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【アメリカ州制度】ひとつの国のような州「テキサス州」解説

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テキサス州


アメリカ南部のテキサス州はアラスカ州に次いで面積が大きく、石油産業や自動車製造業、宇宙開発事業などあらゆる分野が集まる近年最も注目を集めている州です。1980年頃から人口も企業数も急激な右肩上がりを続けており「テキサス国」ができるほどとされています。

日本とも繋がりが深く、トヨタ自動車の北米本社機能、空調大手のダイキンなどが工場を構えており、今後ますますテキサス州は身近になると言われています。そこで今回は要注目のテキサス州についてご紹介します。

目次

テキサス州の特徴

2018年現在、テキサス州の総人口は約2,830万人です。全米でカリフォルニア州に次いで2番目に人口が多いものの、土地が広いため人口密度は1平方キロメートルあたり37人です。ちなみに、カリフォルニア州の人口は3,954万人で、人口密度は1平方キロメートルあたり90人です。土地が広いため「テキサス州は何でも巨大」と揶揄されています。

テキサス州の特徴は、国として成立してしまうほど経済や政治が整っていることが挙げられます。とくに経済についてはエネルギー産業を始め、製造業、農業、航空宇宙産業、そしてカジノまでいずれも大規模な展開をしており、州経済だけでなくアメリカ経済を下支えしています。事実、テキサス州の州総生産は1兆6千億ドルで、カリフォルニア州の2兆4千億ドルに次いで全米2番目の高さです。

テキサス州のこのような経済力はカナダやインドのGDPを凌いでおり、まさにひとつの国のような存在と言われる所以です。さらに、経済が順調であると同時に人が生活しやすいことも特徴と言えます。その代表例が低い税率です。消費税こそ8.17パーセントかかりますが、州の所得税がかからないため州民の税負担は全米で7番目に低いとされています。

また、法人に対する税の優遇や支援策も多く、法人税がかからないことや30億ドル規模のテキサス起業基金などがあります。このような企業に優しい制度が世界中から企業を呼び込み、日本からはトヨタ自動車、IHI、中部電力などの企業が進出しています。加えて、アメリカの有望企業トップ500の「Fortune 500」に50以上のテキサス州の企業が選ばれており、全米で最も多くなっています。

州の特徴のひとつに「流通の良さ」があります。テキサス州が発展した背景こそがこの流通にあります。もともと、テキサス州は巨大で荒れた土地だったため道路を築くのに苦労していました。それを補うかたちで港、鉄道、空港が計画的に作られました。これらの後を追うようにして道路も整備されたことからあらゆる流通経路が確保されたのです。

事実、テキサス州は南米と北米へのアクセスの中継点を果たしており、陸路では48時間内に全米の93パーセントへアクセスでき、空路では国内線を網羅するサウスウェスト航空がダラス・フォートワース国際空港を拠点にしているため国内移動も容易です。

このようにテキサス州はひとつの国のような州であることが最大の特徴と言えるでしょう。

テキサス州の歴史

テキサス州は、1845年にアメリカ合衆国28番目の州になりました。1861年には南北戦争を理由にアメリカ合衆国から離脱してアメリカ連合国に加盟し、南北戦争終結後の1870年にアメリカ合衆国に再加盟します。そんなテキサス州はフランス、スペイン、メキシコの支配を経て、最終的にアメリカの領土になりました。

テキサスの地に最初に白人が降り立ったのは1600年頃のフランス人だったとされています。テキサスの中心に植民地を構えたフランス人はその一帯をフランス領土と主張しましたが、植民地はうまくいかず頓挫します。1684年にフランスの貴族ラ・サールがメキシコ湾沿いに新たなフランス植民地を計画し「Fort Saint Louis(セントルイス砦)」が築かれました。


しかし、1688年にはテキサスで生活していたインディアンのカランカワ族から侵略に対する反撃を受け、さらに翌年にはスペインから攻撃され、実質的なフランス支配の時代は終わります。その後おおよそ70年に渡りフランスは領有権を主張しますが、事実上スペインが支配するようになります。

1762年、フランスとイギリスが戦ったフレンチ・インディアン戦争に負けたフランスは、スペインにテキサスを含むミシシッピ川の西側をフロリダと引き換えに割譲しました。この時、フランスは40年間(1800年まで)の条件を付けていました。

1799年にスペインはフランスにテキサスを返還しますが、結果的に1803年にアメリカが財政に困窮していたフランスから土地を購入した「ルイジアナ買収」によってフランス支配は終わります。

1821年、メキシコはスペインから独立します。これによりスペイン領だったテキサスはメキシコ領土のコアウイラ・イ・テハス州の一部となりました。メキシコ政府はテキサスの開発を進めるためアメリカ人移民を受け入れますが、次第にアメリカ人とメキシコ政府の間で軋轢が生じます。

その主な理由が奴隷制度でした。メキシコ政府は奴隷を認めていないにもかかわらず、アメリカ人は奴隷を使い続けたため、1830年にメキシコ政府はアメリカ人のテキサス入植を禁止しました。

1835年、これに反発したアメリカ人はメキシコからテキサスを分離させ、独立させるための「テキサス革命(テキサス独立戦争)」を始めます。1836年にアメリカが勝利したことで、メキシコ政府は承認していないにもかかわらずアメリカ人は勝手に「テキサス共和国」として独立を宣言しました。

同年、メキシコ政府はテキサスにあるアメリカ人の拠点だったアラモ伝道所(アラモ砦)を攻撃し、おおよそ200名のアメリカ人が寝込みを襲われ命を落としました。この「アラモの戦い」はアメリカでは悲劇と伝えられ、アメリカ人の怒りを買いサンジャシントの戦いでメキシコ軍の最高権力者であるサンタ・アナが捕虜として捕らえられました。

サンタ・アナは自らの命と引き換えにテキサス共和国と不公正なベラスコ条約を結び、テキサス共和国は政治的に有利になります。これによりテキサスでの奴隷制度解禁、税関の撤廃、無税期間の延長などが決まりました。このことはメキシコとアメリカに亀裂を生み、後の1846年に米墨戦争につながります。

1861年には南北戦争が始まり、テキサス州は合衆国を離脱し南軍として戦いますが敗れます。1870年、テキサス州はアメリカ合衆国に再加盟しました。

テキサス州はメキシコとの争いと結びついています。現代でも続くアメリカとメキシコの良好とは言えない関係はテキサス州の歴史が深く関係しています。

テキサス州の政治情勢

テキサス州では2012年、2016年の大統領選の際には共和党を支持しています。これまでに同州からは共和党のリンドン・ジョンソン、ジョージ・H・W・ブッシュ、ジョージ・W・ブッシュなどの大統領経験者を輩出しています。近年では安定して共和党が強い傾向にあります。

同州が輩出した大統領のなかでもリンドン・ジョンソンは、1964年に白人と有色人種の区別をなくす「公民権法」に署名した大統領として知られ、それまでは名ばかりだった自由と平等のアメリカを本質的に実現した人物です。

テキサス州の経済

2018年時点、テキサス州の失業率は4.0パーセントです。2009年のリーマンショック直後でも8パーセントだった同州では、企業や人の増加が続いており比較的職が見つかりやすいとされています。

むかしから農業が盛んでしたが、現代では石油や再生可能エネルギーなどのエネルギー産業が発達しており、いずれもアメリカ最大規模を誇ります。ちなみに、同州の温室効果ガス排出量は全米1位で、これに付随する地球温暖化を問題視している州民は全体のわずか4パーセントとされています。

テキサス州の税金

2018年時点、テキサス州の消費税は8.17パーセントです。連邦税が6.25パーセントで、地方消費税の平均が1.92パーセントです。隣接するルイジアナ州やアラバマ州と比較すると2パーセントほど低いため、所得税などがかからないことも考慮すると税負担は小さいと言えます。税負担が小さいことはテキサス州の魅力のひとつでしょう。


テキサス州の銃や薬物問題

テキサス州ではマリファナは禁止されていますが、一部の医療用マリファナは許されています。現在は非常に複雑なルールで誤認使用や誤認逮捕など起きているため、段階的に解禁されると言われています。

テキサス州の銃に関する取り組み格付けは最低ランクの「F」グレードです。同州では個人の空間に侵入してくる者に対して発砲しても正当防衛と見なされる「Castle Law」があり、銃は誰でも簡単に購入でき、許可を得れば持ち歩くことも許されています。

テキサス州の教育または宗教事情

テキサス州の教育水準は全米の平均以下の水準です。ただし、高校卒業率は全米で4番目に高く、高校卒業時にトップ10パーセントの学力優秀者は同州の州立大学への入学が保障されるシステムがあります。

テキサス州の宗教はキリスト教が最も多いものの、ユダヤ教やイスラム教も50万人近くいるとされています。テキサス州の人たちは信仰心が非常に厚いことで知られ、ヒューストンのレイクウッド教会は毎週末4万人以上が礼拝に訪れます。

まとめ

テキサス州の歴史はフランス、スペイン、メキシコそれぞれの時代があり、共和国を築いたことでアメリカとメキシコの関係が極度に悪化した背景があります。現代のアメリカとメキシコの関係を理解するうえでテキサス州の歴史を知ることは重要と言えます。

本記事は、2018年8月29日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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