はじめに 「陸上自衛隊」(男性)によるキャリアレポートです。
- レポート者のプロフィール
- 公務員としての職業・勤務先:陸上自衛隊(静岡県、神奈川県、東京都)
性別:男性
雇用体系:正規雇用
所有資格:自動車運転免許、航空交通管制技能証明、第1級陸上無線技術士
「陸上自衛隊」を目指した理由
父親が元自衛官でしたので一度このような仕事を経験するのも良いと思いました。また人に役に立つ仕事がしたいと考えていたのも選んだ理由の一つです。
「陸上自衛隊」の仕事内容について
陸上自衛隊の航空科で勤務しました。
具体的な仕事内容は飛行場管制塔での管制業務です。自衛隊は国土交通省より委託された教育を受け国家試験(航空管制技能試験)を受験し国土交通省職員(航空管制業務)と同じ権限を持ちます。
航空管制はいくつかの種類がありますが私は「飛行場管制業務」を行なっていました。それは飛行場を離陸・着陸する航空機および上空を通過する航空機の管制(交通整理)をする仕事です。そのほか幹部に昇任してからは部隊の人事担当をして後輩育成や服務一般の業務を行いました。
また災害派遣として約30年前の日航機123便墜落事故の災害派遣を行いました。この際は墜落した当日に災害派遣に出発し数ヶ月の間、人間を交代しながらの勤務となりました。
また東日本大震災時では関東地区からの支援となりましたがこの時も約2週間の泊まり勤務となりました。私は18歳で入隊後36年勤務し54歳の誕生日を持って定年退職(退職時の階級は1等陸尉)しました。
「陸上自衛隊」の航空科での1日の仕事の流れ
部隊内での生活
6時:起床、点呼、清掃、朝食
8時:朝礼、課業開始
12時から13時:昼食および昼休み
17時:課業終了、必要であれば明日の行事予定確認
17時30分:帰宅
その他(非常時等) 時間に関係なく非常呼集による部隊出勤
災害派遣等は出発準備、命令下達、上司への報告等
移動中は経路上の異常の有無等の報告、人員の健康状態把握など 現地到着後は現場での任務確認、民間団体等との調整・確認、部下への命令下達、実施状態の把握、定時報告等の実施
当日の終了においては人員の健康状態、装備品の把握、明日の任務確認、隊員の食事管理などの把握
終了後においても当直勤務(夜間勤務)の計画立案、人員教育および配置、実施状況の把握など
「陸上自衛隊」の給料・残業・有給休暇について
私の場合ですが、おおよそ月給35万円(残業代込)で、ボーナス2.5ヶ月分で年収約500万でした。演習は年に7、8回程度で期間は1週間程度です。
有給休暇は調整により比較的取りやすいですが災害等発生した場合などは勤務が優先されます。また国費による米国陸軍への留学、研修等も豊富で試験がありますが多岐にわたり活躍する場面は多いです。
この仕事で、働いているときに困ったこと
困ったことは、災害派遣は計画外の行動となるため私的な行動予定はほぼ中止しなければならないことです。
気になったことは転勤が多いのでほぼ5年毎には異動の話があり、場合により単身赴任が多くなります。特に子供が中学生となるとほぼ家族での移動は難しくなります。したがってこの間に夫婦間でのトラブル(離婚等)が多くなります。
改善したかったことは部隊の隊員個人への要求と本人とに相違が多いことから早期に上司と部下の間に意思疎通をしっかりと行うことだと思いました。
この仕事や職場でよかったこと
比較的多岐にわたる仕事を経験することが出来ました。例えば、大型車両の運転、国家資格の取得や食堂勤務などによる栄養管理、料理体験または米軍との共同訓練参加により英会話能力の向上などが挙げられます。
また勤務場所により上級指揮官(陸将クラス)との勤務を通し陸上自衛隊全体の勤務体制などが理解できました。したがって個人の技能を高めたい意思があれば多岐にわたる経験を積むこととなり、定年後の再就職でも有利になると思います。
「陸上自衛隊」の仕事エピソード
感動したこと:災害派遣などの大きな任務が付与された場合その目標を達成したときなどは感激しました。また体力錬成や各種試験に向かい合格した時は大きな感動となりました。
失敗したこと:入隊後の経験が浅い時に報告のミスにより上級部隊への伝達が遅れてしまったことなどがありました。
大変だったこと:やはり恒常業務と演習さらに当直(泊まり)とミックスした勤務体制をこなすことでした。また自衛隊では昇任すると各種教育を受けることとなりますが、幹部(3等陸尉以上)になる場合は幹部候補生学校(九州:久留米)へ数ヶ月から1年の研修教育があり非常に緊張する場面が多かったことです。
その他として自衛官は射撃が必須訓練ですが民間にはない特別な体験を通じ人命の尊さを学ぶことが出来ました。
「陸上自衛隊」の職場恋愛について
職場恋愛は部隊により異なります。
後方部隊(通信、会計、音楽)などは比較的女子隊員が多く男子隊員とのお付き合いが多いようです。したがって婚姻につながる場合が多いと聞きました。
職場以外では例えばPKOなどで海外出張となった場合現地の女性と仲良くなり婚姻するとのことがあるようです。また海上自衛隊などは奥さんが外国籍の方が比較的多いと聞いています。これは日常的に英語を使っているため隊員の英会話能力が高く外国籍の女性でも付き合いやすいのではないかと思われます。
まとめ ー「陸上自衛隊」を目指す方へメッセージ
それぞれの目標に向かって頑張ってください。
コメント
コメント一覧 (2件)
クラスメイトに、お父さんが自衛官だった子がいたのですが、ものすごく性格の良い子で誰からも好かれていました。そのことを思い出し、興味半分で読んでしまいました。
転勤が多いことや、離婚もそれなりにあるとのこと、やはり大変なお仕事なのですね。私の知るクラスメイトのところは仲の良い素晴らしい家族だとうかがっておりますが、きっとご家族皆で、忙しい父親への思いやりや尊敬を自然に持ち続けられたのだと思います。
とても具体的な記事で読みやすかったです。
分かりやすかった