元号ってどうやって決めるの? 日本人なら知っておきたい「元号」について

「平成30年」の「平成」は、日本人なら慣れ親しんでいますが、日本特有の年の数え方で「元号」といいます。西暦と元号2つ覚えるのはややこしいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回はそんな「元号」がどのように決まるのかと、現在の「平成」はどのように決定したのかなどをご紹介します。


なぜ「平成」から元号が変わるのか?

日本では来年の2019年5月1日から元号が「平成」から新しい元号に変わることが決まりました。そこで2018年(平成30年)の夏は「平成最後の夏」と言われていますが、なぜ「平成」から元号が変わることになったのかを解説します。

そもそも「元号」とは何?年を数える方法の一種です。

日本には年を数える方法として、「2018年」などと数える「西暦」と、「平成30年」とか「昭和30年」などと数える「元号」を使用した「和暦」の2つの方法が一般に使用されています。例えば、履歴書を書く時に「西暦○年」は「平成○年」になるかなど、年齢早見表とにらめっこしたことがある人も多いと思います。

元号とは「紀年法」という年を数え、記録する方法の一つです。元号を使うのは日本を含むアジア東部の文化で、「西暦」が無限に続くのに対し、「元号」は皇帝や君主などの即位や、同じ天皇の在位中でも「改元」という元号の変更などで、リセットされ1から数え直されるという、有限のシステムであるという特徴があります。

かつて日本に「元号」の文化をもたらしたのは中国でしたが、既に中国では元号は使われていないようです。また日本では「元号」のことを「年号」とか「和暦」などとも呼びます。

元号と天皇の関係

日本の元号が「平成」から新しく変わるのは、天皇と大きく関係しています。日本には「元号法」という法律があり、そこには元号について「皇位の継承があった場合に限り改める」と定められています。

つまり、現在の第125代今上天皇の即位に際し、新しく始まった元号が「平成」であり、退位が予定されている2019年4月30日で「平成」という時代も幕を閉じるということが、法律によって定められているのです。

明治時代以前は、災害が起こった際に改元したり、何かの記念で改元したりするなど、1人の天皇の在位中に何度も元号を変えることがあったようです。しかし、明治時代に天皇1代につき元号は1つのみとする「一世一元の制」が定められ、天皇一代につき元号は一つという制度が始まりました。

この「一世一元の制」は戦後にしばらく撤廃されましたが、1979年の元号法の制定時に復活し、現在でも続いています。

現在の法律で、元号を決めるのは「政府」

天皇と関係が深い「元号」ですが、現在の元号法では「元号は、政令で定める」と定められており、有識者会議などを経て最終的に元号を決定するのは政府とされています。

かつては天皇がいる朝廷自ら元号を考える時もあったそうですが、江戸時代には幕府主導で元号を考えていたそうで、元号を政府が決める風習は江戸時代には既にあったと考えられているようです。

「平成」という元号の由来

「平成」の元号の由来は、中国の歴史書である『史記』の一節「内平らかに外成る」と、同じく中国の歴史書である『書経』の一節「地平かに天成る」の2つだようで、意味はどちらも「国内も世界も平和に成るように」という願いが込められているようです。


ちなみに「昭和」の由来は?

「平成」の1つ前の元号である「昭和」の由来は、平成の由来ともなった『書経』の一節「百姓昭明にして萬邦協和す」であり、意味は「世界中の人がみな平和に暮らせるように」という内容だったようです。

平成も昭和も、国内だけでなく世界の平和を願った元号だということがわかります。

「平成」以外に残っていた元号の最終候補は「修文」「正化」

現在の元号が「平成」に決まる際に、最終候補に残っていたのは全部で3種類あったと言われています。1つ目が「平成」、残りの2つが「修文」と「正化」でした。

1979年に元号法が制定された際に、当時の太平内閣が、元号を決める際の基準・注意点を次の6つ定めました。まずは「国民の理想としてふさわしいよい意味をもつものであること」です。そして過去には3文字や4文字の元号もありましたが、今後は「漢字2文字であること」も条件になっています。3つ目は「書きやすいこと」、4つ目は「読みやすいこと」です。これを受けて、1979年以降は比較的画数の少ない漢字が使用される傾向にあります。

そして5つ目の基準は「これまでに元号又はおくり名として使用されていないこと」です。過去の元号を繰り返し使うことはできませんし、「おくり名(諡)」といって天皇や皇后が崩御した後に贈られる称号は歴代全て使用することができません。

最後に「俗用されているものでないこと」という条件もあり、人名や地名、商品名、企業名は避けるようにしなければなりません。元号が決定した後に俗用されることは問題無いので、「平成」という名の地名や企業名はこの30年で増加したようです。

しかし「平成」という元号が誕生する前から、読み方が異なる「平成」という人名、地名があったことがわかっており、徹底して調査することは難しかったようです。インターネットが発達した現在では、同名の検索も容易になったので、このような偶然は減るかもしれません。

「平成」の決め手はアルファベット表記だったと言われている

「平成」と共に最終候補に残った「修文」「正化」でしたが、最終的に「平成」が残ったのはアルファベット表記した時に紛らわしくならないからだと言われています。「平成」はアルファベットで表記する場合、イニシャルは「H」ですが、「修文」と「正化」は「S」です。

平成以前の「明治・大正・昭和」は「M・T・S」だったため、昭和の次の元号は「S」ではなく「H」で始まる「平成」がふさわしいと、有識者で構成された「元号に関する懇談会」という会議での発言が残されているそうです。

次の元号の予想は?

「平成」の次の元号は何になるのか予想してみましょう。これまでご紹介した通り、元号法と元号を決める基準を参考にして考えると、まだ使用されていない漢字2文字で、読み方も書き方も比較的難しくないもの、国民の理想としてふさわしい明るいイメージのもの、読み方がMTSH以外のイニシャルで始まるものに決まると予想されます。

まとめ

このページでは「平成」という「元号」と、元号について定められた「元号法」という法律や、元号が定められる時の基準についてご紹介しました。

天皇の退位に伴い、「平成」という元号は2019年の4月30日までということが決まりました。5月1日からは新しい元号が始まりますが、どのような元号になるかはまだ発表されていません。

元号が「平成」に決められた時のように、今回の新しい元号も法律や定められ粛々と進められると思います。

どんな素敵な元号になるか楽しみです。

本記事は、2018年9月12日時点調査または公開された情報です。
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