刑務官など矯正職員歴37年、元・国家公務員の小柴龍太郎さんのコラム「江戸時代はイクメンぞろい」(平成28年1月26日)です。平成28年、女性の社会進出の増加や男女共同参画社会について考えるコラムです。
目次
「家」ではなく「女性」のためのイクメン
今の世は、男性が育児に参加するとイクメンなどと褒められますが、江戸時代ではこれが当然だったそうです。
当時は家の継承が一番大事なことでしたから、その跡取りである息子をしっかりと育てる必要がありました。そしてその役目は実際に家を守ってきた父親が務めるのは当然、という理由のようです。
明治になって「家」の文化が希薄となり、やがて核家族の時代になるに及んでこの慣習は消えていきました。そして昨今再び男性の育児参加が推奨されているわけですが、もちろん江戸時代とはその事情は全く異なります。
女性の社会進出が増えたとか、男女共同参画社会をつくろうとしていることが背景にあるのでしょう。いわば「家」ではなく「女性」のためのイクメン。
もちろんできる人はやったらいいと思います。しかし、子どもが寝ている間に出勤して、寝静まってから帰ってくるような暮らしをしている男性にはいささかかわいそうな気もします。
少なくとも、イクメンでなければ良き夫ではないという決めつけだけはやめてほしいと、かつてイクメンでなかった私は思います。
(文:小柴龍太郎 平成28年1月26日)