幼稚園教諭は日中子ども達と共に過ごし保育を展開することが主な仕事になりますが、子ども達の保育を計画的に行い、子ども達の健全な発達を促していくためにも、安全管理や行事の運営、保護者対応、書類作成と幼稚園教諭の仕事は多岐に渡ります。
その中でも書類作成にかける時間は多く、保育は好きだけど書類作成が苦手という方も多いのではないでしょうか。
また、幼稚園の中ではまだまだ手書きで書類を作成しているところもあり、余計な時間を取られているという方もいると思います。
私は以前公立幼稚園に勤めていたので、1人1台市役所からパソコンが支給されていたので手書きに比べて随分仕事をスムーズに進めることができていたと思いますが、それでも書類量が多かったので時間もかなりかかっていました。
では、幼稚園教諭が作成する書類には一体どのようなものがあるかについて、今回は『学級に関わること・園全体に関わること』の視点からご紹介していきたいと思います。
学級に関わること
学級運営をしていくにあたり、保育計画をたてることはとても重要で、保育実践から得た反省や評価を記録として残すことで次の保育に繋げていきます。
また、個別配慮を要するお子さんに関する指導についても計画をしています。
自分の学級に在籍する子ども達に関して作成する書類だけでも大きく分けて6つあります。
学級に関わること その1:学級経営案
年度の始めに、園目標や学年目標から自分のクラスをどのような学級にしていきたいか計画をたてます。
学期ごとにねらい・教師の援助方法を考え、学期の終わりには振り返りをして反省・評価、そして次の学期のねらいをたてていきます。
学級に関わること その2:週日案
月案からたてている園もあると思いますが、私の勤めていた幼稚園では年間指導計画に基づいて、週案と日案がセットになった様式で週日案を作成していました。
園によって形式も様々ですが、書類の中でもこの日案に関しては、毎日の反省の記録を残す必要があるので、書類作成の中でも必ず毎日行う業務になります。
学級に関わること その3:幼稚園幼児指導要録
幼稚園幼児指導要録は年度末に作成する書類で、通称「要録」です。
学級に在籍する幼児に関して、『学籍に関する記録』『指導に関する記録』の2点の側面から作成するものです。
ここでは要録の詳細については触れませんが、学級担任として、作成にあたり特に時間を要するのが『指導に関する記録』になります。
文部科学省によると、
指導に関する記録は、1年間の指導の過程とその結果を要約し、次の年度の適切な指導に資するための資料としての性格をもつものとすること。
とされていますので、1人ひとりの子どもの実態を振り返り、1年間の中で子どもが大きく成長したと思われるところを特筆します。
また、次年度の課題に繋げていくことがあれば、その点についても触れておきます。
この指導要録を年度末に1度に書こうとすると、年度始めのことを忘れてしまっていることも多いので、学期ごとに個々の成長の記録を残しておくことをオススメします。
学級に関わること その4:個人記録
指導要録を書く時の重要な参考資料となるのが、個人記録です。
学期ごとに1人ひとりの様子・成長した点について運動・友達関係・集団参加・表現の面から記録を取っておきます。
学期ごとにまとめておくことで、指導要録だけでなく保護者と行う個人面談の際の参考資料にもなりますし、次の学期の子どもの課題も見えてくるので保育指導を考える際にも役立ちます。
学級に関わること その5:個別指導計画
個別指導計画は、学級の中でも特に個別配慮を要するお子さん個人の指導計画になります。
1人ひとりの発達の状態に応じた指導や援助を計画的に行っていくためのものです。
目の前の子どもの課題は何かな?→課題にあったねらいは何かな?→具体的に教師はどのような援助をすれば良いかな?→結果どのような成果があったかな?と順序立てて考え、作成します。
作成した資料は、学級担任だけでなく、園全体の職員で共有することで、どの先生が関わっても同じ援助をすることができるようになり、指導の一貫性を持たせることができます。
また、学期末には1学期間で得た成果や教師の反省から、次の学期はどのようなねらいをたてていこうかと考えていくものなので、学期ごとに作成をしていきます。
学級に関わること その6:指導案
講師を招いての園内研究会がある日に向けて、指導案を作成することもあります。
(日々の多忙な業務の中に、この指導案作成が加わると、大きな時間をとられるというのが正直なところでした)
指導実践日当日の保育のねらい・内容・1日の流れ・予想される幼児の姿・教師の願いや援助・評価の観点について詳細に作成します。
講師や研修に参加する他の先生達が指導案を見ることで、指導実践にあたったクラスの担任がどういう思いで保育をしているのか一目見て分かるようにするための資料になります。
園全体に関わること・その他
次に、学級だけでなく、園全体に関わる文書にはどのようなものがあるか紹介していきたいと思います。
各種行事の要項案
幼稚園では様々な行事がありますが、その行事の計画書とも言えるものが要項です。
行事の担当になった職員は、要項案として、その行事のねらい・日時・場所・準備物・当日の流れ・子どもの動き等について記載したものを作成します。
園全体に関わる行事の場合は、園長をはじめ他の職員とも相談しながら立案しますが、決まったことを書面に起こすのは、担当者になります。
学年だより
月に1度保護者向けに配布する学年だよりも作成します。
学年の目標やねらい・どのような活動をするのか・普段の子ども達の様子・保護者へのお願い等について記載をします。
保護者に向けて配布するものなので、特に誤字脱字には気を付け、複数の職員でチェックをし、最終的に園長に確認をしてもらいます。
研修報告
初任者や経験年数5年目・中堅研修・夏休みの研修など、幼稚園教諭は様々な研修にも参加します。
研修に参加した後は、研修の中でどのようなことを学んだかについて報告書を作成し、記録として残しておきます。
作成したものは、職員間で回覧することもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は幼稚園教諭のクラス担任が行う書類仕事について紹介させていただきました。
学級に関するものだけでも沢山の書類がありましたね。
私が勤務していた公立幼稚園での書類になりますので、園によっては、ないものもあるかもしれませんが、共通するものも多くあったと思います。
手書きで行うと本当に時間を多く取られるので、各園でインターネットやパソコンなどを活用して先生達の日々の業務を経験し、効率化される仕組みが整うことを願うばかりです。
すぐに環境を整えることは難しいかもしれませんが、いずれにせよ書類は、計画的に余裕を持って作成していけると良いですね。
参考資料サイト
》幼稚園幼児指導要録等の通知について:文部科学省 (mext.go.jp)
》幼稚園幼児指導要録の改善について(通知):文部科学省 (mext.go.jp)
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