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【図書館司書の仕事】「本」だけでなく「人」を愛することが大事 

「図書館司書」の仕事というと、カウンターに座って本の貸出・返却をしている姿を想像する方が多いと思います。物静かで落ち着いているという印象がある一方、意外と体力勝負の仕事であることは、あまり知られていないかもしれません。そんな「図書館司書」の図書館業務から、1日の流れ、やりがいなどについて解説します。

2017年06月06日更新

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目次
司書の種類とは?
公立の図書館で働く「司書」の1日について
今の「司書」は、「本」以外の膨大な図書館の資料を扱います
行政サービスとして、誰もが利用できる図書館作りを行います。
今、地方公務員としての「司書」の存在意義が問われています。
司書に向いている2つの「力」
まとめ - 行政の「図書館司書」のやりがいと大事なこと
【図書館司書の仕事】「本」だけでなく「人」を愛することが大事

司書の種類とは?

「司書」と一口に言っても、所属する図書館の種類によって業務内容は大きくことなっています。

国立国会図書館、都道府県立図書館、市区町村立図書館、大学図書館、専門図書館、学校図書館と様々な図書館(館種)があり、それぞれで求められるサービスが異なるためです。国立国会図書館であれば、国家公務員、市営の図書館であればその行政の地方公務員という身分です。

例えば、国立国会図書館や都道府県立図書館だと、「資料の保存」に重きが置かれます。国会図書館であれば国内の出版物を「納本」という形式で収集・保管しますし、都道府県立図書館であれば、特にその地域にまつわる資料を重点的に保存しています。そのため資料の貸出を行わず、館内の閲覧のみに止めるといったルールを設けている場合もあります。

大学図書館であれば、その大学が有する学部・学科に基づいて、調査・研究に関する資料を所蔵します。司書は各分野のエキスパートであり、学生はもちろん、大学職員や教員たちの研究活動を補佐する役割を果たします。専門図書館もそれに近いものがあり、例えば美術館に付属する図書館、児童書を専門とする図書館、視覚障害者を対象とした図書館など、それぞれの分野に特化した資料を扱っています。

子どもの頃に誰もが利用したことがあるのは、小中学校の図書室ではないでしょうか。学校の図書室に勤務する司書は、「学校図書館司書教諭」という特別な資格を持ち、図書室の運営はもちろん、教員とともに授業運営をサポートすることを求められます。とはいえ司書教諭の専任者を配置できている学校は少なく、資格を持つ国語や社会科の教員が、図書室の管理を兼ねているケースが多いのが実情です。

そして、一般の方が多く利用しているのが市区町村立の図書館です。各自治体の公費で運営され、住民への資料提供を担っている機関です。これまで紹介した図書館と違い、利用者層を特定せず、その地域に住む人、地域にある企業や学校に通う人を対象に、多様なジャンルの資料を扱っているのが特徴です。

今回は、特に市区町村立図書館の司書、いわゆる地方公務員として働く「公共図書館司書」の業務を中心に、司書の業務について解説します。

公立の図書館で働く「司書」の1日について

公共図書館の司書の1日の流れについてご紹介します。

8:30  出勤、朝礼(連絡事項の確認、共有)
    開館準備
9:00  貸出・返却カウンター業務(図書の貸出、返却を受け付ける)
11:00 図書の配架(返却されてきた図書を棚に戻す)
12:00 昼食休憩
13:00 新刊案内チェック(図書の取次業者から送られてくる、新刊書籍の案内を確認する)
14:30 新刊図書の選定会議(複数の職員で、どの本を購入するかの選定会議を行う)
16:00 レファレンスカウンター業務
17:30 退勤

司書の業務は、カウンターでの利用者対応の時間と、事務作業の時間に大別されます。

カウンター業務の中では、特に貸出・返却の手続きを行う場合と、利用者の相談に応じ、資料探しを手伝う「リファレンス」業務を行う場合に分かれます。(小規模な図書館では兼任されることもあります)。リファレンスでは、利用者からの「このような資料を探している」「こういうことを知りたいがどういった資料を見れば良いだろう」というような質問を受け付け、資料探しの補助を行います。リファレンスに求められる資質・能力については後述します。

そして事務作業の内容については、各人の担当により大きく異なります。今回は資料購入担当者を例として挙げ、新刊案内のチェックや、資料の選定会議がある場合のスケジュールを掲載しました。これが児童書の担当であればおはなし会を企画したり、雑誌の担当であれば定期刊行物の納品チェックをしたりします。得意なジャンルがあれば、その担当となれるよう、知識を磨くと良いでしょう。

この他には、返却されてきた資料を棚に戻す「配架」という業務があります。資料の背に貼り付けられたラベルの請求記号に応じて、資料を所定の位置に戻すという作業です。その際には資料を手に持って移動するか、ブックトラックと呼ばれる車輪付きの台を利用しますが、いずれにせよかなりの重さを押す・運ぶ必要があります。これはかなり体力のいる作業で、足腰への負担も大きく、一般的な司書の業務のイメージとは大きくかけ離れたものでしょう。

司書のスケジュールは、開館時間に大きく左右されます。近年では利用者からの要望に応じ、特に都心部の図書館では、夜遅くまで開館している所が増えてきました。休館日についても、定期的に設けている館が多いものの、年中無休としている場合もあります。開館時間の増加に対応するため、シフト制で出退勤を管理する必要があり、上級職になると職員の適正な配置も職務となります。特に公共図書館では、土日祝日に多くの利用者が訪れます。一般的な公務と違い、カレンダー通りの休みとはならない場合が多いというのは、意識しておくとよいでしょう。

今の「司書」は、「本」以外の膨大な図書館の資料を扱います

図書館をよく利用している方はご存知でしょうが、多種多様な雑誌や新聞、CDやカセットテープ、DVDやビデオなども置いてあり、これらの資料選定や保存も司書の役割となっています。これらを扱う際には図書の知識だけでは足りず、地域のニーズと照らし合わせながら適切な資料を揃えるのは大変な作業です。また、CDやDVDについては「図書館が資料として扱うべきなのか」について、未だに議論があります。図書に比べて1点1点が高額なこともあり、多様なジャンルを網羅的に収集することが難しいというのも問題の背景にあります。

また多くの図書館では、新聞のデータベースや、法規集のオンライン版なども取り扱っています。これらは調べ物に大変便利ですので、いつ利用の申し込みがあっても慌てないよう、常に使いこなせるようにしておく必要があります。データベースの利用法についての勉強会などもありますので、一度は参加してみることをおすすめします。

「図書館は、ただ紙の資料を貸していれば良い」という時代は終わり、多様なメディアを駆使する技術が求められるようになりました。パソコンの基本操作的な操作はもちろん、システムに関する専門的な知識があると、現場では大変役に立ちます。

行政サービスとして、誰もが利用できる図書館作りを行います。

誰もが自由に図書館を利用し、親しめるようにすることも司書の大事な役割です。そのためには、利用にハンディキャップがある方へのフォローが欠かせません。例えば老眼などにより細かい字が読みにくくなった方のためには大活字資料を、視覚障害の方のためには点字の図書や、本を朗読したCDの提供を行っています。最近では、文字を認識するのが困難な「識字障害」を持つ方に向けて、「DAISY(デイジー)」というテキスト・音声・動画が組み合わさった新しいメディアも生まれています。「本を読むことに困難な人に、読書の喜びを届けたい」という想いを持ち、障害や福祉の分野についての知識・経験がある方には、ぜひチャレンジしてもらいたい分野です。

また外国人が多く住む地域では、外国語資料の収集にも力を入れています。外国語学習の教材として利用されるケースもあり、子ども向けの「英語のおはなし会」などは教育熱心な保護者からも大変人気があります。この需要は今後もますます増えていくでしょう。特に英語・中国語・韓国語の資料は利用が多く、語学はもちろん、その国の文化・風習についても理解があると、業務に活かすことができるでしょう。

今、地方公務員としての「司書」の存在意義が問われています。

公共図書館の職員は各自治体に所属する公務員を中心に、期間雇用の臨時職員や、業務委託業者、指定管理者などが混在している状況です。公務員の場合、多くは役場・役所の職員の中から、司書の資格を持っている人を中心に配属されます。とはいえ役所内の異動ですから、本人の希望や資格と関係なく配属されることもあり、全員が司書、プロフェッショナルであるケースはまれです。

そんな中、図書館業務の民間委託が進んでいます。自治体の支出削減が求められているため、図書館業務の一部、もしくは全体を民間の業者に委ねることで、人件費を抑制する効果を狙いったものです。民間業者では司書の有資格者を積極的に雇い、各自治体に派遣するような形態をとっています。

民間への委託により自治体の支出が抑えられ、専門性の高い人材を確保できるというメリットがある一方、いくつか課題も見えています。一つには、雇用が不安定なため、若く優秀な人材が流出する恐れがあり、実績を積む機会が得にくいことが挙げられます。また司書の給料が低水準になってしまい、特殊な技能が必要な専門職であるにも関わらず、その価値が落ちてしまう恐れがあるということです。司書を志す人が勉強と経験を重ね、安定した雇用の中でどのように活躍の場を確保していくかが、図書館業界全体の課題になっていると言えます。

司書に向いている2つの「力」

司書の資質の指標として、重要な業務である「リファレンスへの対応能力」があります。

利用者の要望を聞き、希望に沿う資料を探す手伝いをするのです。ここで大事なのは、利用者が何を知りたいと思っているのか聞き出す力、つまり質問力です。えてして利用者は、「この資料を探している」と明確なプランを持たずにカウンターまで来ているものです。その利用者が、その課題に対してどの程度の知識を有しているのか、どれくらい難易度な資料を読みこなせるのか、調べた結果は論文として発表するのか、などを確認して、資料選びに導く必要があります。

誤解されていることがありますが、質問に対して「回答」を提示することは司書の業務ではありません。「利用者が研究を深め、回答を得るための資料選びを手伝う」ことが司書の役割です。そのためには利用者をよく観察し、適切な質問をし、気づきを与えることが重要なのです。

もう一つは「検索力」です。

データベースを駆使して資料を検索する際に、適切なキーワードを選び出す発想力が求められます。自分が不得手なジャンル、知らない単語についても、適宜検索をかけ、ある程度の当たりをつける能力。また非常に専門的な内容であれば、そのジャンルが得意な職員に引き継ぐことも含めて、持てる知識と検索力を総動員しないと、利用者からの不意の問い合わせに応えることはできません。

特に公共図書館の場合は、利用者は子どもから高齢者、外国人まで様々です。それぞれに合った話し方、説明の仕方ができると、利用者から頼られる司書として活躍することができるでしょう。長く勤めていると、「ぜひ○○さんに資料探しを手伝ってもらいたい」と指名されることもあり、その誇らしさは格別です。

まとめ - 行政の「図書館司書」のやりがいと大事なこと

「司書」はいわば「調べ物のプロフェッショナル」です。多くの人が知りたい、読みたいと願う本を揃え、届けられた時に、とても大きなやりがいと感じました。

皆さんの中でも、「本が好き」というモチベーションで司書を目指す人が多いと思います。

しかし、それ以上に大事なのは、「知りたい、読みたいと思う人の気持ちに応えよう」というサービス精神を持つことではないでしょうか。

本を愛すると同じくらい「働くこと」や「人」を愛すること、それが司書の最大の資質と言えるでしょう。

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