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移民に寛容な国に起こりうる現実:不法移民問題の現在と未来

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現在イギリスでは複数の都市で、不法移民問題を発端とした人種差別的な襲撃が実行されています。日本でも難民申請が通らず不法滞在者となった外国人とのトラブルが頻発しているようです。将来日本でイギリスで起きているような問題が起こらないようにするにはどうしたら良いのかについて考えたいと思います。

目次

イギリスでの暴動の原因

先月末7月29日にイングランド北西部のダンス教室で、女児3人が刺殺された事件を発端に暴動が始まり、約2週間経ちました。暴動のきっかけになったのは「女児を殺した犯人は、ボートでイギリスに不法入国したイスラム教徒の亡命者」という誤情報。これに、もともと政府の移民政策に不満を持っていた人達が扇動され、女児3人の追悼集会から抗議行動が始まり、あっという間に大混乱へと発展していきました。

イギリス中部のリバプールやマンチェスター、ブリストルでは、抗議デモ参加者に商店が破壊され、警察官数名が負傷、四十数人の逮捕者が出ました。北部ロザラム近郊の、難民が一時的に滞在しているホテルには数百人のデモ参加者が集まり、ホテルの窓ガラスが割られ、ホテル近くのゴミ箱も放火されました。イスラム教徒の亡命者という誤情報のおかげで、モスクも暴徒の攻撃に合い、暴動を鎮圧しようとする警察官にもレンガが投げつけられ、被害が及んでいます。(https://www.youtube.com/watch?v=7Glk3GtiAIs)

この暴動に対するイギリス政府の対応

事件の容疑者をすぐさま公開

イギリスでは基本18歳未満の少年少女が起こした事件には報道規制が強く入り、実名報道されない決まりになっています。しかし今回は誤情報の拡散を阻止するため、殺人容疑で逮捕されたのはアクセル・ルダクバナさんという名の17歳の少年で、ルワンダからの移民の両親のもとイギリスで育った人物だと、容疑者の名前と年齢が即時公表されました。

暴力に関わった人たちに対する厳罰措置

8月4日キア・スターマー英首相は「今週末の極右による暴力行為を全面的に非難する」と声明を出し、暴力行為を行なったデモ参加者は法に基づき処罰すると述べました。8月3日の夜以降の逮捕者はすでに400人を超え、これからも暴力行為に加担した人が確実に収監されるよう、刑務所内には新たに500以上の居室が設けられたそうです。

また実際の暴動には参加していない一般市民に対しても、ネット上で暴動をあおった人は暴力に参加したとみなし処罰の対象になる事を告げ、未確認の憶測や虚偽の情報を鵜呑みにして新たに拡散しないよう呼びかけました。次の標的になりそうなアラブ系の人たちがよく訪れる場所や移民や難民が多く住んでいる地域には、警察官を多く配置し、これ以上反乱が起こらないよう警備を強化しました。

スターマー首相は今回の暴動に対し「原因や動機が何であろうと、暴力は暴力であり犯罪である」と会見ではっきりと述べ、地域社会の安全を約束しました。緊急事態対策委員会も1週間で2回開かれ、議会では、現場の警察官には必要とされる場所で確実に対応できる権限を与え、騒乱の抑止力になるよう、既に逮捕された人達の刑事手続が迅速に進められるよう決議されました。

今回の暴動に対するイギリス政府の素早い対応は、賞賛に値すると思います。もし国内で大規模な暴動が発生したら、果たして日本政府は、イギリス政府のように臨機応変で断固とした対応が取れるでしょうか。

日本は大丈夫?

今回イギリスで起きたこの暴動を見て、日本に暮らす人々は、外国でまた暴動が起きていて怖いな、暴動に巻き込まれた人達かわいそうだな、日本は平和でよかったな、など、どこか遠くの国で起きた、自分の生活には全く関係のない事のように思っているかもしれません。しかし日本でも人口減少による人手不足解消のため外国人労働者の受け入れを増やすことを考えているようです。

問題は不法滞在者

移民を受け入れれば、良くも悪くもこれまでの日本社会が大きく変わることは間違いありません。文化や生活習慣の違いから、日本の価値観では計りきれないような行動をとる人が確実に増え、地域住民は大きなストレスを抱えると思います。しかしルールを守らない人や他人に迷惑をかけるのは、外国人だけとは限りません。どこの国でも治安が悪化するのは、不法に滞在し続ける外国人が国内に増えた時です。

来る方の立場を考えていない日本のシステム

日本政府の移民受け入れ案は、臨時で人手不足を補う季節労働者として外国人を受け入れたいと思っているだけで、来る方の移民の立場などほとんど考慮されていないように感じます。日本政府がターゲットにしている人材は、建設業、店舗労働、介護職や看護師などの単純労働者、東南アジアやインドに住んでいる人達が多い職種です。しかし残念ですが、これらの職種で働きたい人は日本に来るより中東の国々への出稼ぎを望むと思います。


単純労働で働きたい人は日本より中東に行く

海外には出稼ぎに出て家族を養っている人がとても多いです。成績優秀で英語を流暢に話せるなら、真っ先にアメリカを目指し、アジアならシンガポールや香港を目標にします。単純労働で働きたい人なら中東を目指します。理由は労働ビザ取得が比較的簡単で、お金が稼げるからです。

例えばドバイやカタールなど、中東で働く海外出稼ぎ者用のビザは、大体2年の期限付きです。しかし日本の就労ビザのような更新の難しさはなく、2年ごとに雇用主と労働者の間でビザ更新の話し合いは行いますが、両者の折り合いがつけば2年ごと何回でも更新して働けます。

就労中の衣食住と交通費(航空券を含む)は全て雇用主が払うので、滞在中に自分の給料を使う必要がありません。次の2年間も同じ雇い主のもとで働くと決まれば、更新前に1〜2ヶ月のリフレッシュ休暇をもらい、自国で家族や友人と過ごせます。この時の往復航空券も雇用主持ち、どちらかが嫌になって雇用契約が終わるまでこのルーティーンが繰り返されます。

ヨーロッパやアメリカのような永住に向けた優遇措置が設けられていない

たとえ難民申請をするにしても、出生地主義を採用しているイギリスやアメリカでなら、最悪自分が不法滞在者になっても子供が産まれれば、そこから市民権取得の可能性があります。しかし血統主義の日本では、いくら子供を産んでも、不法滞在者の子供は不法滞在者にしかなれません。この事を知ったうえで日本に観光ビザで入国し、不法滞在で難民申請をし続けるような外国人は、もともと日本で真面目に働く気などないのではないか、正規の在留資格がなくとも何年も滞在ができてしまう日本の入管システムをうまく利用してやろうと思ってやって来るのではないか、などと疑わずにはいられません。

日本と諸外国での移民排斥デモの相違点

最近日本でもやっと、難民申請の回数に制限が設けられたようで、難民支援団体がこの法案に猛反対し、デモを起こしているニュースを目にしました。ただこのニュースの中で、日本では在留資格を持っていない外国人も堂々とデモに参加し、デモを取り締まる側の警察官もそれをただ傍観していた点がとても不思議に見えました。

海外でも不法移民の排斥を訴えるデモ集会は頻繁に起りますし、迫害の恐れがある外国人が安全な国に、たとえ不法であったとしても、滞在し続けたいと思う気持ちなのも理解できます。しかしどのような事情があろうとも、罪は罪、不法滞在は許されない犯罪で、どこの国でも不法滞在者は取り締まりの対象です。このまま不法滞在者への取り締まりを明確化しないまま日本政府が外国人労働者の受け入れを増加すれば、やって来るのは「やむなく」法を犯してしまうような、日本が本当に欲しい人材ではない人々だけになるかもしれません。

まとめ

日本も外国人と共生する社会を考えていかなければならない時代がもうそこまでやって来ています。果たして日本らしい、日本の現実にあった移民との共生社会をつくるのは本当に可能なのか、政府に任せるだけでなく私たち個人単位で考えていく必要があると思います。

本記事は、2025年1月27日時点調査または公開された情報です。
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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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