中央の警察庁と現場で活躍する「都道府県警察」
警察の組織を大きく分けると日本の行政官庁の「警察庁」と各地方自治体による「都道府県警察」で構成されています。
「警察庁」は、国家公安委員会に設置される特別の機関で。警察組織全体の舵取り役として各都道府県警察を指揮監督しています。警察庁は主に法整備や都道府県警察の管理を行いますが、複数の県にまたがる事案や国際テロなどに対応する際には、指揮を執ることもあります。
「都道府県警察」は、47都道府県にそれぞれ配置されている機関で、地域で日常的に発生する事案を直接担当します。
「警察庁」が国の機関として国家公務員で構成されるのに対して、「各都道府県警察」は地方公務員で組織されます。私たちが最も身近に接する機会のある警察官の多くは、この地方公務員の警察官です。
この「警察官」は、いわゆる自分たちの都道府県を担当地域として、事件事故など、24時間発生する事案・事件に対応・対処します。内容も犯罪から交通事故対応など、多岐にわたるため様々な部門が存在します。
今回は、地方公務員として活躍するいわゆる「現場の警察官」の代表的な部門とその仕事内容について6つ紹介していきます。
現場の警察官の仕事その1:あなたのマチのおまわりさん『地域警察部門』
地域警察部門は、交番・駐在所を拠点とし、地域住民や企業、自治体などと連携しながら、安全安心な生活を確保するための任務を担います。「お巡りさん」として馴染み深いのは、この部門に所属する警察官です。
常に制服を着用し、地域に最も身近な警察官として住民に安心を届けられるよう、パトロールや巡回連絡、防犯・事故防止活動などを行うほか、道案内や落し物の受理、困りごと相談の受付、職務質問による犯罪検挙を行います。事件事故発生時には現場に急行して初動捜査に当たります。地域に密着し、警察活動の原点ともいえる任務に日々取り組んでいるのが地域警察官なのです。
現場の警察官の仕事その2:刑事ドラマでおなじみ「デカ!」といえば『刑事警察部門』
刑事警察部門は、強盗・殺人・誘拐・放火などの凶悪犯罪、詐欺・横領・選挙違反などの知能犯罪、空き巣・ひったくりなどの窃盗犯罪など、重大な犯罪を扱う部門です。
暴力団などの取り締まりや銃器・薬物犯罪も捜査します。テレビの刑事ドラマなどでお馴染みの、最も忙しい花形部署といえます。
所轄署の刑事課とは別に、覆面パトカーで担当地域を警らし、事件が起きれば急行して初動捜査を行い、継続捜査する場合は所轄署に引き継ぐ機動捜査員もいます。
事件解決の証拠となる資料を収集し、証拠化・照合を行う鑑識課もこの部門です。証拠資料の分析・解析・鑑定を行う科学捜査研究所では、警察官ではなく技術吏員が実務を担当します。
刑事警察は、被害者からの事情聴取や周辺への聞き込み、張り込みや尾行を積み重ねて犯人を特定するとともに、鑑識や科学捜査を駆使して犯人を検挙、取り調べを行い、事件解決することが使命です。犯罪組織に対しては壊滅を目指します。
現場の警察官の仕事その3:えっ原子力まで? 『生活安全部門』
生活安全部門は、「ゴミから原子力まで」といわれるほど取り扱う対象の間口が広い部門です。
少年犯罪、悪質商法、サイバー犯罪、環境犯罪などの事件捜査から、少年の非行防止や有害環境の浄化、ストーカーやDV被害などの対策、困りごとなどの安全相談の窓口、風俗営業や古物営業、銃砲刀剣類の許認可業務も行います。
事件事故を未然に防ぐため、犯罪情報や防犯対策情報を発信したり、民間の防犯ボランティア団体の活動を支援し、地域住民と連携してパトロール活動を行ったりもします。
地域の人々にとって身近な犯罪の検挙をするとともに、その未然防止により、犯罪が起きにくい安心安全な街づくりを目指すことが生活安全警察の責務なのです。
現場の警察官の仕事その4:安全なクルマ社会の実現を。『交通部門』
交通部門は、安全で快適な交通社会の実現を目指し、交通事故抑止のためのパトロール活動や交通違反取り締まり、交通ルールの遵守やマナーの向上を目指す交通指導を担っています。
ひき逃げ事件や交通事故絡みの保険金詐欺事件の捜査、暴走族対策などにも取り組んでいます。
子供や高齢者を交通事故被害から守るための交通安全教室や、道路標識などの交通規制や道路使用許可、免許の交付・更新・取り消しなどの免許行政を行うのもこの部門です。
交通部門の看板といえる白バイに憧れる子供たちは今も昔も沢山いますが、白バイ隊員たちは日々ひたむきに訓練を重ねて高度な運転技術を磨きつつ、事故のない安全な社会の実現を目指して活動を続けています。
現場の警察官の仕事その5:機動隊が様々な警備を行う『警備部門』
警備部門は、治安の最後の砦と評される警備部門は、テロ・ゲリラ行為といった、暴力で国家体制を破壊するような反社会的な違法行為を摘発、または未然防止し、公共の安全と秩序を維持することを使命にした部門です。
テロ・ゲリラ事件などの未然防止を図るための情報収集と分析を行うほか、皇族や国賓・政府要人などの身辺を護る警衛・警護も担当します。要人警護を職務として行う警察官の中でも、特に警視庁における警護員をSPと呼びます。
空港や港湾施設・国会などの重要施設の警戒、大きなイベントでの混雑時の事故を防止するための雑踏警備、災害発生時には被災者の避難誘導や救助活動などの災害対策も行います。
機動隊もこの部門の所属になります。機動隊は、山岳遭難や水難救助、爆発物の処理やデモの治安警備、暴動の鎮圧など、不測の事態に備えて日々厳しい訓練を行い、有事に備えています。
現場の警察官の仕事その6:現場を支援し、組織を運営する『総務・警務部門』
総務や警務を担当するいわゆる「総務警察」は警察組織の運営と企画・広報、予算管理、留置管理などを、警務警察は警察職員の採用、福利厚生、犯罪被害者の支援などをそれぞれ行い、警察組織をあらゆる面からバッグアップします。
警察職員が働く環境を整備して各種警察活動を支えるとともに、犯罪被害に遭われた方に対して様々なケアを実施しています。
警察官よりも、事務吏員や技術吏員が多く勤務している部門ですが、逮捕後に留置された被疑者の処遇と護送を行う留置管理業務に関しては、そのほとんどを警察官が担当します。
まとめ - 事件は現場でおきてるんだ!
いかがでしたか?
『地域警察部門』『刑事警察部門』『生活安全部門』『交通部門』『警備部門』『総務・警務部門』の6つについて説明しました。
漫画「こち亀」の両津さんは、地域警察部門、ドラマ「踊る大捜査線」の青島刑事は、『刑事警察部門』にあたることがわかりました!刑事ドラマもこういった仕事の構造がわかると、より深く楽しむことができるのではないでしょうか。
(作成日:2017年5月10日/更新日:2021年4月11日)
コメント
コメント一覧 (2件)
警察は大変だと思う
頑張れ❗️