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【公務員の初任給】大手民間企業より、低いけど、これで暮らしていける?

私が国家公務員になるとき、「この初任給で暮らしていけるんだろうか」と不安になったことを覚えています。大手の民間企業より相当低かったことに加えて、結婚も控えていたので心配になったのです。しかし、結論を先に言えば全く問題はありませんでした。…元・国家公務員の小柴龍太郎さんによる公務員コラムです。

2017年06月14日更新

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目次
公務員の初任給が少なくても何とかなる理由 その1
公務員の初任給が少なくても何とかなる理由 その2
公務員の初任給が少なくても何とかなる理由 その3
まとめ
公務員の初任給 -これで暮らしていけるのか?-

私が国家公務員になるとき、「この初任給で暮らしていけるんだろうか」と不安になったことを覚えています。

大手の民間企業より相当低かったことに加えて、結婚も控えていたので心配になったのです。

しかし、結論を先に言えば全く問題はありませんでした。もちろん贅沢はできませんが、不安なく生活ができましたし結婚も無事にできました。公務員の給料は何とか暮らしていけるようにできているのだと実感したものです。

今回はその理由について解説します。

公務員の初任給が少なくても何とかなる理由 その1

新米公務員でもそれなりに暮らしていける理由は、初任給以外の収入があったり、支出が少なくて済んだりする仕組みがあるからです、なかでも大きいのは家賃(宿舎費)でしょう。公務員の住む宿舎(官舎)の費用は民間の相場より相当低いのはよく知られているところですが、これは想像以上です。そして私の場合にはこれがタダでしたから尚更です。勤務先が刑務所だったことによります。

どこの刑務所でもその敷地内に官舎が作られています。これは、もし刑務所で何かあればすぐ馳せ参じられるようにする必要からきています。いわば自宅待機みたいなもの。だから厳密にいうとタダではなく、密度の低い勤務を1年365日命じられていることの対価みたいなものです。それでもこれはとても助かりました。

ちなみに、新採用の私に割り当てられたのは廃屋寸前のような木造の1軒屋でした。古いのは古いけれど新採用の自分が一軒屋を使えるなんて贅沢だとも思いましたが、やがてそれは見当違いだと知ることになります。というのは、そこはネズミの宿舎でもあったのです。困るのはネズミが夜型で人間は昼型だということ。彼らは夜になると元気が出てきて、天井の上でガサゴソと動き出します。私がじっとしているとその動きは激しくなり、やがて走り始めます。もはや運動会です。

そんなことで、最初の頃はうるさくてなかなか寝付けませんでした。そしてようやく慣れた頃、今度は寝ている私の布団の上を横切るネズミが現れ、遂には顔の上を横切る不届きなネズミまで出てきました。さすがにこれには閉口し、ネズミの退治作戦に踏み切らざるを得ませんでした。

これはまあ昔の宿舎事情の厳しい時代のお話で、今はそれほどひどい官舎はなくなっていると思います。そしてまた、刑務官の場合宿舎費がタダというのも特殊でしょうが、一般官庁でもその費用は民間の半分以下で済むと考えていいのではないでしょうか(官舎が築後何年かで料金が変わりますから古いものは数分の一以下で済むこともあります)。ですから、これはとても助かるのです。初任給だけを見ていては分からないことです。

公務員の初任給が少なくても何とかなる理由 その2

公務員の初任給が少なくても何とかなる二つ目の理由は、超過勤務手当が結構多いことです。これも想定外でしたが、1日1~2時間の超勤でも1か月するとそれなりの金額になります。もちろん仕事があるから超過勤務となるわけですが、生活費の観点からはこのお金がとても貴重なものでした。

公務員の初任給が少なくても何とかなる理由 その3

三つ目の理由は食事代が安く済んだこと。役所がある程度大きくなると共済組合が経営する食堂があって、一般の店より安く食べられます。私の場合は刑務所勤務でしたが、同じように職員用の食堂(「官炊」(かんすい)といいます)があって、これは民間と比較するとびっくりするほど安かったです。

刑務所は24時間動いている組織なので、職員は交代制勤務です。そして食事をとるための時間は30分ほど。そのたびに刑務所の外に行っては間に合いません。それに、そんなことをしていればその時間帯だけ刑務所の中にいる職員の数が減ってしまいます。それでは、何か非常事態が起きたときに困ります。刑務官は食事中でも非常ベルがなったらすぐ全速力で現場に走らなければいけませんので、官炊はいわば職員数を確保するためでもあるのです。

もっとも、安いだけに味は保証の外。東京拘置所など一部の施設ではうまいものが出るといううわさもありましたが、多くの場合は値段相応の味です。

安いのは刑務所の農場で採れた野菜を仕入れることができる場合があるという事情もあります。新鮮なのでそれは結構なのですが、農場で野菜がたくさん採れたりすると毎食同じ野菜が出てくる事態となることもあります。私が採用になった年にはナスが豊作だったらしく、連日ナス・ナス・ナスだったことがあります。しかも、おかずもナスで味噌汁の具もナスだったりします。3日ほどこのメニューが続いたら、ナスの匂いをかいだだけで吐き気を催しました。人間の身体は正直にできているものです。ナスから摂取できる栄養分はもう十分だと身体が抗議したのでしょう。

とにもかくにも、これで飢える心配はなく、寝る所は確保されました。超過勤務の手当も安定して毎月出ます。初任給は安かったですが、生きていくのに不足はありませんでした。繰り返しますが、公務員の給料はそのようにできているのです。たまにネズミの生態に詳しくなったりもしますが、これはオマケです。

まとめ

要は、公務員になろうとするとき、単に初任給の額だけで月給を考えてはいけないということです。超過勤務を始めとする諸手当が入るし、刑務官でなくても宿舎費は安い。

民間企業に入ったはいいが、初任給は高くても超過勤務手当などのプラスアルファがなく、しかも家賃は自分持ちということになったら、そちらの方がずっと大変なはずです。

民間企業の中には公務員の初任給より10万円以上高いところもあるようですが、くれぐれも目くらましには遭わないようにしてください。

(小柴龍太郎)

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