はじめに
「東京都」勤務の「陸上自衛官(普通科)」(男性)によるキャリアレポートです。
- レポート者のプロフィール
- 公務員としての職業・勤務先:陸上自衛官 / 東京都勤務(朝霞駐屯地)
性別:男性
雇用体系:正規雇用
所有資格:中型自動車免許、photoshopクリエイター能力スタンダード
「陸上自衛官(普通科)」を目指した理由
実家の近くに警察の家族寮があり、通っていた小学校の同級生の親御さんが警察官というのは当たり前でした。
加えて小1から剣道をやっていたので地元の警察署の剣道場には親しんでおり、そこで指導して下さる先生方が現役の警察官や元警察官、さらに元自衛官で現在は警察官と言った感じでした。
なのでいつの間にか、自分の進路としての「陸上自衛隊」というのが心の中に自然と存在していました。余談ですが私の両親は音楽家です。
「陸上自衛官(普通科)」の仕事内容について
「陸上自衛隊」の普通科と言うのは、他国の軍隊や戦前の旧日本軍で言われていた、歩兵科と呼ばれるものです。
基本は小銃(ライフル銃)を貸与され、それを用い戦闘、国土防衛を行うのが主任務です。如何にも一般的にイメージし易い「自衛隊」の姿かもしれません。
普通科の訓練内容は小銃射撃はもちろんですが、匍匐前進、小銃以外の火器の訓練も行います。
小銃が使えない状況を想定した素手による格闘訓練も行います。中にはナイフや凶器を持った相手を制圧するシチュエーションもあります。なので普通のボクシングや空手の様なものとは少し趣きが違います。そして個人個人の戦闘技術も重要ですが、原則「自衛隊」というのは集団で戦います。
なので普通科の隊員同士、他の科の部隊との団結した作戦行動がとれなくてはなりませんので、それも訓練します。 そしてどんなに技術が進歩しようが必ず最後に戦闘を終結させ事態を収めるのは、意思を持ち武器を携えた人間なのです。
「陸上自衛官(普通科)」の1日の仕事の流れ
「自衛隊」でも陸海空それぞれ異なります。 独身か既婚者かによって異なります。 なのでここでは、独身で「陸上自衛隊」駐屯地内の隊員宿舎(通称:隊舎)住まいでのものと仮定します。
6時:起床 点呼、朝食、身支度
8時:課業開始 訓練、業務
12時:昼休み 昼食、休憩
13時:課業再開 訓練、業務
17時:課業終了
夕食、入浴、清掃、自由時間
22時:消灯 簡単に書くとこの様な感じです。
因みに「自衛隊」内では、起床、課業の始まりと終わり、食事の準備完了時、消灯に至る全ての時間を知らせるためのラッパによる号令がかかります。 正にラッパの音に始まりラッパの音に終わるという感じです。 また以上はあくまで駐屯地内でのものです。
「陸上自衛隊」の普通科は月に一回以上は泊まり掛けで演習場での訓練期間がありますので、そこでは訓練内容に沿った食事、休憩、就寝のスケジュールがあてがわれます。
「陸上自衛官(普通科)」の給料・残業・有給休暇について
給与に関しては、入隊時の年齢、学歴、階級等の状況によって様々ですが、基本は他の国家公務員の給与体系に準じたものになります。なので賞与(ボーナス)も支給されます。有給休暇もあります。
しかし「自衛隊」の本分は有事への対応ですので、例え有給休暇中であっても有事の際は招集を受け原隊に戻らなくてはなりません。
また旅行先と宿泊先、さらに交通手段といったことも申請をしなければなりませんし、仮にその申請が認められなければ旅行に行くこともできません。
それと「自衛隊」らしい特徴と言えば何といっても手当の種類が多い事でしょう。イメージし易いところで言うと、災害派遣や不発弾処理に出動した場合、それに伴った手当が支給されます。大雪で除雪作業に従事したり、行方不明者の捜索活動に従事した場合もそれぞれ別の名称での手当が支給されます。また危険度や特殊な技能が求められる派遣の場合はそれに応じた金額が支給されます。
この仕事で、働いているときに困ったこと
多くの場合悩まされるのが水虫です。
「陸上自衛隊」の普通科の基本は半長靴や戦闘靴と呼ばれるブーツです。それを履いて数日間演習場の山の中を駆け回るのですから足回りの衛生環境は非常に良くありません。大体の新入隊員はまず駐屯地内の浴室で先輩達が持ち込んだ菌を移され感染します。そうして自身も保菌者になるわけです。中には水虫になって初めて一前の自衛官だと冗談で言う人もいるくらい、水虫は「陸上自衛隊」の職業病といっても過言ではありません。
なので対策としてはこまめに靴下を変えることです。 靴下は消耗も激しいですし、幾らあっても足りないぐらいに考えておいた方がよいでしょう。また靴下をこまめに変えるのは水虫だけではなく靴擦れの防止にもなりますので是非とも覚えておいて欲しいです。
この仕事や職場でよかったこと
自衛隊員は国から衣食住に関わる全てが支給されます。隊舎に居れば家賃はかかりません。水道代や光熱費といった生活費も考えずに済みます、食事は三食無料です。(勿論外食や私的な旅行の際は自腹になります。)なので派手に浪費をしなければ基本的に給与は貯金されお金が溜まります。
事実、私が退官した後に大学に入る時も、学費や諸々の経費をかなり賄えました。
また私たちの世代位からだと思いますが、特に男性自衛官と結婚を望む女性が増えているということで、「自衛官」限定の婚活サイトもあったりします。 「自衛官」と言うだけでアドバンテージがるのですからありがたいことだと思います。
「陸上自衛官(普通科)」の仕事エピソード
自衛隊内独自の慣習や用語が多いことに初めは戸惑うと思います。
また独身の男性自衛官たちはとにかく飲み会が多いです。 何かにつけて隊や班内での飲み会が予定されていますし、何故か「自衛隊」では飲み会のことを宴会と言ったりします。 2・3人での30分程度の立ち飲みでも宴会と言います。
そういった意味では「自衛隊」での出費が多い点と言えばこの宴会費用が嵩むことです。自衛隊員には団結意識、連帯意識が求められることから、親睦を深める意味でこういった機会が昔から多く取られているそうで、仕方のないことかもしれません。
また昨今アルコールハラスメントという言葉があるように、当然中にはこういう場面が苦手と言う人もいるでしょうし、お酒が飲めない人もいるでしょう。なので自衛隊内にはこういった問題に対する相談窓口がありますので、覚えておくとよいでしょう。
因みに私は大勢で騒ぐこともお酒も大好きですので全く問題にはなりませんでした。
「陸上自衛官(普通科)」の職場恋愛について
男性自衛官隊舎と女性自衛官隊舎は隔絶されていて、駐屯地内での私的な空間で男女が一緒になることはまずありえません。仮に正当な理由が無いにもかかわらず侵入することは規則で禁止されています。
また、普通科は全員男性自衛官のみで構成されているので職場での出会いも皆無です。
しかし例外もあります、有名なのが「自衛隊」の自動車教習所での出会いです。
「自衛隊」には自動車教習所があり、そこで教習を受ける際に班が決められるのですが、その際は男性、女性も一緒に混合の班が組まれ、かつ終了までの3~4か月間はその班で教習を受ける事になります。 なので自然に互いに親密になり、教習が終了する頃にはカップルが誕生しているケースをよく聞きました。
ただし、教習班の構成メンバーは自分では決められませんし、中には全員男性のみといったケースもあるみたいなので、ある意味運任せとなりますのであしからず。
まとめ ー「陸上自衛官(普通科)」を目指す方へメッセージ
「自衛隊」と一口言っても様々な部署や科目があります。なので入隊前と入隊後で希望の職種が変わる場合も十分考えられますので、それもまた一つの楽しみとして考えていてほしいですね。
コメント