インドの政治体制
インドは行政権を持つ28の州と、国の直轄地区から構成されている連邦国家で、各州に州政府があり、州知事と州の首相がいます。国会にあたる連邦議会は、上院と下院の二院制を採用し、議員選挙は上院が6年ごと、下院は5年ごとに行われます。
上院議員は、州議会議員による選挙と大統領による任命によって構成され、下院議員のみ、国民の直接選挙によって選ばれます。
インドは日本と同じ「議院内閣制」を採用する国ですが、大統領と首相が両方います。議員選挙で選ばれる大統領は、象徴的な存在で政治的権力はほとんどありません。実質的な国のリーダーである首相は、インドの国民が自分達で直接選んだ下院の第一党の党首がなるので、選挙により関心を寄せるのかもしれません。
インドの総人口は約13.7億人、有権者数は日本の人口の7倍に当たる9億人にも上ります。直近の2019年4月から5月にかけて行われたインド下院総選挙は、約6億人もの有権者が100万箇所をこえる投票所に向かい、39日間にわたって7つのフェーズで投票が行われました。
インドの投票はボタンひとつ
インドは公用語のヒンディ語以外にも22種類の地域言語が使われていて、識字率が73%弱で、文字が読めない人がたくさんいます。そこで2004年の下院総選挙から「電子投票機(EVM)」が採用され、政党ごとに決められたマークを目印に、投票したい政党のボタンを押すだけで、文字が読めない人でも簡単に投票できるようになりました。
インドには日本のような不在者投票制度がなく、投票日に自分の選挙区で投票しなければならない仕組みになっています。そのため2019年の選挙では、モバイル機器も繋がらないような密林地域や、標高4650メートルの山岳地帯に住む有権者のためにもEVM が設置され、100万カ所の投票所に230万台のEVM、500万人以上の選挙職員が動員され、そのための費用に約50億ドル、日本円で約5700億円かかったとも言われています。
まとめ
1か月以上の期間をかけ、莫大な費用を費やし、100万カ所の投票所で自分が応援する候補者に投票するインドの総選挙は、まさに世界最大と呼ぶにふさわしい選挙ではないでしょうか。
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