また情報検索能力は確実にスキルアップしました。この情報にアクセスするにはどのようなキーワードを使ってたどり着けばよいのかなど、実生活や次の仕事にも生かせるスキルを手に入れることができました。

この仕事で感動したこと、または失敗したこと・大変だったことのエピソードを教えてください。

図書館の業務のひとつに「リファレンスサービス」というものがあります。これは利用者の疑問や質問に図書館資料を駆使して答えたり、疑問解明のための資料提示をするというものです。

ある日、一人の利用者さんが絵本を探しているとのことで聞いてみると「表紙はこんな色が使われていてこんなものが描いてあった。タイトルに海が入っていた気がする」という正直曖昧模糊としたものです。”海”というワードで検索するととてつもない数の資料が出てくる、表紙も全然イメージが湧かないと途方に暮れ、すぐさま他の職員に相談しました。すると児童書に詳しい司書歴の長いベテラン職員さんがいろいろあたりをつけ、「これじゃないかな?」と提示した資料が見事に条件にヒットしました。

利用者さんに見せると「そうです!これです」と。昔読んだ思い入れのある絵本だったそうです。

情報のピースを司書同士の知識でつなぎ合わせてそれがぴたっと合った時の快感と利用者さんの「ありがとう」が忘れられません。

また、このベテラン司書のようにもっと知識を蓄えて利用者に頼られるようにならないとな、と身が引き締まる思いがした出来事でした。

職場恋愛について教えてください。

残念ながら図書館司書は女性がほとんどですので職場恋愛を求めるのは絶望的です。私の職場は隣が町役場でしたのでそちらの職員とだったり学校の先生だったり公務員同士の結婚が多かったように思えます。

私は一番年下だったので上司や先輩はみんな既婚でした。

今だから言えますが来館者の中には「かっこいいなぁ〜、しかも本の趣味合うな〜」と思う人もいましたがまぁそれ止まりです。あまりドラマチックな展開は正直期待できません。


この職種全体でのブラックな面・問題点を教えてください。

図書館司書は専門職の割に薄給であることはどうしても否めません。

公立図書館だと市役所職員と同等の地方公務員という扱いになるところが多いと思いますが専門の資格を持っているのにそれが評価されないのはとても残念に思います。とてもこの仕事で家族を養っていけるとは思えないのでどうしても男性のなり手が出来にくいという側面があります。

多面的な視点が必要な職種だからこそ男性も女性もいてくれればもっと質を向上出来るのではと痛感しています。

この職種全体でのホワイトな面・よい点を教えてください。

一生モノの資格だと思います。今現在、図書館のない市町村というのは非常に少ないですよね。

私は結婚を機に退職し、転勤族となりましたが求人は少ないものの場所を問わず活かすことができます。また図書館業務は土日出勤はあるが、勤務時間は比較的しっかり決まっていて安定しているのは大変魅力的だと感じます。

この職業・業界全体の5年後の展望を教えてください。

図書館で扱う「資料」というのは本や視聴覚資料など目に見えるものだけではありません。インターネット上の情報なども一種の資料という扱いになります。

その一方、地域資料などの収集、保存も図書館の大切な業務です。

「温故知新」を体現したような業種なのでそのふり幅にいち早く対応できる人材が一層求められると思います。

さいごに - 同職業を目指す方へ激励のメッセージ

知れば知るほど奥の深い業種です。本が好きだけでは成り立たないですが、本が好きという気持ちがなければこの奥深さには気づけないと思います。

本記事は、2022年6月28日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研編集部のMです!
世界の情報や日本の歴史・日本の政治についてなどのライター記事やオリジナル記事を配信します。

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